有価証券報告書-第80期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 11:27
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

全世界で感染拡大をする新型コロナウイルスの収束は、主要国政府の大規模な感染防止策や経済対策が実行されつつあるものの、現段階では見通しを立てることが難しい状況にあります。日本国内でも、多くの企業の業績悪化、資金繰り悪化により、リーマンショックを超える不況となる可能性が高いとの予想があります。
当不動産業界におきましても、ビル賃貸市場は、これまでのテナント企業の増床ニーズなどによる底堅い需要により空室率は低水準で推移しておりましたが、今後の景気の不透明感などから、賃料の低下と空室率の悪化が懸念される状況となりつつあります。マンション分譲市場におきましても、消費者の移動が自粛され積極的な動きが止まり、また世界経済の減速が顕著になる場合には富裕層が投資資金を引き揚げる動きがさらに強まることも予想されます。消費者マインドがマイナスになることから販売価格の下落と販売期間の長期化が懸念されます。
かかる環境下、当社グループといたしましては新型コロナウイルス感染症の影響へ対処すべく、手元流動性の確保やキャッシュ・フロー規律の厳守により耐力(財務体質)強化に努めるとともに、アセットアロケーションの最適化により体力(収益体質)強化に努めてまいります。そのための重要な経営指標として自己資本比率、DEレシオ、有利子負債対EBITDA倍率、ROA等を掲げております。
オフィスビルを核とするビル賃貸事業におきましては、97.7%(2020年3月末)と高稼働を継続しておりますが、緊急事態宣言の発出に伴い、商業施設を中心とするテナントから賃料減額等の要請を受け、一部について対応しております。また、テレワークによる在宅勤務の普及等に伴う将来のオフィス市場への影響についても検証の上対処してまいります。
駐車場事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による移動自粛措置により時間貸駐車場の稼働率が大幅に低下し、収益悪化の影響を最も受けた事業部門になっておりますが、移動自粛措置の解除により底打ちするとともに、収容台数の約半分を占める月極駐車場が安定稼働していることから緩やかな回復を見込んでおります。
住宅事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、販売期間の長期化が予想されます。また、テレワークによる在宅勤務の加速により住宅に対するニーズの変化に対応していく必要もあります。
不動産営業事業におきましては、不動産仲介事業では訪問活動が制約される状況もありますが、コロナ不況における不動産ニーズを発掘し、積極的な営業活動により商機の拡大に努めてまいります。
有料老人ホーム事業におきましては、新型コロナウイルス感染症を遮断すべく徹底した取組みを行っており、現状の入居者とスタッフの命を守ることを優先に稼働させてまいります。
新型コロナウイルス感染症の発生・拡大に伴う著しい環境変化を認識させられ、それに対する対応課題が各事業部門にございます。当社グループではその影響度を分析し柔軟に対処することでさらなる収益力の強化、事業基盤の拡大を図ってまいります。
当社グループは、1950年株式会社八重洲口ビルディングとして設立され2020年11月に創立70周年を迎えます。これまでに培った伝統を大切にし、今後も「社会に貢献し、お客様に必要とされる存在であり続ける」の企業理念を基に「緩やかながら着実に成長」を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。