有価証券報告書-第98期(2023/04/01-2024/03/31)
(3) 戦略
上記リスクと機会の認識のもと、当社は2024年3月に発表した中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U」において、「人的資本戦略」「サステナブルシッピング戦略」「ガバナンス強化」「DX戦略」の4つの戦略を策定しました。クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在を目指し、ステークホルダーと協働して変革を続け、企業価値の更なる向上を図ってまいります。
人的資本戦略
サステナブルシッピング戦略
ガバナンス強化
DX戦略
a. 気候変動による影響の分析
気候変動という長期的かつ不確実性の高い事象に関するリスク・機会を特定し、それらが当社グループにおよぼし得る影響について主観を排除した議論を行うために、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を行いました。
シナリオ分析においては、不確実な将来に対してグループ全体のレジリエンスを確認するため、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定目標の達成を見据えた「2℃未満シナリオ」と、長期目標でもある2050年CO2排出ネットゼロ/カーボンニュートラルの達成を想定した「1.5℃シナリオ」、および世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合を想定した「3℃シナリオ」について検討しております。
各シナリオで想定したそれぞれの将来の事業環境の変化、および特定したリスクと機会は次のとおりです。
なお、上記シナリオ分析を踏まえ、新たに策定した中期経営計画では、新燃料船の整備へ1,650億円の投資を計画しています。この投資は、既存船のリプレースやメタノールDF船など新燃料船への投資、バイオ燃料の安定確保などを含みます。
また、詳細は当社ホームページにて開示しております。
https://www.nsuship.co.jp/sustainability/environment/tcfd/
b. 人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針
当社では、持続可能な社会の実現に貢献するためには、多様な個性を活かすとともに、人材へ積極的に投資することにより、さまざまな事業環境の変化に対応し、誇りや意欲を持ちながら会社の成長を支える人材を育成することが重要であると考えております。なお、以下は当社単体の方針です。
人材の確保・育成方針
当社は、人材を最も貴重な資産であり、競争力の源泉との認識の下、新たな事業戦略の実行に必要な人材を育て活かすために、2024年度から新人事制度を導入しました。
新人事制度では人材確保の観点から、女性・シニアの活躍を実現すべく、職制統合および定年延長を実施しました。また、事業環境の変化に対応し、中長期的な事業戦略を担う人材への成長を促す評価制度とすべく、アサインアンドコミットメント制度や評価力育成会議を導入し、社員の挑戦や貢献に対する昇格やインセンティブの連動を強化しました。さらに職制の複線化を導入し、社員が自分の能力や適性に応じて、管理職や専門職として活躍できるキャリアパスを整備しました。
新人事制度に連動し、キャリア形成のための教育・研修制度拡充や、事業戦略実現のための要員・採用施策についても取り組んでいます。人材育成・研修体系を整備し、人的資本の価値最大化を目指します。
また、当社の重要経営課題の一つである安全運航の徹底のためには、安定的な船員を確保し、知識と経験に裏打ちされた実務能力と高い安全意識を持った船員への育成が不可欠と考えています。
急速に少子化が進む国内では、今後海技者人材の不足が進むと予測されるため、事前の備えとして外国人船員の活用、船員の確保強化(採用)に取り組んでいます。
外国人船員の活用については、東京本社での海技者としての勤務、インストラクター業務を含む各国研修部門への配置など陸上での海技者ニーズの増加を見込み進めています。また船員の確保強化は、船員供給ソースに応じて、他の海事関連校など複数校への採用拡大に加え、説明会実施による当社への理解促進、事前面接や試験を通じた人柄をみた選定など強化を継続しています。
