有価証券報告書

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2026/06/29 14:47
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148項目

有報資料

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、オフィスビルの賃貸を主な事業とし、「ビルを造り、街を創り、時代を拓く」という経営理念のもと、誠実を旨に顧客重視の良質なオフィススペースを提供し、経済社会の発展に貢献するとともに、収益の向上に努め企業価値を高めていくことを目指しております。上記の理念の具現化に向け、「ミッションステートメント」、「グループメッセージ」、「グループ行動規準」を制定し、グループ社員全員が掲げる使命及び行動指針を明確にしています。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、2023年度を初年度とする「ダイビルグループ中長期経営計画2035 BUILD NEXT.」(2023年度~2035年度)を策定いたしました。本経営計画は、2023年10月に当社創立100周年を迎え、当社グループの次なる100年を見据え、2035年をゴールとする経営ビジョン・方向性を示すものです。
<2035年のビジョン・ありたい姿>・オフィス賃貸事業の安定的な成長に加えて、アセットタイプの多様化や事業の多角化による一層の成長を実現し、人々がもっと愉しさと誇りを感じる“街創り”を推進していきたい。
・街創りや新たな価値創造により、顧客やグローバル・ローカル社会とともに社会課題の解決に向けて“時代を拓いて”いきたい。
●3つの事業戦略
①国内事業戦略
(a)新規物件の取得
都心・地方大型オフィス、都心型商業ビル、都心中小型オフィス、SPC・エクイティ出資
(b)既存物件の建替・リニューアル推進
八重洲ダイビル、御堂筋ダイビル
(c)アセットタイプ拡充の検討
オフィス、都心型商業ビル、ホテルに加え、物流施設、データセンター、レジデンス等
(d)再開発・街創り
札幌ダイビル再開発プロジェクト、既存物件の建替・周辺地域を巻き込んだ再開発
②海外事業戦略
(a)既投資国への投資拡大
ベトナム、豪州
(b)新規投資国への投資
英国および東南アジア、インド等成長地域への投資
(c)海外新規投資(手法・取組)
豪州・オフィスビルファンドへの投資
(d)商船三井との協業
地域ネットワークの活用、海運ビジネスとの連携
③新規事業戦略
(a)新規ビジネス
シェアオフィス、CVC(㈱MOL PLUS(商船三井100%子会社のCVC)との協業)
(b)ノンアセット事業
プロパティマネジメント・ビルマネジメント等のフィービジネス拡大
(c)ビジネスモデルの多角化
ファンド・アセットマネジメント事業等
●戦略促進のための触媒
①商船三井グループとのシナジー
②環境・サステナビリティ
③DX
●5つの事業基盤
①テナントリレーション(営業力)
②安心・安全の追求
③財務戦略
④組織・制度・ガバナンス
⑤人材開発・育成
(3) Phase2(2026年~2030年)における重点戦略
①コア事業(インカムゲインモデル)の収益性向上
・当社付加価値(好立地・高品質・顧客主義)を活かした賃料増額
・再開発により魅力ある街創りを推進し、トップレントを実現
②アセットマネジメント事業への参入
・開発利益獲得や含み益実現による安定的(計画的)な利益・キャッシュ創出
・フィービジネス(AM・PM)によるノンアセット収益源の確保
③国内・海外キャピタルゲイン投資の拡大
・Phase1(2023~2025年)から取り組んできたビジネスモデル多角化の加速
(回転型SPC(物流・レジデンス・ホテル)、海外成長国)
・資本効率の高い投資によるキャピタルゲイン獲得
(4) 優先的に対処すべき課題
●目下の経営環境についての認識
わが国経済は、賃金上昇を背景とした個人消費の緩やかな回復や、雇用環境の改善が下支えとなり、景気は総じて堅調に推移しました。企業収益の改善や設備投資の持ち直しも一定の支えとなる一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、米国によるイランへの軍事攻撃を契機として中東情勢が一段と緊迫化するなど、地政学リスクが顕在化しました。また、通商・金融政策を巡る国際的な不透明感や、国内の政策動向の変化等も相まって、世界景気および国内景気の先行きについては、依然として不透明な状況が続いています。
