有価証券報告書-第40期(2025/04/01-2026/03/31)
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営理念
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、創業以来一貫して情報革命を通じた人類と社会への貢献を推進してきました。情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業に取り組み、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ、企業価値の最大化に取り組んでいます。
(2) マテリアリティ(重要課題)
当社は、上記の経営理念・ビジョンと成長戦略「Activate AI for Society」を結びつける6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。これらは、当社の企業価値向上と持続可能な社会の実現の両立に向け、優先的に取り組むべき課題と位置づけています。各マテリアリティ(重要課題)の概要については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略 (b)マテリアリティの特定 d. 指標と目標」をご参照ください。
(3) 経営方針
a. 中期経営計画(2026年度〜2030年度)
当社は、2030年度にありたい姿として長期ビジョン「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を掲げています。2023年度から2025年度までの中期経営計画においては、通信事業の収益基盤の強化と非通信事業の成長を通じて、事業基盤の再構築を進めてきました。これに続く2026年度から2030年度までの中期経営計画では、さらなる事業成長を推進するとともに、次世代社会インフラの実現を目指します。
b. 事業戦略
当社グループは、成長戦略「Activate AI for Society」を掲げています。全ての事業でAIの可能性を起動させ、社会への実装を推進し、企業価値の最大化を目指します。

(a) 通信事業のさらなる成長
当社グループの事業基盤である通信事業では、継続的なモバイルサービス売上の増収とセグメント利益の増益を目指すとともに、快適かつ強靭なネットワークの提供を通じて競争力の強化を図ります。
ⅰ.継続的なモバイルサービス売上の増収とセグメント利益の増益
魅力的な付加価値サービスを提供する料金プランの浸透を進めるとともに、グループ経済圏を活用し、長期利用が期待できるユーザー層の獲得と定着を図ることで、モバイルサービス売上の継続的な増収と、セグメント利益の継続的な増益を目指します。
ⅱ.快適かつ強靭なネットワークの構築を通じた競争力の強化
5G SA(スタンドアローン)エリアの拡大などによるネットワークの高度化を進めるほか、自律的に最適なサービスを提供するネットワークに向けてAIとの融合に取り組むことで、ユーザー体感を重視した快適なネットワークの構築を目指します。加えて、衛星通信サービスやLTA(Lighter Than Air)型(注1)HAPS(注2)(空飛ぶ基地局)を活用し、災害時などにおける通信の確保に取り組むことで、より強靭なネットワークの構築を図ります。
(注)1.LTA(Lighter Than Air)型:空気よりも軽いヘリウムガスを利用した方式。
2.HAPS(High Altitude Platform Station):成層圏において長期間滞空する通信プラットフォームを運用し、広域エリアに通信サービスを提供するシステムの総称。
(b) クラウド・AI領域の伸長などを通じたエンタープライズ事業の成長
当社グループは、企業のDX需要の高度化や生成AI活用の急速な進展を背景に、エンタープライズ事業のさらなる成長を目指します。
基盤となる事業である法人顧客向け通信サービスにおいては、顧客のニーズに応じた付加価値を提供することで安定的な成長を維持します。この強固な顧客基盤を土台として、DXソリューションをさらに高度化させながら、注力しているクラウド・AI領域でさらなる成長を目指します。
具体的には、最先端のGPUを搭載した国内最大規模のAI計算基盤やAIデータセンター、機微データを国内で安全に管理・運用するソブリンクラウドなど、インフラ層の整備を行うことに加え、企業向け最先端AIである「Crystal intelligence」をはじめとする高付加価値なAIサービスの展開に注力します。 これらを通じて、企業におけるAIの実装およびデータの利活用ニーズに対し、柔軟にサービスを提供することで、顧客基盤の拡大と顧客1社当たりの取引額(ARPA)拡大を推進し、事業全体の収益性向上を図ります。
