有価証券報告書-第100期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。
「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。
当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、2026年度までに取り組むべき方向性を示した経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定しました。
経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」
① 全体方針
「社会・地域」「経済」「環境」の3つの軸を経営判断に取り入れ事業を峻別し、次の100年に向け地域価値創造型企業へと事業モデルの更新を進めます。
② 変革の取り組み
全体方針を踏まえ、2026年度までの前半3ヵ年を体質変革期、後半3ヵ年を飛躍期と定めます。体質変革期では、飛躍期に向けて3つの経営課題と3つの発想を通じた事業の変革に取り組み、経営状況の回復を図るとともに、既存のビジネスモデルを見直します。飛躍期では、地域価値創造型企業として新たな価値を生み出します。
■ 変革にむけた3つの経営課題
飛躍期に向けて、「利益水準の回復」と「有利子負債のコントロール」を進めて財務の健全化※を図るとともに、「事業ポートフォリオの再構築」を行い、既存事業の選択と集中により収益力を強化し、投資余力を確保のうえ、新たな収益機会の創出を推進します。
※ 財務健全性の回復の目安として、2023年度における有利子負債残高7,000億円、有利子負債/EBITDA倍率7倍台を目指します。
■ 3つの発想を通じた事業の変革
すべての事業で「DX」「共創」「ローカライズ」の3つの発想を徹底し、業務やサービスに対する考え方の変革を進めるとともに、既存事業の成長や新規事業の創出を図ります。
未来の小田急の持続的な成長につながる事業創造や拡大を進め、地域価値創造型企業として次の100年を歩むため新たな価値を生み出します。
(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題
① 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」の実現
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社鉄道事業における輸送人員の減少等、業績への影響が生じています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後も、その影響により生じた顧客の行動変容の一部は不可逆的なものになり得ると捉えており、中長期的に当社グループの事業に影響を与えると予見しています。このほか、当社沿線人口の減少やテクノロジーの進展等により、今後の事業環境の不確実性はより一層大きくなっていくものと捉えています。
当社グループでは、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、2026年度までに取り組むべき方向性を示した経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定しました。中期経営計画では、収益性と財務健全性の回復を優先しつつ、リアルビジネスをデジタルで変革するなど、未来の小田急の持続的な成長につながる取り組みとの両立を追求しています。事業ポートフォリオの再構築等、具体化が進む都度、計画を段階的にブラッシュアップし、経営ビジョンの実現を目指します。
また、当社グループが「お客さまや社会にどのような価値を生み出していきたいのか」、「そのために自らがどのような組織でありたいか」を示した5つの「未来フィールド」を設定しています。各未来フィールドが目指すありたい姿とその実現に向けた各施策の概要は、以下のとおりです。
鉄道事業において、ホームドアの設置を引き続き推進するほか、実証実験中のAIを用いた踏切異常状態検知システム等の先進技術を活用することで、安全性の向上に努めます。また、鉄道設備のダウンサイジングを進めることなどを通じて、持続可能な交通インフラを構築するとともに、外出意欲を高める新たな機会の創出等により、収益の獲得を図ります。さらに、MaaSアプリケーション「EMot」を通じて、顧客接点をリアル(駅)からデジタル(スマートフォン等)へシフトするとともに、マイカー利用層への公共交通機関の利用促進や利用者のリクエストに応じて運行するオンデマンド交通の実用化に向けた取り組み等を推進することで、輸送サービスをフックとした地域価値の創造に努めます。
新宿エリアにおいて、「新宿グランドターミナル」の実現に向けて、駅とまちの連携を強化する歩行者ネットワークをはじめとした基盤整備を行うほか、オフィスや商業、来街者と企業間の交流を促すビジネス創発機能を備えた超高層ビルを建設するなど、賑わいのある新たなまちに進化させる取り組みを推進します。また、海老名エリアにおいて、フィットネスやクリニックの機能を有する「ウェルネス」をコンセプトとした複合施設や神奈川県央地区最大級(基準階面積)のオフィスビルの建設を推進します。さらに、沿線施設でのサテライトオフィス整備等、既存資産の有効活用を図るほか、新たな資源の使用や廃棄物を減らす循環型の経済システムであるサーキュラーエコノミーの事業化に向け、他の事業者や自治体等との連携を通じて、その検討を深度化するなど、地域の課題を解決する新しいまちづくり事業を推進します。
本年4月に開業した「ロマンスカーミュージアム」や車両所見学をはじめとした鉄道コンテンツを最大限活用することで、多世代の小田急ファン獲得を目指します。また、暮らしに役立つシェアリングエコノミー等を手軽に利用できるサービス提供プラットフォーム「ОNE(オーネ)」において、小田急ポイント会員情報との統合に基づくデジタルマーケティングの強化により、顧客分析の高度化を図ることで、多様な顧客ニーズを捉え、リアルとデジタルを融合した新たなサービスを提供します。
