有価証券報告書-第40期(2023/04/01-2024/03/31)
②戦略
「サステナビリティ経営」を根幹とし、新サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。
[KDDI Vison 2030の実現に向けて]
a.サステナブルな人財ポートフォリオの実現
事業環境が大きく変化し、DX、金融、エネルギーなど事業領域を広げる新サテライトグロース戦略を推進していく中では、これまで以上に多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことで、事業や組織機能の高度化につながるイノベーションを創出していく必要があります。そのためにも、専門性を持ち、自律したプロ人財が挑戦・成長し続けなければなりません。KDDIグループにおいて、個性と能力を発揮できる場所を見つけ、挑戦しながらスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦をしていきます。それぞれの領域のプロ人財が認め合い・高め合った結果、グループ全体でプロ人財を輩出し続ける“サステナブルな人財ポートフォリオ”を充足させることで、人財ファースト企業への変革を目指していきます。
b.社会をつなぐチカラの進化
「生きがい改革によるウェルビーイング向上」も人財ファースト企業として追求していく重要な要素です。仕事と生活の垣根がなくなりつつある「ワークライフインテグレーション」の時代においては、働き方や働きがいだけではなく、社員の“生きがい”追求にも取り組んでいく必要があります。生きがい改革を通じてKDDIはさらに魅力的な会社となり、お客さま・パートナー企業・労働市場とのエンゲージメントを高められ、愛され信頼され続ける会社となることを目指しています。

[人事戦略(人材育成方針および社内環境整備方針)]
a.三位一体改革
人財ファースト企業への変革を実現させるために、三位一体改革(①新人事制度の浸透、②KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成、③社員エンゲージメント向上)」を21.3期から進めてきました。その中核に据えている「KDDI版ジョブ型人事制度」では、全ての社員が既存の通信事業で培った経験も活かしながら、新たな領域でも通用する能力を積極的に身に付け、社外でも通用するプロ人財となることを目指しています。
(注)DX基礎スキル研修修了者、女性経営基幹職の構成比率は、25.3期目標を記載
[新人事制度の浸透(人材育成方針および社内環境整備方針に関する取り組み)]
a. 事業戦略遂行に資する人財ポートフォリオ
新サテライトグロース戦略の展開に伴う事業ポートフォリオの組み換えに対して、事業戦略遂行に必要な人財力の質的・量的な充足を図るため、内部で人員をシフトさせ、外部から確保しなければなりません。そのために人財力のあるべき姿と現状のギャップを捉えた人財ポートフォリオを構築することを計画しています。
人財ポートフォリオの中では、KDDI全社員のスキルの発揮状況を数値化して捉えることができます。KDDIにおける30の専門領域に対して、職務役割・職務内容により細分化した“ジョブ”を定義し、各ジョブの遂行に必要なスキルも定義した上で、それぞれのスキルに対するアセスメントを作成しています。アセスメントの結果を活用することで、各組織が目指す姿に対して、現状のスキルの発揮状況とのギャップ(質・量)の把握に取り組んでいます。
また、性別、年齢や経歴などの情報も人財ポートフォリオで一元的に管理することで、組織と人の最適な組み合わせをデータで導くことができるようになります。これらの取り組みにより、人財シフトをより活性化させ、事業戦略と人事戦略の結びつきを強化していきます。
b.キャリア自律の促進
社員の主体的なキャリア実現に向けた個人の能力開発や成長支援のため、上司とメンバーによる定期的な1on1を実施しています。1on1の実施頻度や内容とエンゲージメントスコアとに相関があることも分かっており、上司のキャリア支援力向上に向け、全ライン長を対象としたキャリアマネジメント研修を実施しています。年1回の「キャリアプラン申告」は、自身の今後のキャリアについて考え、上司との1on1で具体的なアクションについて対話し、キャリア開発の方向性や業務アサイン変更、社内副業・人財公募の案件紹介などについて双方で検討する場となっています。
社員のキャリア情報を蓄積、見える化したタレントマネジメントシステム「X-Career」を導入しています。広範な事業領域を活用した社員の多様な成長・挑戦機会を積極的に支援するシステムで、社員一人ひとりがキャリアを拡大、深耕し、個々のキャリアが融合することでイノベーションを創出することを目的としています。グループ全体で人財の流動化を促進し、グループ内/外への出向機会、キャリア実現のための異動機会、人財公募を拡大することで、社員の自律的なキャリア形成を促進していきます。

