有価証券報告書-第39期(2024/04/01-2025/03/31)
c.戦略
当社は、基地局設備をはじめ、多くの電力を使用する通信事業を行っており、気候変動のリスクを大きく受ける可能性があると認識しています。当社は、気候変動が当社に及ぼすリスク・機会を把握するとともに、持続可能な成長実現のための戦略の検討を行っています。
(a)シナリオ分析
気候変動により将来起こりうる事象に適応するための戦略を勘案し、急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオと気候変動対策が進まず温暖化が進行する3-4℃シナリオの2つのシナリオ分析を当事業年度に行い、バリューチェーン上流・下流を含む事業に与える財務的影響を確認しました。
(シナリオ分析の前提条件)
シナリオ分析においては、国際的に認知され、信頼性の高いシナリオを使用しました。詳細は以下の通りです。
(注1) IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)
(注2) Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
(注3) 中期経営計画と同等の時間軸
(b)気候変動関連のリスク・機会
上記の状況を踏まえ、当社の気候関連のリスク・機会を洗い出し、IEAやIPCCなどのシナリオを参考にシナリオ分析を実施した結果、当社として以下のリスクと機会を特定しました。
(c)気候変動のリスク・機会の財務的影響
気象災害の激化に伴う基地局設備などの復旧コスト増加
生物多様性の損失による森林の防災機能の低下や、地球温暖化の進行による自然災害の頻発・激甚化に伴う基地局など通信設備の災害対策や復旧によるコスト増、バリューチェーンの断絶による調達への影響、ビジネス機会損失、被災設備による近隣被害の誘発などを潜在的リスクと認識しています。
過去のコストを参考に、将来の財務的影響を分析した結果、気温上昇が進行し、大雨の頻度が上昇したとしても、復旧コストの増加幅は限定的であり、財務的な影響は相対的に小さいと考えています。
当事業年度は、台風や線状降水帯の発生回数の増加に伴い、発生確率が上昇傾向にある洪水被害への適応策として、設備破損リスク低減、広域停電時におけるサービスの安定的に継続するために、基地局やネットワークセンターの自然災害対策として19億円を投資しました。具体的には、移動型基地局や可搬型基地局、バッテリーのリプレイスおよび保守対応、可搬型発電機の配備などへの投資が含まれています。その他、災害復旧費用として3億円を計上しました。
当社では、気候変動による影響について、把握可能な事項から開示を進めています(段階的に拡充予定)。
当社は、基地局設備をはじめ、多くの電力を使用する通信事業を行っており、気候変動のリスクを大きく受ける可能性があると認識しています。当社は、気候変動が当社に及ぼすリスク・機会を把握するとともに、持続可能な成長実現のための戦略の検討を行っています。
(a)シナリオ分析
気候変動により将来起こりうる事象に適応するための戦略を勘案し、急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオと気候変動対策が進まず温暖化が進行する3-4℃シナリオの2つのシナリオ分析を当事業年度に行い、バリューチェーン上流・下流を含む事業に与える財務的影響を確認しました。
(シナリオ分析の前提条件)
シナリオ分析においては、国際的に認知され、信頼性の高いシナリオを使用しました。詳細は以下の通りです。
| 気温上昇 推定値 | 採用シナリオ | 将来の世界観 | 時間軸 |
| 1.5℃ | ・IEA WEO 2024(注1) (Net Zero Emission by 2050:NZE / Stated Policies Scenario:STEPS) ・IPCC(注2) (SSP1-1.9) | 脱炭素の取り組みが加速し、ネットゼロの実現に向けて各国で炭素税の導入が進んでいる。日本では、2020年度と比較して気温が0.5℃上昇し、猛暑日も増加傾向にある。これに伴い、オフィスや店舗、データセンターなどの空調関連の電気使用量が増加している。 | 短期:数年以内 中期:3~5年程度(注3) 長期:10年~30年程度 |
| 3-4℃ | ・IEA WEO 2024 (Stated Policies Scenario:STEPS) ・IPCC(SSP5-8.5) | 炭素税の導入が進まず、低価格で推移している。日本では、2020年度と比較して気温が1.6℃上昇し、猛暑日は約6.9日増加した。これに伴い空調需要がさらに高まり、オフィス、店舗、データセンターなどにおける空調関連の電力使用量が一層増加している。 |
(注1) IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)
(注2) Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
(注3) 中期経営計画と同等の時間軸
(b)気候変動関連のリスク・機会
