有価証券報告書-第39期(2023/04/01-2024/03/31)
4. 資本及び資金調達
本項目ではNTTグループの資本管理及び資本構成、資金調達に関する項目について記載しています。
4.1.資本
(1)発行可能株式総数、発行済株式及び自己株式
当社が発行する株式は全て無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みです。
発行可能株式総数、発行済株式数及び自己株式数の推移
上記のほか、役員報酬BIP信託が保有する当社株式23,303,000株を連結財政状態計算書上、「自己株式」として処理しています。
株式分割
当社は、2023年5月12日開催の取締役会決議に基づき、2023年7月1日を効力発生日として、基準日である2023年6月30日の株主の保有する株式を1株につき25株の割合をもって株式分割を実施しています。なお、当該株式分割に伴い、連結財務諸表で表示される前連結会計年度及び当連結会計年度の1株当たり情報について、株式分割調整後の数値を表示しています。
役員報酬における業績連動型株式報酬(役員報酬BIP信託)
(1)取引の概要
NTTグループは、中期経営戦略における財務目標達成に向けた意欲を高めること、当社株保有の促進によ
り株主との利益共有を一層進めることを目的として、役員報酬BIP信託による業績連動型株式報酬制度(以
下、「本制度」)を導入しています。
本制度は、株式報酬の原資となる金銭を拠出した信託を設定し、信託が同金銭を原資として取得した当社
株式を業績目標の達成度等に応じて交付する制度です。
(2)本信託が保有する当社の株式
本信託が保有する当社株式の帳簿価額及び株式数は、当連結会計年度末において、2,698百万円、23,303,000株であり、連結財政状態計算書上、「自己株式」として処理しています。
主な当社の取締役会による発行済普通株式を対象とする自己株式の取得の決議と取得状況
(2)剰余金の分配
当連結会計年度末現在、当社における会社法上の剰余金の分配可能額は、1,923,893百万円です。剰余金の配当については、当該年度の財務諸表には計上されず、株主総会の承認を得た上で翌年度の財務諸表に計上しています。当連結会計年度における連結財務諸表の利益剰余金には、2024年6月20日開催の株主総会で承認された配当金が218,673百万円(1株当たり2.6円)含まれています。
①前連結会計年度及び当連結会計年度における配当金支払額
※1 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金65百万円が含まれています。
※2 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金62百万円が含まれています。
※3 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金62百万円が含まれています。
※4 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金58百万円が含まれています。
※5 1株当たり配当額については、株式分割調整後の金額を記載しています。
②基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
※6 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金61百万円が含まれています。
※7 1株当たり配当額については、株式分割調整後の金額を記載しています。
(3)資本管理
当社は、持続的な発展をめざすべく、利益成長に主眼を置きつつ、自己株式取得による資本効率の向上を図ります。当社が資本管理において用いる主な指標は以下になります。
・EPS(Earnings Per Share) : 基本的1株当たり当期利益
1株当たり当期利益については、「注記2.5.1株当たり利益」に記載しています。
(4)非支配持分へ付与されたプット・オプション
NTTグループが非支配持分の所有者に対して付与した子会社株式の売建プット・オプションについて、資本剰余金から減額されている金額は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ24,581百万円及び73,280百万円です。
(5)その他の資本の構成要素の内容
その他の資本の構成要素の内訳及び増減
非支配持分に含まれるその他の包括利益の内訳
(単位:百万円)
(6)その他の包括利益
その他の包括利益の内訳及び関連する税効果額の金額
(単位:百万円)
(7)非支配持分との資本取引
非支配持分との取引による資本剰余金の増減額
2022年5月9日、当社の取締役会は、株式会社エヌ・ティ・ティ・データとの更なる連携強化を進めていく観点から、市場買付により普通株式6,000万株又は1,000億円を上限として、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ株式を取得することを決議し、2022年10月から2023年2月にかけて普通株式49,672,800株を100,000百万円で取得しました。その結果、NTTグループの株式会社エヌ・ティ・ティ・データに対する持分比率が54.2%から57.8%に上昇し、前連結会計年度において資本剰余金が47,440百万円減少しました。この他、前連結会計年度において実施された、グローバル事業の再編における非支配持分との資本取引がNTTグループに与える財務的影響に重要性はありません。
(8)その他
2024年4月に「日本電信電話株式会社等に関する法律(以下、「NTT法」)の一部を改正する法律」が公布・施行され、剰余金処分の決議に係る認可は廃止となりましたが、新株の発行を含む特定の財務関連事項については、総務大臣の認可を得なければなりません。NTT法の詳細は「第2 事業の状況、3.事業等のリスク」に記載しています。
