有価証券報告書-第107期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(経営成績等の状況の概要)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況は、以下のとおりであります
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態
資産の部では、流動資産のうちトレーディング商品が前年度末比2,694億24百万円増加し6,575億24百万円に、有価証券担保貸付金が前年度末比2,037億40百万円増加し4,928億58百万円となる一方、現金及び預金が前年度末比426億73百万円減少し479億20百万円に、信用取引資産が前年度末比78億90百万円減少し494億6百万円となりました。また、固定資産のうち建物が前年度末比19億90百万円増加し45億29百万円に、器具備品が19億26百万円増加し37億38百万円となりました。
負債の部では、流動負債のうちトレーディング商品が前年度末比2,647億90百万円増加し5,464億99百万円に、有価証券担保借入金が前年度末比1,477億60百万円増加し3,452億99百万円に、短期借入金が前年度末比452億14百万円増加し1,239億67百万円となる一方、信用取引負債が前年度末比77億57百万円減少し116億55百万円となりました。また、固定負債のうち社債が前年度末比13億73百万円増加し175億73百万円に、長期借入金が前年度末比32億23百万円増加し681億29百万円となる一方、繰延税金負債が13億28百万円減少し3億88百万円となりました。
純資産の部では、利益剰余金が前年度末比82億20百万円減少し1,005億40百万円となり、その他有価証券評価差額金が前年度末比14億42百万円減少し10億77百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は前年度末比4,265億43百万円増加し1兆3,910億76百万円に、負債合計は前年度末比4,370億92百万円増加し1兆2,267億76百万円となり、純資産合計は前年度末比105億49百万円減少し1,643億円となりました。また、当連結会計年度末の自己資本比率は11.6%(前年度末は17.9%)となり、1株当たり純資産額は625円05銭(前年度末は668円18銭)となりました。
(2) 経営成績
(受入手数料)
当連結会計年度の受入手数料の合計は19.4%減少(前年同期増減率、以下(2)において同じ。)し289億54百万円を計上いたしました。
① 委託手数料
当社の主要子会社である東海東京証券株式会社の株式委託売買高は、個人投資家の売買の減少により33.0%減少し31億93百万株、株式委託売買金額は22.5%減少し3兆8,021億円となり、当社グループの株式委託手数料は39.8%減少し102億11百万円の計上となり、委託手数料全体では38.4%減少し107億29百万円を計上いたしました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
株式は新規公開企業の公募・売出しの引受件数の増加により102.8%増加し9億14百万円を計上いたしました。また、債券は7.4%減少し3億33百万円の計上となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では53.9%増加し12億47百万円を計上いたしました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
受益証券は、個人向けを中心とする投資信託の販売額が減少したことから11.5%減少し68億71百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では11.4%減少し69億51百万円を計上いたしました。
④ その他の受入手数料
投資信託の代行手数料は0.8%増加し45億56百万円の計上となり、また、保険手数料収入は19.1%増加し32億30百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では1.9%増加の100億25百万円を計上いたしました。
(トレーディング損益)
当連結会計年度の株券等トレーディング損益は、主に米国株式を中心とした外国株式の売買の減少により30.7%減少し154億1百万円の利益の計上となり、外貨建債券や仕組債の売買を中心とした債券・為替等トレーディング損益は、34.9%減少し148億79百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は32.9%減少し302億80百万円の利益を計上いたしました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は30.0%増加し55億37百万円を計上いたしました。一方、金融費用は5.2%減少し22億19百万円を計上し、差引の金融収支は73.2%増加し33億18百万円の利益を計上いたしました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、取引関係費は提携合弁証券からの外債販売の取次ぎ量の減少に伴う支払手数料の減少等から13.6%減少し119億51百万円となり、人件費は5.0%減少し295億44百万円、租税公課は16.3%減少し12億73百万円となる一方、不動産関係費は日本橋新オフィスへの移転費用の増加等により15.4%増加し78億45百万円、減価償却費は19.4%増加し23億21百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費は3.9%減少し629億45百万円を計上いたしました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に計上していた持分法による投資利益が持分法による投資損失に転じ、営業外収益の合計は53.6%減少し17億12百万円を計上いたしました。また、営業外費用は、FinTech企業への投資に係るのれん償却など先行的なコストの増加により持分法による投資損失61百万円の計上となり、営業外費用の合計は93.1%増加し3億88百万円を計上いたしました。
