有価証券報告書-第93期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
<企業戦略に関連する人材戦略・人事施策>日本テレビグループは、「コンテンツの力で、“世界”を変える。」という経営ビジョンのもと、多様なサービスやプロダクトを含む「コンテンツ」を通じて豊かな未来を創り出す「感動×信頼のNo.1企業」を目指しております。
現在、当社グループでは「中期経営計画 2025-2027」において「日テレ、開国! Gear up, go global」というスローガンを掲げ、日本発のグローバルコンテンツメーカーへの進化に向け、以下の6つの重点目標を設定しております。
① グローバルコンテンツ企業への変革
② IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開
③ 企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入
④ 生活者に貢献するウェルネス事業の拡大
⑤ 1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速
⑥ 報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献
当社グループは多角的な事業を展開しており、各社がそれぞれの事業環境や人材要件に適した多彩な人事施策を自律的に運用しております。そのため、連結グループ全体で一律の人材戦略を適用するのではなく、各社が中期経営計画及び上記重点目標に対する共通認識を持ちつつ、自社の特長を最大限に活かした人材戦略を推進することで、グループ全体の持続的な成長を図っております。

なお、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]では「人的資本(人材の多様性を含む。)に関する取組と指標及び目標」に関する記載がありますので併せてご覧ください。
① 「グローバルコンテンツ企業への変革」に関連する人材戦略・人事施策
グループを挙げた「グローバルコンテンツ企業への変革」に向け、各社では企業戦略と連動した組織構築を加速させています。日本テレビ放送網㈱におけるGYOKURO STUDIO(海外市場を目指した企画開発に特化したスタジオ)などの海外戦略部門の組成をはじめ、㈱日本テレビサービスでは海外事業強化を目的とした「海外事業戦略委員会」を設置、日本テレビ音楽㈱では音楽コンテンツ及びキャラクターコンテンツの海外展開の加速や使用料徴収体制の強化を目的とした組織改編を実施し、海外案件を専門的に担う「国際ライツ戦略部」「海外ライセンス部」を新設して適切な人員配置を行うとともに、海外戦略に対応可能な人材採用を積極的に進めています。㈱日本テレビアートでは配信プラットフォームへの参画や当社のグローバル展開に美術の立場で貢献を果たすため、美術制作体制の拡充など専門組織の整備を推進しています。
こうした組織の変革を支える人材確保・配置も積極的に行われており、㈱タツノコプロや㈱日本テレビサービスでは、海外市場や顧客増に対応し、売上増を加速させるべくキャリア(経験者)人材を採用しています。㈱日テレ・テクニカル・リソーシズにおいても、国内外の交渉や現場収録を担う人材の採用・配置最適化を図っております。
また、高度な専門性を持つ人材については、㈱日テレ アックスオンが社員の米国留学やフィンランド企業との共同製作で得た知見を全社共有することなどを通じて、国際映像製作・中継で指名されるクリエイターの輩出に取り組んでいるほか、HJホールディングス㈱でも国際共同製作を牽引する人材の育成に注力しています。
一方で、成長を支える個人のスキルアップ支援も充実させており、日本テレビ放送網㈱の「修学サポート制度」による国内外での学びの支援に加え、㈱日本テレビサービスでは、語学資格取得やスキル向上を制度面から後押しすることで、グループ全体としてグローバル競争力のある人材基盤の構築を図っています。
② 「IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開」に関連する人材戦略・人事施策
IP(知的財産)の価値最大化に向け、グループ各社では新規ビジネス創出に向けた専門組織を整備しています。㈱BS日本は2024年6月に「IP開発部」を新設しました。㈱CS日本はIP創出などの新規ビジネスを積極的に推進するため「事業委員会」を組成しました。㈱日本テレビサービスでは、自社発IPの創出を目的として「ジロリブランディンググループ」「IPディベロップメントグループ」などの専門組織を設置しました。