c. 多様な人財の活躍促進
人財多様性の実現のステップの第一歩として、ジェンダーギャップ解消に取り組んでいます。社員エンゲージメントサーベイの結果は全体的に女性のスコアがやや低い傾向にあります。平等な対応をするだけではギャップを縮めることができないため、形式的に平等な対応をすることに留まらず、ジェンダーに由来する不公平な障壁を取り払い、スタート地点を合わせるための支援を強化しています。
女性経営基幹職の構成比率に関する数値目標達成に向けて、本部長層の意識改革を目的とした「アンコンシャス・バイアス研修」や、女性リーダーの実体験を聞くことができる「女性経営基幹職とのラウンドテーブル」、DE&Iと女性活躍の必要性を浸透させるための全社員を対象としたeラーニング研修など、多様な人財が能力を活かし、高いパフォーマンスを発揮するための組織風土改革と環境整備に取り組んでいます。また、女子学生を対象としたセミナーやインターンシップの実施などを通して、採用の段階から女性の比率を増加することを目指しています。
さらに、男性社員の育児休業取得を推進し、男性育児休業取得率100%も目指しています。そのためにも、男性社員とその家族を対象としたワークショップを継続的に実施しています。
[KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成(人材育成方針に関する取り組み)]
a.KDDI DX Universityによるリスキリング
イノベーション創出の源泉となるプロ人財の育成、社員のDXスキル向上を推進するため、21.3期に社内人財育成機関「KDDI DX University(KDU)」を設立しました。データ・テクノロジーを活用したビジネス変革を推進するために、全社員への受講を目指した「DX基礎スキル研修」を実施しています。加えて、DX関連の5領域※を対象に専門領域別の「DXコアスキル集中研修」「DX専門スキル研修」を実施しています。24.3期には、生成AI、Web3.0やデジタルツインの専門型研修も拡充する等、技術トレンドへ弾力的に対応しています。
※ビジネスディベロップメント、コンサルタント&プロダクトマネージャ、テクノロジスト、データサイエンティスト、エクスペリエンスアーキテクトのDXに注力した5つの専門領域
b. 社内副業による越境学習
21.3期より、本業以外での経験を積むことによるスキルアップ、および、適所適材を実現させることを目的として、社内副業制度を導入しました。「自分の専門性を磨く場が欲しい」「他の部署を経験したい」という社員からの声がありましたが、会社指示による数年ごとの定期異動や兼務という方法が主で、希望に沿った柔軟な対応が困難でした。「社内副業制度」を導入することで、社員は自らの希望でKDDI社内・KDDIグループ内の募集業務に手を挙げ、定期異動と比較してより速く、より柔軟に新しい場への挑戦が可能になります。
副業業務は、「QRコード決済アプリの改善」や「ICT/IoTを用いた地域課題の解決」等、幅広くラインアップされています。社内副業制度は社員の専門性の探索や新たなスキルの習得を加速させるとともに、組織の壁を超えた人財シナジーによるイノベーション創出の機会を増やすことにつながっています。

[社員エンゲージメント(社内環境整備方針に関する取り組み)]
a. エンゲージメントサーベイ結果の活用促進
四半期ごとに社員エンゲージメントサーベイを実施しています。総合エンゲージメントスコアは、現在のサーベイを開始した20.3期以降、上昇を続け、22.3期以降はサステナビリティ中期目標である「72以上」を維持しています。特に、「人間関係」「支援」「承認」のキードライバーが改善されており、これは上司とメンバーの定期的な1on1による信頼関係の構築や業務・キャリア形成の支援が影響していると考えています。また、エンゲージメントデータの分析体制を整備することで、人事制度や働き方の施策検討におけるサーベイ結果の活用を進めています。今後は、さらなるエンゲージメント向上を目指し、デモグラフィック別の分析を強化すると同時に、リーダー向けの研修や職場ごとの分析環境整備にも取り組み、全社と各職場双方で活動を推進していきます。