本項目ではNTTグループの資本管理及び資本構成、資金調達に関する項目について記載しています。
(会計方針) ① 金融資産 金融資産の認識、分類及び測定 金融資産は、契約当事者になった日に認識し、(a)償却原価で測定する金融資産、(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び(c)損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。 金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんど全てが移転している場合において、金融資産の認識を中止し、連結財政状態計算書から除いています。 (a)償却原価で測定する金融資産 貸付金等の負債性金融商品のうち、次の条件をともに満たすものを償却原価で測定する金融資産に分類しています。 ・契約上のキャッシュ・フローの回収を目的とする事業モデル※の中で保有している。 ※事業モデル:企業が金融資産からどのようにキャッシュ・フローを生み出しているのか(契約上のキャッシュ・フローの回収、金融資産の売却、又はその両方)を指す。 ・契約条件に基づいて、特定の日に元本及び利息のみのキャッシュ・フローを生じさせる。 償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引費用を加算して測定しています。なお、提供した財又はサービスに対する対価の支払時期等を考慮すると、貨幣の時間価値に重要性がないことから、重大な金融要素を含まない営業債権については、貨幣の時間価値を調整することなく取引価格で当初測定しています。 また、当初認識後は実効金利法に基づき算定した総額の帳簿価額から損失評価引当金を控除した償却原価で測定しています。 (b-1)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(負債性金融商品) 社債等の負債性金融商品のうち、次の条件をともに満たすものをその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。 ・契約上のキャッシュ・フローの回収と金融資産の売却の両方を目的とする事業モデルの中で保有している。 ・契約条件に基づいて、特定の日に元本及び利息のみのキャッシュ・フローを生じさせる。 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引費用を加算しています。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しています。その他の包括利益として認識した金額は、売却等により認識を中止した場合、その累計額を損益に振り替えています。 (b-2)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(資本性金融商品) 株式等の資本性金融商品のうち、売買目的ではないものは、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという選択(事後的な選択の変更は不可)を行うことが認められており、金融商品ごとに当該指定を行っています。 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引費用を加算して測定しています。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しています。「その他の資本の構成要素」に累積したその他の包括利益は、認識を中止した場合にその累積額を利益剰余金に振り替えており、損益には振り替えていません。なお、配当については損益として認識しています。 (c)損益を通じて公正価値で測定する金融資産 デリバティブ等の(a)(b-1)(b-2)以外の金融資産は、損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。 損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する取引費用は、発生時に損益として認識しています。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を損益として認識しています。 |
金融資産の減損 償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(負債性金融商品)、リース債権、契約資産及び金融保証契約並びに貸出コミットメントについて、下記に基づき、減損損失(損失評価引当金)の額を算定しています。 ・期末日時点で、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、報告日後12ヵ月以内に生じ得る債務不履行事象から生じると予想される信用損失(12ヵ月の予想信用損失)により損失評価引当金の額を算定しています。 ・期末日時点で、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品の予想存続期間にわたる全ての生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)により損失評価引当金の額を算定しています。 ただし、リース債権、並びに重大な金融要素を含まない営業債権及び契約資産については、上記に関わらず、常に全期間の予想信用損失により損失評価引当金の額を算定しています。 これらの予想信用損失の認識及び測定について下記のとおり行っています。 (i)営業債権及びその他の債権等(リース債権、契約資産を含む)に係る予想信用損失の測定 営業債権及びその他の債権等に係る予想信用損失については、延滞期間ごとに各債権を分類し、その延滞期間ごとの債務不履行率を算出したものをベースに、期末時点の各債権の残高に対する損失評価引当金を算定しています。 