(c) メディア・EC事業の成長
当社グループはメディア・EC事業において、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」など、国内最大級のユーザー基盤を有するインターネットサービスを提供しています。同事業では、検索やニュース、オンラインショッピングなど、多様なサービスを展開しています。
ⅰ.メディア領域の拡大
インターネット広告などを扱うメディア領域では、グループの技術やアセットを活用した配信精度の向上などにより広告単価を高めることで、既存広告の売上の最大化を図ります。加えて、データの連携によるマーケティング分析の強化やコミュニケーションアプリを通じたリピート購入の促進により、新規顧客の獲得から継続的な利用の促進まで一貫したマーケティング支援を行うことで、さらなる売上成長を目指します。
また、「LINE公式アカウント」と法人向けサービスを連携し、オンライン・オフラインを問わず顧客接点を一気通貫でつなぐプラットフォーム「Connect One」構想を推し進めることで、顧客との継続的な関係構築を支援し、広告にとどまらない収益機会の拡大を目指します。さらに、「LINEミニアプリ」の活用により、予約・注文・決済・会員化等のサービス連携を強化し、利用者接点からトランザクションまでを一体的に提供することで、新たな収益基盤の確立を図ります。
加えて、グループ横断の有料会員サービス「LYPプレミアム」を通じて、「LINE」や「Yahoo! JAPAN」をはじめとするグループサービスのクロスユースを促進し、会員基盤およびサービス利用の拡大を目指します。
ⅱ.コマース領域の成長
オンラインショッピングなどを扱うコマース領域では、ユーザーのニーズが多様化する中、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」など、特長の異なる複数のコマースサービスを展開することで幅広いユーザーの取り込みを図っています。引き続き、「LINE」「Yahoo! JAPAN」「PayPay」という国内最大級のユーザー基盤を持つグループサービスの相互利用をさらに促進し、グループ経済圏を拡大することで、収益の持続的な成長を目指します。
また、2025年度下期から段階的に実施している「LINE」アプリのリニューアルにおいて、新たに「ショッピング」タブを追加することで、メッセンジャーアプリを起点とした購入体験を提供します。「LINE」アプリのリニューアルを通じて、「LINE」の利便性向上と、さらなるクロスユースの促進強化に取り組みます。
ⅲ.セキュリティガバナンスの確保
メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者として、個人情報の保護をはじめとするセキュリティガバナンスの確保を重視しています。当社は、同社の親会社として、定期的なリスク状況の評価や緊急事態発生時の連絡体制の強化など、実効的なセキュリティガバナンスの確保に向けた取り組みを進めています。
なお、LINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏えいに関して、2023年度に総務省から行政指導を、個人情報保護委員会から勧告および報告等の求めを受け、また2024年度においても総務省から追加の行政指導を受けました。これを受けて、同社は再発防止策を推進し、2026年3月末をもってNAVER社およびNAVER Cloud社とのシステム分離やプライベートネットワーク分離を完了するなど、策定した主要な対応を完了しています。
また、昨今はランサムウェア等による被害が深刻化しており、事業継続性に直結する脅威となっています。2025年10月には、LINEヤフー㈱の連結子会社であるアスクル㈱において、ランサムウェア攻撃によるシステム障害が発生し、一部事業活動に影響が生じました。当社は、こうした脅威の拡大やグループ会社における事案の発生を踏まえ、事業継続性の確保に向け、データ保全や復旧手順の検証をはじめとする対策をグループ会社と連携して進めています。
(d) ファイナンス事業の成長
ファイナンス事業には、PayPay㈱およびその子会社であるPayPayカード㈱、PayPay銀行㈱、PayPay証券㈱が含まれます。また、決済代行サービスを提供するSBペイメントサービス㈱等も含まれます。