船員の育成においては、船員の担う業務は多岐に渡り、かつ運航に関する経験が必要という観点から、知識については、職位別、技能別に必要な教育・訓練を実施すべくカリキュラムの整理・見直しを継続しています。
また経験については、危険を察知する気づきやその対処方法を習得することが必要なため、実際に現場で起きた事例を利用したインハウスセミナーの実施など乗船中の教育の実施、そして昇格時に必要なレベルに達しているかをアセスメントにより確認するといった方法を継続しています。
船員研修チームでは、毎年フィリピン・ベトナムの船員研修部門と連携し、研修・訓練内容のレビューや新規項目の検討を行いながら育成方法を改善するとともに、現場の安全意識を高いレベルで維持・向上させる対策実施を継続しています。
多様性の確保を含む社内環境整備方針
人材の多様性の確保及び社内環境の整備について、以下のような具体的な取り組みの継続・強化を図ります。
女性の活躍推進
働き方改革
ハラスメント防止
健康の推進
上記リスクと機会の認識のもと、当社は2024年3月に発表した中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U」において、「人的資本戦略」「サステナブルシッピング戦略」「ガバナンス強化」「DX戦略」の4つの戦略を策定しました。クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在を目指し、ステークホルダーと協働して変革を続け、企業価値の更なる向上を図ってまいります。
人的資本戦略
| 事業環境の 変化 | ・新たな市場への挑戦、脱炭素化に向けた技術革新など、中長期的な事業戦略を担える人材の 確保・育成が必要 ・サプライチェーン全体での人権リスクの防止・軽減など「ビジネスと人権」への関心の高まり | |
| 計画 | ・グローバルな海運会社として、人権意識や環境問題への取り組みが企業価値を向上 ・戦略業務に専心できる職場環境の整備によるエンゲージメント向上 | |
| 戦略 | 人財を育て、活かす | ・人材育成・研修体系を整備し人的資本の価値最大化を目指す ・挑戦・成果を評価する人事制度の運用 ・キャリア形成のための教育・研修制度拡充 ・事業戦略実現のための要員・採用施策 ・女性・シニアの活躍推進 |
| 社会的責任を果たす | ・人権DDの推進、Well-beingの実現により人権を尊重する意識の向上を図る ・サプライチェーン全体における人権尊重を徹底し、人権侵害の予防・軽減・救済に取り組む ・働きやすさの向上と健康経営の推進 | |
サステナブルシッピング戦略
| 事業環境の 変化 | ・コロナ禍により船員の交代難が発生し、長期乗船など労働環境が悪化 ・「ビジネスと人権」意識の高まりとともに、船員のWell-being向上などが求められる ・陸から海へのモーダルシフトが進む内航海運業界でも船員不足は深刻 | |
| 計画 | ・「人権DDの対象範囲の拡大」「船員のWell-beingの最大化」「エンゲージメントの向上」に より、船員の判断力、創造力を最大限に発揮できる職場環境を実現 ・職場環境の整備により、優秀な船員を確保し、競争力の源泉とする | |
| 戦略 | ・安全運航の徹底のため、国内外の優秀な船員と海技士の確保・育成に努め重大事故・災害ゼロへ ・新燃料船への配乗・液体貨物輸送への展開など成長戦略を支える有資格船員の育成 | |
| 継続的な次世代船員の確保 | 新卒採用の継続、採用先の多様化 | |
| 船員の教育・訓練システム強化 | 育成プランの充実・明確化、システム連携の高度化 | |
| 船舶管理機能強化 | 監督育成の強化、IT/DXの積極的な導入 | |
| 2050年カーボンニュートラルの実現 | 2030年GHG総排出量削減目標達成に向けた環境ロードマップの実行・次世代燃料の導入検討 | |
| 運航効率追求 | 省エネ装置導入、超減速の深度化 | |
ガバナンス強化
| 事業環境の 変化 | ・海運業界を取り巻く事業環境の変化による経営リスクの増大と、リスクマネジメント強化の 必要性が高まる ・多様なステークホルダーに対する社会的責任を果たすためコーポレート・ガバナンス強化が 求められる | |
