有価証券報告書-第93期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 15:45
【資料】
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【項目】
193項目
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社は、コーポレートスローガンに掲げる「信用と創造」を実践し、持続的成長による企業価値を高める源泉は従業員であると考え、持続的成長の果実はまず従業員に還元する「従業員ファーストの経営」と「グループ一体経営」を目指しております。また、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなるとの認識のもと、かねてよりダイバーシティ推進に積極的に取り組み、中途採用による人材確保(キャリア職)、年功によらず専ら職務と実績に基づく評価制度、専門職種毎の給与体系を並立させる給与制度など、多様性に富む強靭な組織を実現するための独自の人事制度を構築しております。その結果、定期昇給ではなく、役割と成果に応じて年収を上げることで、当社の経営の根本である「持続的成長戦略」における「持続的な賃上げ」を実現しております。また、2023年に「人材開拓推進室」を新設し、多様な人材が活躍できる就労環境の整備、研修の推進も強化しております。
① 当社グループの人事戦略
イ 経営再建時代、事業構造転換のために進めた人事制度改革
バブル崩壊後、再建計画として第一次中期経営計画(1997-2001)を開始した頃の当社は、収益力の大幅な低下とともに不良債権や過大な有利子負債を抱えておりました。
再建計画では、不動産証券化など資金調達の多様化に取り組み、不動産業の原材料である未稼働土地の商品化(開発)を進める一方で、先行投資を必要としない「人が収益を生み出す」受注生産型の新規事業「新築そっくりさん(リフォーム事業)」等に活路を見いだし、収益力の回復を目指しました。
この事業構造転換に際して、外部から優秀な専門人材(キャリア職)を大量に採用する必要に迫られ、旧来の“年功序列”による人事制度を廃し、“高率歩合給”などの能力、成果主義を核とする人事制度への改革を実施し、「新築そっくりさん事業」や「注文住宅事業」の収益拡大に大いに寄与しました。
その後、分譲マンションや賃貸マンション、ホテル、イベントホールなど、「実物資本」と「人的資本」をハイブリッド活用する他の事業にもこの人事制度を拡大適用しました。グループ全体でキャリア職を通年採用し、多岐に渡る職種ごとに、その職務と実績によって年収を定めるジョブ型に近い給与制度に切り替えるなど、キャリア職中心の人事制度を中核に据え、各事業の付加価値向上に大きく寄与しました。
当社はこうして、東京都心の再開発事業を中心としたオフィスビル賃貸事業を収益の柱に据えて長期的な安定成長基盤を構築するとともに、賃貸マンションやホテル、イベントホールなどの賃貸関連事業、分譲マンション、新築そっくりさん、注文住宅、仲介などの各主力事業において、それぞれ特徴的な事業スタイルを築きながら、現在まで持続的な成長による企業価値向上を実現してきました。
ロ 当社独自の「職種別人事制度」と「持続的な賃上げ」
当社はこの人材戦略の有効性を踏まえ、営業職や技術職に限らず、コーポレートスタッフにも専門職種のキャリア職採用を拡大、現在は主要職種だけで約30種もの職種別の給与体系を並立させる人事制度を構築しています。各専門職種は従事する事業や業務の特性に応じて、固定給、変動給の割合、昇給テーブル等を個別に設定した給与制度であり、定期昇給がない代わりに、年齢、性別、社歴を問わず、役割と成果でのみ評価し、社員の成長に応じて年収を上げる制度です。この制度は、社員の成長が年収の上昇に連動しておりますので、言い換えれば、「年収アップをした社員」が多いほど、会社全体の生産性の向上、企業価値の向上に寄与するということになり、「人件費はコストではなく投資」を体現する仕組みとなっております。そのため、当社は、賃上げ率の指標及び目標は定めるものではないと考えておりますが、結果として、当期は6.0%の賃上げを実現しております(前期実績:5.7%)。
ハ ダイバーシティに富んだ組織を実現
20年余り前から、他社での多種多様なキャリアを持つ人材を、即戦力として積極的に採用し人材確保を推し進めた結果、すでに当社グループ職員の8割以上がキャリア職となり、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点、価値観の存在する柔軟かつ強靭なダイバーシティに富んだ組織を実現し、当社成長の源泉となっております。
さらに、職員のモチベーション向上のためには管理職登用における機会均等が最も重要であるとの考えから、性別、新卒・中途の別によらず、専ら意欲と能力による登用を進めております。その結果、現在、管理職の7割以上をキャリア職出身者が占め、管理職における多様性も確保されております。