ファイナンス事業の中核を担うPayPay㈱は、コード決済を基盤として、カード、銀行、証券等の金融サービスとの連携を深めることにより、利便性の高いデジタル金融プラットフォームの構築を進めています。同社は、決済領域における利用拡大、金融サービス領域におけるサービス利用の拡大および決済領域と金融サービス領域の連携強化を通じて、収益源の多角化と持続的な利益成長を図ります。なお、PayPay㈱は2026年3月12日に米ナスダック市場に上場しました。同社はこれを機に、国外における事業機会を追求するとともに、国内における新たなサービス展開を検討していきます。
ⅰ.決済領域における成長と収益性の向上
オフライン・オンライン双方における利用機会の拡大、効率的なプロモーションおよび「PayPay」のプラットフォーム価値の向上により、月間取引ユーザー数(注)(MTU)の増大と決済回数の最大化を目指します。加えて、PayPayカード㈱との連携強化を通じて「PayPayクレジット」の浸透を加速させることで、決済取扱高の拡大を推進するとともに、金利収入の拡大を図り、収益性の継続的な向上を実現します。
(注)1ヶ月に1回以上、決済を行ったユニークユーザー数。「PayPay残高」、「PayPayデビット」、「PayPay残高カード」、「PayPayクレジット」、「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済を含みます。ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含みません。
ⅱ.金融サービス領域における成長加速
2025年4月に完了したPayPay㈱によるPayPay銀行㈱およびPayPay証券㈱の子会社化を通じて、決済・銀行・証券が一体となった金融プラットフォームの構築を推進します。具体的には、「PayPay」アプリ内における銀行・証券サービスのUI/UXを高度化し、決済と金融の各機能をよりシームレスに連携させることで、預金、貸出、証券口座等の拡大に努めます。加えて、決済データ等を活用した与信モデルの高度化により、個人向けローンや加盟店向け融資の提供拡大を通じた収益力の強化を図ります。さらに、決済サービスと金融サービスの連携を強化し、ユーザーの利便性および金融サービスの利用率向上を通じて、ユーザー当たりの収益性の向上、収益源の多角化および持続的な利益成長を推進します。
(e) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、通信、eコマース、決済、SNSといった複数の事業領域で培った顧客基盤や事業基盤を活用し、今後の成長が見込まれる分野において新規事業の創出・拡大を目指します。AI、FinTech、モビリティ、ヘルスケア、エネルギーなどの領域において、最先端テクノロジーを活用した新たな事業機会の創出に取り組みます。その一環として、日本語に特化したLLM「Sarashina」や「HAPS(空飛ぶ基地局)」の開発を進めるとともに、革新型バッテリーの事業化などに取り組みます。
(f) コスト効率化
当社グループは、事業投資を機動的に実施する一方で、コストの効率化に継続的に取り組みます。コールセンター業務やネットワーク運用・監視業務の自動化などを始め、あらゆる領域でAIの活用を検討し、さらなる業務の効率化を図ります。また、PHS・3GサービスやADSLサービスの終了などに合わせ、通信設備の最適化を継続します。加えて、グループ企業との共同購買や、グループ企業を活用した業務の内製化などを推進し、グループ全体のコスト効率化を図ります。
c. 財務戦略
ⅰ.財務運営の基本方針
当社グループは、「中長期的な成長」と「株主還元」の両方を重視する方針の下、2026年度から2028年度までの3年間累計(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱等を除く)におけるキャピタル・アロケーションの方針に基づき、財務運営を行っています。具体的には、主に通信事業からの安定的な営業キャッシュ・フローにより、通信関連の設備投資(注)および配当総額を賄うとともに、AI関連事業等の収益化により追加的な投資余力や財務改善原資の確保につなげていきます。その上で、財務健全性と資本効率性の両立を追求しつつ、AI関連をはじめとする戦略的投資を実行し、中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
(注)基地局設置のための土地・建物のリース料の支払いを含みます。
ⅱ.株主還元方針
当社では、中長期的な企業価値の向上を図るとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。詳細は、「剰余金の配当等の決定に関する方針」をご参照ください。