債務不履行率は、各債権の存続期間にわたる過去の信用損失の実績に基づいており、将来予測的な見積り(翌年度中の経済環境の悪化の確率を含む)による追加的な調整を加えています。 (ⅱ)その他の金融資産(負債証券、営業貸付金等)の債権に係る予想信用損失の測定 金融資産の信用リスクが当初認識後に著しく増大したかについて、合理的で裏付け可能な情報を考慮して決定しています。この情報には、過去の情報、社外格付、期日経過の情報の他、将来予測的な情報も含みます。 例えば債務者が以下の状況に該当した場合、信用リスクが当初認識後に著しく増大したと判断しています。 ・社外格付が投資不適格とされた場合 ・延滞期間が30日以上超過した場合 債務者が以下の状況に該当した場合、債務不履行が生じたと定義しています。 ・担保権を実行することなしには、グループに対する債務を払う可能性がほとんどない無いと判断される場合 ・延滞期間が90日以上超過した場合 金融商品を以下のグループに分け、予想信用損失を集合的ベースで測定しています。 ・金融商品の種類 ・債務者の地理的なロケーション 以下の状況が確認された場合に、金融資産が信用減損したと判定しています。 ・発行者又は債務者の重大な財政的困難 ・契約違反(債務不履行又は期日経過事象等) ・借手に対する融資者が、借手の財政上の困難に関連した経済上又は契約上の理由により、そうでなければ当該融資者が考慮しないであろう譲歩を借手に与えたこと ・借手が破産又は他の財務上の再編を行う可能性が高くなったこと ・当該金融資産についての活発な市場が財政上の困難により消滅したこと 金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合に、当該金融資産を直接償却しています。 金融資産について条件変更が生じ、その変更が金融商品の認識の中止に該当しない場合、NTTグループでは当該金融資産に信用リスクが著しい増大があったかどうかを、以下の両者を比較することで判断しています。 (a) 報告日における債務不履行発生のリスク(条件変更後の契約条件に基づく) (b) 当初認識時における債務不履行発生のリスク(当初の条件変更前の契約条件に基づく) (ⅲ)貸出コミットメント及び金融保証契約に係る予想信用損失の測定 クレジットカード事業に関する貸出コミットメントの未実行残高に係る予想信用損失は、クレジットカード債権に係るものと区別して識別することができないため、クレジットカード債権に係る損失評価引当金と一括して認識しています。また、営業貸付金に係る貸出コミットメントの未実行残高及び金融保証契約の信用リスクが当初認識後に著しく増大したかについて、上記(ⅱ)に従って決定しています。 |
(ⅳ)その他 予想信用損失の算定においては、将来予測的な情報として失業率を織り込んでいます。また、当報告期間中に予想信用損失の算定における見積技法又は重要な仮定に変更はありません。 ② 金融負債 金融負債は、その当初認識時に、損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、全てを償却原価で測定する金融負債に分類しており、それぞれ契約当事者になった日に当初認識しています。金融負債は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約上で特定された債務が免責、取消し又は失効となった時に認識を中止し、連結財政状態計算書から除いています。 償却原価で測定する金融負債 借入金や社債等の金融負債のうち、損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。償却原価で測定する金融負債は、当初認識時に公正価値からその発行に直接起因する取引費用を減算して測定しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しています。 損益を通じて公正価値で測定する金融負債 デリバティブ等、売買目的保有の範囲に含まれ損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識時に公正価値により測定しています。また、当初認識後も公正価値で測定し、その事後的な変動を損益として認識しています。 ③ デリバティブ及びヘッジ会計 デリバティブ取引の目的 NTTグループでは、為替変動リスク及び金利変動リスクをヘッジするためにリスク管理方針を制定し、先物為替予約取引、金利スワップ取引、通貨スワップ取引等のデリバティブ取引を行っています。NTTグループにおいては、投機目的でデリバティブ取引を行うことはありません。 NTTグループでは、ヘッジの開始時においてヘッジ関係並びにヘッジの実施についてのリスク管理目的等の指定、文書化を行っています。当該文書にはヘッジ手段の特定、ヘッジの対象となる項目又は取引、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際してのヘッジ手段の有効性の評価方法が含まれています。 ヘッジの有効性評価 ヘッジ関係の開始時及び継続期間中にわたり、ヘッジ対象取引のキャッシュ・フローの変動がヘッジ手段のキャッシュ・フローの変動により相殺される経済的関係にあることを確認するために、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているか又は密接に合致しているかどうかの定性的な評価、あるいはヘッジ対象とヘッジ手段の価値が同一のリスクにより価値変動が相殺しあう関係にあることの定量的評価を通じて、ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的関係の存在を確認しています。 また、NTTグループは、ヘッジ関係の開始時にヘッジ対象リスクの価値変動に起因するヘッジ対象の価値変動とヘッジ手段の価値変動の比率を見積もって必要なヘッジ手段の数量を決定しており、原則としてヘッジ比率は1対1になっています。 