各社の強みを活かしたIP開発体制の構築も進んでいます。日本テレビ音楽㈱では、日本テレビ放送網㈱のミュージック&アーティストセンターと連携して、アーティストのコンテンツ制作や興行ビジネスが行えるように音楽事業部門の組織を見直し、「イベント・マネジメント事業部」を設置しました。㈱ムラヤマでは、映像コンテンツ制作の定着強化を目的として、クリエイティブ本部内に「空間映像プロデュース部」を新設しました。
これら組織の実行力を高めるための人材確保と体制整備として、㈱日テレWandsでは、ファンコミュニケーション事業を注力領域として定め、「Faveconnect」を中心としたファンビジネスを展開し、継続的に採用を実施しています。また、㈱タツノコプロでは、安定的な作品作りと品質向上を目的に、アニメーターの社員化によるクリエイターの確保を積極的に実施しており、HJホールディングス㈱では、IP創出のためのグループ間連携を重要な評価項目とすることで組織横断的なIP創出体制を強化しているほか、㈱ライツ・インでは知的財産に関する専門家との連携体制を整えています。
さらに、IP価値を多角的に高める育成・制作手法の導入も進んでおります。㈱ACMでは、アンパンマンの施設事業を通じて商品化事業の活性化を図るとともに、施設運営やショーに関わるエンターテインメントスタッフそれぞれに応じた採用・育成を行い、多角的な価値創出に取り組んでいます。
③ 「企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入」に関連する人材戦略・人事施策
グループ各社では、企画開発や業務効率化を目的として、生成AIツールやクラウド型グループウェアの導入、ナレッジ共有システムの活用など、テクノロジー導入による環境整備を進めております。こうしたインフラを事業成長に繋げるため、日本テレビ放送網㈱、㈱日本テレビサービス、㈱日テレWandsをはじめとしたグループ会社で、ITエンジニアやシステムエンジニアの積極的な採用を継続し、専門人材の確保に注力しています。㈱PLAYでは、AI時代に対応するエンジニアの研修教育体制の構築、及び新規採用するエンジニアに対する選考基準の見直し等、これからの活躍人材に求められる能力変化に対応した人材戦略の強化を進めています。㈱CS日本では技術委員会を組成し、RPA(Robotic Process Automation)や全社的AI導入などDXを積極的に推進しています。㈱バップでも「生成AI導入プロジェクト」を2025年10月に発足させました。リスクを考慮したうえで、生成AIに対する業務上のニーズや要望について部内リサーチを行い、サービス選定にむけて業務上の使い勝手の確認、導入後の部内運用に関するサポートを行っています。
㈱日テレ アックスオンでは、クリエイティブチーム「AI STUDIO」を発足し、全部署にいるアンバサダーとともにスピード感ある学びと実践を行った上、賞レースへの参画も実現しました。ドラマコンテンツで「AI STUDIO」が制作の一翼を担った実績により、制作チームの中で創り方改革や新しい演出方法の発見等が起き、その知見を共有しています。
同時に、全社的なリテラシー向上と意識醸成にも注力しております。日本テレビ放送網㈱のe-ラーニングによる知識の底上げをはじめ、㈱日本テレビアートやla belle vie㈱、㈱ムラヤマ、㈱日本テレビサービスでは、生成AIの基礎理解や業務活用を目的とした勉強会・教育を継続的に実施しています。日本テレビ音楽㈱では、各事業部門のニーズを把握した上で部門特性に応じた実務研修を段階的に計画しており、㈱日テレ・テクニカル・リソーシズをはじめとした各社が海外の最新テクノロジー視察を通じて知見を深めています。さらに、㈱日テレリアルエステートなどでは人員不足解消のためのAI導入検討、㈱ライツ・インなどではグループ内の専門部署との連携による人材戦略構築など、各社の課題に応じた施策を展開しています。
また、安全かつ高度なAI活用のためのガバナンス強化として、規程・ガイドラインの整備も進んでおります。HJホールディングス㈱をはじめとしたグループ各社で、生成AIの導入に合わせ高度な活用方法に対応した規程類の改定を行い、研修を実施しています。㈱日本テレビアートでは「生成AIと著作権」に関する研修を通じて法的知識の底上げを図っているほか、㈱ACMにおいてもAIガイドラインを新設するなど、適正なテクノロジー活用に向けた教育・体制整備を徹底しています。日本テレビ放送網㈱でも、会社が利用するAIサービスに関するガバナンスについて、全社横断的に対策を協議、推進する「AIガバナンス事務局」を設置いたします。
④ 「生活者に貢献するウェルネス事業の拡大」に関連する人材戦略・人事施策
