有価証券報告書-第63期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 15:16
【資料】
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【項目】
138項目
(4) 【役員の報酬等】
① 報酬委員会による取締役及び執行役の報酬等の額の決定に関する方針と決定プロセス
当社グループでは、役員の報酬等をコーポレートガバナンスを支える重要な柱の一つと位置づけ、当社の役員が経営理念を土台として、ブランドスローガン「未知に挑む。」とビジネスコンセプト「LOGISTEED」に邁進できるよう、以下の報酬ガバナンスを整備したうえで、役員報酬制度の基本方針に沿って報酬プログラムを運用し、役員の報酬等を審議・決定している。
a.報酬ガバナンス
ⅰ.報酬委員会に関する運営方針等
当社は、指名委員会等設置会社に関する会社法の規定を遵守し、報酬委員会に関して以下のように定めている。
<報酬委員会の役割>報酬委員会は、取締役及び執行役の個別の報酬等の内容の決定を役割とし、次に掲げる権限を有する。
・取締役及び執行役が受ける個人別の報酬等の内容の決定に係る方針の決定
・報酬委員会の委員のうち、取締役会を招集することができる者の選定
・報酬委員会の委員のうち、報酬委員会の職務の執行の状況を取締役会に報告する者の選定
・株主総会で報酬委員会に決定を委任された事項の決定
・前各号のほか法令に定める事項
<報酬委員会の規模と構成>報酬委員会の委員は、取締役の中から取締役会の決議によって選定された委員3名以上で組織し、委員の過半数は、社外取締役とする。
<報酬委員会の運営>・報酬を決定するにあたり、他社の支給水準を勘案のうえ、当社役員に求められる能力及び責任に見合った報酬の水準を決定する。
・報酬委員会は、前項の方針について定期的にレビューを行う。
なお、当社の報酬委員会は、当社の取締役及び執行役の個別の報酬等の内容の決定にあたり、当社の役員報酬制度の基本方針や報酬体系、業績連動報酬の仕組み、個人別支給額等について、外部の報酬コンサルタントからの情報収集並びに助言等も活用しつつ、役員報酬に関する近時の整備の状況、議論の動向、他社の制度等の客観的かつ必要十分な情報に基づき、適切に審議を行っている。外部の報酬コンサルタントとして、ウイリス・タワーズワトソン(タワーズワトソン㈱)を起用している。
ⅱ.最近事業年度に係る報酬額の決定過程における報酬委員会の活動状況
最近事業年度に係る報酬額の決定過程における報酬委員会の構成は以下のとおりである。
委員3名(社外2名、社内1名)
報酬委員長(社外) 泉本取締役
報酬委員(社外) 西島取締役
報酬委員(社内) 中谷取締役 兼 代表執行役会長(CEO)
最近事業年度に係る報酬額の決定過程における報酬委員会の審議は、2020年12月、2021年3月、6月、2022年5月の計4回開催し、各回に委員長・委員の全員が出席、出席率は100%だった。
取締役の当事業年度に係る報酬等の額については、2020年12月22日に報酬委員会で定めた決定方針に基づき、2021年6月22日に取締役が受ける個人別の報酬等の内容を報酬委員会で審議し決定している。
執行役の当事業年度に係る報酬等の額については、2020年12月22日に報酬委員会で定めた決定方針に基づき、2021年3月26日に執行役が受ける個人別の報酬等の内容、2022年5月19日に執行役が受ける個人別の業績連動報酬を、それぞれ報酬委員会で審議し決定している。
b.報酬プログラム
ⅰ.役員報酬制度の基本方針
当社の役員報酬制度の基本方針は以下のとおりである。
・経営理念「日立物流グループは 広く未来をみつめ 人と自然を大切にし 良質なサービスを通じて 豊かな社会づくりに貢献します」を常に心がけ、当社の社会的位置づけに対する評価を反映できるものであること
・ビジネスコンセプト「LOGISTEED」のもと、スマートロジスティクス、協創戦略を基軸とした「新たな価値」の創出と「非連続な成長」の実現に向けた積極的なチャレンジに対する評価を反映できるものであること
・当社の持続的発展と長期的な企業価値向上に貢献できる優秀な経営者人財に対して、適切に報奨することのできるものであること
・業績目標の達成を動機づけるとともに、その達成の潜在的リスクを反映させ、当社の持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するものであること
・企業価値の向上や全社戦略の目標達成に向けて、経営陣が一丸となって邁進することを後押しできるものであること
ⅱ.業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬の支給割合の決定に関する方針
当社は、役員報酬制度の基本方針に則り、業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬の支給割合を決定している。
当社の業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬の支給割合の決定に際しては、外部の報酬コンサルタントが運営する「経営者報酬データベース」に基づき、当社の事業規模に類似する企業を同輩企業として報酬ベンチマークを毎年行い、報酬水準の妥当性を検証のうえ、当社役員に求められる能力及び責任等に見合った役職毎の報酬等の水準を設定している。
<取締役報酬等>取締役の報酬等は、金銭の固定報酬である基本報酬のみで構成されている。基本報酬は常勤・非常勤の別、役職を反映し、報酬委員会での審議により決定し、毎月一定の時期に支給する。なお、執行役を兼務する取締役には、取締役としての報酬等は支給していない。
<執行役報酬等>執行役の報酬等は、基本報酬及び業績連動報酬(年次賞与及び株式報酬)で構成されており、役位に応じた基準額に査定を反映して決定し、基本報酬は毎月一定の時期に、年次賞与は毎年一度一定の時期、株式報酬は三事業年度の評価期間終了後一定の時期にそれぞれ支給する。
<報酬構成・支給形式の全体像>
執行役報酬等の種類別報酬割合については、役位上位者の業績連動報酬の割合を高めることで経営責任の重さを役位ごとの報酬構成割合に反映している。基本報酬を100とした場合の役位毎の各報酬構成要素の割合は下表のとおりとなる。なお、業績連動報酬の割合は、業績目標を100%達成した場合の標準額を用いて算出した値となる。
<各報酬構成要素の割合>
基本報酬業績連動報酬基本報酬:業績連動報酬
年次賞与株式報酬
社長1005050100:100
副社長10040~4140~41100:80~82
専務・常務1003030100:60
執行役10034~3814~16100:48~54
業績連動報酬の割合は、業績目標を達成した場合の標準額を用いて算出した値。

