有価証券報告書-第154期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/29 14:19
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【項目】
120項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国の経済は、政府による経済政策や日本銀行による金融緩和政策により、円安と株高を背景とした企業収益や雇用環境に改善が見られ、緩やかな回復基調が窺えましたが、一方、円安による輸入品価格の上昇や中国経済の減速など景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
旅客船業界におきましては、これまで高止まりを続けていた燃料油価格が原油安によって値下がりに転じてきてはいるものの、原油価格は中東情勢などの地政学リスクの影響を受けやすいこと、また、海事産業に従事する人材の確保・育成等に課題があること及び離島における少子高齢化などの影響もあり、依然として懸念材料が山積しており、「地方創生」の効果を実感できない状況となりました。
このような状況のもと当社は、①安全運航の徹底、②営業の強化とお客様サービスの向上、③佐渡観光の振興と地元との共存共栄、④中長期的に必要な経営施策の検討と実行の4項目を重点課題とし、当連結会計年度の輸送量目標を旅客輸送人員で160万人、自動車航送換算台数は23万台、貨物輸送トン数を17万3千トンと見込み、目標達成に向けて積極的に事業を展開いたしました。
1月・2月は比較的穏やかな気象・海象で安定した運航状況でしたが、早春の観光シーズンを迎える3月中旬に例年にない時化模様となり、欠航による影響は前年同期より大きくなりました。また、前年同期は平成26年4月からの消費税増税前の駆け込み需要により、貨物及びトラック航送が堅調であったことから、その反動が顕著に見られました。
4月21日には、前年の「ときわ丸」に続く新造船「あかね」(双胴船)が直江津航路に就航し、従前より航海時間が約1時間短縮されたことや、奇数日・偶数日による1.5往復ダイヤが2往復固定ダイヤとなるなど、利用客の利便性が向上しました。3月14日に開業した北陸新幹線との相乗効果もあり、長野・北陸・中京・関西地区からの誘致に成果が見られました。その反面、首都圏からは富山県・石川県へのアクセス向上による旅行客増加等により、新潟航路及び寺泊航路が大きく減少しました。
7月以降については、9月にシルバーウイークがあったこと、各種割引施策による乗用車航送に成果が見られたこと、台風等による欠航が少なかったことなどにより、旅客輸送人員及び自動車航送換算台数は前年同期を上回りました。貨物輸送については、佐渡島内の人口減少に伴う生活物資輸送や公共工事の減少等に連動し、前年同期を下回る状況が継続しました。
この結果、1月から12月の全航路の輸送実績は、旅客輸送人員1,557,189人(前年同期比1.4%減、22,824人の減少)、自動車航送換算台数21万2,702台(前年同期比2.9%減、6,374台の減少)、貨物輸送トン数168,800トン(前年同期比8.2%減、15,024トンの減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は、11,706,889千円(前年同期比2.4%減、291,005千円の減少)、連結営業利益は308,686千円(前年同期比582.9%増、263,484千円の増加)、連結経常利益は185,717千円(前年同期は49,247千円の損失)、当期純利益は482,866千円(前年同期は287,847千円の損失)となりました。
報告セグメントの業績は以下の通りであります。
① 海運
貨物部門においては、佐渡島内の人口減少に伴う生活物資輸送や公共工事の減少等に連動し、輸送量、売上高ともに減少しました。一方、旅客・航送部門においては、一部で新造高速カーフェリー就航効果や各種割引施策による乗用車航送で成果を挙げることができましたが、全体的には減少傾向に歯止めをかけることができず、輸送量、売上高ともに前年実績を下回りました。
費用面においては、原油価格の下落による船舶燃料費の減少が大きく影響し、通年では前年実績を下回りました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,853,593千円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益(営業利益)は232,162千円(前年同期は36,358千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
② 一般貨物自動車運送
当連結会計年度においては、公共工事の減少や、前年第1四半期累計期間における消費税増税による駆け込み需要の反動等があったものの、一方、費用面では原油価格の下落による燃料費の減少がありました。その結果、売上高は前年よりも減少しましたが、セグメント利益(営業利益)は増加しました。
当連結会計年度の売上高は1,654,463千円(前年同期比7.0%減)、セグメント利益(営業利益)は23,459千円(前年同期比124.7%増)となりました。
③ 売店・飲食
当連結会計年度においては、観光客数の減少に伴い売店部門の売上高は減少しました。また、飲食部門においても不振であったことから、セグメント全体の売上高も減少しました。
当連結会計年度の売上高は1,201,631千円(前年同期比4.1%減)、セグメント損失(営業損失)は6,431千円(前年同期は8,413千円のセグメント利益(営業利益))となりました。
④ 観光
当連結会計年度においては、観光客及びビジネス客数の減少や旅行部門の減少に伴って売上高は減少しました。費用面では積極的に広告宣伝を展開する一方で、経費の削減に努めました。
当連結会計年度の売上高は799,415千円(前年同期比23.4%増)、セグメント利益(営業利益)は1,254千円(前年同期比87.3%減)となりました。
⑤ その他
当連結会計年度においては、賃貸料収入が減少して売上高は減少しました。費用面では、前連結会計年度において両津南埠頭ビル館内の大規模修繕があったことなどから、セグメント利益(営業利益)は増加しました。
当連結会計年度の売上高は197,787千円(前年同期比19.4%減)、セグメント利益(営業利益)は27,315千円(前年同期比243.4%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、営業活動による資金の増加が530,716千円、投資活動による資金の減少が796,813千円、財務活動による資金の増加が287,954千円となり、前連結会計年度末に比べ21,857千円増加し、当連結会計年度末残高は1,818,885千円(前年同期比1.2%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は530,716千円(前年同期は859,418千円の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益が678,152千円あり、減価償却費が881,088千円あったものの、有形及び無形固定資産の売却益が913,766千円、特別修繕引当金の減少が121,192千円あったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は796,813千円(前年同期は3,111,557千円の減少)となりました。これは補助金収入が584,037千円、有形及び無形固定資産の売却による収入が1,186,484千円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が2,563,883千円あったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は287,954千円(前年同期は2,730,099千円の増加)となりました。これは社債の発行による収入が705,548千円あり、社債の償還により支出が311,400千円あったこと、短期借入れによる収入が2,280,000千円あり、短期借入金の返済による支出が2,065,804千円あったものの、長期借入れによる収入が3,871,058千円あり、長期借入金の返済による支出が4,153,297千円あったことが主な要因であります。