㈱ティップネスでは、ウェルネス事業拡大に向け、運動指導の専門知見を持つ「健康のプロ」を育成・登用しています。多様な働き方を支援する人事制度の拡充やスキルアップ研修を通じ、従業員のエンゲージメントを高め、生活者の豊かな心身の健康づくりに貢献する体制を強化しています。また、日本テレビ放送網㈱では、生活者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に資するべく、「ウェルネス事業部」の設置及び同部門へのキャリア採用の実施をはじめとしたウェルネス事業の体制強化と専門人材の確保を推進しております。
事業展開と並行して、自社社員の健康増進を通じたウェルネスの実践にも取り組んでおります。日本テレビ放送網㈱、㈱日テレ・テクニカル・リソーシズ、㈱日テレイベンツ、㈱バップ、㈱ムラヤマ、la belle vie㈱、㈱ACMなどは、㈱ティップネスと連携した「体組成測定会」「出張レッスン」「健康セミナー」「リモート体験教室」等のイベントを積極的に実施し、動画研修や福利厚生での割引利用を通じた健康意識の向上を図っています。
さらに、社会課題解決に資する意識醸成として、㈱日テレ アックスオンでは字幕・音声ガイド制作チームが外部企業と連携したイベントを開催し、ユニバーサル視点を持ったクリエイターの育成に繋げています。このように、自らがウェルネスを体現する組織文化を醸成することで、生活者に信頼されるサービスの創出を目指しております。
⑤ 「1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速」に関連する人材戦略・人事施策
グループの成長を牽引する戦略的投資を確かな収益へと繋げるため、投資領域において価値を創出できる人材の育成と、自律的なキャリア形成の支援を強化しております。日本テレビ放送網㈱では、社員が自立的にキャリアを描き、専門性を高められるよう「キャリア・デザイン制度」や「ジョブ・リクエスト制度」、「社内留学制度」等を運用し、ターゲット領域で活躍できる人材への成長機会を提供しています。
また、グループ各社においても挑戦を後押しする環境構築を進めております。その一環として、グループ内の多様な事業領域を活用した横断的な人材育成施策である「グループ会社間留学」を新たに開始しました。本制度は30代社員の自己成長機会とグループシナジーの創出を目的としており、自社では得られない実践知の獲得とネットワーク形成に貢献しています。こうした取り組みのもと、㈱日テレWandsでは本制度の活用や、異動・キャリアプランに関する定期的なヒアリングを通じて、高いモチベーションを持って挑戦できる機会を創出しています。㈱CS日本では、ビジネス拡大に直結する自主的なスキルアップを促進するため「社内研修ガイドライン」を設置するなど、戦略的な投資枠の活用を支える人材基盤の構築をグループ全体で推進しております。㈱バップでは、社員の発想力・企画力・マーケット分析力向上のため、各種サブスクリプションサービス、映画、音楽、ライブ、舞台、マンガ、ゲームなど自由に選択して活用できるエンタメ手当を支給し、社員の成長を助成しています。
⑥ 「報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献」に関連する人材戦略・人事施策
当社グループでは、社会から信頼される報道・メディアグループとしての使命を果たすべく、コンプライアンスの徹底と倫理観の醸成を人的資本の重要課題と位置づけております。日本テレビ放送網㈱やHJホールディングス㈱、la belle vie㈱などでは人事評価にコンプライアンス項目を独立して設定するなど制度面からもガバナンスの徹底を図り、㈱日テレ アックスオンでは報道現場の事例を用いた「ヒヤリ・ハット」研修や独自のコンプライアンス推進委員会を通じたリテラシー向上に取り組んでいます。
同時に、多様な人材の活躍を通じた社会課題の解決にも注力しております。日本テレビ放送網㈱、㈱日本テレビアート、㈱日テレWands、㈱PLAYなどでは、女性の活躍推進や育児・介護との両立を支援する有給制度・勤務時間短縮制度の整備、福利厚生の拡充を進めています。意思決定層の多様性を高めることで社会の変化を柔軟に組織運営に取り入れ、信頼性の高い事業運営につなげています。
さらに、事業を通じたサステナビリティへの寄与として、㈱CS日本の「サステナビリティ事務局」によるSDGs案件の推進や、㈱日テレ アックスオンにおける「戦争体験の風化防止」「防災の事前準備」「資源の有効利用」ほか長期的な課題への継続的な取材と企画化が可能な体制の構築など、グループ一丸となって持続可能な社会の実現と、社会課題の解決に資する人材の育成・活用に取り組んでおります。
<日本テレビ放送網㈱における人材戦略・人事施策>前述した戦略・施策のほかにも日本テレビ放送網㈱では、IP創出やコンテンツ開発に必要なクリエイター人材をはじめ、DX推進に寄与するITエンジニア、経営戦略・事業戦略の推進を担う管理人材等、多種多様な人材の採用を、新卒採用・キャリア採用を問わず、積極的かつ継続的に行っております。また、今後のコンテンツビジネスを牽引するビジネスプロデューサーの採用・育成も進めております。個人の成長が組織と事業の成長の原動力となるよう、社員のキャリアパスを支援し、定着と成長を促す育成・研修制度を実施しております。
