有価証券報告書-第71期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
115項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動による弱い動きが徐々に和らぎ、緩やかな回復基調が続いております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなか、原油価格下落の影響や各種政策の効果などもあり、緩やかに回復していくことが期待されますが、海外景気の下振れなどが、わが国の景気を下押しするリスクとなっております。
航空業界におきましては、航空自由化(オープンスカイ)やLCC(ロー・コスト・キャリア)の路線拡大等による競争の激化、上下一体化による効率運営を目指した空港経営改革の動き、首都圏空港の機能強化の具体化に向けた本格的議論の開始や羽田空港へのさらなる陸上アクセスの改善や鉄道新線構想の公表など、事業環境は大きく変化しつつあり、一層競争力強化に向けた取組みが求められております。当連結会計年度の旅客数につきましては、羽田空港国内線の航空旅客数は前期比約2%増となり、国際線については、訪日外国人旅客数が1,400万人を超え、なかでも羽田空港国際線の航空旅客数は、発着枠の拡大等の要因もあり、前年度を40%強上回りました。
当社グループは、着実に増加する訪日外国人旅客に対応し、免税事業において、購買単価や購買率の改善を図ることでさらなる増収に努め、加えて、中国や東南アジア等からの訪日外国人旅客を対象とした集客施策が奏功し航空旅客数の伸びを上回る大幅な増収となり、当連結会計年度の業績に大きく寄与いたしました。
また、中期経営計画(平成25年度から平成27年度)の2年目として、さらなる羽田国際化への対応、新しい空港運営の未来の構築、事業収益性の改善、人材・組織力の強化を重点課題として取り組んでおります。
昨年3月の羽田空港国際線の増便に伴う国際線旅客ターミナルビル拡張に合わせ、免税店運営や施設維持管理の業務受託を拡充し、当社グループの収益性の拡大を図ってまいりました。昨年9月には、新たに「ロイヤルパークホテル ザ 羽田」を開業し、国内で初めてのトランジット専用の客室を有するターミナルビルに直結したホテルとして、空港機能の拡充、さらなる利便性の向上と収益性の拡大を図りつつ、お客様のニーズに対応出来る体制を整えました。
また、昨年4月より、新しい空港運営のスキームの一つとして、国内線旅客ターミナルビルの施設に係る便益と費用負担の関係を一層明確にするため、従来、航空会社から徴収していた共用施設利用料を航空旅客から頂く仕組みに変更いたしました。これにより、空港施設の提供者として従来以上に航空旅客に対する責任を果たすべく、さらなる利便性の向上に取組んでおり、昨年3月の羽田空港国際線の増便に合わせ、国内線旅客ターミナルビルにおいて内際乗継施設の整備を実施し、7月には保安検査場通過後のゲートラウンジ内でご利用いただける専用の手荷物カートの運用等を開始したほか、本年2月には国内線第1旅客ターミナルビルのリニューアルを開始いたしました。
また、商業施設面では、空港を利用されるビジネスマンを中心としたお客様からご好評いただいております「イセタン 羽田 ストア(メンズ)」の2号店を昨年6月に第2旅客ターミナルビルにオープンするとともに、女性のお客様の潜在需要へも対応するべく「イセタン 羽田 ストア(レディス)」を7月より第1旅客ターミナルビルに展開し、商業施設の活性化に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は 1,735億5百万円(前期比 17.9%増)、営業利益は 98億8千8百万円(前期比 59.6%増)、経常利益は 118億4千9百万円(前期比 107.0%増)、当期純利益は 66億4千8百万円(前期比 123.1%増)となりました。
なお、これまでの羽田空港におけるさまざまな取組みが評価され、昨年8月には、英国のSKYTRAX社が実施する"Global Airport Ranking"において、羽田空港旅客ターミナルビル全体の施設やサービスの品質が総合的に世界最高水準にあると評価され、日本の空港で初めて「5スターエアポート」を獲得したことに続き、本年3月には、3年連続での国内線空港総合評価部門世界第1位をはじめ、出発保安検査部門(第1位)、清掃部門(第2位)、職員部門(第2位)などの項目でも高い評価をいただきました。今後2020年に控える東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港全体で連携しながら、空港を利用されるお客様を第一に考え、安全性はもちろん、利便性、快適性及び機能性に優れたサービスを提供し、お客様から信頼され続ける世界ナンバー1品質の旅客ターミナルビルを目指し、航空輸送の発展に貢献してまいりたいと考えております。
セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、営業利益はセグメント利益に該当します。
(施設管理運営業)
家賃収入につきましては、羽田空港国内線旅客ターミナルビルの事務室家賃に関する一部見直しや、空港外賃貸物件での減収等の影響により、前年を下回りました。
施設利用料収入につきましては、航空旅客数の増加等に伴う国内線旅客取扱施設利用料収入の増加等により、前年を上回りました。
その他の収入につきましては、羽田空港国際線旅客ターミナルビルにおける業務受託料収入や、昨年9月に開業した「ロイヤルパークホテル ザ 羽田」による収入の増加、航空旅客数の増加に伴うエアポートラウンジ収入の増加等により、前年を大きく上回りました。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 509億8千7百万円(前期比 10.3%増)、営業利益は増収に加え減価償却費の逓減等により、53億6千9百万円(前期比 46.9%増)となりました。
(物 品 販 売 業)
円安の影響や東南アジア等のビザ発給緩和などにより、訪日外国人旅客数が前年より大幅に増加したことに伴い、国際線売店売上及びその他の売上(卸売)が大幅に増加いたしました。
国際線売店売上につきまして、羽田空港においては、購買単価や購買率の改善を図ることでさらなる増収に努め、さらに、成田空港や関西空港においては、中国や東南アジア等からの訪日外国人旅客を対象とした集客施策が奏功し、ブランド品を中心に売上が好調に推移し、前年を大きく上回りました。
その他の売上(卸売)につきましても、羽田空港、成田空港、関西空港、中部空港といった主要空港に加え他空港への卸売も好調に推移したこと等により、前年を大きく上回りました。
国内線売店売上につきましては、航空旅客数の増加率は前年より低いものの、出発ゲートラウンジ内における「イセタン 羽田 ストア(メンズ)」の2号店及び「イセタン 羽田 ストア(レディス)」の新規展開等もあり、前年を上回りました。
その結果、物品販売業の営業収益は 1,094億2千4百万円(前期比 24.1%増)、営業利益は免税商品を中心に価格改定や原価率の改善が進んだこともあり、88億3千5百万円(前期比 35.6%増)となりました。
(飲 食 業)
飲食店舗売上につきましては、航空旅客数の増加に加え複数店舗の改廃を行った結果、前年をわずかに上回りました。
機内食売上につきましては、顧客である外国航空会社の便数は増加したものの機材の小型化により旅客数が減少し、前年を下回りました。
その他の売上につきましては、羽田空港国際線旅客ターミナルビルの拡張に伴う業務受託料収入の増加により、前年を上回りました。
その結果、飲食業については経営環境が厳しい中、営業収益は 181億3千2百万円(前期比 3.1%増)、営業利益は増収に加え各種コスト削減等の効果もあり、1億7千8百万円(前期比 20.8%増)となりました。
なお、機内食の製造・販売等を行う連結子会社であるコスモ企業株式会社(以下「コスモ企業」という。)のケータリング事業の強化等を目的に LSG Catering Hong Kong Ltd(以下「LSG社」という。)と昨年9月に資本業務提携契約を締結し、当社が保有するコスモ企業株式の20%相当をLSG社に譲渡いたしました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ
317億6千3百万円増加し、468億9千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 43億1千6百万円増加(前期比 28.4%増)し、195億2千万円となりました。
これは主に、売上債権が増加したものの、税金等調整前当期純利益が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 56億5千1百万円減少(前期比 58.5%減)し、40億8百万円となりました。
これは主に、投資有価証券の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 228億2千6百万円増加(前連結会計年度は 65億7千4百万円使用)し、162億5千1百万円となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出があったものの、新株予約権付社債の発行による収入が増加したこと等によるものであります。