訂正有価証券報告書-第10期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/08/12 14:21
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の非営利性等について
高速道路事業においては、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と締結した協定並びに特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を徴収、かかる料金収入から機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てています。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の徴収する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされています。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、当面の間は、経営基盤の強化を図ることを優先し、自己資本の充実に努めていきたいと考えています。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いことから、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏季の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
なお、高速道路事業の収益には、インセンティブ助成金収入が含まれています。インセンティブ助成金とは、機構法第12条第1項第8号の規定に基づき、当社が経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を行った際に、機構より縮減額の一部を助成されるものです。当連結会計年度におけるインセンティブ助成金収入は14百万円、インセンティブ助成金を原資とする支出は218百万円となっています。当連結会計年度末におけるインセンティブ助成金残高は538百万円であり、利益剰余金に留保されています。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは重畳的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しています。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じています(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えています。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費・人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等その他道路資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しています。
なお、上記「(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借り受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 完成工事高の計上基準
営業収益のうち、直轄高速道路事業収入及び受託業務収入等、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しています。
なお、営業収益のうち、道路資産完成高の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っています。
③ ETCマイレージサービス引当金
ETCマイレージサービス制度による無料走行に備えるため、連結会計年度末におけるポイント発行残高に対する将来の使用見込額を計上しています。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループにおいては、平成17年10月1日の当社設立に際し、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき、原則として全ての固定資産を時価で評価しています。なお、一般国道201号(八木山バイパス)が平成26年10月1日午前0時に無料開放となったことを受けて、当連結会計年度において、当該道路における料金徴収施設等のうち、今後、事業の用に供する見込みが無い資産は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として処理しました。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益については、料金収入の増加や、道路資産完成高の増加により、961,535百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。受託事業の営業収益については、直轄高速道路事業を中心に7,923百万円(同39.7%減)、SA・PA事業の営業収益については、32,724百万円(同5.9%減)、その他の営業収益については10,415百万円(同2.7%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業収益合計は、1,012,023百万円(同14.1%増)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度における高速道路事業にかかる営業費用は、協定に基づく機構への貸付料の増加などにより960,674百万円(前連結会計年度比15.8%増)となり、受託事業については、新直轄方式による高速自動車国道の新設事業を中心に7,752百万円(同40.7%減)、SA・PA事業については、27,789百万円(同2.6%減)、その他の営業費用については10,872百万円(同5.1%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業費用合計は、1,006,498百万円(同14.1%増)となりました。
その結果、当連結会計年度における営業利益は合計で5,525百万円(同23.5%増)となりました。その内訳は、高速道路事業が営業利益860百万円(前連結会計年度は営業損失1,131百万円)、受託事業が170百万円(前連結会計年度は営業利益62百万円)、SA・PA事業が4,934百万円(前連結会計年度比20.8%減)、その他が営業損失456百万円(前連結会計年度は営業損失752百万円)です。
③ 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、受取利息94百万円(前連結会計年度比12.4%増)、受取配当金11百万円(同5.9%増)、土地物件貸付料586百万円(同2.1%増)、持分法による投資利益309百万円(同84.6%増)及び固定資産受贈益330百万円(前連結会計年度は24百万円)等の計上により2,704百万円(前連結会計年度比41.8%増)、営業外費用は支払利息30百万円(同18.1%減)及び損害賠償金113百万円(前連結会計年度は52百万円)等の計上により257百万円(前連結会計年度比24.9%増)となりました。
④ 経常利益
上記の結果、当連結会計年度の経常利益は7,972百万円(前連結会計年度比29.1%増)となりました。
⑤ 特別損益
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益97百万円(前連結会計年度比42.7%増)及び抱合せ株式消滅差益357百万円(前連結会計年度は計上なし)等の計上により473百万円(前連結会計年度比70.5%減)、特別損失は固定資産売却損51百万円(同16.1%増)、固定資産除却損51百万円(同1.3%減)、損害賠償金331百万円(同53.7%減)及び災害による損失244百万円(前連結会計年度は計上なし)等により806百万円(前連結会計年度比13.7%減)となりました。
⑥ 当期純利益
上記の結果、税金等調整前当期純利益は7,639百万円(前連結会計年度比11.6%増)となり、これに法人税等4,701百万円(同60.8%増)及び少数株主損失82百万円(前連結会計年度は少数株主利益15百万円)を控除した当期純利益は3,021百万円(前連結会計年度比13.2%減)となりました。
(4)資本の源泉及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、前記「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資金調達
資金調達は、高速道路料金の徴収等の営業活動のほか、道路建設関係社債(普通社債)の発行及び金融機関等からの長期借入れを通じて実施しました。
③ 資金需要と設備投資
今後の当社グループの主な資金需要は、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金です。資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しています。