a)採用
新卒を対象とした定期採用では、クリエイター、ジャーナリスト、アナウンサーなど、従来の番組制作の核となる人材に加えて、次世代のメディアビジネスを担う人材やエンジニアを志す「理系人材」の採用にも注力しております。
年間を通して行っているキャリア採用では、ITエンジニアやデータサイエンティストをはじめとする「デジタル系人材」やコーポレート機能強化に必要な「コーポレート人材」など、今後の当社グループの事業成長に必要な専門性の高い人材を中心に、積極的に採用しております。2025年度に採用した社員に占めるキャリア採用の比率は40%となっております。高度な知見と多様な経験・価値観の融合がイノベーションの創出につながるよう、トップクリエイターとキャリア採用社員が交流する機会を設けるなど、オンボーディング施策も随時実施しております。
b)育成・研修
加速する環境変化に対応しながら組織として成長し続けるため、社員個々の自律的な成長、公正な評価・処遇の実施、組織強化・課題対応をテーマとして人材育成に取り組んでおります。マネジメント能力やリーダーシップ開発及び新たなスキル・知識の習得を促進するため、従前のOJT(On-the-Job Training)を軸とした育成に加え、Off-JT(Off-the-Job Training)の機会を増やし強化しております。
組織強化及びマネジメント力の向上につなげるため、職位・役職ごとに求められる能力や知識の習得及びリーダーシップの開発を目的として、任用・登用、昇進などの節目で階層別研修を実施しております。また、人事評価における公正性と適切なコミュニケーション・フィードバックは、人材育成の観点で極めて重要であることから、評価者のスキルアップを図る研修を年数回にわたって行っております。
c)人事労務制度
日本テレビ放送網㈱の人事労務制度のコンセプトは⑴社員の自律的なキャリア形成の実現、⑵社員一人ひとりの専門性を高め、スキルを発揮する仕組みづくり、⑶役割・成果に基づく公正な評価・処遇、⑷成長しようとする人が活躍できる会社づくり、の4つです。
管理職に対しては、担う役割の難易度や責任の重さなどに応じて等級を定める「役割等級制度」を導入するとともに、ライン管理職となる「マネジメント職」と専門性・スキルで貢献する「スペシャリスト職」に複線化いたしました。また、一般社員については、職務遂行能力に応じて等級を定める「職能等級制度」を継続しつつ、評価上位者に対して飛び級の仕組みを新たに導入いたしました。
これまで以上に社員が自律的にキャリアを描き、専門性を高め、高いモチベーションを持って事業に貢献できる環境を整え、会社の継続的な成長につなげてまいります。
d)エンゲージメント・サーベイの実施
組織と社員の状態を可視化し分析するため、毎月、全社員に対して「エンゲージメント・サーベイ」を実施しております。働きがいのある職場づくりと組織力の強化のため、管理職向けの説明会などを通して、サーベイ結果から算出されるエンゲージメントスコアのマネジメントへの活用を促進しております。また、代表取締役及び役員に対してサーベイ結果の共有を行い、組織の状態や人的資本に関する課題を経営層が直接把握することで、経営戦略と連動した実効性の高い人事施策の検討・策定に繋げております。
<従業員給与・報酬の額や内容の決定に関する方針>当社グループにおける従業員の給与その他の給付の額及び内容については、経営戦略の実行と連動した報酬体系を構築しております。
日本テレビホールディングス㈱や日本テレビ放送網㈱においては、一般社員に対して職務遂行能力に基づき細分化された賃金等級制度を導入しており、基本給は前年度の個人業績及びそのプロセス評価に基づき決定されます。個人の目標設定にあたっては、中期経営計画を起点として、組織目標から個人目標へと段階的にブレークダウンを行う仕組みを構築しており、中期経営計画の重点目標に対する貢献度を適切に評価し、報酬に反映させるかたちになっています。
また、㈱日テレ アックスオンにおいては、企業理念や経営ビジョン、行動指針を基盤とし、中期経営計画に沿った部門目標を各従業員の役割(等級)に応じて配分し、合意形成を行う目標管理制度を運用しております。評価プロセスにおいては、中間面談等による進捗確認や意見交換を通じて目標達成の確度を高め、年度末の成果申告及び評価会議を経て次年度の報酬を決定しております。
諸制度については社会情勢や経営環境の変化に応じた適時適切なアップデートを行う方針です。コンテンツ制作業界において魅力ある人材を確保・維持することを重要な経営課題の一つと認識し、競争力のある報酬水準と公正な評価制度の構築に継続して取り組んでまいります。