| 計画 | ・環境変化に対する迅速な意思決定の実現と、全社的なモニタリング機能の強化を図る ・ステークホルダーとの対話を通じて中長期的な企業価値の向上を目指す | |
| 戦略 | 中期経営計画の進捗状況を継続的にモニタリングすることで、環境変化への対応や、成長戦略 など長期的な課題に関する議論を充実させることにより取締役会の実効性向上を図る | |
| 取締役会の実効性 | 取締役会の実効性評価アンケートを通じた運営の改善 | |
| コンプライアンス 体制強化 | 社内教育の充実、取り組み強化 | |
| リスク管理 | 各組織が自律的に対応できるリスクカルチャーの醸成 | |
| 情報管理 | 情報管理の徹底、情報セキュリティの強化による安全性向上 | |
| 情報開示 | 公平かつ迅速な情報開示の強化 | |
DX戦略
| 事業環境の 変化 | ・環境対応による海運業界の構造変化を踏まえた価値創造モデルの構築 ・脱炭素化や「ビジネスと人権」を意識した顧客ニーズに応える船舶管理の高度化 ・多様なステークホルダーの立場を踏まえた公正かつ迅速な意思決定 | |
| 計画 | 人的資本戦略 | DX推進により社員が高度な戦略業務に専心できる職場環境を整備する |
| サステナブル シッピング戦略 | 船舶DXを推進し事故・災害の予防保全、船舶管理の高度化、 運航効率改善 | |
| ガバナンス強化 | DX推進によりモニタリング効率化を含むガバナンスの強化を図る | |
| 戦略 | サイバーセキュリティの強化 | |
| 船舶DX | 予防保全装置、作業支援ロボ、運航支援システム | |
| IT人材育成 | IT研修の拡充、デジタルコア人材の育成 | |
| 基幹システム投資 | 新基幹システム検討、営業支援システム、会計システム | |
| 業務高度化 | 業務高度化投資、人事DXの活用、DXによる業務の効率化 | |
| デジタル教育の加速 | ||
a. 気候変動による影響の分析
気候変動という長期的かつ不確実性の高い事象に関するリスク・機会を特定し、それらが当社グループにおよぼし得る影響について主観を排除した議論を行うために、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を行いました。
シナリオ分析においては、不確実な将来に対してグループ全体のレジリエンスを確認するため、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定目標の達成を見据えた「2℃未満シナリオ」と、長期目標でもある2050年CO2排出ネットゼロ/カーボンニュートラルの達成を想定した「1.5℃シナリオ」、および世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合を想定した「3℃シナリオ」について検討しております。
各シナリオで想定したそれぞれの将来の事業環境の変化、および特定したリスクと機会は次のとおりです。
なお、上記シナリオ分析を踏まえ、新たに策定した中期経営計画では、新燃料船の整備へ1,650億円の投資を計画しています。この投資は、既存船のリプレースやメタノールDF船など新燃料船への投資、バイオ燃料の安定確保などを含みます。また、詳細は当社ホームページにて開示しております。
https://www.nsuship.co.jp/sustainability/environment/tcfd/
b. 人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針
当社では、持続可能な社会の実現に貢献するためには、多様な個性を活かすとともに、人材へ積極的に投資することにより、さまざまな事業環境の変化に対応し、誇りや意欲を持ちながら会社の成長を支える人材を育成することが重要であると考えております。なお、以下は当社単体の方針です。
人材の確保・育成方針
当社は、人材を最も貴重な資産であり、競争力の源泉との認識の下、新たな事業戦略の実行に必要な人材を育て活かすために、2024年度から新人事制度を導入しました。