サーベイ開始当初から課題となっていた「挑戦する風土」は改善の傾向を示しています。1on1を通じて、チーム内の心理的安全性の土台形成がなされたこと、本人の挑戦を促すような対話がされたこと、新人事制度導入により個々の挑戦に報いる評価へと転換したことが要因であると分析しています。
b.社内カウンセラーによる全社員面談
社員からの自発的な申告なしには社員の心身の不調を把握することが難しいという課題を解決するため、従来の相談窓口に来る社員を待つ受け身の対応ではなく、会社側から全社員へ能動的に話を聴く仕組みとして、上司以外の第三者である社内カウンセラーによる半期ごとの全社員面談を20.3期から実施しています。面談の目的は①メンタルヘルス不調の早期発見、②適切な勤務管理の徹底、③健全な職場環境の構築です。社内カウンセラーは24.3期末時点で39人おり、多くがライン長経験者や資格保有者など豊富な知見と経験を持つエルダー公募による着任者です。面談の実施者を社外カウンセラーではなく社内カウンセラーとしたのは、KDDIの経営方針やフィロソフィ、組織風土、就業規則や社内ルールを理解している社員の方が良い聴き手になれるとの考えによります。経験豊富なベテラン社員が社内カウンセラーとしてさまざまな悩みを抱えている社員一人ひとりに寄り添って傾聴することで安心感を与え、メンタルヘルス不調の早期発見だけではなく、キャリア形成支援にも良い効果を発揮しています。また、社内カウンセラー自身も社員が前向きに取り組むための支援にやりがいを感じており、誰もが生き生きと働ける職場の実現に向けて、さまざまな社員の活性化に着実につながっています。

c.KDDIグループ健康経営宣言
KDDIグループは、社員が幸せで、活力ある企業であり続けるためには、社員の「健康」が重要な経営課題と捉えています。「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」の企業理念のもと、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進し、豊かな未来に挑戦し続けることを宣言しています。
今後も、KDDIグループは、社員が心身ともに健康で意欲をもって働く環境を作ることによって、社員一人ひとりの生産性を最大化し、KDDIグループの持続的成長、さらには、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。

「サステナビリティ経営」を根幹とし、新サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。
[KDDI Vison 2030の実現に向けて]
a.サステナブルな人財ポートフォリオの実現
事業環境が大きく変化し、DX、金融、エネルギーなど事業領域を広げる新サテライトグロース戦略を推進していく中では、これまで以上に多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことで、事業や組織機能の高度化につながるイノベーションを創出していく必要があります。そのためにも、専門性を持ち、自律したプロ人財が挑戦・成長し続けなければなりません。KDDIグループにおいて、個性と能力を発揮できる場所を見つけ、挑戦しながらスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦をしていきます。それぞれの領域のプロ人財が認め合い・高め合った結果、グループ全体でプロ人財を輩出し続ける“サステナブルな人財ポートフォリオ”を充足させることで、人財ファースト企業への変革を目指していきます。
b.社会をつなぐチカラの進化
「生きがい改革によるウェルビーイング向上」も人財ファースト企業として追求していく重要な要素です。仕事と生活の垣根がなくなりつつある「ワークライフインテグレーション」の時代においては、働き方や働きがいだけではなく、社員の“生きがい”追求にも取り組んでいく必要があります。生きがい改革を通じてKDDIはさらに魅力的な会社となり、お客さま・パートナー企業・労働市場とのエンゲージメントを高められ、愛され信頼され続ける会社となることを目指しています。

[人事戦略(人材育成方針および社内環境整備方針)]
a.三位一体改革
人財ファースト企業への変革を実現させるために、三位一体改革(①新人事制度の浸透、②KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成、③社員エンゲージメント向上)」を21.3期から進めてきました。その中核に据えている「KDDI版ジョブ型人事制度」では、全ての社員が既存の通信事業で培った経験も活かしながら、新たな領域でも通用する能力を積極的に身に付け、社外でも通用するプロ人財となることを目指しています。