<企業戦略に関連する人材戦略・人事施策>日本テレビグループは、「コンテンツの力で、“世界”を変える。」という経営ビジョンのもと、多様なサービスやプロダクトを含む「コンテンツ」を通じて豊かな未来を創り出す「感動×信頼のNo.1企業」を目指しております。
現在、当社グループでは「中期経営計画 2025-2027」において「日テレ、開国! Gear up, go global」というスローガンを掲げ、日本発のグローバルコンテンツメーカーへの進化に向け、以下の6つの重点目標を設定しております。
① グローバルコンテンツ企業への変革
② IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開
③ 企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入
④ 生活者に貢献するウェルネス事業の拡大
⑤ 1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速
⑥ 報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献
当社グループは多角的な事業を展開しており、各社がそれぞれの事業環境や人材要件に適した多彩な人事施策を自律的に運用しております。そのため、連結グループ全体で一律の人材戦略を適用するのではなく、各社が中期経営計画及び上記重点目標に対する共通認識を持ちつつ、自社の特長を最大限に活かした人材戦略を推進することで、グループ全体の持続的な成長を図っております。

なお、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]では「人的資本(人材の多様性を含む。)に関する取組と指標及び目標」に関する記載がありますので併せてご覧ください。
① 「グローバルコンテンツ企業への変革」に関連する人材戦略・人事施策
グループを挙げた「グローバルコンテンツ企業への変革」に向け、各社では企業戦略と連動した組織構築を加速させています。日本テレビ放送網㈱におけるGYOKURO STUDIO(海外市場を目指した企画開発に特化したスタジオ)などの海外戦略部門の組成をはじめ、㈱日本テレビサービスでは海外事業強化を目的とした「海外事業戦略委員会」を設置、日本テレビ音楽㈱では音楽コンテンツ及びキャラクターコンテンツの海外展開の加速や使用料徴収体制の強化を目的とした組織改編を実施し、海外案件を専門的に担う「国際ライツ戦略部」「海外ライセンス部」を新設して適切な人員配置を行うとともに、海外戦略に対応可能な人材採用を積極的に進めています。㈱日本テレビアートでは配信プラットフォームへの参画や当社のグローバル展開に美術の立場で貢献を果たすため、美術制作体制の拡充など専門組織の整備を推進しています。
こうした組織の変革を支える人材確保・配置も積極的に行われており、㈱タツノコプロや㈱日本テレビサービスでは、海外市場や顧客増に対応し、売上増を加速させるべくキャリア(経験者)人材を採用しています。㈱日テレ・テクニカル・リソーシズにおいても、国内外の交渉や現場収録を担う人材の採用・配置最適化を図っております。
また、高度な専門性を持つ人材については、㈱日テレ アックスオンが社員の米国留学やフィンランド企業との共同製作で得た知見を全社共有することなどを通じて、国際映像製作・中継で指名されるクリエイターの輩出に取り組んでいるほか、HJホールディングス㈱でも国際共同製作を牽引する人材の育成に注力しています。
一方で、成長を支える個人のスキルアップ支援も充実させており、日本テレビ放送網㈱の「修学サポート制度」による国内外での学びの支援に加え、㈱日本テレビサービスでは、語学資格取得やスキル向上を制度面から後押しすることで、グループ全体としてグローバル競争力のある人材基盤の構築を図っています。
② 「IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開」に関連する人材戦略・人事施策
IP(知的財産)の価値最大化に向け、グループ各社では新規ビジネス創出に向けた専門組織を整備しています。㈱BS日本は2024年6月に「IP開発部」を新設しました。㈱CS日本はIP創出などの新規ビジネスを積極的に推進するため「事業委員会」を組成しました。㈱日本テレビサービスでは、自社発IPの創出を目的として「ジロリブランディンググループ」「IPディベロップメントグループ」などの専門組織を設置しました。
各社の強みを活かしたIP開発体制の構築も進んでいます。日本テレビ音楽㈱では、日本テレビ放送網㈱のミュージック&アーティストセンターと連携して、アーティストのコンテンツ制作や興行ビジネスが行えるように音楽事業部門の組織を見直し、「イベント・マネジメント事業部」を設置しました。㈱ムラヤマでは、映像コンテンツ制作の定着強化を目的として、クリエイティブ本部内に「空間映像プロデュース部」を新設しました。