箱根・江の島・大山エリアにおける多様な価値提案を通じた新規需要開拓に努めます。また、ホテル業について、新宿エリア等の都市型ホテルを宿泊に比重を置いた形態に転換することなどにより、事業環境適合を推進します。さらに、当社で販売する各種企画券の電子化や各モビリティサービスとの連携を行うなど、観光シーンのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するほか、インバウンド需要回復を見据えた各種施策を検討します。
新たに策定した人材マネジメントポリシーのもと、自律的な学びやキャリア形成の支援等により、未来に向けた地域の価値を生み出す「価値創造型人材」を育成します。また、未来フィールドの実現に資する事業やSDGs等の社会課題解決に向けた事業について、社員が自由に提案できる公募制度「climbers(クライマーズ)」で採択されたアイデアの事業化等、新たなチャレンジを推進します。
② 社会的責任を果たすための取り組み
当社グループでは、経営理念の実現を通じて社会とともに持続的に発展していくことが社会的責任(CSR)であると捉えており、以下の内容に重点的に取り組んでいます。
運輸業においては、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると捉え、各社で制定している「安全管理規程」に基づき、安全の重要性を強く認識し日々の業務にあたるとともに、事故防止対策を含めた安全管理体制の継続的な確認や見直し・改善を実施するほか、施設面についても安全の質を高める諸施策に積極的に取り組んでいます。今後は、ホームドアについて、1日の利用者数10万人以上の駅へ優先して設置することを予定しており、さらなる安全性の向上を図ります。
また、環境面の取り組みについては、「小田急グループ環境戦略」に基づき、当社において、地球温暖化対策や列車運行に係る騒音・振動の低減策を進めるなど、環境負荷の低減に向けて引き続き注力してまいります。さらに、沿線各地の豊かな自然環境を活かした地域団体との協働による各種イベントや、「小田急・江ノ電クリーンキャンペーン」をはじめとする美化活動等を通じて自然との共生にも鋭意取り組んでいます。
このほか、沿線における将来の人口動態を見据え、幅広い世代に対する暮らしやすい環境の整備にも引き続き努めていきます。
これらの諸課題を着実に遂行することで、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現を目指します。
(1) 経営の基本方針
当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。
「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。
<グループ経営理念> |
1 経営理念 小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。 2 行動指針 私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。 (真摯) 私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。 (進取) 私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。 (融和) 私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 |
当社では、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、2026年度までに取り組むべき方向性を示した経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定しました。
経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」
① 全体方針
「地域価値創造型企業にむけて」 私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など 地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 |
「社会・地域」「経済」「環境」の3つの軸を経営判断に取り入れ事業を峻別し、次の100年に向け地域価値創造型企業へと事業モデルの更新を進めます。
② 変革の取り組み
全体方針を踏まえ、2026年度までの前半3ヵ年を体質変革期、後半3ヵ年を飛躍期と定めます。体質変革期では、飛躍期に向けて3つの経営課題と3つの発想を通じた事業の変革に取り組み、経営状況の回復を図るとともに、既存のビジネスモデルを見直します。飛躍期では、地域価値創造型企業として新たな価値を生み出します。
体質変革期(2021年度~2023年度) |
■ 変革にむけた3つの経営課題
飛躍期に向けて、「利益水準の回復」と「有利子負債のコントロール」を進めて財務の健全化※を図るとともに、「事業ポートフォリオの再構築」を行い、既存事業の選択と集中により収益力を強化し、投資余力を確保のうえ、新たな収益機会の創出を推進します。
※ 財務健全性の回復の目安として、2023年度における有利子負債残高7,000億円、有利子負債/EBITDA倍率7倍台を目指します。
■ 3つの発想を通じた事業の変革
すべての事業で「DX」「共創」「ローカライズ」の3つの発想を徹底し、業務やサービスに対する考え方の変革を進めるとともに、既存事業の成長や新規事業の創出を図ります。
飛躍期(2024年度~2026年度) |
未来の小田急の持続的な成長につながる事業創造や拡大を進め、地域価値創造型企業として次の100年を歩むため新たな価値を生み出します。
(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題
① 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」の実現
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社鉄道事業における輸送人員の減少等、業績への影響が生じています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後も、その影響により生じた顧客の行動変容の一部は不可逆的なものになり得ると捉えており、中長期的に当社グループの事業に影響を与えると予見しています。このほか、当社沿線人口の減少やテクノロジーの進展等により、今後の事業環境の不確実性はより一層大きくなっていくものと捉えています。