[新人事制度の浸透(人材育成方針および社内環境整備方針に関する取り組み)]
a. 事業戦略遂行に資する人財ポートフォリオ
新サテライトグロース戦略の展開に伴う事業ポートフォリオの組み換えに対して、事業戦略遂行に必要な人財力の質的・量的な充足を図るため、内部で人員をシフトさせ、外部から確保しなければなりません。そのために人財力のあるべき姿と現状のギャップを捉えた人財ポートフォリオを構築することを計画しています。
人財ポートフォリオの中では、KDDI全社員のスキルの発揮状況を数値化して捉えることができます。KDDIにおける30の専門領域に対して、職務役割・職務内容により細分化した“ジョブ”を定義し、各ジョブの遂行に必要なスキルも定義した上で、それぞれのスキルに対するアセスメントを作成しています。アセスメントの結果を活用することで、各組織が目指す姿に対して、現状のスキルの発揮状況とのギャップ(質・量)の把握に取り組んでいます。
また、性別、年齢や経歴などの情報も人財ポートフォリオで一元的に管理することで、組織と人の最適な組み合わせをデータで導くことができるようになります。これらの取り組みにより、人財シフトをより活性化させ、事業戦略と人事戦略の結びつきを強化していきます。
b.キャリア自律の促進
社員の主体的なキャリア実現に向けた個人の能力開発や成長支援のため、上司とメンバーによる定期的な1on1を実施しています。1on1の実施頻度や内容とエンゲージメントスコアとに相関があることも分かっており、上司のキャリア支援力向上に向け、全ライン長を対象としたキャリアマネジメント研修を実施しています。年1回の「キャリアプラン申告」は、自身の今後のキャリアについて考え、上司との1on1で具体的なアクションについて対話し、キャリア開発の方向性や業務アサイン変更、社内副業・人財公募の案件紹介などについて双方で検討する場となっています。
社員のキャリア情報を蓄積、見える化したタレントマネジメントシステム「X-Career」を導入しています。広範な事業領域を活用した社員の多様な成長・挑戦機会を積極的に支援するシステムで、社員一人ひとりがキャリアを拡大、深耕し、個々のキャリアが融合することでイノベーションを創出することを目的としています。グループ全体で人財の流動化を促進し、グループ内/外への出向機会、キャリア実現のための異動機会、人財公募を拡大することで、社員の自律的なキャリア形成を促進していきます。

c. 多様な人財の活躍促進
人財多様性の実現のステップの第一歩として、ジェンダーギャップ解消に取り組んでいます。社員エンゲージメントサーベイの結果は全体的に女性のスコアがやや低い傾向にあります。平等な対応をするだけではギャップを縮めることができないため、形式的に平等な対応をすることに留まらず、ジェンダーに由来する不公平な障壁を取り払い、スタート地点を合わせるための支援を強化しています。
女性経営基幹職の構成比率に関する数値目標達成に向けて、本部長層の意識改革を目的とした「アンコンシャス・バイアス研修」や、女性リーダーの実体験を聞くことができる「女性経営基幹職とのラウンドテーブル」、DE&Iと女性活躍の必要性を浸透させるための全社員を対象としたeラーニング研修など、多様な人財が能力を活かし、高いパフォーマンスを発揮するための組織風土改革と環境整備に取り組んでいます。また、女子学生を対象としたセミナーやインターンシップの実施などを通して、採用の段階から女性の比率を増加することを目指しています。
さらに、男性社員の育児休業取得を推進し、男性育児休業取得率100%も目指しています。そのためにも、男性社員とその家族を対象としたワークショップを継続的に実施しています。
[KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成(人材育成方針に関する取り組み)]
a.KDDI DX Universityによるリスキリング
イノベーション創出の源泉となるプロ人財の育成、社員のDXスキル向上を推進するため、21.3期に社内人財育成機関「KDDI DX University(KDU)」を設立しました。データ・テクノロジーを活用したビジネス変革を推進するために、全社員への受講を目指した「DX基礎スキル研修」を実施しています。加えて、DX関連の5領域※を対象に専門領域別の「DXコアスキル集中研修」「DX専門スキル研修」を実施しています。24.3期には、生成AI、Web3.0やデジタルツインの専門型研修も拡充する等、技術トレンドへ弾力的に対応しています。
※ビジネスディベロップメント、コンサルタント&プロダクトマネージャ、テクノロジスト、データサイエンティスト、エクスペリエンスアーキテクトのDXに注力した5つの専門領域
b. 社内副業による越境学習
21.3期より、本業以外での経験を積むことによるスキルアップ、および、適所適材を実現させることを目的として、社内副業制度を導入しました。「自分の専門性を磨く場が欲しい」「他の部署を経験したい」という社員からの声がありましたが、会社指示による数年ごとの定期異動や兼務という方法が主で、希望に沿った柔軟な対応が困難でした。「社内副業制度」を導入することで、社員は自らの希望でKDDI社内・KDDIグループ内の募集業務に手を挙げ、定期異動と比較してより速く、より柔軟に新しい場への挑戦が可能になります。
副業業務は、「QRコード決済アプリの改善」や「ICT/IoTを用いた地域課題の解決」等、幅広くラインアップされています。社内副業制度は社員の専門性の探索や新たなスキルの習得を加速させるとともに、組織の壁を超えた人財シナジーによるイノベーション創出の機会を増やすことにつながっています。