オフィスビル業界におきましては、良好な雇用環境を背景に、採用強化や職場環境の高度化を目的とした執務スペースの拡張および立地改善の動きが引き続き見られました。大都市圏を中心に空室率は低水準で推移し、平均賃料についても上昇基調が継続するなど、賃貸マーケットはコロナ禍後の回復が顕著になりつつあります。不動産売買マーケットにおいても、こうした賃貸市況の改善を背景に、オフィスビルの取引額が前年同期比で大幅に増加し、特に私募ファンドや私募REIT等による大規模オフィスビルの取得が市場を牽引する状況となりました。金利上昇局面にありながらも、国内外の投資家から見た相対的な投資妙味はなお維持されており、物件取得のニーズは引き続き底堅く推移しています。
こうした状況の下、当社グループは、お客様の安心・安全を第一に、ビル管理品質向上活動を継続しながら、環境問題にも積極的に取組み、競合ビルとの差別化を図ってまいりました。顧客目線に立ったテナントサービスを提供し続けることで、高水準の稼働率を保ちつつ、賃料水準の適正化を図り、営業収益の維持拡大に努めております。
●優先的に対処すべき課題
以上のような経営環境の認識にたち、経営計画において掲げた施策の遂行のため、以下①~④を特に優先的に対処すべき課題ととらえ、取り組みに注力しております。
①国内事業戦略の推進
当社グループの国内における保有アセットは東京・大阪に集中し、また、大半が大型のオフィス用途となっております。経営計画における国内事業戦略では、新規物件の取得、既存物件の建替・リニューアル、アセットタイプの拡充、再開発・街創りに注力する方針を掲げております。
既存物件の建替・リニューアルにおいては、2025年6月に竣工した「八重洲ダイビル」(地上11階、地下3階、延床面積22,655㎡)が、満室稼働を達成し業績の向上に向け順調なスタートを切りました。
アセットタイプ拡充においては、広島市西区に所在する物流施設に関する信託受益権の取得を目的とした特別目的会社への出資を行いました。更に、物流施設に加えて住居系についても、6物件に係る信託受益権の取得を目的とした特別目的会社への出資を行うなど、資産効率の向上およびポートフォリオの多様化を推進しています。
再開発・街創りにおいては、札幌市で開発を進めている「札幌ダイビル再開発プロジェクト」(2027年4月末竣工予定、地上19階、地下2階、延床面積約42,000㎡)の新築工事、参加組合員として参画中の札幌駅南口「北4西3地区第一種市街地再開発事業」(2028年7月竣工予定、地上33階、地下7階、延床面積約203,750㎡)の新築工事が順調に進んでいます。
②海外事業戦略の推進
国内においては上記①のとおり、対象を拡充することで投資実現性を高める戦略を掲げる一方で、海外においては既存投資国への投資拡大に加え、新たに戦略投資国としたインドなど新規国への投資による成長戦略を描いております。
既存投資国であるベトナムにおいては、2012年にホーチミン市の「サイゴン・タワー」、2014年にハノイ市の「コーナーストーン・ビルディング」、2023年にハノイ市の「63 Ly Thai To」と、ベトナム2大都市における好立地Aグレード・オフィスビルを取得し、当社社員を現地のビル保有・運営会社に派遣し日本国内に準じたオフィス賃貸サービスを提供することでテナント及び市場から高い評価を受けております。
豪州においては、先進国でありながら安定した経済成長・人口増加が期待でき、不動産マーケットの透明性・流動性も高いことから当社は同国を投資有望国と位置づけ、2018年にシドニー「275 George Street」開発プロジェクトを取得いたしました。2019年には現地駐在員を派遣し、2020年に完工した「275 George Street」の運営を行うとともに新規投資案件の開拓を進めてきました。2023年5月にはMirvac社がメルボルン中心地区で推進しているオフィスビル開発プロジェクト「7 Spencer」への参画を決定し、同年8月には同社が運営するオフィスビルファンド「Mirvac Wholesale Office Fund」に出資しました。2025年4月には、第3号案件となるシドニー中心地区に位置するAグレードビル「135 King Street」を取得いたしました。