新人事制度では人材確保の観点から、女性・シニアの活躍を実現すべく、職制統合および定年延長を実施しました。また、事業環境の変化に対応し、中長期的な事業戦略を担う人材への成長を促す評価制度とすべく、アサインアンドコミットメント制度や評価力育成会議を導入し、社員の挑戦や貢献に対する昇格やインセンティブの連動を強化しました。さらに職制の複線化を導入し、社員が自分の能力や適性に応じて、管理職や専門職として活躍できるキャリアパスを整備しました。
新人事制度に連動し、キャリア形成のための教育・研修制度拡充や、事業戦略実現のための要員・採用施策についても取り組んでいます。人材育成・研修体系を整備し、人的資本の価値最大化を目指します。
また、当社の重要経営課題の一つである安全運航の徹底のためには、安定的な船員を確保し、知識と経験に裏打ちされた実務能力と高い安全意識を持った船員への育成が不可欠と考えています。
急速に少子化が進む国内では、今後海技者人材の不足が進むと予測されるため、事前の備えとして外国人船員の活用、船員の確保強化(採用)に取り組んでいます。
外国人船員の活用については、東京本社での海技者としての勤務、インストラクター業務を含む各国研修部門への配置など陸上での海技者ニーズの増加を見込み進めています。また船員の確保強化は、船員供給ソースに応じて、他の海事関連校など複数校への採用拡大に加え、説明会実施による当社への理解促進、事前面接や試験を通じた人柄をみた選定など強化を継続しています。
船員の育成においては、船員の担う業務は多岐に渡り、かつ運航に関する経験が必要という観点から、知識については、職位別、技能別に必要な教育・訓練を実施すべくカリキュラムの整理・見直しを継続しています。
また経験については、危険を察知する気づきやその対処方法を習得することが必要なため、実際に現場で起きた事例を利用したインハウスセミナーの実施など乗船中の教育の実施、そして昇格時に必要なレベルに達しているかをアセスメントにより確認するといった方法を継続しています。
船員研修チームでは、毎年フィリピン・ベトナムの船員研修部門と連携し、研修・訓練内容のレビューや新規項目の検討を行いながら育成方法を改善するとともに、現場の安全意識を高いレベルで維持・向上させる対策実施を継続しています。
多様性の確保を含む社内環境整備方針
人材の多様性の確保及び社内環境の整備について、以下のような具体的な取り組みの継続・強化を図ります。
女性の活躍推進
| 女性採用の拡大 | ・キャリア採用を含め女性の採用拡大に一層取り組む ・準総合職、一般職の総合職への統合実施 |
| 離職防止対策 | ・ライフイベントによる離職を防止するための制度整備 ・育児介護休業制度やテレワーク(自宅以外も含む)の拡充 ・女性のキャリア形成を支援する研修、セミナーの実施 |
| 管理職登用に資する配置、育成施策 | ・ライフイベントを見越した研修の早期実施(海外研修など) |
| 管理職への教育、職場理解の醸成 | ・管理職教育を通じ、職場全体に女性が活躍しやすい風土を醸成 |
働き方改革
| 働き方 | ・会社において「長時間労働」することを前提とした働き方からの脱却 ・部下の長時間労働を前提としない組織マネジメントを管理職が追求 ・長時間労働を良しとする考課制度から成果重視の考課制度への改革 ・業務改革、DX推進の加速 |
| 休み方 | ・年次有給休暇と季節休暇を合わせて社員の平均取得日数を月1日以上とすることを目標に休暇計画等の施策を強化・継続 ・男性社員の育児休業取得促進。配偶者が出産した男性社員全員に推奨する |
ハラスメント防止
| ハラスメント防止 | ・内部通報窓口の制度拡充、外部窓口の起用 ・内部統制・コンプライアンス周知月間を継続し、社員への教育・啓蒙を行う ・e-ラーニングの利用継続 ・LGBTQへの適切な理解と受容について、階層別研修で教育を行う |
健康の推進
| 健康診断 | ・健康診断未受診者およびその上長に対し受診義務があることを通知し、受診率の引き上げを強化 |
| がん | ・がんの早期発見・早期治療を図るよう、会社が定める胃がん検診、大腸がん検診の受診を強化 |
| 脳心疾患 | ・生活習慣の改善を図る特定保健指導を強化 |
| メンタル疾患 | ・早期発見・早期対応の促進のため、本人・上司などから産業医および相談窓口へ相談する機会があることを全社員に周知・浸透を図る ・メンタルヘルスチェックの継続 |