また、女性活躍推進についても積極的に取り組んでおります。まず、女性採用比率の数値目標(50%)を公表し、将来の登用に向けてまずは社員数を厚くすべく、職員における女性比率の向上に取り組んでいます(当期実績:64.0%)。次に、2022年に、職務給中心の人事制度を全職員に適用する改革を行い、出産、育児等のライフイベントにより中長期にわたりキャリアの中断があった職員についても、復職後、不利なく責任あるポストに即座に就くことが可能な制度とするなど、女性のキャリア形成支援に取り組んでいます。2023年7月設置の「人材開拓推進室」では、将来の幹部候補の開拓に注力してきました。その結果、当期末時点の管理職に占める女性の比率はグループ全体で10.6%(前期比0.1p増)となりました。また、女性の役員選任についても積極的に取り組んでおり、本報告書提出日時点で女性の役員は4名(社外取締役1名、社外監査役1名、執行役員2名)となっております。
なお、当社グループにおける職種別の構成比及び管理職の多様性は、上記のような公正な採用方針、公正な制度、公正な登用の結果として自ずと確保されていくべきものと考えております。当社グループにおける職種別の構成比及び管理職の多様性について数値目標を定めることは、却って、職員の採用及び管理職登用における機会均等を歪め、職員全体のモラールを下げてしまう懸念があると考えているため、かかる数値目標は定めない方針です。
ニ 制度の継続活用と深化拡大
現行の人事制度は、持続的成長を目指す当社の経営戦略において既存事業の成長に資するだけではなく、新規事業や将来の事業構造転換においても、必要なスキルを有する人材の確保、育成を推進する上で引き続き有効と考えております。
当社は、当該人事制度を継続深化、拡大させるため、各専門職種の人材マーケットに則した柔軟な給与水準の見直しや、必要な人材の厚みを確保するため職種ごとに専門的なスキルアップ教育の拡充を図るほか、有能な人材に社内転職の機会を提供する「住友不動産グループ・キャリアチェンジ応援制度」によるキャリア形成支援を行うなど、様々な取組みにより制度のさらなる発展を推し進めております。
ホ グループ一体経営の推進
当社グループ各社は、設立から様々な成長過程を経た結果、健康保険制度や産育休暇・私傷病休暇などのセーフティーネットが不統一となっておりました。「第九次中期経営計画」において、グループ全体の人的資源の流動化を企図し、基本的な諸制度を統一いたしました。
この結果、「住友不動産グループ・キャリアチェンジ応援制度」や他のグループ会社からの管理職登用の障壁が取り除かれ、一人ひとりのキャリア選択の自由度が増しております。今後も当社グループ全職員の機会均等を実現させ、当社グループ各社さらなる発展のため、「第十次中期経営計画」においても引き続き、グループ一体経営を推し進めてまいります。
ヘ 「人材開拓推進室」による社員一人ひとりの能力開拓
当社では、グループ全体で約14,000人の多種多様な社員が活躍していますが、当社が目指す姿は、全ての社員が個々の能力を十分に発揮しながら、やりがいのある仕事に取り組み、能力に見合ったステップアップを実現することです。年齢や性別、社歴によらず平等にステップアップの機会を与えられることで、女性の活躍推進はもちろん、会社全体としての成長につながると考えています。
こうした中で、「人材開拓推進室」では、「まだまだ、個々の持つ能力を存分には発揮できていない状況があるのでは」という認識のもと、住友不動産グループ全体において社員一人ひとりが活躍できる、働きやすい職場環境を整えるための制度改革を進めています。まずは、その基礎づくりとして、多種多様な働き方をしている社員にヒアリングを実施し、また、国や参考にすべき制度を調べ、当社に合う制度へと整えることに取り組んでいます。
その第一弾として、「育児支援制度」を大きく拡充しました。「仕事と育児の両立をしながら活躍したい」という社員の声や悩みに対応するため、国の定める基準を超える手厚い制度を導入し、グループ会社間でも制度を共通にすることで、グループの垣根を越えて、社員が活躍できる基盤を整えています。
ト グループ従業員に当社株式の受取権を付与する「勤続功労株式報酬制度」の新設・拡充
当社は、2024年12月に本制度を新設、現在は当社グループ従業員約14,000人のうち10,000人に対象を拡大しました(退職金制度がある当社またはグループ会社従業員を除く。)。
本制度は従業員の毎年の貢献に応じて当社株式の受取権を割り当てるもので、年々当社株の受取権が累増するとともに、当社の持続的成長の実現を通じて株価が上昇することにより、さらに受取報酬が増えるという期待が醸成されることを通じて、当社の基本方針である持続的成長による企業価値の向上に、大いに力を発揮してもらうためのものです。そのため、本制度は指標及び目標を定めるものではございません。本制度により、従業員が当社の持続的成長に貢献する結果、当社の株価上昇により自らの受取報酬が増加するという好循環を作り出してまいります。(本制度は2025年7月に運用を開始いたしました。)
② 人権の尊重と侵害リスクへの対応