(特別損益)
当連結会計年度の主な特別利益は、投資有価証券売却益15億19百万円を計上し、主な特別損失は、特別退職金5億98百万円、投資有価証券評価損2億57百万円を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は24.0%減少し647億72百万円、純営業収益は24.6%減少し625億53百万円となり、営業損失は3億91百万円(前年同期営業利益174億46百万円)、経常利益は95.5%減少し9億32百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は95.7%減少し10億79百万円を計上いたしました。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは727億50百万円の支出(前連結会計年度は193億32百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益が15億28百万円の黒字となり、トレーディング商品(負債)が2,647億90百万円増加し、有価証券担保借入金が1,477億60百万円増加し、それぞれ収入となる一方で、トレーディング商品(資産)が2,700億26百万円増加し、有価証券担保貸付金が2,037億40百万円増加し、それぞれ支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは96億15百万円の支出(前連結会計年度は5億88百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出37億90百万円、投資有価証券の取得による支出29億28百万円、投資有価証券の売却による収入53億27百万円、関係会社株式の取得による支出50億39百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは396億95百万円の収入(前連結会計年度は16億17百万円の支出)となりました。これは短期借入金の純増減額が421億44百万円、長期借入れによる収入102億円、配当金の支払による支出92億99百万円などによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物は429億29百万円減少し、当連結会計年度末の残高は462億74百万円となりました。
(4) トレーディング業務の概要
① トレーディング商品
トレーディング商品の残高は次のとおりです。
② トレーディング業務のリスク管理
トレーディング業務のリスク管理の状況については「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」の注記事項(金融商品関係)に記載しております。
なお、「第2 事業の状況」に記載の消費税等の課税取引については、消費税等を含んでおりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 金融商品の評価
当社グループは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引等については、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として計上しております。時価は、取引所等の市場価格のある有価証券及びデリバティブ取引等については市場価格により算定しております。市場価格のない有価証券及びデリバティブ取引等については主に金利、配当利回り、原証券価格、スワップレート、ボラティリティー、契約期間等を基に算出した現在価値の見積価格により算定しており、異なる前提条件等によった場合には当該時価が変動する可能性があります。
② 投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性の高い市場価格のある株式と、価格の決定が困難である市場価格のない株式が含まれております。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、「金融商品に関する会計基準」に基づき減損処理を行っております。市場価格のある株式については、株式の時価が一定期間継続して取得原価を30%以上下回り続けたとき等、下落が一時的ではないと判断します。市場価格のない株式については、1株当たり純資産額が取得原価の50%以下となった場合に減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
③ 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場等が変動した場合及びのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
④ 退職給付費用及び債務