(1) 経営理念
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、創業以来一貫して情報革命を通じた人類と社会への貢献を推進してきました。情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業に取り組み、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ、企業価値の最大化に取り組んでいます。
(2) マテリアリティ(重要課題)
当社は、上記の経営理念・ビジョンと成長戦略「Activate AI for Society」を結びつける6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。これらは、当社の企業価値向上と持続可能な社会の実現の両立に向け、優先的に取り組むべき課題と位置づけています。各マテリアリティ(重要課題)の概要については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略 (b)マテリアリティの特定 d. 指標と目標」をご参照ください。
(3) 経営方針
a. 中期経営計画(2026年度〜2030年度)
当社は、2030年度にありたい姿として長期ビジョン「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を掲げています。2023年度から2025年度までの中期経営計画においては、通信事業の収益基盤の強化と非通信事業の成長を通じて、事業基盤の再構築を進めてきました。これに続く2026年度から2030年度までの中期経営計画では、さらなる事業成長を推進するとともに、次世代社会インフラの実現を目指します。
b. 事業戦略
当社グループは、成長戦略「Activate AI for Society」を掲げています。全ての事業でAIの可能性を起動させ、社会への実装を推進し、企業価値の最大化を目指します。

(a) 通信事業のさらなる成長
当社グループの事業基盤である通信事業では、継続的なモバイルサービス売上の増収とセグメント利益の増益を目指すとともに、快適かつ強靭なネットワークの提供を通じて競争力の強化を図ります。
ⅰ.継続的なモバイルサービス売上の増収とセグメント利益の増益
魅力的な付加価値サービスを提供する料金プランの浸透を進めるとともに、グループ経済圏を活用し、長期利用が期待できるユーザー層の獲得と定着を図ることで、モバイルサービス売上の継続的な増収と、セグメント利益の継続的な増益を目指します。
ⅱ.快適かつ強靭なネットワークの構築を通じた競争力の強化
5G SA(スタンドアローン)エリアの拡大などによるネットワークの高度化を進めるほか、自律的に最適なサービスを提供するネットワークに向けてAIとの融合に取り組むことで、ユーザー体感を重視した快適なネットワークの構築を目指します。加えて、衛星通信サービスやLTA(Lighter Than Air)型(注1)HAPS(注2)(空飛ぶ基地局)を活用し、災害時などにおける通信の確保に取り組むことで、より強靭なネットワークの構築を図ります。
(注)1.LTA(Lighter Than Air)型:空気よりも軽いヘリウムガスを利用した方式。
2.HAPS(High Altitude Platform Station):成層圏において長期間滞空する通信プラットフォームを運用し、広域エリアに通信サービスを提供するシステムの総称。
(b) クラウド・AI領域の伸長などを通じたエンタープライズ事業の成長
当社グループは、企業のDX需要の高度化や生成AI活用の急速な進展を背景に、エンタープライズ事業のさらなる成長を目指します。
基盤となる事業である法人顧客向け通信サービスにおいては、顧客のニーズに応じた付加価値を提供することで安定的な成長を維持します。この強固な顧客基盤を土台として、DXソリューションをさらに高度化させながら、注力しているクラウド・AI領域でさらなる成長を目指します。
具体的には、最先端のGPUを搭載した国内最大規模のAI計算基盤やAIデータセンター、機微データを国内で安全に管理・運用するソブリンクラウドなど、インフラ層の整備を行うことに加え、企業向け最先端AIである「Crystal intelligence」をはじめとする高付加価値なAIサービスの展開に注力します。 これらを通じて、企業におけるAIの実装およびデータの利活用ニーズに対し、柔軟にサービスを提供することで、顧客基盤の拡大と顧客1社当たりの取引額(ARPA)拡大を推進し、事業全体の収益性向上を図ります。