これら組織の実行力を高めるための人材確保と体制整備として、㈱日テレWandsでは、ファンコミュニケーション事業を注力領域として定め、「Faveconnect」を中心としたファンビジネスを展開し、継続的に採用を実施しています。また、㈱タツノコプロでは、安定的な作品作りと品質向上を目的に、アニメーターの社員化によるクリエイターの確保を積極的に実施しており、HJホールディングス㈱では、IP創出のためのグループ間連携を重要な評価項目とすることで組織横断的なIP創出体制を強化しているほか、㈱ライツ・インでは知的財産に関する専門家との連携体制を整えています。
さらに、IP価値を多角的に高める育成・制作手法の導入も進んでおります。㈱ACMでは、アンパンマンの施設事業を通じて商品化事業の活性化を図るとともに、施設運営やショーに関わるエンターテインメントスタッフそれぞれに応じた採用・育成を行い、多角的な価値創出に取り組んでいます。
③ 「企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入」に関連する人材戦略・人事施策
グループ各社では、企画開発や業務効率化を目的として、生成AIツールやクラウド型グループウェアの導入、ナレッジ共有システムの活用など、テクノロジー導入による環境整備を進めております。こうしたインフラを事業成長に繋げるため、日本テレビ放送網㈱、㈱日本テレビサービス、㈱日テレWandsをはじめとしたグループ会社で、ITエンジニアやシステムエンジニアの積極的な採用を継続し、専門人材の確保に注力しています。㈱PLAYでは、AI時代に対応するエンジニアの研修教育体制の構築、及び新規採用するエンジニアに対する選考基準の見直し等、これからの活躍人材に求められる能力変化に対応した人材戦略の強化を進めています。㈱CS日本では技術委員会を組成し、RPA(Robotic Process Automation)や全社的AI導入などDXを積極的に推進しています。㈱バップでも「生成AI導入プロジェクト」を2025年10月に発足させました。リスクを考慮したうえで、生成AIに対する業務上のニーズや要望について部内リサーチを行い、サービス選定にむけて業務上の使い勝手の確認、導入後の部内運用に関するサポートを行っています。
㈱日テレ アックスオンでは、クリエイティブチーム「AI STUDIO」を発足し、全部署にいるアンバサダーとともにスピード感ある学びと実践を行った上、賞レースへの参画も実現しました。ドラマコンテンツで「AI STUDIO」が制作の一翼を担った実績により、制作チームの中で創り方改革や新しい演出方法の発見等が起き、その知見を共有しています。
同時に、全社的なリテラシー向上と意識醸成にも注力しております。日本テレビ放送網㈱のe-ラーニングによる知識の底上げをはじめ、㈱日本テレビアートやla belle vie㈱、㈱ムラヤマ、㈱日本テレビサービスでは、生成AIの基礎理解や業務活用を目的とした勉強会・教育を継続的に実施しています。日本テレビ音楽㈱では、各事業部門のニーズを把握した上で部門特性に応じた実務研修を段階的に計画しており、㈱日テレ・テクニカル・リソーシズをはじめとした各社が海外の最新テクノロジー視察を通じて知見を深めています。さらに、㈱日テレリアルエステートなどでは人員不足解消のためのAI導入検討、㈱ライツ・インなどではグループ内の専門部署との連携による人材戦略構築など、各社の課題に応じた施策を展開しています。
また、安全かつ高度なAI活用のためのガバナンス強化として、規程・ガイドラインの整備も進んでおります。HJホールディングス㈱をはじめとしたグループ各社で、生成AIの導入に合わせ高度な活用方法に対応した規程類の改定を行い、研修を実施しています。㈱日本テレビアートでは「生成AIと著作権」に関する研修を通じて法的知識の底上げを図っているほか、㈱ACMにおいてもAIガイドラインを新設するなど、適正なテクノロジー活用に向けた教育・体制整備を徹底しています。日本テレビ放送網㈱でも、会社が利用するAIサービスに関するガバナンスについて、全社横断的に対策を協議、推進する「AIガバナンス事務局」を設置いたします。
④ 「生活者に貢献するウェルネス事業の拡大」に関連する人材戦略・人事施策
㈱ティップネスでは、ウェルネス事業拡大に向け、運動指導の専門知見を持つ「健康のプロ」を育成・登用しています。多様な働き方を支援する人事制度の拡充やスキルアップ研修を通じ、従業員のエンゲージメントを高め、生活者の豊かな心身の健康づくりに貢献する体制を強化しています。また、日本テレビ放送網㈱では、生活者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に資するべく、「ウェルネス事業部」の設置及び同部門へのキャリア採用の実施をはじめとしたウェルネス事業の体制強化と専門人材の確保を推進しております。