従業員(執行役員を除く。)に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待収益率等が含まれております。当社グループの退職年金制度においては、割引率は期末における安全性の高い長期の債券の利回りにより、退職率は直近3年間の実績に基づいております。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定はイールドカーブ等価アプローチによる方法により算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得の発生及び税務計画を検討いたします。当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、業績変動の幅が大きく、長期にわたる課税所得の発生を予測することが困難でありますが、策定した経営計画の期間以内の一定期間を、将来の課税所得の見積り期間としておりますので、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りによって、評価性引当金が増減し、繰延税金資産の調整額が発生する可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)のわが国経済は、総じて緩やかな回復局面が持続しました。輸出には米中貿易摩擦の影響等により弱含みがみられるものの、企業収益の拡大や雇用・所得環境の改善を背景に消費は底堅く推移しました。
海外経済は、米国では好調な雇用・所得環境を背景に底堅く推移しましたが、前述の米中貿易摩擦等を背景に、世界経済全体では景気減速感が強まりました。製造業セクター中心に弱さが見られたほか、年度後半以降は、各国・各地域のGDP成長率が総じて低下傾向となりました。ただし、中国の景気対策等を背景に、足元の経済指標にはいく分持ち直しの動きが見られます。
株式市場では、日経平均株価が4月に21,400円台で始まった後、9月半ばにかけて概ね横這いで推移しました。10月初旬には、米通商政策への緩和期待から一時24,400円台まで急伸しましたが、年末にかけては世界経済や企業業績の先行き不透明感等により急落し、一時1年8ヶ月ぶりに19,000円を割り込む場面もありました。年明け以降は、米中貿易交渉の進展や中国景気の持ち直し期待等を背景に反発に転じましたが、その後はやや上値の重い展開となり、3月末は21,200円台で取引を終えました。なお、本年度の東証1部の1日当たり平均売買代金は2兆8,550億円となり、前年度の2兆9,570億円をやや下回りました。
債券市場では、長期金利の指標である10年物国債利回りが4月に0.045%で始まった後、7月の日本銀行による金融緩和策の枠組み柔軟化や、米10年物国債利回りの上昇等を背景に、10月初旬には一時0.155%まで上昇しました。その後は、米中貿易摩擦への警戒感や、世界経済減速への懸念等から、年明けには一時マイナス0.050%まで低下しました。その後はプラス圏に戻す場面もありましたが、欧米の長期金利が年末年始にかけて低下基調となる中、国内の長期金利も低下し、3月末はマイナス0.095%で取引を終えました。
為替市場では、ドル円相場が4月に1ドル106円台で始まった後、北朝鮮を巡る緊張緩和や、良好な米経済指標を受けた米10年物国債利回りの上昇等から円安ドル高となり、10月初旬には一時114円台をつけました。12月半ばにかけては概ね112円から113円台で推移しましたが、年末にかけては先進国の株価急落による市場のリスクオフムードにより大幅に円高ドル安が進み、年明けには一時的に105円を割り込みました。その後は緩やかな円安ドル高基調となり、3月末は110円台で取引を終えました。
こうした市場環境の中、当社グループは、経営計画「New Age's, Flag Bearer 5~新時代の旗手~」に取り組んでおります。経営計画の柱のひとつであり、当社グループの特色である国内アライアンス戦略においては、株式会社十六銀行との包括業務提携に基づいた7社目となる合弁証券会社設立について、本年6月3日の開業に向けて準備を進めました。
また、多様化・複雑化するお客様のニーズに対応するため、有望なFinTech企業との提携を進めており、4月におつり投資アプリ「トラノコ」を提供するTORANOTEC株式会社と資本業務提携を実施したほか、6月にはロボアドバイザー「THEO」を展開する株式会社お金のデザインを持分法適用関連会社化、また、10月には証券取引スマホ・アプリ「One Tap BUY」を提供する株式会社One Tap BUYに対して出資を行っております。事業面では、マーケット部門のさらなる強化・拡充に注力しており、人材育成やシステム投資、リスク管理体制の高度化等の諸施策を通じて、グループ収益の一層の拡大と安定化を図っております。
お客様向けのサービス・ソリューションの拡大においては、お客様への情報・商品提供力強化のため業務提携関係にあるベトナムのバオベト証券に対し7月に出資を行い、より強固なパートナーシップ構築を図ったほか、中小企業の事業承継問題の解決に貢献すべく、当社連結子会社であるピナクル株式会社と事業承継M&Aアドバイザリー事業を行うピナクルTTソリューション株式会社を12月に設立いたしました。
「お客様本位の業務運営」の推進においては、金融庁より6月に公表された「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」の各指標に基づき、当社子会社の東海東京証券株式会社及び髙木証券株式会社において、2018年3月末時点の実績を公表いたしました。
これら経営計画への取り組みを通じ、当社グループは信用力の明確化とプレゼンスの向上に努めており、3月には株式会社格付投資情報センター(R&I)より「BBB+」の新規格付を取得いたしました。