(c) メディア・EC事業の成長
当社グループはメディア・EC事業において、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」など、国内最大級のユーザー基盤を有するインターネットサービスを提供しています。同事業では、検索やニュース、オンラインショッピングなど、多様なサービスを展開しています。
ⅰ.メディア領域の拡大
インターネット広告などを扱うメディア領域では、グループの技術やアセットを活用した配信精度の向上などにより広告単価を高めることで、既存広告の売上の最大化を図ります。加えて、データの連携によるマーケティング分析の強化やコミュニケーションアプリを通じたリピート購入の促進により、新規顧客の獲得から継続的な利用の促進まで一貫したマーケティング支援を行うことで、さらなる売上成長を目指します。
また、「LINE公式アカウント」と法人向けサービスを連携し、オンライン・オフラインを問わず顧客接点を一気通貫でつなぐプラットフォーム「Connect One」構想を推し進めることで、顧客との継続的な関係構築を支援し、広告にとどまらない収益機会の拡大を目指します。さらに、「LINEミニアプリ」の活用により、予約・注文・決済・会員化等のサービス連携を強化し、利用者接点からトランザクションまでを一体的に提供することで、新たな収益基盤の確立を図ります。
加えて、グループ横断の有料会員サービス「LYPプレミアム」を通じて、「LINE」や「Yahoo! JAPAN」をはじめとするグループサービスのクロスユースを促進し、会員基盤およびサービス利用の拡大を目指します。
ⅱ.コマース領域の成長
オンラインショッピングなどを扱うコマース領域では、ユーザーのニーズが多様化する中、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」など、特長の異なる複数のコマースサービスを展開することで幅広いユーザーの取り込みを図っています。引き続き、「LINE」「Yahoo! JAPAN」「PayPay」という国内最大級のユーザー基盤を持つグループサービスの相互利用をさらに促進し、グループ経済圏を拡大することで、収益の持続的な成長を目指します。
また、2025年度下期から段階的に実施している「LINE」アプリのリニューアルにおいて、新たに「ショッピング」タブを追加することで、メッセンジャーアプリを起点とした購入体験を提供します。「LINE」アプリのリニューアルを通じて、「LINE」の利便性向上と、さらなるクロスユースの促進強化に取り組みます。
ⅲ.セキュリティガバナンスの確保
メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者として、個人情報の保護をはじめとするセキュリティガバナンスの確保を重視しています。当社は、同社の親会社として、定期的なリスク状況の評価や緊急事態発生時の連絡体制の強化など、実効的なセキュリティガバナンスの確保に向けた取り組みを進めています。
なお、LINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏えいに関して、2023年度に総務省から行政指導を、個人情報保護委員会から勧告および報告等の求めを受け、また2024年度においても総務省から追加の行政指導を受けました。これを受けて、同社は再発防止策を推進し、2026年3月末をもってNAVER社およびNAVER Cloud社とのシステム分離やプライベートネットワーク分離を完了するなど、策定した主要な対応を完了しています。
また、昨今はランサムウェア等による被害が深刻化しており、事業継続性に直結する脅威となっています。2025年10月には、LINEヤフー㈱の連結子会社であるアスクル㈱において、ランサムウェア攻撃によるシステム障害が発生し、一部事業活動に影響が生じました。当社は、こうした脅威の拡大やグループ会社における事案の発生を踏まえ、事業継続性の確保に向け、データ保全や復旧手順の検証をはじめとする対策をグループ会社と連携して進めています。
(d) ファイナンス事業の成長
ファイナンス事業には、PayPay㈱およびその子会社であるPayPayカード㈱、PayPay銀行㈱、PayPay証券㈱が含まれます。また、決済代行サービスを提供するSBペイメントサービス㈱等も含まれます。