事業展開と並行して、自社社員の健康増進を通じたウェルネスの実践にも取り組んでおります。日本テレビ放送網㈱、㈱日テレ・テクニカル・リソーシズ、㈱日テレイベンツ、㈱バップ、㈱ムラヤマ、la belle vie㈱、㈱ACMなどは、㈱ティップネスと連携した「体組成測定会」「出張レッスン」「健康セミナー」「リモート体験教室」等のイベントを積極的に実施し、動画研修や福利厚生での割引利用を通じた健康意識の向上を図っています。
さらに、社会課題解決に資する意識醸成として、㈱日テレ アックスオンでは字幕・音声ガイド制作チームが外部企業と連携したイベントを開催し、ユニバーサル視点を持ったクリエイターの育成に繋げています。このように、自らがウェルネスを体現する組織文化を醸成することで、生活者に信頼されるサービスの創出を目指しております。
⑤ 「1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速」に関連する人材戦略・人事施策
グループの成長を牽引する戦略的投資を確かな収益へと繋げるため、投資領域において価値を創出できる人材の育成と、自律的なキャリア形成の支援を強化しております。日本テレビ放送網㈱では、社員が自立的にキャリアを描き、専門性を高められるよう「キャリア・デザイン制度」や「ジョブ・リクエスト制度」、「社内留学制度」等を運用し、ターゲット領域で活躍できる人材への成長機会を提供しています。
また、グループ各社においても挑戦を後押しする環境構築を進めております。その一環として、グループ内の多様な事業領域を活用した横断的な人材育成施策である「グループ会社間留学」を新たに開始しました。本制度は30代社員の自己成長機会とグループシナジーの創出を目的としており、自社では得られない実践知の獲得とネットワーク形成に貢献しています。こうした取り組みのもと、㈱日テレWandsでは本制度の活用や、異動・キャリアプランに関する定期的なヒアリングを通じて、高いモチベーションを持って挑戦できる機会を創出しています。㈱CS日本では、ビジネス拡大に直結する自主的なスキルアップを促進するため「社内研修ガイドライン」を設置するなど、戦略的な投資枠の活用を支える人材基盤の構築をグループ全体で推進しております。㈱バップでは、社員の発想力・企画力・マーケット分析力向上のため、各種サブスクリプションサービス、映画、音楽、ライブ、舞台、マンガ、ゲームなど自由に選択して活用できるエンタメ手当を支給し、社員の成長を助成しています。
⑥ 「報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献」に関連する人材戦略・人事施策
当社グループでは、社会から信頼される報道・メディアグループとしての使命を果たすべく、コンプライアンスの徹底と倫理観の醸成を人的資本の重要課題と位置づけております。日本テレビ放送網㈱やHJホールディングス㈱、la belle vie㈱などでは人事評価にコンプライアンス項目を独立して設定するなど制度面からもガバナンスの徹底を図り、㈱日テレ アックスオンでは報道現場の事例を用いた「ヒヤリ・ハット」研修や独自のコンプライアンス推進委員会を通じたリテラシー向上に取り組んでいます。
同時に、多様な人材の活躍を通じた社会課題の解決にも注力しております。日本テレビ放送網㈱、㈱日本テレビアート、㈱日テレWands、㈱PLAYなどでは、女性の活躍推進や育児・介護との両立を支援する有給制度・勤務時間短縮制度の整備、福利厚生の拡充を進めています。意思決定層の多様性を高めることで社会の変化を柔軟に組織運営に取り入れ、信頼性の高い事業運営につなげています。
さらに、事業を通じたサステナビリティへの寄与として、㈱CS日本の「サステナビリティ事務局」によるSDGs案件の推進や、㈱日テレ アックスオンにおける「戦争体験の風化防止」「防災の事前準備」「資源の有効利用」ほか長期的な課題への継続的な取材と企画化が可能な体制の構築など、グループ一丸となって持続可能な社会の実現と、社会課題の解決に資する人材の育成・活用に取り組んでおります。
<日本テレビ放送網㈱における人材戦略・人事施策>前述した戦略・施策のほかにも日本テレビ放送網㈱では、IP創出やコンテンツ開発に必要なクリエイター人材をはじめ、DX推進に寄与するITエンジニア、経営戦略・事業戦略の推進を担う管理人材等、多種多様な人材の採用を、新卒採用・キャリア採用を問わず、積極的かつ継続的に行っております。また、今後のコンテンツビジネスを牽引するビジネスプロデューサーの採用・育成も進めております。個人の成長が組織と事業の成長の原動力となるよう、社員のキャリアパスを支援し、定着と成長を促す育成・研修制度を実施しております。