なお、10月9日に発生いたしました東証システム障害におきましては、多数のお客様にご迷惑をおかけいたしました。当該事象を受け、東証との接続手順の見直しやシステムの改善等、システムリスクの軽減に努めてまいります。
また当社グループは、資本市場の発展と国民の皆さまの健全な資産形成に貢献すると同時に、企業市民として地域社会の活性化に貢献することをCSRの基本方針に置いております。特に、ホームマーケットである中部地区の将来の繁栄、発展に資することが使命だと考え、さまざまな活動を展開しております。中部オープンイノベーションカレッジにおいては、勉強会・交流会を毎月開催し、企業間、企業と大学、企業と学生が集い、交流できる場を提供しております。また、名古屋大学とは、中部地区の国際化を牽引できるグローバルな人材の育成を目的に国際情勢講座を開催したほか、英国・ケンブリッジ大学やエジンバラ大学への学部生・大学院生の派遣などを行っております。スポーツの分野においては、トップアスリートの就職支援システム「アスナビ」を通じた採用を行ったほか、中京大学とは、学生アスリート向けの給付型奨学金制度を設立しており、2018年度は4名の学生アスリートに対して活動支援を行っております。
当社は、1月に本店を日本橋髙島屋三井ビルディングへ移転いたしました。ビルの最上階には東海東京証券株式会社が展開する富裕層向けサービスブランド「Orque d'or(オルクドール)」のメンバー向けサロン「オルクドール・サロンTOKYO」を本年4月にオープンさせており、東京における富裕層ビジネス展開の基点として活用してまいります。当社グループの体制においては、「お客様本位の業務運営」の推進及び検証を横断的に行う専門組織を、1月に東海東京証券株式会社に設置したほか、本年9月には連結子会社である東海東京証券株式会社と髙木証券株式会社の合併を予定しております。さらに、当社グループの後継者育成計画(サクセッションプラン)の一環として、本年4月1日付で、東海東京証券株式会社の代表取締役の交代を行い、代表取締役会長に山根秀昭、代表取締役社長に合田一郎がそれぞれ就任しております。サクセッションプランについては、当社グループの業容の拡大に鑑み、グループ経営力の強化と次世代経営者の育成も経営上重要な課題の1つとの認識から、2017年より外部専門家のアドバイスも取り入れつつ、指名・報酬委員会及び社外取締役を含め議論を行い、プロセスを構築、整備してまいりました。具体的に候補者を選定し、まず主要子会社の経営を担うべく、この度の東海東京証券株式会社の代表取締役異動となったものです。当社グループは、新体制の東海東京証券株式会社を中心に、急速に変化する金融業界において、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆さまにご支持いただける「総合金融グループ」を目指してまいります。
なお、経営計画では数値目標として自己資本利益率(ROE)10%、経常利益300億円、子会社及び関連会社の預かり資産10兆円の指標を掲げております。
当事業年度においては、米中貿易摩擦やBrexitなどの不安要因が金融市場に与えた影響に加え、本店の移転やFinTech企業への出資などの先行投資、買収子会社の黒字化遅れもあり、厳しい決算となったことから、自己資本利益率(ROE)0.6%、経常利益9億円、子会社及び関連会社の預かり資産6.6兆円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とします。
主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っています。
有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しています。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理体制を定めています。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況は、以下のとおりであります
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態
資産の部では、流動資産のうちトレーディング商品が前年度末比2,694億24百万円増加し6,575億24百万円に、有価証券担保貸付金が前年度末比2,037億40百万円増加し4,928億58百万円となる一方、現金及び預金が前年度末比426億73百万円減少し479億20百万円に、信用取引資産が前年度末比78億90百万円減少し494億6百万円となりました。また、固定資産のうち建物が前年度末比19億90百万円増加し45億29百万円に、器具備品が19億26百万円増加し37億38百万円となりました。
負債の部では、流動負債のうちトレーディング商品が前年度末比2,647億90百万円増加し5,464億99百万円に、有価証券担保借入金が前年度末比1,477億60百万円増加し3,452億99百万円に、短期借入金が前年度末比452億14百万円増加し1,239億67百万円となる一方、信用取引負債が前年度末比77億57百万円減少し116億55百万円となりました。また、固定負債のうち社債が前年度末比13億73百万円増加し175億73百万円に、長期借入金が前年度末比32億23百万円増加し681億29百万円となる一方、繰延税金負債が13億28百万円減少し3億88百万円となりました。