当社グループでは、事業環境の変化に対応し、グループ経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、2026年度までに取り組むべき方向性を示した経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定しました。中期経営計画では、収益性と財務健全性の回復を優先しつつ、リアルビジネスをデジタルで変革するなど、未来の小田急の持続的な成長につながる取り組みとの両立を追求しています。事業ポートフォリオの再構築等、具体化が進む都度、計画を段階的にブラッシュアップし、経営ビジョンの実現を目指します。
また、当社グループが「お客さまや社会にどのような価値を生み出していきたいのか」、「そのために自らがどのような組織でありたいか」を示した5つの「未来フィールド」を設定しています。各未来フィールドが目指すありたい姿とその実現に向けた各施策の概要は、以下のとおりです。
モビリティ × 安心・快適 ~新しい“モビリティ・ライフ”をまちに~ |
鉄道事業において、ホームドアの設置を引き続き推進するほか、実証実験中のAIを用いた踏切異常状態検知システム等の先進技術を活用することで、安全性の向上に努めます。また、鉄道設備のダウンサイジングを進めることなどを通じて、持続可能な交通インフラを構築するとともに、外出意欲を高める新たな機会の創出等により、収益の獲得を図ります。さらに、MaaSアプリケーション「EMot」を通じて、顧客接点をリアル(駅)からデジタル(スマートフォン等)へシフトするとともに、マイカー利用層への公共交通機関の利用促進や利用者のリクエストに応じて運行するオンデマンド交通の実用化に向けた取り組み等を推進することで、輸送サービスをフックとした地域価値の創造に努めます。
まちづくり × 愛着 ~まちの“新しい物語”を紡ぎ出す~ |
新宿エリアにおいて、「新宿グランドターミナル」の実現に向けて、駅とまちの連携を強化する歩行者ネットワークをはじめとした基盤整備を行うほか、オフィスや商業、来街者と企業間の交流を促すビジネス創発機能を備えた超高層ビルを建設するなど、賑わいのある新たなまちに進化させる取り組みを推進します。また、海老名エリアにおいて、フィットネスやクリニックの機能を有する「ウェルネス」をコンセプトとした複合施設や神奈川県央地区最大級(基準階面積)のオフィスビルの建設を推進します。さらに、沿線施設でのサテライトオフィス整備等、既存資産の有効活用を図るほか、新たな資源の使用や廃棄物を減らす循環型の経済システムであるサーキュラーエコノミーの事業化に向け、他の事業者や自治体等との連携を通じて、その検討を深度化するなど、地域の課題を解決する新しいまちづくり事業を推進します。
くらし × 楽しさ ~何気ない日々に“心が動く瞬間”を~ |
本年4月に開業した「ロマンスカーミュージアム」や車両所見学をはじめとした鉄道コンテンツを最大限活用することで、多世代の小田急ファン獲得を目指します。また、暮らしに役立つシェアリングエコノミー等を手軽に利用できるサービス提供プラットフォーム「ОNE(オーネ)」において、小田急ポイント会員情報との統合に基づくデジタルマーケティングの強化により、顧客分析の高度化を図ることで、多様な顧客ニーズを捉え、リアルとデジタルを融合した新たなサービスを提供します。
観光 × 経験 ~ここでしか得られない“特別な想い出”を~ |
箱根・江の島・大山エリアにおける多様な価値提案を通じた新規需要開拓に努めます。また、ホテル業について、新宿エリア等の都市型ホテルを宿泊に比重を置いた形態に転換することなどにより、事業環境適合を推進します。さらに、当社で販売する各種企画券の電子化や各モビリティサービスとの連携を行うなど、観光シーンのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するほか、インバウンド需要回復を見据えた各種施策を検討します。
わくわく × イノベーション ~いつの時代もお客さまに“わくわく”を~ |
新たに策定した人材マネジメントポリシーのもと、自律的な学びやキャリア形成の支援等により、未来に向けた地域の価値を生み出す「価値創造型人材」を育成します。また、未来フィールドの実現に資する事業やSDGs等の社会課題解決に向けた事業について、社員が自由に提案できる公募制度「climbers(クライマーズ)」で採択されたアイデアの事業化等、新たなチャレンジを推進します。
② 社会的責任を果たすための取り組み
当社グループでは、経営理念の実現を通じて社会とともに持続的に発展していくことが社会的責任(CSR)であると捉えており、以下の内容に重点的に取り組んでいます。
運輸業においては、安全を第一に快適で良質な輸送サービスを提供することが最も重要な社会的責任であると捉え、各社で制定している「安全管理規程」に基づき、安全の重要性を強く認識し日々の業務にあたるとともに、事故防止対策を含めた安全管理体制の継続的な確認や見直し・改善を実施するほか、施設面についても安全の質を高める諸施策に積極的に取り組んでいます。今後は、ホームドアについて、1日の利用者数10万人以上の駅へ優先して設置することを予定しており、さらなる安全性の向上を図ります。
また、環境面の取り組みについては、「小田急グループ環境戦略」に基づき、当社において、地球温暖化対策や列車運行に係る騒音・振動の低減策を進めるなど、環境負荷の低減に向けて引き続き注力してまいります。さらに、沿線各地の豊かな自然環境を活かした地域団体との協働による各種イベントや、「小田急・江ノ電クリーンキャンペーン」をはじめとする美化活動等を通じて自然との共生にも鋭意取り組んでいます。
このほか、沿線における将来の人口動態を見据え、幅広い世代に対する暮らしやすい環境の整備にも引き続き努めていきます。
これらの諸課題を着実に遂行することで、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現を目指します。