有価証券報告書-第147期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 15:11
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日銀による各種政策の効果により、円安・株高が継続し、企業収益や雇用、所得環境は改善傾向となる中、個人消費も消費税増税後の影響が一巡し、底堅い動きとなるなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、年度終盤には中国経済をはじめとした海外景気や円相場および国内株式市場の影響により、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
このような経済情勢の中、当社(連結子会社を含む)は、将来の大きな飛躍に向け、財務健全性を確保しつつ、既存事業・プロジェクトの強化、当社の強みを生かすことのできる新規領域への積極的進出や成長領域への重点投資を実施し、収益性、効率性双方の向上の実現を目指した、当連結会計年度を初年度とする中期3か年経営計画「STEP TO THE NEXT STAGE」を推進しております。
当連結会計年度の営業収益は、二子玉川ライズ2期の開業効果により、交通事業や不動産賃貸業が好調に推移したことなどにより、1兆914億5千5百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は、754億8千万円(同5.5%増)、経常利益は、700億3千8百万円(同5.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益が増加したことなどにより、552億4千8百万円(同34.6%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。
また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(交通事業)
当連結会計年度において、ホーム上の安全対策につきましては、東横線元住吉駅、大井町線溝の口駅など10駅でホームドア設置工事に着手し、昨年10月には田園都市線で初めてとなるホームドアを宮前平駅で運用開始するなど、当社線全体では5駅に設置いたしました。また、田園都市線でのホームドア整備に向け、6ドア車両の4ドア車両への置き換えを進めており、本年1月には、新造4ドア車両に置き換えた1編成目の車両の運行を開始いたしました。踏切の安全対策では、大井町線、池上線など14か所に3D式障害物検知装置を設置いたしました。
大規模地震等の減災対策として、高架橋やトンネルなど土木構造物の耐震補強工事を、引き続き実施いたしました。また、五反田駅などの駅改良工事やたまプラーザ駅などのホーム屋根葺き替えなどの施設更新、降雪などの異常気象を考慮したホーム屋根補強工事を順次進めてまいりました。
快適な駅空間づくりのため、駅構内の案内サイン増設やステーションコンシェルジュによるご案内の拡充、お客さま操作型タッチパネルの設置などを進めるとともに、スマートフォンやタブレット端末向けの「東急線アプリ」において運行情報を更に強化したコンテンツを搭載するなど、案内機能の強化を行いました。また、都立大学駅における駐輪場の新設などをはじめ、駐輪場やバスへの乗り継ぎ利便性の向上を図ってまいりました。
東横線・田園都市線渋谷駅につきましては、再開発工事の進捗に併せ、継続的に改善を行っております。引き続き、ソフト・ハード両面から対策を進めてまいります。
また、混雑緩和やさらなる利便性向上に向け、本年3月にはダイヤ改正を実施し、ラッシュ時間帯の輸送力増強や初・終電時刻の見直しなどを実施いたしました。
当社の鉄軌道業における輸送人員は、前連結会計年度に比べて、消費税増税に伴う先買い反動減の影響がなくなったことや、二子玉川ライズ2期の開業効果などにより、定期で2.9%、定期外で2.9%、全体でも2.9%の増加となり、旅客運輸収入についても、2.8%の増加となりました。
連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で1.9%、上田電鉄㈱で5.9%それぞれ増加いたしました。
バス業では、東急バス㈱の輸送人員が1.0%増加いたしました。
交通事業全体の営業収益は、当社の鉄軌道業において、輸送人員が増加したことに加えて、経費の減少等もあり、2,005億9千3百万円(同1.6%増)、営業利益は292億7千9百万円(同22.5%増)となりました。
(当社の鉄軌道業の営業成績)
種別単位第146期第147期
26.4.1~27.3.3127.4.1~28.3.31
営業日数365366
営業キロ程キロ104.9104.9
客車走行キロ千キロ146,654147,837
輸送人員定期外千人449,040461,956
定期千人667,269686,613
千人1,116,3091,148,569
旅客運輸収入定期外百万円73,50775,499
定期百万円60,03261,736
百万円133,539137,235
運輸雑収百万円18,18414,401
収入合計百万円151,723151,636
一日平均収入百万円416414
乗車効率%50.351.3

(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=輸送人員×平均乗車キロ× 100