純資産の部では、利益剰余金が前年度末比82億20百万円減少し1,005億40百万円となり、その他有価証券評価差額金が前年度末比14億42百万円減少し10億77百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は前年度末比4,265億43百万円増加し1兆3,910億76百万円に、負債合計は前年度末比4,370億92百万円増加し1兆2,267億76百万円となり、純資産合計は前年度末比105億49百万円減少し1,643億円となりました。また、当連結会計年度末の自己資本比率は11.6%(前年度末は17.9%)となり、1株当たり純資産額は625円05銭(前年度末は668円18銭)となりました。
(2) 経営成績
(受入手数料)
| 連結会計年度 | 区分 | 株券 (百万円) | 債券 (百万円) | 受益証券 (百万円) | その他 (百万円) | 合計 (百万円) |
| 前連結会計年度 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 | 委託手数料 | 16,952 | 19 | 443 | ― | 17,415 |
| 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料 | 450 | 360 | ― | ― | 811 | |
| 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料 | 2 | 79 | 7,762 | ― | 7,844 | |
| その他の受入手数料 | 247 | 17 | 4,522 | 5,049 | 9,836 | |
| 合計 | 17,652 | 477 | 12,728 | 5,049 | 35,907 | |
| 当連結会計年度 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 | 委託手数料 | 10,211 | 40 | 477 | - | 10,729 |
| 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料 | 914 | 333 | - | - | 1,247 | |
| 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料 | 21 | 57 | 6,871 | - | 6,951 | |
| その他の受入手数料 | 77 | 13 | 4,556 | 5,377 | 10,025 | |
| 合計 | 11,224 | 445 | 11,906 | 5,377 | 28,954 |
当連結会計年度の受入手数料の合計は19.4%減少(前年同期増減率、以下(2)において同じ。)し289億54百万円を計上いたしました。
① 委託手数料
当社の主要子会社である東海東京証券株式会社の株式委託売買高は、個人投資家の売買の減少により33.0%減少し31億93百万株、株式委託売買金額は22.5%減少し3兆8,021億円となり、当社グループの株式委託手数料は39.8%減少し102億11百万円の計上となり、委託手数料全体では38.4%減少し107億29百万円を計上いたしました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
株式は新規公開企業の公募・売出しの引受件数の増加により102.8%増加し9億14百万円を計上いたしました。また、債券は7.4%減少し3億33百万円の計上となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では53.9%増加し12億47百万円を計上いたしました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
受益証券は、個人向けを中心とする投資信託の販売額が減少したことから11.5%減少し68億71百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では11.4%減少し69億51百万円を計上いたしました。
④ その他の受入手数料
投資信託の代行手数料は0.8%増加し45億56百万円の計上となり、また、保険手数料収入は19.1%増加し32億30百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では1.9%増加の100億25百万円を計上いたしました。
(トレーディング損益)
| 区分 | 前連結会計年度 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 | 当連結会計年度 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 |
| 株券等トレーディング損益 (百万円) | 22,227 | 15,401 |
| 債券・為替等トレーディング損益 (百万円) | 22,867 | 14,879 |
| 合計 | 45,095 | 30,280 |