インドにおいては、2024年4月に首都ニューデリー近郊の新都心グルグラム市中心地区におけるオフィスビル開発プロジェクト「Atrium Placeプロジェクト」へ参画、同年11月には南部の主要都市チェンナイ市ビジネスパークにおける「International Tech Park Chennai, Radial Road」へ参画し、経済・人口の成長が見込めるインドマーケットへ進出を果たしました。
英国においては、Forbes2000 企業の本社が多く集まり、流動性・透明性の高いコア市場として世界の投資家から高く評価をされているロンドンにおいて、Brexit後もなおその国際金融の中枢としての地位を維持するシティ内の好立地に所在する「Capital House」を2025年6月に取得し、英国への初進出を果たしました。同国への進出により、当社の海外事業は開発中案件を含め、世界4か国・計10件となります。同ビルには商船三井グループ企業も入居し、同グループのグローバル事業における重要拠点となっています。更に2026年2月には、ロンドン第2号案件となる、「Warwick Court」のメジャー持分を取得しました。こちらも、英国を代表する歴史的建築であるセントポール大聖堂に隣接し、極めて希少性の高い立地を誇る物件であります。
海外事業の推進は経営計画において主要戦略の一つであり、当社の100%株主である株式会社商船三井の海外ネットワークも活用し、これまで以上に海外投資を加速させてまいります。
③新規事業戦略の推進
上記の国内・海外事業戦略の推進に加え、将来的に新たな事業の柱となる新規事業戦略にも積極的に取組んでおります。収益性・資本効率向上を目的とした「ビジネスモデルの多角化」に向け、千葉県八千代市所在の物流施設、大阪府藤井寺市所在の物流施設、および投資法人所有の東京圏の3物件のブリッジ保有(売却等を前提とした一時保有)を行う特別目的会社への出資をそれぞれ実施しました。
新規事業領域への投資として、商船三井のコーポレートベンチャーキャピタルであるMOL PLUSと協業し、自社保有ビルおよびエリアの資産価値向上等を企図し、アート・コミュニケーションプラットフォーム「ArtSticker」を運営する株式会社The Chain Museum、および映像解析AI「AI Security asilla」の開発・提供を事業とする株式会社アジラの計2社のスタートアップ企業に対して出資を行いました。
引続き、不動産テック、スマートシティ、環境サステナビリティ、DX等のスタートアップ企業への出資・支援を通じた不動産事業のアップグレード・新規事業創出で「新しい街創り」を目指します。
④事業基盤の維持・強化
経営計画では、上述の3つの事業戦略を促進するための触媒として、商船三井グループとのシナジーの創出、環境・サステナビリティ、DX推進を位置付けております。
商船三井グループとのシナジーにおいては、商船三井グループの経営資源を活用することで、当社の強みである国内オフィス賃貸事業の成長投資のみならず、オフィスマーケット拡大が期待される海外地域での事業拡大に取組み、持続的な企業価値向上に努めてまいります。
環境・サステナビリティへの取組においては、国内外の当社全保有ビルにおけるCO2フリー電力の導入が完了しました。「新ダイビル」においては、環境対応を更に一歩進め、同ビル向け再生可能エネルギー供給のためのオフサイトコーポレートPPAを締結しました。また、ベトナムにおいても、保有・運営する「サイゴン・タワー」および「コーナーストーン・ビルディング」において、太陽光発電や全使用電力のCO2フリー化などの環境負荷軽減に取り組み、「LEED Operations & Maintenance」の最高位であるPlatinum認証を取得いたしました。
DX推進においては、オフィス賃貸事業やビル管理事業でのDXツールの導入を検討するほか、当社グループの働き方改革に活用する方針です。
また、事業戦略を支える事業基盤として、テナントリレーションの強化、安心・安全の追求、財務戦略、組織・制度・ガバナンスの強化、人材開発・育成を掲げております。

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