有価証券報告書-第186期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/18 16:57
【資料】
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【項目】
201項目
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針、経営戦略等
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、「『出逢いをつくり、期待をはこぶ』事業を通して、“あんしん”と“かいてき”と“ときめき”を提供しつづけ、地域とともに歩み、ともに発展します。」という「にしてつグループの企業理念」に基づき、鉄道・バスの運輸業を軸に、地域に密着した多様な事業を展開しています。
② 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、1908年の創業以来、様々な時代の変化を乗り越えながら今日に至りますが、今後の長期的な経営環境につきましては、国内人口減少の一方で新興国を中心とした世界人口増加、テクノロジーの急激な進歩、グローバル化に伴う社会の仕組みや顧客ニーズの変化、脱炭素社会の進展等、これまで以上に変化のスピードが急激で、不確実性の高い時代が続くものと認識しています。
このような環境下においてもサステナブルな成長を実現するため、これまでの事業モデルの延長ではなく、想定した未来像から遡るバックキャストで、当社グループのありたい姿を描き、その達成に向けた長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2035」を2022年11月に公表いたしました。
本長期ビジョンでは、ありたい姿を実現するための基本スタンスを「濃(こま)やかに、共に、創り支える ~Grow in harmony with you~」とし、「出逢いをつくり、期待をはこぶ」事業の進化と新領域への挑戦を両輪としたビジネスモデルの変革、従業員一人ひとりが自律的な成長やチャレンジを実現しながらいきいきと働き、最大のパフォーマンスを発揮できる環境の整備や、事業の効率性とサステナビリティを意識したポートフォリオの構築等を掲げております。
さらに、2026年度から始まる第17次中期経営計画では、第16次中期経営計画の成果と経営環境の変化を踏まえ、長期ビジョンで2035年に目指す定量・定性目標のアップデートを行い、その達成に向けた事業戦略の方向性である「ビジネスモデル変革の戦略ストーリー」に「グループシナジーの発現」および「AIトランスフォーメーションの推進」という着眼点を加えるとともに、「成長機会獲得の戦略ストーリー」を事業戦略の方向性として新たに追加いたしました。
「成長機会獲得の戦略ストーリー」には、当社グループの強みとして認識する「鉄道・バス沿線地域での幅広い事業を通じた顧客接点」および「公共交通運営とまちづくりの実績・ノウハウ」、そしてこれらにより築かれた「信頼のブランド力」を活かした「沿線まちづくりの推進と深化」、「まちづくりソリューションの域外展開」、「産業サポート分野の事業拡大」の3つの戦略ストーリーを掲げ、「ビジネスモデル変革の戦略ストーリー」を含めた各ストーリーに沿った事業活動を推進するとともに、それらの事業活動を相互連携させ、持続的な成長サイクルの創出を図ってまいります。
※長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2035」の詳細は当社グループホームページでご確認ください。
https://www.nishitetsu.co.jp/ja/ir/management/vison.html
(2) 経営環境ならびに優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
① 今後の経営環境の変化
当社グループを取り巻く経営環境においては、世界的なインフレや円安を背景とした原材料・資材価格の高騰による不動産開発コストの増大に加え、中東情勢の緊迫化や長期化等による地政学リスクの高まり、さらにはデジタル化の進展に伴うサイバー攻撃の高度化等、事業リスクが複雑化しています。
一方で、当社グループの主たる事業エリアである福岡市都心部や北部九州における国内外観光需要の高まりや生成AIをはじめとするデジタル技術の進展、カーボンニュートラルに向けた投資促進等、事業機会も数多く存在しています。
② 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当社グループでは、2026年3月に、「にしてつグループまち夢ビジョン2035」の実現に向けたセカンドステップとして、第17次中期経営計画(2026年度~2028年度)を策定いたしました。本計画では、テーマを「人とノウハウとブランド力で拓く、新たな成長ステージ」と設定し、6つの重点戦略「選ばれる沿線づくり、魅力あるまちづくりの着実な推進と持続可能なモビリティネットワークへの最適化」「グループのブランド力・ノウハウを活かしつつ、競争力を見極めた事業戦略の推進」「AX等による競争力の強化と更なる生産性の向上」「事業戦略遂行に必要な人財等の供給力強化に向けた人的資本経営の強化」「資本効率向上と財務健全性維持のバランスを意識した資金配分(キャッシュ・アロケーション)の実施」「サステナブル経営の深化」に基づき、取り組みを進めてまいります。