当連結会計年度の株券等トレーディング損益は、主に米国株式を中心とした外国株式の売買の減少により30.7%減少し154億1百万円の利益の計上となり、外貨建債券や仕組債の売買を中心とした債券・為替等トレーディング損益は、34.9%減少し148億79百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は32.9%減少し302億80百万円の利益を計上いたしました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は30.0%増加し55億37百万円を計上いたしました。一方、金融費用は5.2%減少し22億19百万円を計上し、差引の金融収支は73.2%増加し33億18百万円の利益を計上いたしました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、取引関係費は提携合弁証券からの外債販売の取次ぎ量の減少に伴う支払手数料の減少等から13.6%減少し119億51百万円となり、人件費は5.0%減少し295億44百万円、租税公課は16.3%減少し12億73百万円となる一方、不動産関係費は日本橋新オフィスへの移転費用の増加等により15.4%増加し78億45百万円、減価償却費は19.4%増加し23億21百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費は3.9%減少し629億45百万円を計上いたしました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に計上していた持分法による投資利益が持分法による投資損失に転じ、営業外収益の合計は53.6%減少し17億12百万円を計上いたしました。また、営業外費用は、FinTech企業への投資に係るのれん償却など先行的なコストの増加により持分法による投資損失61百万円の計上となり、営業外費用の合計は93.1%増加し3億88百万円を計上いたしました。
(特別損益)
当連結会計年度の主な特別利益は、投資有価証券売却益15億19百万円を計上し、主な特別損失は、特別退職金5億98百万円、投資有価証券評価損2億57百万円を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は24.0%減少し647億72百万円、純営業収益は24.6%減少し625億53百万円となり、営業損失は3億91百万円(前年同期営業利益174億46百万円)、経常利益は95.5%減少し9億32百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は95.7%減少し10億79百万円を計上いたしました。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは727億50百万円の支出(前連結会計年度は193億32百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益が15億28百万円の黒字となり、トレーディング商品(負債)が2,647億90百万円増加し、有価証券担保借入金が1,477億60百万円増加し、それぞれ収入となる一方で、トレーディング商品(資産)が2,700億26百万円増加し、有価証券担保貸付金が2,037億40百万円増加し、それぞれ支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは96億15百万円の支出(前連結会計年度は5億88百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出37億90百万円、投資有価証券の取得による支出29億28百万円、投資有価証券の売却による収入53億27百万円、関係会社株式の取得による支出50億39百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは396億95百万円の収入(前連結会計年度は16億17百万円の支出)となりました。これは短期借入金の純増減額が421億44百万円、長期借入れによる収入102億円、配当金の支払による支出92億99百万円などによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物は429億29百万円減少し、当連結会計年度末の残高は462億74百万円となりました。
(4) トレーディング業務の概要
① トレーディング商品
トレーディング商品の残高は次のとおりです。
| 区分 | 前連結会計年度 (2018年3月31日) | 当連結会計年度 (2019年3月31日) | ||
| 資産の部の トレーディ ング商品 | 商品有価証券等 | (百万円) | 384,823 | 654,224 |
| 株券 | (百万円) | 12,142 | 34,673 | |
| 債券 | (百万円) | 336,207 | 582,327 | |
| 受益証券 | (百万円) | 36,473 | 37,223 | |
| デリバティブ取引 | (百万円) | 3,276 | 3,300 | |
| 合計 | (百万円) | 388,099 | 657,524 | |
| 負債の部の トレーディ ング商品 | 商品有価証券等 | (百万円) | 276,368 | 540,357 |
| 株券 | (百万円) | 11,541 | 26,734 | |
| 債券 | (百万円) | 264,441 | 513,622 | |
| 受益証券 | (百万円) | 385 | 0 | |
| デリバティブ取引 | (百万円) | 5,340 | 6,142 | |
| 合計 | (百万円) | 281,709 | 546,499 | |
② トレーディング業務のリスク管理
トレーディング業務のリスク管理の状況については「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」の注記事項(金融商品関係)に記載しております。
なお、「第2 事業の状況」に記載の消費税等の課税取引については、消費税等を含んでおりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 金融商品の評価