なお、NTTグループは有効性の高いヘッジを行っているため、通常、重要な非有効部分は発生しないと想定しています。 認識・測定 デリバティブは公正価値で当初認識し、その後も公正価値で測定しています。公正価値の変動は次のとおり処理しています。 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ NTTグループは、キャッシュ・フロー・ヘッジとして主に外貨建債権・債務、外貨建確定契約及び外貨建予定取引のキャッシュ・フローを固定化するための為替予約、通貨スワップ、変動利付資産・負債に係る変動金利を固定化するための金利スワップを指定しています。 ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動のうち、有効なヘッジと判定される部分は、その他の包括利益として認識し、累積額は「その他の資本の構成要素」に含め、ヘッジ対象に係る損益が認識された会計期間において損益に振り替えています。ただし、ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債を生じさせる予定取引である場合には、「その他の資本の構成要素」として認識されている金額は、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として振り替えています。また、ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ効果が有効でない部分は、損益として認識しています。 NTTグループでは、キャッシュ・フロー・ヘッジ関係のヘッジ手段として、為替予約についてはその直物要素の公正価値の変動のみを、通貨スワップについては通貨ベーシス・スプレッドを除いた公正価値の変動のみを、それぞれ指定しています。これらのヘッジ手段として指定していない部分についての公正価値の変動額は、「ヘッジ・コスト」としてその他の包括利益に認識し、累積額は「その他の資本の構成要素」に含まれています。 なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、ヘッジの非有効部分及びヘッジの有効性評価から除外した部分に関して損益として認識した金額に重要性はありません。また、ヘッジ会計の中止による影響金額及び予定取引の発生が見込まれなくなったために、キャッシュ・フロー・ヘッジの評価差額から損益に再分類した金額に重要性はありません。 公正価値ヘッジ NTTグループは、公正価値ヘッジとして主に外貨建債権・債務及び外貨建確定契約に係る公正価値の変動リスクをヘッジするための通貨スワップ、及び固定利付資産・負債に係る固定金利を変動化するための金利スワップを指定しています。 ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は、損益として認識しています。また、ヘッジされたリスクに対応するヘッジ対象の公正価値の変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正して、損益として認識しています。 ヘッジ指定されていないデリバティブ NTTグループは、金利や外国為替相場等の変動によるリスクを軽減するため、先物為替予約、金利スワップ契約、通貨スワップ契約、通貨オプション契約及び先渡取引を締結しており、これらの中にはヘッジ会計の適用されないものが含まれています。デリバティブの公正価値の変動は、損益として認識しています。 金融商品については「注記3.2.営業債権及びその他の債権」、「注記3.10.営業債務及びその他の債務」、「注記4.4.その他の金融資産」、「注記4.5.短期借入債務及び長期借入債務」、「注記4.6.その他の金融負債」、「注記4.8.金融商品」に、金融収益及び金融費用については「注記4.7.金融収益及び金融費用」に記載しています。 (見積り及び見積りを伴う判断) 償却原価で測定する金融資産の償却期間及び減損に関する見積りを行っています。 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値測定において見積りを行っています。 ヘッジ会計における予定取引のヘッジ対象としての適格性の判断と、デリバティブの公正価値測定を行っています。 |
4.1.資本
(1)発行可能株式総数、発行済株式及び自己株式
(会計方針) 自己株式を取得した場合は、直接取得費用(税効果調整後)を含む支払対価を、資本の控除項目として認識しています。自己株式の購入、売却又は消却において損益は認識していません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本剰余金として認識しています。 |
当社が発行する株式は全て無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みです。
発行可能株式総数、発行済株式数及び自己株式数の推移
(単位:株) |
発行可能株式総数 | 発行済株式 | 自己株式 | |
前連結会計年度期首(2022年4月1日) | 6,192,920,900 | 3,622,012,656 | 79,490,430 |
取締役会決議に基づく自己株式の取得 | - | - | 131,851,800 |
単元未満株式買取請求による自己株式の取得 | - | - | 192,326 |
単元未満株式買増請求による自己株式の処分 | - | - | △10,248 |
前連結会計年度末(2023年3月31日) | 6,192,920,900 | 3,622,012,656 | 211,524,308 |
取締役会決議に基づく自己株式の取得 | - | - | 1,155,601,000 |
単元未満株式買取請求による自己株式の取得 | - | - | 87,659 |
