有価証券報告書-第88期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/18 12:23
【資料】
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【項目】
216項目
(3)リスク管理
3-1.サステナビリティに関するリスク管理
① リスク管理の概要
当社グループでは、収益性や成長性を追求する一方で、事業に伴う各種リスクを適切に認識・評価し効果的に管理することが重要であると考えています。リスクとリターンのバランスがとれた健全な財務構造や収益構造を維持し、短期のみならず、気候関連リスクのような中長期で顕在化する可能性のあるリスクも適切に管理することにより、企業価値の持続的な向上を図ります。
気候関連リスクについては、気候現象のみならず、政治・社会の対応や経済構造等多くの要素が関係し、相互に影響を及ぼし合います。例えば、脱炭素社会への移行過程で経済全体の変化を受けた株式や金利等への影響(市場リスク)、脱炭素への移行等の気候変動対応に伴う企業の事業や財務状況への影響(信用リスク)等、気候関連リスクは既存の各リスクを発生又は増幅させる要因となります。このため、既存のリスク管理の枠組みの中で気候関連リスクの影響を考慮しています。各リスクの定義や管理プロセスについては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
人的資本関連のリスクについては、サステナビリティ推進委員会やダイバーシティ&インクルージョン推進委員会、健康経営推進会議等において、広く協議を行っているほか、人権に関するリスクについては、人権啓発推進委員会での議論や内部通報制度の運用等を通じて、管理を行っています。
② リスクアペタイト・フレームワークにおける気候関連リスク
グローバルに活動する金融機関は、経済や市場のストレス時においても十分な金融仲介機能を発揮できるだけの健全性の確保が求められています。また、ストレス時への備えを十分なものとするためには、平時より各種リスクに見合う流動性及び自己資本を十分に確保することが必要です。こうした認識のもと、当社グループでは、リスクアペタイト・フレームワーク(以下、RAF)を導入しています。当社グループのRAFは、リスクアペタイト・ステートメントとして文書化のうえ、取締役会で審議・決定し、グループ内への浸透と管理態勢の水準向上を図っています。リスクアペタイトの定量指標は、取締役会においてリスクアペタイト・ステートメントの一部として審議・決定し、年2回見直しを行います。また、RAFに関する取締役会及び経営の職務執行の監査は、監査委員会が行います。
本ステートメントでは、2021年度より気候関連リスクを取り上げています。これにより、気候関連リスクについて、そのリスク・プロファイルに応じて適切に特定・評価し効果的に管理していきます。
③ トップリスク(人的資本)
リスク事象のうち、当社グループの事業の性質に鑑みて特に注意すべきものをトップリスクとして選定し管理しています。トップリスクの選定にあたって、経営陣が広範なリスクを認識・議論できるように、社内外より収集したリスク事象をもとに、関連部署が整理・抽出したリスク事象をトップリスクの候補として「見える化」します。その上で当社グループの取締役・執行役が、当社グループの業績に与える影響度と当該リスク事象の発生可能性からフォワードルッキングに評価し、当該候補からトップリスクを抽出し選定します。
当社グループは、労働人口の減少・専門人材の育成遅延・人材の外部流出等に伴う人的リソースの不足が持続的な成長や企業価値向上へ与える影響の重要性が高まっていることを踏まえて、労働力・人材不足による持続的成長の停滞をトップリスクの一つとして位置付けています。なお、トップリスク一覧については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
3-2.環境・社会関連ポリシーフレームワーク
当社グループは、地球環境/生物多様性の保全や人権の保護等、環境・社会リスクの管理体制を強化するため、環境・社会関連ポリシーフレームワークを策定しています。本フレームワークでは、新規の投融資と債券/株式発行にかかる引受を対象とし、投融資等を禁止する事業及び留意する事業を定めています。新規の投融資等に際しては、対象となる案件に対して初期的なESGデュー・デリジェンスを実施します。当該評価の結果、追加的な確認が必要と判断した場合には、強化ESGデュー・デリジェンスを実施し、投融資等の可否を判断します。当該案件の実施が当社グループの企業価値を大きく毀損する可能性がある場合には、さらに経営陣による追加協議を行い、最終的な投融資等の可否を判断します。また、新規の投融資の実施後も、投融資先が児童労働、強制労働、人身取引を行っていないか、定期的にスクリーニングを行います。児童労働、強制労働、人身取引の事実を把握した場合は、対話を通じて是正と再発防止を求め、投融資継続について慎重に検討します。なお、本フレームワークは、国内外の動向を踏まえながら定期的に見直しを行っています。