有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 9:00
【資料】
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【項目】
145項目

対処すべき課題

(1)経営方針
阪神高速道路は、令和2年4月1日現在、258.1㎞のネットワークを有し、1日の交通量が71万台に及ぶなど、関西都市圏の大動脈として、関西のくらしや経済の発展に貢献するきわめて重要な社会基盤となっております。
当社グループは、「先進の道路サービスへ」をグループ理念として、「阪神高速は、お客さまや地域とのコミュニケーションを大切にします。」、「阪神高速は、公正で透明な経営を維持し、健全な発展を目指します。」、「阪神高速は、社会の期待に応えるため、迅速・的確・積極的に行動します。」を経営方針として、安全・安心・快適なネットワークを通じてお客さまの満足を実現し、関西のくらしや経済の発展に貢献するため、様々な施策に取り組んでおります。
(2)経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
阪神高速道路は、昭和39年6月の開通以来50年以上が経過し、経年変化による構造物の老朽化などが顕在化しております。また、関西都市圏における道路ネットワークのミッシングリンクの解消など、更なるネットワーク整備を進めていく必要があります。さらに、南海トラフ地震等に備えた災害時におけるネットワークの機能強化や、近年頻発化・激甚化する自然災害への対応、逆走・誤進入をはじめとする安全に関わる社会的な課題も顕在化していることから、令和2年3月に策定した「高速道路における安全・安心実施計画」に沿って、各施策に計画的かつ着実に取り組んでいく必要があります。
当社グループでは、これらを踏まえ、グループ理念及び2030年を目標とした「阪神高速グループビジョン2030」を実現するため具体的な計画として、令和2年4月に新たに「中期経営計画(2020~2022)」を策定いたしました。本計画の確実な達成に向けて、お客さまに安全・安心・快適にご利用いただくとともに、これまで以上にお客さまにご満足いただけるよう、本計画に掲げる以下の様々な施策に取り組んでまいります。
また、持続的な発展が可能な地域・社会の実現に向けて、当社グループとして、事業を通じてSDGsの達成に積極的に貢献してまいります。
加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うリスクについて、感染拡大防止策の徹底と事業継続を可能とする体制構築等により適切に対応し、関西都市圏の重要な社会基盤として阪神高速道路が担う役割を果たすべく取り組んでまいります。
なお、本項において、将来に関する事項は、別段の表示が無い限り、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
<最高の安全と安心を提供する阪神高速>老朽化が進展する高速道路のリニューアルプロジェクト(大規模更新・修繕事業)を推進するとともに、交通事故削減や逆走・誤進入対策等の交通安全対策を実施してまいります。また、道路橋(支承等)の耐震対策や入路遠隔閉鎖装置の整備等を推進し、災害発生時にお客さまの安全や道路機能を確保するなど、地震・台風等への対応力強化に取り組んでまいります。
<もっと便利で快適なドライブライフを実現する阪神高速>淀川左岸線(海老江JCT~豊崎)、淀川左岸線延伸部及び大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北~駒栄)のネットワーク整備を着実に推進してまいります。また、渋滞対策等の推進、新たなパーキングエリアの整備、分かりやすい情報提供等、お客さまのニーズに応じた道路サービスに取り組んでまいります。
<世界水準の卓越した都市高速道路技術で発展する阪神高速>ICTやAIを活用した維持管理の効率化・高度化や、建設・更新プロジェクトの性能や品質の向上、円滑な施工等に向けた技術開発を推進してまいります。また、防災対策の一層の推進に向けたネットワークレベルでの災害被災リスクの低減に向けた技術開発に取り組んでまいります。
<お客さまや社会に満足をお届けする多彩なビジネスを展開する阪神高速>阪神高速グループの技術・ノウハウ等の強みを活かし、周辺の自動車専用道路等の一体的管理受託や海外事業を含む土木・補償コンサルティング事業、高架下空間等を有効活用した駐車場事業、保有資産有効活用事業等、多彩な関連事業を展開してまいります。
<関西の発展に貢献し、地域・社会から愛され信頼される阪神高速>ネットワーク整備や渋滞対策、使用エネルギーの削減等による環境負荷の軽減や、交通安全啓発活動等の社会貢献活動にグループ一体となって取り組んでまいります。また、大阪・関西万博開催等を見据え、交通の円滑化、インバウンドを含む様々なお客さまサービスの向上等、関西のくらしや経済の発展に寄与してまいります。
<経営基盤を確立し、グループ社員がやりがいを実感できる阪神高速>財務基盤の強化と確実な債務返済を図るため、引き続きコストの縮減等による経営効率化に努めてまいります。また、「さらにかえよう働き方 -新たなステージに向けて-」をスローガンに掲げ、社員が業務の生産性や品質の向上を実現し、ワークライフバランスが充実することでやりがいを実感できる職場環境の整備や、プロフェッショナルな人材の育成強化等に取り組んでまいります。