ⅲ.業績連動報酬に係る指標(KPI)、KPIの選定理由、支給額の決定方法
<年次賞与>年次賞与は、単年度の連結業績・部門ミッション・個人ミッションの目標達成度合いに連動する。評価指標及び選定理由は以下のとおりとなる。業績評価にあたっては、目標に対する達成度に応じて算出される支給率に基づき、期末後の報酬委員会において支給額の算定及び評価を行い、決定する。なお、連結業績連動部分、部門ミッション連動部分、個人ミッション連動部分のそれぞれの評価に基づく支給率は0~2倍で独立変動し、役位毎に定められた年次賞与の単年度標準額の0~200%の範囲で変動する。
<年次賞与の構成、評価指標>
構成対象評価指標選定理由
連結業績全執行役単年度の売上収益企業規模を表す財務指標であること
単年度の調整後営業利益(*1)企業活動の本業の成果を表す財務指標であること
部門ミッションプロフィット部門を
管掌とする執行役
管掌部門の単年度の売上収益
管掌部門の単年度の調整後営業利益(*1)
個人ミッション全執行役財務業績に表れない指標等当社の社会的位置づけの向上等、財務業績に表れない経営努力を評価するもの
*1「調整後営業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費」により算出

<株式報酬>株式報酬は、執行役の報酬と当社の業績及び株式価値との連動性をより明確にし、執行役が株価の変動による利益・リスクを株主の皆様と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的としている。2021年度から2023年度までの連続する3事業年度を評価期間とし、役位毎に定められる基準額を信託内の評価期間開始前の当社株価(3月の各日終値の平均)で除して算定される基準ポイント(1ポイント=1株)として付与し、評価期間終了後に業績評価を反映した株式交付率を基準ポイントに乗じた当社の普通株式(以下「会社株式」という。)が交付される。なお、会社株式の交付にあたり、会社株式のうち、約50%は、納税資金確保のために株式市場において売却のうえ、その売却代金が給付される。
<評価期間>
業績評価指標は、当社TSRの対TOPIX成長率及び連結ROE(親会社株主持分当期利益率)を用いている。当社TSRの対TOPIX成長率は当社の企業価値創造の巧拙に対する直接的な評価が表れる指標であること、連結ROEは当社中期経営計画(LOGISTEED2021)においても2021年度10%超の目標を掲げる経営戦略上の重要な指標のひとつであることが選定理由である。なお、連結ROEに連動させる部分は、恒常的に効率性の維持・向上を志向する当社の企業経営のあり方を評価できるよう、3事業年度の平均値を用いる。また、両指標の評価ウエイトは、全役位一律で当社TSRの対TOPIX成長率:連結ROE=50:50としている。
業績評価にあたっては、評価期間の期初に報酬委員会において定められた各指標のインセンティブカーブに基づき、評価期間の3事業年度が経過したのち、達成した実績に応じて算出される株式交付率をもとに基に、報酬委員会において評価を行い、決定する。なお、評価期間中に退任した執行役については、その在任期間中において算出された株式交付率をもとに会社株式交付及び代金の給付を行うこととしている。また、執行役のうち、国内非居住者に対しては、会社株式に代わり、金銭が交付される。
当社TSRの対TOPIX成長率の算定方法及びインセンティブカーブ
当社TSRの対TOPIX成長率の算定方法及びインセンティブカーブは以下のとおりである。
当社TSRの対TOPIX成長率(%)
=当社TSR(%)*2 ÷ TOPIX成長率(%)*3 (1%未満の端数が生じる場合、小数第1位を四捨五入)
*2 当社TSR(%)=(B+C)÷ A(1%未満の端数が生じる場合、小数第1位を四捨五入)
A:2021年5月各日の東京証券取引所における会社株式の終値平均値(1円未満切り捨て)
B:2024年5月各日の東京証券取引所における会社株式の終値平均値(1円未満切り捨て)
C:2021年度の期首から2022年度の期末までの間における会社株式1株当たりの配当金の総額値
*3 TOPIX成長率(%)=E ÷ D(1%未満の端数が生じる場合、小数第1位を四捨五入)
D:2021年5月各日の東京証券取引所におけるTOPIXの終値平均値(1ポイント未満切り捨て)
E:2024年5月各日の東京証券取引所におけるTOPIXの終値平均値(1ポイント未満切り捨て)
なお、算定に用いるTOPIXは、評価期間の期初と期末における整合性を確保するため、2022年4月に実施された市場区分の見直し前の基準を適用する。