上記の状況を踏まえ、当社の気候関連のリスク・機会を洗い出し、IEAやIPCCなどのシナリオを参考にシナリオ分析を実施した結果、当社として以下のリスクと機会を特定しました。
| 識別したリスク・機会 | 想定される主な リスク・機会の内容 | 対応策 | ||
| 物理的リスク | 急性 | 自然災害激化による被害拡大 | 気象災害の激化に伴う基地局設備などの復旧コスト増加 | ・電源強化、発電機の配備強化、バッテリー増強 ・アンテナ支持柱の耐風圧向上 ・基幹ネットワークの冗長化 ・成層圏での高高度通信ネットワークの構築 |
| 地上の通信インフラの被災リスクの高まり | ・成層圏での高高度通信ネットワークの構築 ・環境負荷の少ない通信インフラ「HAPS」の実装 | |||
| 気温上昇や台風、豪雨などの甚大化による基地局設備などの想定被害 | ・グリーンデータセンターを国内全域に分散する次世代社会インフラ構想の推進 | |||
| 慢性 | 気温上昇、水ストレス地域の拡大 | 空調電気使用料の増加によるコスト増 | ・省エネ設備への転換 ・AI、IoT活用による電力使用の効率化 | |
| 気候変動にともなう海面上昇や、気象災害による低地などの増水リスクへの対応のため、ソフトバンクショップを閉鎖することによる売上の減少 | ・各拠点の水ストレスの把握 ・オンラインショップの活用 | |||
| 半導体調達拠点において渇水に伴う水不足が発生し、半導体供給が遅延したことによるスマホや無線機の調達への影響、半導体調達コストの増加や調達減による製品売上の減少 | ・複数デバイスメーカーからの調達 ・デバイス販売に依存しないビジネスモデル構築 | |||
| 識別したリスク・機会 | 想定される主な リスク・機会の内容 | 対応策 | ||
| 移行リスク | 政策と法 | 炭素税導入、報告義務強化などの規制強化によるコスト増加 | 炭素税導入によるコスト増加 | ・ネットゼロ(スコープ1、2、3)達成(2050年度) ・カーボンニュートラル(スコープ1、2)達成(2030年度) |
| 規制強化対応のための再エネシフトによる電力調達コストの増加 | ||||
| 申告にかかるコストの増加 | ||||
| 技術 | 省エネ技術/AI/IoTなどの脱炭素に寄与する技術の進展 | 省エネ技術の導入遅延、移行による事業影響 | ・技術投資とR&D ・戦略的アライアンスや共同開発パートナーの構築 ・エネルギー効率化の徹底 | |
| 市場 | 低炭素・脱炭素市場の拡大、顧客の行動変化、嗜好変化 | 再生可能エネルギーの電力提供への投資コストの増加 | ・省エネ設備への転換 ・AI、IoT活用による電力使用の効率化 | |
| 評判 | ステークホルダーにおける低炭素・脱炭素嗜好の高まり | 脱炭素の取り組み不足と判断された場合のブランドイメージの低下による売上の減少、株価の低下 | ・再生可能エネルギー由来の電力の導入拡大、およびその活用状況の対外開示を通じた低炭素経営へのコミットメントの明確化 | |
| 機会 | 緩和 | 低炭素・脱炭素市場の拡大、顧客の行動変化、嗜好変化 | 再生可能エネルギーの電力提供機会の増加による売上増加 | ・再生可能エネルギーの電力提供推進 ・自然でんきの提供 ・「非化石証書代理購入サービス」の提供 |
| 環境意識の高まりによる、eコマース、シェアリングエコノミー関連ビジネスの拡大による売上増加 | ・オフィス用品などのグリーン商品の提供 ・シェアサイクルプラットフォームの提供 | |||
| 適応 | 極端な天気や災害の増加に伴うリスク管理の需要拡大、エネルギー供給の不安定さや温度上昇の対応が求められる中での新たなビジネス機会 | 災害時や熱波などによる影響を軽減するためのリモートサービスおよびeコマース市場の拡大 | ・テレワーク向けモバイルソリューション提供 | |
| エネルギー効率に優れたソリューション市場拡大 | ・AIとIoTを活用した省エネ・エネルギー最適化ソリューション提供 | |||
(c)気候変動のリスク・機会の財務的影響
気象災害の激化に伴う基地局設備などの復旧コスト増加
生物多様性の損失による森林の防災機能の低下や、地球温暖化の進行による自然災害の頻発・激甚化に伴う基地局など通信設備の災害対策や復旧によるコスト増、バリューチェーンの断絶による調達への影響、ビジネス機会損失、被災設備による近隣被害の誘発などを潜在的リスクと認識しています。
過去のコストを参考に、将来の財務的影響を分析した結果、気温上昇が進行し、大雨の頻度が上昇したとしても、復旧コストの増加幅は限定的であり、財務的な影響は相対的に小さいと考えています。
当事業年度は、台風や線状降水帯の発生回数の増加に伴い、発生確率が上昇傾向にある洪水被害への適応策として、設備破損リスク低減、広域停電時におけるサービスの安定的に継続するために、基地局やネットワークセンターの自然災害対策として19億円を投資しました。具体的には、移動型基地局や可搬型基地局、バッテリーのリプレイスおよび保守対応、可搬型発電機の配備などへの投資が含まれています。その他、災害復旧費用として3億円を計上しました。
当社では、気候変動による影響について、把握可能な事項から開示を進めています(段階的に拡充予定)。