客車走行キロ平均定員

(不動産事業)
不動産事業では、「東急多摩田園都市」の開発をはじめとする「街づくり」を事業活動の中心におき、さまざまな領域での不動産事業を総合的に展開しております。
当連結会計年度は、当社および東急不動産㈱が組合員・参加組合員として参画する「二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業(二子玉川ライズ第2期事業)」において、昨年4月に商業施設「二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケット」が開業いたしました。
渋谷駅周辺開発事業では、平成24年に開業したリーディングプロジェクト「渋谷ヒカリエ」を皮切りに、「渋谷駅街区」と「渋谷駅南街区」を都市再生のモデル的プロジェクトとして推進しております。既に着工している「渋谷駅街区」に加え、昨年8月には「渋谷駅南街区」の工事に本格着手いたしました。
不動産事業全体の営業収益は、当社の不動産賃貸業において、二子玉川ライズ2期の開業に伴う賃貸収入の増加があったことなどにより、1,990億1千8百万円(同1.4%増)となったものの、当社の不動産販売業における、前年度の大型集合住宅(マンション)販売の反動減などにより、営業利益は、280億9千3百万円(同13.0%減)となりました。
(生活サービス事業)
当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。
百貨店業の㈱東急百貨店では、昨年6月に、タイ・バンコクの地元企業との合弁で、海外では2店舗目となる「バンコク東急百貨店パラダイスパーク店」をオープンいたしました。「渋谷ヒカリエ」内の「ShinQs(シンクス)」では、昨年9月に開業以来初となる大型リニューアルを実施いたしました。本年3月には、「東急プラザ銀座」内に、新業態となるファッションのセレクトストア「HINKA RINKA(ヒンカ リンカ)」をオープンいたしました。
チェーンストア業の㈱東急ストアでは、既存店の売上が食料品を中心に好調に推移いたしました。本年1月には、東横線綱島駅改札前に冷蔵ロッカーを設置し、「東急ストアネットスーパー」の商品を、お客さまの都合が良い時間に受け取ることができるサービスを試験的に開始いたしました。
ケーブルテレビ事業のイッツ・コミュニケーションズ㈱では、昨年4月、二子玉川ライズに、放送スタジオと多目的ホールの機能を併せ持つ「iTSCOM STUDIO&HALL(イッツコム スタジオ アンド ホール)二子玉川ライズ」を開業いたしました。多チャンネル放送、インターネット接続、電話サービスなどを提供するほか、スマートホームサービス「インテリジェントホーム」の拡充を進めてまいりました。
生活サービス事業全体の営業収益は、㈱東急ストアにおいて、既存店売上が好調に推移したことや、広告業の㈱東急エージェンシーにおいて、テレビ広告・セールスプロモーション等の受注増加があったことなどにより、6,441億2千7百万円(同2.2%増)、営業利益は、134億3千8百万円(同12.8%増)となりました。
(ホテル・リゾート事業)
ホテル業の㈱東急ホテルズでは、昨年4月にブランド再編を行い、「東急ホテル」「エクセルホテル東急」「東急REIホテル」の3ブランドで展開しております。インバウンドなど海外マーケットが依然好調であり、客室部門を中心に好調に推移いたしました。昨年7月には、「二子玉川ライズ・タワーオフィス」に「二子玉川エクセルホテル東急」が開業し、宴会場や本格レストラン・バーを備えた近隣地域初の本格ホテルとして営業しております。
ホテル・リゾート事業全体の営業収益は、㈱東急ホテルズにおいて、高稼働を維持したことに加え、販売単価も増加したことなどにより、1,038億5千9百万円(同8.1%増)、営業利益は、44億8千8百万円(同40.6%増)となりました。なお、㈱東急ホテルズ直営店舗の客室稼働率は、84.9%(同0.2P増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は429億9百万円となり、前連結会計年度に比べて22億3百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益744億5千6百万円に減価償却費723億9千1百万円、仕入債務の減少額102億1千9百万円、前受金の減少額78億9千7百万円などを調整し、1,296億1千6百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、仕入債務の支払額が増加したことなどにより、343億4千9百万円の収入減となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出1,587億3千4百万円や、固定資産の売却による収入296億1千5百万円などがあり、1,216億6百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の売却による収入が増加したものの、固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、463億7千万円の支出増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済及び社債の償還による支出などにより、52億9千6百万円の支出となりました。