当社TSRの対TOPIX成長率120%達成時には株式報酬の標準額が支給される株式交付率は100%となる。また、当社TSRの対TOPIX成長率が180%以上のときには株式交付率は上限の150%となり、50%未満のときには株式交付率は0%となる。
連結ROEのインセンティブカーブ(2021~2023年度連結ROEの平均値)
連結ROEのインセンティブカーブは以下のとおりである。

連結ROE(3年間の平均値)12%達成時には株式報酬の標準額が支給される株式交付率は100%となる。また、連結ROE(3年間の平均値)が12%を上回るときには株式交付率は上限の150%となり、8%以下のときには株式交付率は0%となる。
② 取締役及び執行役の報酬等の額
a.報酬実績と業績との関連性
ⅰ.役員区分ごとの報酬総額及び報酬の種類別総額開示
役員区分報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円)対象となる
役員の員数
(名)
固定報酬業績連動報酬左記のうち、非金銭報酬等
取締役
(社外取締役を除く)
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執行役79950429510819
社外取締役109109--7

(注) 1 取締役の報酬等の支給人員には、執行役を兼務する取締役2名を含まない。
2 2021年4月1日から当事業年度末までに在任した取締役及び執行役の当事業年度に係る報酬委員会決議
に基づく報酬を記載している。
3 執行役に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、業績連動報酬108百万円である。
ⅱ.役員ごとの連結報酬等の総額等
氏名連結報酬等の総額(百万円)役員区分会社区分連結報酬等の種類別の額(百万円)
固定報酬業績連動報酬左記のうち、非金銭報酬等
中谷 康夫107執行役提出会社565122

(注) 1 連結報酬等の総額が1億円以上である者に限定して記載している。
2 中谷 康夫に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、業績連動報酬22百万円である。
ⅲ.最近事業年度の業績連動報酬に係る指標(KPI)の目標及び実績
最近事業年度の業績連動報酬は、年次賞与及び株式報酬で構成されているが、株式報酬は2021年度~2023
年度の業績を評価するため、2021年度においては年次賞与のみの支給となる。
年次賞与の連結業績指標である売上収益及び調整後営業利益の2021年度目標値に対する達成度をもとに、部門ミッション、個人ミッションの達成度合いを総合的に勘案したうえ、報酬委員会で年次賞与の個別支給
額を審議し決定した。なお、売上収益及び調整後営業利益の2021年度の目標及び実績は以下のとおりである。
目標(当初計画) 売上収益:6,900億円(前期比6%増)
調整後営業利益:375億円(前期比2%増)
実績 売上収益:7,436億12百万円(前期比14%増)
調整後営業利益:386億96百万円(前期比5%増)
b.最近事業年度に係る個人別の取締役及び執行役の報酬等の内容が取締役及び執行役の報酬等の額の決定に関す
る方針に沿うものであると報酬委員会が判断した理由
取締役及び執行役の個人別の報酬等の額の決定にあたっては、報酬委員会が決定方針との整合性も含め総合
的に検討を行っており、決定方針に沿うものであると判断している。