住友不動産グループは、人権の尊重が事業推進上の重要な課題の一つであると認識しています。国際人権章典をはじめとする各種人権規約等における自由権や社会権、付随する諸権利の普遍性や不可侵性を保護することはもちろんのこと、労働基準の遵守やダイバーシティの実現についても実践しながら、サプライヤーをはじめとするステークホルダーとともに事業活動を推進しております。
以上の方針を住友不動産グループ全従業員を対象とした基本方針として掲げ、徹底しております。また、サプライヤーに対してはサステナブル調達ガイドラインを通じて人権方針への協力を要請しております。
人権に関する基本方針
住友不動産グループは、以下に全役職員を対象とした人権基本方針を定めます。
本方針は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて策定しております。
1. 人権尊重に関連した規範や法令の遵守
(1)「国際人権章典」等、人権を規定する国際規範を支持、尊重します。
(2) 事業を行う地域の法令等を遵守し、児童労働・強制労働・人身売買の禁止や最低水準以上の適切な賃金支払いに努めます。
(3)人権に関して国際的基準と現地法令等との間に矛盾がある場合、国際的な原則を尊重する方法を追求します。
2. 事業全体における人権の尊重
(1)教育啓発等を通じ、あらゆる理由(人種、国籍、宗教、性別、性的指向・性自認、障がいの有無、社会的身分、年齢、疾病の有無等)による差別・ハラスメントを防止します。
(2)環境整備等を通じ、過重労働・労働災害等を防止します。
3. 適用範囲
(1) 住友不動産グループの全ての役職員に適用します。
(2) 取引先に対しては、本方針及びサステナブル調達ガイドラインを支持し、ともに人権尊重の取組みを推進することを期待します。
4.人権デュー・デリジェンスの実施
(1)人権への負の影響を防止、軽減すべく人権デュー・デリジェンスを実施します。※1
(2)継続的なモニタリングを通じ、システムに問題点があれば適宜改善策を講じます。
5.教育・研修
(1)本方針が全ての事業活動に反映されるよう、全役職員に適切な教育啓発を行います。
6.救済・是正
(1)人権への負の影響を認識した場合、被害者に対し適切な救済・是正措置を講じます。
7.ステークホルダーとの対話
(1)ステークホルダーとの対話を通じ、適宜人権リスク・課題等の見直しを行います。
※1 住友不動産グループでは、事業活動を通じた人権への悪影響を防止すべく、従業員の労働環境、職場における差別・ハラスメント、サプライヤーの労働環境、お客様の健康・安全、外国人技能実習生などの人権保護の5つの課題について対策を講じております。
従業員の労働環境においては、法令以上の厳格な基準のもと、従業員が健康・安全に働ける環境を整備します。職場における差別・ハラスメントにおいては、あらゆる理由による差別・ハラスメントの防止を徹底します。サプライヤーの労働環境においては、研修等を通じサプライヤーの従業員の安全衛生を守るとともに、サプライヤーに対し適切な労働環境を整備することを要請します。お客様の健康・安全においては、提供する商品・サービスにおいて、お客様に健康・安全 にご利用いただけるよう品質管理を徹底します。外国人技能実習生などの人権保護においては、住友不動産ヴィラフォンテーヌでのホテル客室整備等に従事する技能実習生について、直接の雇用主である業務委託先に対し、適切な賃金支払いや母国語での窓口設置など労働環境整備等を実施していることを確認しております。また、業務委託先と共催で実習生のご家族との現地懇親会を定期的に実施、業務説明のほか寮に関する報告など、安心して働ける環境整備に努めています。
③ 人的資本の取組みに関する指標、目標及び実績
人的資本の取組みに関する指標、目標及び実績は、以下の通りです。
指標数値目標当期実績
全従業員に占めるキャリア職比率-※281.4%
キャリア職の管理職比率-※270.0%
女性採用比率50%(提出会社)64.0%(提出会社)
44.9%(連結)
女性管理職比率-※210.6%
健康診断受診率100%99.9%
ストレスチェック受検率90%以上90.0%
男性の育児休業等 及び 育児目的休暇の取得率※1100%100%
一人当たりの研修時間前期実績水準
(前期実績 7.6時間)
10.8時間
差別・ハラスメント研修年1回以上1回
取引先アンケートの実施回数年2回2回

※1 提出会社のみ対象、その他指標は連結。
※2 当社グループの職員の採用及び管理職登用における機会均等を歪めるため、数値目標は定めない方針です。(「ハ ダイバーシティに富んだ組織を実現」参照。)
人的資本の関連情報については、当社ホームページをご参照ください。
(https://www.sumitomo-rd.co.jp/sustainability/society/)
  • 有価証券報告書-第93期(2025/04/01-2026/03/31)

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