重点施策(モビリティ)

安全・信頼を最優先としたモビリティサービスの提供、および持続可能なモビリティネットワークの構築

国内外観光需要の確実な取り込みによる収益の拡大

ノウハウを活用した自治体・地域交通事業者等に対するソリューション事業の強化

観光需要取り込みによる収益・サービス拡大
・柳川再開発、太宰府天満宮本殿竣工等を契機とした観光需要の獲得
・「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の東アジア向けインバウンド販促強化
・高速バスや空港関係路線バスの増強
・オープントップバスの活用による観光需要の獲得
北九州、別府エリアでの運行開始

バスグループ会社統合による車両・乗務員の柔軟な運用
貸切バス事業の稼働率最大化、高速バス続行便運行による増収

ノウハウを活用したソリューションビジネスの検討
・九州の地方鉄道に向けた技術支援の事業化検証
・バス運行関連支援の事業化検証
計画から施策実施まで一気通貫での知見・ノウハウを提供

持続可能なモビリティネットワークの構築
・西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線の直通運転の実現に向けた検討
・総合交通体系の推進に向けた課題整理と準備

西鉄エアサービス㈱ 空港関連業務の拡大
国際線業務受託やVIPサービス業務、GSA(General Sales Agent)事業※等の空港関連事業拡大に向けた取り組み
※新航路の開設時に航空会社の代理店として、空港との契約交渉や顧客対応等を実施

重点施策(不動産)ー 福岡市都心部

天神エリアにおける公共空間活用や周辺施設等との連携施策により、賑わい・魅力創出および交流促進、ワーカー・来街者の満足度を向上

開発コンセプト「創造交差点」の実現に向けた共創を生み出す施策を通じた「ONE FUKUOKA BLDG.」のブランド価値の向上

アジアで最も創造的なまちの実現に向けた開発プロジェクトと、地域拠点にふさわしい多様な都市機能を備えた魅力あるまちづくりの推進

天神エリアの賑わい・魅力創出
・集客イベントの実施
天神エリアにおける公共空間を活用したイベントの実施
社内横断で連携した集客策の実施(天神集客PJ)
・「ONE FUKUOKA BLDG.」を活用した共創の強化
周辺施設や企業・大学等と連携した共創施策の実施

地権者共働の開発プロジェクト等の推進
・福岡家庭裁判所跡地における複合開発プロジェクト
・(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト
・(仮称)天神一丁目15・16番街区計画
・九州大学箱崎キャンパス跡地地区土地利用事業

重点施策(不動産)ー 沿線

沿線地域での不動産事業を通じた持続可能でウェルビーイングなまちづくりへの貢献、ならびに沿線価値の向上

・福岡三越リモデルに合わせたソラリアターミナルビル改修
・高宮駅リニューアル
・高架下(白木原~下大利)の開発
・久留米エリア最大・最高層分譲マンション「久留米ザ・タワー レジデンシャル」の共同開発
・西鉄柳川駅前「にぎわい交流施設」の開発
・新栄町駅前地区市街地再開発事業

重点施策(不動産)ー 域外

沿線まちづくりで培ったノウハウを活用した域外での不動産開発およびソリューション事業の展開による収益拡大

パートナーと協働した海外における不動産事業を通じた収益基盤の構築・拡大、西鉄ブランドの浸透

域外での不動産開発を通じた安定的かつ効率的な利益確保
・住宅開発の推進(首都圏、関西)
・物流施設開発の推進
不動産ソリューション事業の強化
・アセットマネジメント事業の拡大
・プロパティマネジメント事業・ビルマネジメント事業の強化

海外における不動産事業の推進
・各国での不動産開発戦略
ベトナム:既存タウンシップ事業の推進/アフォーダブル住宅事業拡大
インドネシア:戸建開発事業の推進に向けた組織基盤強化
フィリピン:マニラ郊外での既存事業の拡大/新規エリア進出の検討
インド:オフィス案件の着実な事業推進/分譲住宅事業の検討
アメリカ:収益不動産開発事業の拡大/アセットの多様化によるリスク分散
・国内で培ったノウハウ・技術力の海外展開