単元未満株式買増請求による自己株式の処分 | - | - | △14,928 |
株式分割による増加 | 148,630,101,600 | 86,928,303,744 | 5,078,267,808 |
当連結会計年度末(2024年3月31日) | 154,823,022,500 | 90,550,316,400 | 6,445,465,847 |
上記のほか、役員報酬BIP信託が保有する当社株式23,303,000株を連結財政状態計算書上、「自己株式」として処理しています。
株式分割
当社は、2023年5月12日開催の取締役会決議に基づき、2023年7月1日を効力発生日として、基準日である2023年6月30日の株主の保有する株式を1株につき25株の割合をもって株式分割を実施しています。なお、当該株式分割に伴い、連結財務諸表で表示される前連結会計年度及び当連結会計年度の1株当たり情報について、株式分割調整後の数値を表示しています。
役員報酬における業績連動型株式報酬(役員報酬BIP信託)
(1)取引の概要
NTTグループは、中期経営戦略における財務目標達成に向けた意欲を高めること、当社株保有の促進によ
り株主との利益共有を一層進めることを目的として、役員報酬BIP信託による業績連動型株式報酬制度(以
下、「本制度」)を導入しています。
本制度は、株式報酬の原資となる金銭を拠出した信託を設定し、信託が同金銭を原資として取得した当社
株式を業績目標の達成度等に応じて交付する制度です。
(2)本信託が保有する当社の株式
本信託が保有する当社株式の帳簿価額及び株式数は、当連結会計年度末において、2,698百万円、23,303,000株であり、連結財政状態計算書上、「自己株式」として処理しています。
主な当社の取締役会による発行済普通株式を対象とする自己株式の取得の決議と取得状況
決議日 | 予定 | 実績 | |||||
取得期間 | 取得株式総数の上限 (万株) | 取得総額の上限 (百万円) | 取得期間 | 取得株式 総数(株) | 取得金額(百万円) | 取得 状況 | |
2022年5月12日 | 2022年5月13日から 2023年3月31日 | 11,000 | 400,000 | 2022年9月 | 92,925,400 | 360,272 | 終了 |
2022年11月8日 | 2022年11月9日から 2023年3月31日 | 4,100 | 150,000 | 2022年12月 から 2023年3月 | 38,926,400 | 150,000 | 終了 |
2023年8月9日 | 2023年8月10日から 2024年3月29日 | 140,000 | 200,000 | 2023年8月 から 2024年3月 | 1,155,601,000 | 200,000 | 終了 |
(2)剰余金の分配
当連結会計年度末現在、当社における会社法上の剰余金の分配可能額は、1,923,893百万円です。剰余金の配当については、当該年度の財務諸表には計上されず、株主総会の承認を得た上で翌年度の財務諸表に計上しています。当連結会計年度における連結財務諸表の利益剰余金には、2024年6月20日開催の株主総会で承認された配当金が218,673百万円(1株当たり2.6円)含まれています。
①前連結会計年度及び当連結会計年度における配当金支払額
決議 | 株式の種類 | 配当の原資 | 配当金の総額 (百万円) | 1株当たり配当額 (円) | 基準日 | 効力発生日 |
2022年6月24日 定時株主総会※1 | 普通株式 | 利益剰余金 | 212,551 | 60 | 2022年3月31日 | 2022年6月27日 |
2022年11月8日 取締役会※2 | 普通株式 | 利益剰余金 | 206,974 | 60 | 2022年9月30日 | 2022年12月15日 |
2023年6月22日 定時株主総会※3 | 普通株式 | 利益剰余金 | 204,629 | 60 | 2023年3月31日 | 2023年6月23日 |
2023年11月7日 取締役会※4※5 | 普通株式 | 利益剰余金 | 212,809 | 2.5 | 2023年9月30日 | 2023年12月18日 |
※1 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金65百万円が含まれています。
※2 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金62百万円が含まれています。
※3 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金62百万円が含まれています。
※4 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金58百万円が含まれています。
※5 1株当たり配当額については、株式分割調整後の金額を記載しています。
②基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
決議 | 株式の種類 | 配当の原資 | 配当金の総額 (百万円) | 1株当たり配当額 (円) | 基準日 | 効力発生日 |
2024年6月20日 定時株主総会※6 ※7 | 普通株式 | 利益剰余金 | 218,673 | 2.6 | 2024年3月31日 | 2024年6月21日 |
※6 配当金の総額には役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金61百万円が含まれています。
※7 1株当たり配当額については、株式分割調整後の金額を記載しています。
(3)資本管理
当社は、持続的な発展をめざすべく、利益成長に主眼を置きつつ、自己株式取得による資本効率の向上を図ります。当社が資本管理において用いる主な指標は以下になります。
・EPS(Earnings Per Share) : 基本的1株当たり当期利益