a)採用
新卒を対象とした定期採用では、クリエイター、ジャーナリスト、アナウンサーなど、従来の番組制作の核となる人材に加えて、次世代のメディアビジネスを担う人材やエンジニアを志す「理系人材」の採用にも注力しております。
年間を通して行っているキャリア採用では、ITエンジニアやデータサイエンティストをはじめとする「デジタル系人材」やコーポレート機能強化に必要な「コーポレート人材」など、今後の当社グループの事業成長に必要な専門性の高い人材を中心に、積極的に採用しております。2025年度に採用した社員に占めるキャリア採用の比率は40%となっております。高度な知見と多様な経験・価値観の融合がイノベーションの創出につながるよう、トップクリエイターとキャリア採用社員が交流する機会を設けるなど、オンボーディング施策も随時実施しております。
b)育成・研修
加速する環境変化に対応しながら組織として成長し続けるため、社員個々の自律的な成長、公正な評価・処遇の実施、組織強化・課題対応をテーマとして人材育成に取り組んでおります。マネジメント能力やリーダーシップ開発及び新たなスキル・知識の習得を促進するため、従前のOJT(On-the-Job Training)を軸とした育成に加え、Off-JT(Off-the-Job Training)の機会を増やし強化しております。
組織強化及びマネジメント力の向上につなげるため、職位・役職ごとに求められる能力や知識の習得及びリーダーシップの開発を目的として、任用・登用、昇進などの節目で階層別研修を実施しております。また、人事評価における公正性と適切なコミュニケーション・フィードバックは、人材育成の観点で極めて重要であることから、評価者のスキルアップを図る研修を年数回にわたって行っております。
c)人事労務制度
日本テレビ放送網㈱の人事労務制度のコンセプトは⑴社員の自律的なキャリア形成の実現、⑵社員一人ひとりの専門性を高め、スキルを発揮する仕組みづくり、⑶役割・成果に基づく公正な評価・処遇、⑷成長しようとする人が活躍できる会社づくり、の4つです。
管理職に対しては、担う役割の難易度や責任の重さなどに応じて等級を定める「役割等級制度」を導入するとともに、ライン管理職となる「マネジメント職」と専門性・スキルで貢献する「スペシャリスト職」に複線化いたしました。また、一般社員については、職務遂行能力に応じて等級を定める「職能等級制度」を継続しつつ、評価上位者に対して飛び級の仕組みを新たに導入いたしました。
これまで以上に社員が自律的にキャリアを描き、専門性を高め、高いモチベーションを持って事業に貢献できる環境を整え、会社の継続的な成長につなげてまいります。
d)エンゲージメント・サーベイの実施
組織と社員の状態を可視化し分析するため、毎月、全社員に対して「エンゲージメント・サーベイ」を実施しております。働きがいのある職場づくりと組織力の強化のため、管理職向けの説明会などを通して、サーベイ結果から算出されるエンゲージメントスコアのマネジメントへの活用を促進しております。また、代表取締役及び役員に対してサーベイ結果の共有を行い、組織の状態や人的資本に関する課題を経営層が直接把握することで、経営戦略と連動した実効性の高い人事施策の検討・策定に繋げております。
<従業員給与・報酬の額や内容の決定に関する方針>当社グループにおける従業員の給与その他の給付の額及び内容については、経営戦略の実行と連動した報酬体系を構築しております。
日本テレビホールディングス㈱や日本テレビ放送網㈱においては、一般社員に対して職務遂行能力に基づき細分化された賃金等級制度を導入しており、基本給は前年度の個人業績及びそのプロセス評価に基づき決定されます。個人の目標設定にあたっては、中期経営計画を起点として、組織目標から個人目標へと段階的にブレークダウンを行う仕組みを構築しており、中期経営計画の重点目標に対する貢献度を適切に評価し、報酬に反映させるかたちになっています。
また、㈱日テレ アックスオンにおいては、企業理念や経営ビジョン、行動指針を基盤とし、中期経営計画に沿った部門目標を各従業員の役割(等級)に応じて配分し、合意形成を行う目標管理制度を運用しております。評価プロセスにおいては、中間面談等による進捗確認や意見交換を通じて目標達成の確度を高め、年度末の成果申告及び評価会議を経て次年度の報酬を決定しております。
諸制度については社会情勢や経営環境の変化に応じた適時適切なアップデートを行う方針です。コンテンツ制作業界において魅力ある人材を確保・維持することを重要な経営課題の一つと認識し、競争力のある報酬水準と公正な評価制度の構築に継続して取り組んでまいります。