当社グループは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引等については、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として計上しております。時価は、取引所等の市場価格のある有価証券及びデリバティブ取引等については市場価格により算定しております。市場価格のない有価証券及びデリバティブ取引等については主に金利、配当利回り、原証券価格、スワップレート、ボラティリティー、契約期間等を基に算出した現在価値の見積価格により算定しており、異なる前提条件等によった場合には当該時価が変動する可能性があります。
② 投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性の高い市場価格のある株式と、価格の決定が困難である市場価格のない株式が含まれております。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、「金融商品に関する会計基準」に基づき減損処理を行っております。市場価格のある株式については、株式の時価が一定期間継続して取得原価を30%以上下回り続けたとき等、下落が一時的ではないと判断します。市場価格のない株式については、1株当たり純資産額が取得原価の50%以下となった場合に減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
③ 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場等が変動した場合及びのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
④ 退職給付費用及び債務
従業員(執行役員を除く。)に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待収益率等が含まれております。当社グループの退職年金制度においては、割引率は期末における安全性の高い長期の債券の利回りにより、退職率は直近3年間の実績に基づいております。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定はイールドカーブ等価アプローチによる方法により算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得の発生及び税務計画を検討いたします。当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、業績変動の幅が大きく、長期にわたる課税所得の発生を予測することが困難でありますが、策定した経営計画の期間以内の一定期間を、将来の課税所得の見積り期間としておりますので、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りによって、評価性引当金が増減し、繰延税金資産の調整額が発生する可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)のわが国経済は、総じて緩やかな回復局面が持続しました。輸出には米中貿易摩擦の影響等により弱含みがみられるものの、企業収益の拡大や雇用・所得環境の改善を背景に消費は底堅く推移しました。
海外経済は、米国では好調な雇用・所得環境を背景に底堅く推移しましたが、前述の米中貿易摩擦等を背景に、世界経済全体では景気減速感が強まりました。製造業セクター中心に弱さが見られたほか、年度後半以降は、各国・各地域のGDP成長率が総じて低下傾向となりました。ただし、中国の景気対策等を背景に、足元の経済指標にはいく分持ち直しの動きが見られます。
株式市場では、日経平均株価が4月に21,400円台で始まった後、9月半ばにかけて概ね横這いで推移しました。10月初旬には、米通商政策への緩和期待から一時24,400円台まで急伸しましたが、年末にかけては世界経済や企業業績の先行き不透明感等により急落し、一時1年8ヶ月ぶりに19,000円を割り込む場面もありました。年明け以降は、米中貿易交渉の進展や中国景気の持ち直し期待等を背景に反発に転じましたが、その後はやや上値の重い展開となり、3月末は21,200円台で取引を終えました。なお、本年度の東証1部の1日当たり平均売買代金は2兆8,550億円となり、前年度の2兆9,570億円をやや下回りました。
債券市場では、長期金利の指標である10年物国債利回りが4月に0.045%で始まった後、7月の日本銀行による金融緩和策の枠組み柔軟化や、米10年物国債利回りの上昇等を背景に、10月初旬には一時0.155%まで上昇しました。その後は、米中貿易摩擦への警戒感や、世界経済減速への懸念等から、年明けには一時マイナス0.050%まで低下しました。その後はプラス圏に戻す場面もありましたが、欧米の長期金利が年末年始にかけて低下基調となる中、国内の長期金利も低下し、3月末はマイナス0.095%で取引を終えました。
為替市場では、ドル円相場が4月に1ドル106円台で始まった後、北朝鮮を巡る緊張緩和や、良好な米経済指標を受けた米10年物国債利回りの上昇等から円安ドル高となり、10月初旬には一時114円台をつけました。12月半ばにかけては概ね112円から113円台で推移しましたが、年末にかけては先進国の株価急落による市場のリスクオフムードにより大幅に円高ドル安が進み、年明けには一時的に105円を割り込みました。その後は緩やかな円安ドル高基調となり、3月末は110円台で取引を終えました。
こうした市場環境の中、当社グループは、経営計画「New Age's, Flag Bearer 5~新時代の旗手~」に取り組んでおります。経営計画の柱のひとつであり、当社グループの特色である国内アライアンス戦略においては、株式会社十六銀行との包括業務提携に基づいた7社目となる合弁証券会社設立について、本年6月3日の開業に向けて準備を進めました。