[社員エンゲージメント(社内環境整備方針に関する取り組み)]
a. エンゲージメントサーベイ結果の活用促進
四半期ごとに社員エンゲージメントサーベイを実施しています。総合エンゲージメントスコアは、現在のサーベイを開始した20.3期以降、上昇を続け、22.3期以降はサステナビリティ中期目標である「72以上」を維持しています。特に、「人間関係」「支援」「承認」のキードライバーが改善されており、これは上司とメンバーの定期的な1on1による信頼関係の構築や業務・キャリア形成の支援が影響していると考えています。また、エンゲージメントデータの分析体制を整備することで、人事制度や働き方の施策検討におけるサーベイ結果の活用を進めています。今後は、さらなるエンゲージメント向上を目指し、デモグラフィック別の分析を強化すると同時に、リーダー向けの研修や職場ごとの分析環境整備にも取り組み、全社と各職場双方で活動を推進していきます。

サーベイ開始当初から課題となっていた「挑戦する風土」は改善の傾向を示しています。1on1を通じて、チーム内の心理的安全性の土台形成がなされたこと、本人の挑戦を促すような対話がされたこと、新人事制度導入により個々の挑戦に報いる評価へと転換したことが要因であると分析しています。
b.社内カウンセラーによる全社員面談
社員からの自発的な申告なしには社員の心身の不調を把握することが難しいという課題を解決するため、従来の相談窓口に来る社員を待つ受け身の対応ではなく、会社側から全社員へ能動的に話を聴く仕組みとして、上司以外の第三者である社内カウンセラーによる半期ごとの全社員面談を20.3期から実施しています。面談の目的は①メンタルヘルス不調の早期発見、②適切な勤務管理の徹底、③健全な職場環境の構築です。社内カウンセラーは24.3期末時点で39人おり、多くがライン長経験者や資格保有者など豊富な知見と経験を持つエルダー公募による着任者です。面談の実施者を社外カウンセラーではなく社内カウンセラーとしたのは、KDDIの経営方針やフィロソフィ、組織風土、就業規則や社内ルールを理解している社員の方が良い聴き手になれるとの考えによります。経験豊富なベテラン社員が社内カウンセラーとしてさまざまな悩みを抱えている社員一人ひとりに寄り添って傾聴することで安心感を与え、メンタルヘルス不調の早期発見だけではなく、キャリア形成支援にも良い効果を発揮しています。また、社内カウンセラー自身も社員が前向きに取り組むための支援にやりがいを感じており、誰もが生き生きと働ける職場の実現に向けて、さまざまな社員の活性化に着実につながっています。

c.KDDIグループ健康経営宣言
KDDIグループは、社員が幸せで、活力ある企業であり続けるためには、社員の「健康」が重要な経営課題と捉えています。「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」の企業理念のもと、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進し、豊かな未来に挑戦し続けることを宣言しています。
今後も、KDDIグループは、社員が心身ともに健康で意欲をもって働く環境を作ることによって、社員一人ひとりの生産性を最大化し、KDDIグループの持続的成長、さらには、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