ファイナンス事業の中核を担うPayPay㈱は、コード決済を基盤として、カード、銀行、証券等の金融サービスとの連携を深めることにより、利便性の高いデジタル金融プラットフォームの構築を進めています。同社は、決済領域における利用拡大、金融サービス領域におけるサービス利用の拡大および決済領域と金融サービス領域の連携強化を通じて、収益源の多角化と持続的な利益成長を図ります。なお、PayPay㈱は2026年3月12日に米ナスダック市場に上場しました。同社はこれを機に、国外における事業機会を追求するとともに、国内における新たなサービス展開を検討していきます。
ⅰ.決済領域における成長と収益性の向上
オフライン・オンライン双方における利用機会の拡大、効率的なプロモーションおよび「PayPay」のプラットフォーム価値の向上により、月間取引ユーザー数(注)(MTU)の増大と決済回数の最大化を目指します。加えて、PayPayカード㈱との連携強化を通じて「PayPayクレジット」の浸透を加速させることで、決済取扱高の拡大を推進するとともに、金利収入の拡大を図り、収益性の継続的な向上を実現します。
(注)1ヶ月に1回以上、決済を行ったユニークユーザー数。「PayPay残高」、「PayPayデビット」、「PayPay残高カード」、「PayPayクレジット」、「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済を含みます。ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含みません。
ⅱ.金融サービス領域における成長加速
2025年4月に完了したPayPay㈱によるPayPay銀行㈱およびPayPay証券㈱の子会社化を通じて、決済・銀行・証券が一体となった金融プラットフォームの構築を推進します。具体的には、「PayPay」アプリ内における銀行・証券サービスのUI/UXを高度化し、決済と金融の各機能をよりシームレスに連携させることで、預金、貸出、証券口座等の拡大に努めます。加えて、決済データ等を活用した与信モデルの高度化により、個人向けローンや加盟店向け融資の提供拡大を通じた収益力の強化を図ります。さらに、決済サービスと金融サービスの連携を強化し、ユーザーの利便性および金融サービスの利用率向上を通じて、ユーザー当たりの収益性の向上、収益源の多角化および持続的な利益成長を推進します。
(e) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、通信、eコマース、決済、SNSといった複数の事業領域で培った顧客基盤や事業基盤を活用し、今後の成長が見込まれる分野において新規事業の創出・拡大を目指します。AI、FinTech、モビリティ、ヘルスケア、エネルギーなどの領域において、最先端テクノロジーを活用した新たな事業機会の創出に取り組みます。その一環として、日本語に特化したLLM「Sarashina」や「HAPS(空飛ぶ基地局)」の開発を進めるとともに、革新型バッテリーの事業化などに取り組みます。
(f) コスト効率化
当社グループは、事業投資を機動的に実施する一方で、コストの効率化に継続的に取り組みます。コールセンター業務やネットワーク運用・監視業務の自動化などを始め、あらゆる領域でAIの活用を検討し、さらなる業務の効率化を図ります。また、PHS・3GサービスやADSLサービスの終了などに合わせ、通信設備の最適化を継続します。加えて、グループ企業との共同購買や、グループ企業を活用した業務の内製化などを推進し、グループ全体のコスト効率化を図ります。
c. 財務戦略
ⅰ.財務運営の基本方針
当社グループは、「中長期的な成長」と「株主還元」の両方を重視する方針の下、2026年度から2028年度までの3年間累計(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱等を除く)におけるキャピタル・アロケーションの方針に基づき、財務運営を行っています。具体的には、主に通信事業からの安定的な営業キャッシュ・フローにより、通信関連の設備投資(注)および配当総額を賄うとともに、AI関連事業等の収益化により追加的な投資余力や財務改善原資の確保につなげていきます。その上で、財務健全性と資本効率性の両立を追求しつつ、AI関連をはじめとする戦略的投資を実行し、中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
(注)基地局設置のための土地・建物のリース料の支払いを含みます。
ⅱ.株主還元方針
当社では、中長期的な企業価値の向上を図るとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。詳細は、「剰余金の配当等の決定に関する方針」をご参照ください。