重点施策(ホテル・レジャー)

ホテル

新規ホテル出店計画を着実に推進するとともに、新たな業態(アパートメントホテル等)へ参入

新規ホテル出店計画の着実な推進
・ソラリア西鉄ホテル大阪本町
・ソラリア西鉄ホテル福岡エアポート(仮称)

新たな業態の検討
自社ブランドの高価格帯ホテルの検討
主にインバウンド向けを想定したアパートメントホテルへの参入

MC(運営委託方式)受託に向けたソフト面の強化
・ブランド力:「ソラリア」「クルーム」拡大等によるブランド価値向上
・運営力:派遣先で活躍できる責任者(運営・経営人財)の育成
・提案力:運営マネジメントの高度化により事業性を高め、オーナーにも魅力ある条件を設定

旅行・レジャー

福岡・九州における観光需要の取り込みおよびスポーツ関連ビジネスの推進・拡大

福岡・九州における観光事業の強化
・国内外観光需要の取り込み
福岡・九州の魅力を活用したツアー商品・企画乗車券の拡充
観光列車のリニューアル検討・実施
首都圏・関西圏でのインバウンド向け広告の展開
JNTO(日本政府観光局)等との連携・共同プロモーション等の実施
富裕層向け施策の実施

西鉄旅行㈱ スポーツ関連ビジネスの推進・拡大
スポーツ遠征手配取扱拡大に向けた東北エリアでの事業拡大(仙台営業所の開設)
サッカー等の海外対戦国チームの受け入れ業務拡大
九州・関西発の着地型応援ツアー等のスポーツツーリズムの強化

重点施策(流通・外食)

スーパーマーケット

㈱西鉄ストア 利益拡大

新規店舗出店・不採算店舗の収支改善

惣菜事業の更なる強化
コスト比較に基づく製造工程の一部外部委託、製造拠点の集約による生産性の大幅な向上

生産性の更なる向上
物流拠点、配送時間の抜本的な見直し
セルフレジによる効率的な運営

生活雑貨販売

㈱インキューブ西鉄 収益拡大

新規店舗出店・既存店リニューアル
データドリブンな店舗運営

外食

天神福食堂における自治体や企業とのコラボ

自治体や企業と連携し、食を通した各地域の魅力発信ができる空間としての利活用を図り、地域の取り組みや活動支援、魅力発信のサポートを実施


重点施策(物流)

NNR GSP Inc.法人設立によるGSP拡充推進や重点品目毎の販売戦略等による取扱重量拡大、サービスの高品質化・高付加価値化を通じた業界内でのプレゼンス向上

海外ネットワークの拡充やグローバル戦略を通じて、濃やかなロジスティクス事業を展開

取扱重量の拡大
・Global Sales & Procurement(GSP)の拡充
グローバルアカウントへの機動的入札対応による取扱重量拡大
・重点品目の選択と集中

海外ネットワークの拡充
・市場拡大を目的としたM&Aの推進
・各駐在員事務所の現地法人への格上げおよび新たな拠点進出の検討・推進

グローバル戦略
・北中米現地法人間の連携強化(クロスボーダー構想)
域内で活発化する自動車関連ビジネス、半導体ビジネスの更なる取り込み
・ヨーロッパ現地法人間の連携強化
ヨーロッパ域内トラックビジネスの取り扱いを拡大し、新たな収益基盤を確立
・中華圏現地法人間の連携深化(One China構想)
入札参加の窓口を一元化し、中華圏全体でのセールス・仕入体制を強化
・アジア現地法人間の連携強化(One ASEAN+1構想)
域内(ASEAN+インド)での連携強化による新たなビジネス機会を創出
・フィリピンでのオペレーションセンターの規模拡大

専門性の高度化によるサポート体制の強化
・AOG(Aircraft On Ground:航空機部品の緊急輸送)貨物取扱体制の構築
・半導体専業課の拡充、自動車専業課の設置

