有価証券報告書-第72期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 9:10
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業績等の概要

(1) 業績
当事業年度のわが国経済は、低成長が続く状況となりました。実質国内総生産(GDP)は2016年1-3月期から前四半期比4四半期連続で増加しましたが、成長率は年率換算で1~2%程度に止まりました。雇用環境は依然良好でしたが、社会保障費の負担増加などにより給与所得者の手取額は増加しておらず、消費動向調査の消費者態度指数は良し悪しの判断基準となる50を下回る状況が続きました。こうした状況から、安倍首相は2017年4月に予定していた消費税率の引き上げを2年半延期することを決め、8月上旬には事業規模28兆円超の経済対策を閣議決定し、景気回復に取り組む姿勢を強めました。世界経済において、米国は底堅い成長を維持し、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを着実に進める状況となった他、欧州も健闘し、新興国でも一部で改善が見られる状況となりました。また、国際通貨基金(IMF)は1月に発表した世界経済見通しで先進国・地域に関して2017年・2018年の成長率予想を上方修正しました。
当事業年度の国内株式市場は、6月に英国で行われた欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票、11月の米大統領選挙と、海外発で2度の大波乱に見舞われました。いずれも時差の関係で開票状況を逐一織り込む格好となり、東京株式市場は一旦急落しましたが、この波乱を乗り越え、年度を通じた基調としては右肩上がりの推移となりました。特に、11月の米大統領選挙後は「公共投資の拡大を契機とした米景気回復」や「米長期金利の上昇」などを織り込む、所謂トランプ・ラリーの展開となり、円安ドル高が進んだ結果、東京株式市場は大型株や国際優良株が見直され上昇に転じました。1月以降はトランプ・ラリーの勢いも弱まり、円安ドル高が一服したこともあり株価は調整局面となりましたが、結局、当事業年度末の日経平均株価は前年度末と比べ12.8%高い18,909円26銭で取引を終えました。
このような状況のもと、当事業年度の業績は、営業収益が133億89百万円(前期比 101.3%)と増加し、営業収益より金融費用77百万円(同 131.3%)を控除した純営業収益は、133億12百万円(同 101.1%)と増加しました。また、販売費・一般管理費は123億10百万円(同 101.4%)となり、その結果、営業利益は10億2百万円(同 97.8%)、経常利益は14億37百万円(同 99.5%)となりました。特別利益が66百万円(前事業年度実績 16億41百万円)、特別損失が85百万円(同 20百万円)、税金費用が4億56百万円(前期比 42.2%)となったことから、当期純利益は9億62百万円(同 48.5%)となりました。
主な手数料の内訳は以下のとおりであります。
① 委託手数料
「委託手数料」は、43億7百万円(同 95.8%)となりました。これは、株券委託売買金額が7,646億円(同 91.1%)と減少したことにより、株式の委託手数料が42億39百万円(同 96.3%)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は68百万円(同 72.1%)となりました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、46百万円(同 49.2%)となりました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、22億53百万円(同 72.8%)となりました。これは、豪州の不動産やインフラ関連株、日本の超小型株、米国の中小型成長株へ投資する投資信託の販売に注力しましたが、投資環境が悪化し販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ報酬が増加する一方、投資信託の代行手数料の減少等により24億15百万円(同 97.6%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ17億21百万円増加し、212億93百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は26億55百万円の増加となりました。これは「顧客分別金信託の増減額」で39億円、「法人税等の支払額」で8億46百万円減少する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で42億2百万円、「税引前当期純利益」で14億18百万円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で7億25百万円、「トレーディング商品の増減額」で3億80百万円、「減価償却費」で3億38百万円、「賞与引当金の増減額」で2億70万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」10億45百万円の減少と比較すると37億1百万円の増加となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は1億54百万円の減少となりました。これは「投資有価証券の売却による収入」で53百万円増加する一方、「有形固定資産の取得による支出」で1億70百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」14億39百万円の増加と比較すると15億93百万円の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は7億86百万円の減少となりました。これは「配当金の支払額」で6億37百万円、「自己株式の取得による支出」で1億45百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」16億45百万円の減少と比較すると8億59百万円の増加となっております。