また、多様化・複雑化するお客様のニーズに対応するため、有望なFinTech企業との提携を進めており、4月におつり投資アプリ「トラノコ」を提供するTORANOTEC株式会社と資本業務提携を実施したほか、6月にはロボアドバイザー「THEO」を展開する株式会社お金のデザインを持分法適用関連会社化、また、10月には証券取引スマホ・アプリ「One Tap BUY」を提供する株式会社One Tap BUYに対して出資を行っております。事業面では、マーケット部門のさらなる強化・拡充に注力しており、人材育成やシステム投資、リスク管理体制の高度化等の諸施策を通じて、グループ収益の一層の拡大と安定化を図っております。
お客様向けのサービス・ソリューションの拡大においては、お客様への情報・商品提供力強化のため業務提携関係にあるベトナムのバオベト証券に対し7月に出資を行い、より強固なパートナーシップ構築を図ったほか、中小企業の事業承継問題の解決に貢献すべく、当社連結子会社であるピナクル株式会社と事業承継M&Aアドバイザリー事業を行うピナクルTTソリューション株式会社を12月に設立いたしました。
「お客様本位の業務運営」の推進においては、金融庁より6月に公表された「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」の各指標に基づき、当社子会社の東海東京証券株式会社及び髙木証券株式会社において、2018年3月末時点の実績を公表いたしました。
これら経営計画への取り組みを通じ、当社グループは信用力の明確化とプレゼンスの向上に努めており、3月には株式会社格付投資情報センター(R&I)より「BBB+」の新規格付を取得いたしました。
なお、10月9日に発生いたしました東証システム障害におきましては、多数のお客様にご迷惑をおかけいたしました。当該事象を受け、東証との接続手順の見直しやシステムの改善等、システムリスクの軽減に努めてまいります。
また当社グループは、資本市場の発展と国民の皆さまの健全な資産形成に貢献すると同時に、企業市民として地域社会の活性化に貢献することをCSRの基本方針に置いております。特に、ホームマーケットである中部地区の将来の繁栄、発展に資することが使命だと考え、さまざまな活動を展開しております。中部オープンイノベーションカレッジにおいては、勉強会・交流会を毎月開催し、企業間、企業と大学、企業と学生が集い、交流できる場を提供しております。また、名古屋大学とは、中部地区の国際化を牽引できるグローバルな人材の育成を目的に国際情勢講座を開催したほか、英国・ケンブリッジ大学やエジンバラ大学への学部生・大学院生の派遣などを行っております。スポーツの分野においては、トップアスリートの就職支援システム「アスナビ」を通じた採用を行ったほか、中京大学とは、学生アスリート向けの給付型奨学金制度を設立しており、2018年度は4名の学生アスリートに対して活動支援を行っております。
当社は、1月に本店を日本橋髙島屋三井ビルディングへ移転いたしました。ビルの最上階には東海東京証券株式会社が展開する富裕層向けサービスブランド「Orque d'or(オルクドール)」のメンバー向けサロン「オルクドール・サロンTOKYO」を本年4月にオープンさせており、東京における富裕層ビジネス展開の基点として活用してまいります。当社グループの体制においては、「お客様本位の業務運営」の推進及び検証を横断的に行う専門組織を、1月に東海東京証券株式会社に設置したほか、本年9月には連結子会社である東海東京証券株式会社と髙木証券株式会社の合併を予定しております。さらに、当社グループの後継者育成計画(サクセッションプラン)の一環として、本年4月1日付で、東海東京証券株式会社の代表取締役の交代を行い、代表取締役会長に山根秀昭、代表取締役社長に合田一郎がそれぞれ就任しております。サクセッションプランについては、当社グループの業容の拡大に鑑み、グループ経営力の強化と次世代経営者の育成も経営上重要な課題の1つとの認識から、2017年より外部専門家のアドバイスも取り入れつつ、指名・報酬委員会及び社外取締役を含め議論を行い、プロセスを構築、整備してまいりました。具体的に候補者を選定し、まず主要子会社の経営を担うべく、この度の東海東京証券株式会社の代表取締役異動となったものです。当社グループは、新体制の東海東京証券株式会社を中心に、急速に変化する金融業界において、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆さまにご支持いただける「総合金融グループ」を目指してまいります。
なお、経営計画では数値目標として自己資本利益率(ROE)10%、経常利益300億円、子会社及び関連会社の預かり資産10兆円の指標を掲げております。
当事業年度においては、米中貿易摩擦やBrexitなどの不安要因が金融市場に与えた影響に加え、本店の移転やFinTech企業への出資などの先行投資、買収子会社の黒字化遅れもあり、厳しい決算となったことから、自己資本利益率(ROE)0.6%、経常利益9億円、子会社及び関連会社の預かり資産6.6兆円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とします。
主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っています。
有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しています。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理体制を定めています。