重点施策(ビジネスサポート)

資源エネルギー関連

ASR(廃自動車破砕残渣)再資源化事業の強化および再生エネルギー事業の拡大

西鉄メタル㈱ ASR再資源化施設更新による効率性・収益性の向上
最新の破砕・選別技術を備えたASR再資源化施設への更新

自治体との連携による再エネ電源開発事業の拡大
熊本県等での太陽光発電所開発の着実な推進
沿線自治体向けの脱炭素コンサル事業の拡大
開発適地の減少に対応した新たな電源開発手法の検討

蓄電池関連事業の拡大
太陽光発電所への蓄電池併設や、系統用蓄電所の増設

建設関連

西鉄建設㈱ 総合建設会社としての体制構築による受注規模・事業領域の拡大

大規模物件および非住宅木造建築物受注に向けた取り組み強化

合同研修会等の諸施策を通じた協力会社との良好なパートナーシップの構築

ITサービス関連

㈱ニモカ 交通系ICカード(nimoca)の利便性向上、新規事業による収益獲得

窓口機能のアプリ化

決済関連新規事業による収益獲得

農業関連

農業用資材卸売業を中核とした事業拡大

ヒノマルグループにおける収益基盤の拡充

九州農業の持続的な発展を支えるビジネスモデルの構築

重点施策(デジタル・データ活用、安全あんしん・ガバナンス強化)

DX・AXの推進
・バス自動運転実用化に向けた取り組み推進
福岡空港における国内線・国際線連絡バスの自動運転化に向けた取り組み推進
・バスにおけるキャッシュレス決済利用促進
・駅遠隔監視制御システム導入
・「生産性革新プロジェクト」の新設・推進

安全対策の強化
・実働訓練による対応力向上
・事故防止・安全性向上への取り組み
バスにおける新車の一部車両にAIカメラ導入
駅施設の点検体制強化

ガバナンスの強化
・統合リスクマネジメント(ERM)の推進
・IR活動の推進
スモールミーティング・施設見学会等を通じた投資家との建設的な対話の強化

重点施策(人的資本経営)

サクセッションプランの推進、人財ポートフォリオ策定、高度専門人財の確保により、戦略実現に必要な人財を確保・育成

自律的成長とキャリア形成の促進、個々が能力を発揮できる環境整備による人財と組織のパフォーマンス最大化

人財の確保・最適配置
・サクセッションプラン(後継者育成計画)の推進
競争力強化に向け、将来の中核人財を特定し、長期的な育成計画を推進
・人財ポートフォリオの策定
求める人財の要件(スキル・知見)、必要人数、配置先、確保時期を明確化
・高度専門人財の確保
職務難易度・スキルの外部市場価値等に応じて専門人財を厚遇できる仕組みを整備

研修の見直しによる自律的成長・キャリア形成の促進

社内公募・グループ内兼業制度の導入

DE&Iの浸透・定着

※ 第17次中期経営計画(2026年度~2028年度)の詳細は当社グループホームページでご確認ください。
https://www.nishitetsu.co.jp/ja/ir/management/managementplan.html
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と企業価値向上のため、収益力を高めると共に、経営の効率化を図ってまいります。達成状況を判断するための客観的な指標として、収益性に関する指標である「連結事業利益」、「連結EBITDA」、資本効率に関する指標である「ROE」、財務健全性に関する指標である「NET有利子負債/EBITDA倍率」、「D/Eレシオ」を採用しております。
第17次中期経営計画(2026年度~2028年度)における経営数値目標(連結)は次のとおりです。
2029年3月期計画
連結事業利益(注)1400億円
連結EBITDA (注)2700億円
ROE(自己資本当期純利益率)9%程度
NET有利子負債/EBITDA倍率6倍程度
D/Eレシオ1.4倍程度

(注) 1 連結事業利益=連結営業利益+事業投資に伴う受取配当金・持分法投資損益等
2 連結EBITDA=連結事業利益+減価償却費+のれん償却費(営業費)
また、第17次中期経営計画において、事業戦略の着実な推進とサステナブル経営における重要課題の解決の一体
的な推進を図るために、非財務指標(39項目)を設定しました。

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