1株当たり当期利益については、「注記2.5.1株当たり利益」に記載しています。
(4)非支配持分へ付与されたプット・オプション
(会計方針) NTTグループが非支配持分の所有者に対して付与した子会社株式の売建プット・オプション(NTTグループに売却する権利)について、原則としてその償還金額の現在価値を「その他の金融負債」として当初認識するとともに、同額を資本剰余金から減額しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定するとともに、その事後的な変動額を資本剰余金として認識しています。 |
NTTグループが非支配持分の所有者に対して付与した子会社株式の売建プット・オプションについて、資本剰余金から減額されている金額は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ24,581百万円及び73,280百万円です。
(5)その他の資本の構成要素の内容
その他の資本の構成要素の内訳及び増減
(単位:百万円) |
その他の包括利益を通じて公正価値測定する金融資産の公正価値 変動額 | キャッシュ・ フロー・ ヘッジ | ヘッジ・ コスト | 確定給付 制度の再測定 | 外貨換算 調整額 | 合計 | |
前連結会計年度期首 (2022年4月1日) | 152,701 | △60,108 | △1,763 | - | 186,220 | 277,050 |
その他の包括利益 | △80,423 | △33,911 | △8,576 | 104,551 | 75,882 | 57,523 |
利益剰余金への振替額 | △19,446 | - | - | △104,551 | - | △123,997 |
前連結会計年度末 (2023年3月31日) | 52,832 | △94,019 | △10,339 | - | 262,102 | 210,576 |
その他の包括利益 | 314,036 | 14,689 | 3,994 | 121,859 | 227,988 | 682,566 |
利益剰余金への振替額 | △5,866 | - | - | △121,859 | - | △127,725 |
当連結会計年度末 (2024年3月31日) | 361,002 | △79,330 | △6,345 | - | 490,090 | 765,417 |
非支配持分に含まれるその他の包括利益の内訳
(単位:百万円)
その他の包括利益を通じて公正価値測定する金融資産の公正価値 変動額 | キャッシュ・ フロー・ ヘッジ | ヘッジ・ コスト | 確定給付 制度の再測定 | 外貨換算 調整額 | 合計 | |
2022年4月1日から 2023年3月31日まで | △3,998 | △254 | △69 | 7,757 | 52,269 | 55,705 |
2023年4月1日から 2024年3月31日まで | 9,089 | 943 | △221 | 7,569 | 58,273 | 75,653 |
(6)その他の包括利益
その他の包括利益の内訳及び関連する税効果額の金額
(単位:百万円) |
前連結会計年度 (2022年4月 1日から 2023年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2023年4月 1日から 2024年3月31日まで) | |
損益に振り替えられることのない項目 | ||
その他の包括利益を通じて公正価値測定する金融資産の公正価値変動額 | ||
当期発生額 | △123,864 | 462,944 |
税効果調整前 | △123,864 | 462,944 |
税効果額 | 40,214 | △138,888 |
税効果調整後 | △83,650 | 324,056 |
確定給付制度の再測定 | ||
当期発生額 | 167,064 | 195,074 |
税効果調整前 | 167,064 | 195,074 |
税効果額 | △54,392 | △60,994 |
税効果調整後 | 112,672 | 134,080 |
持分法適用会社のその他の包括利益に対する持分 | ||
当期発生額 | △1,134 | △5,582 |
税効果調整前 | △1,134 | △5,582 |
税効果額 | △1 | △1 |
税効果調整後 | △1,135 | △5,583 |
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2022年4月 1日から 2023年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2023年4月 1日から 2024年3月31日まで) | |
損益に振り替えられることのある項目 | ||
キャッシュ・フロー・ヘッジ | ||
当期発生額 | 91,407 | 263,142 |
当期利益への組替調整額 | △140,609 | △240,058 |
税効果調整前 | △49,202 | 23,084 |
税効果額 | 15,953 | △6,842 |
税効果調整後 | △33,249 | 16,242 |
ヘッジ・コスト | ||
当期発生額 | △2,812 | △2,157 |
当期利益への組替調整額 | △9,639 | 7,740 |
税効果調整前 | △12,451 | 5,583 |
税効果額 | 3,806 | △1,810 |
税効果調整後 | △8,645 | 3,773 |
外貨換算調整額 | ||
当期発生額 | 123,462 | 273,429 |
当期利益への組替調整額 | △4,102 | △3 |
税効果調整前 | 119,360 | 273,426 |
税効果額 | - | - |
税効果調整後 | 119,360 | 273,426 |
持分法適用会社のその他の包括利益に対する持分 | ||
当期発生額 | 8,363 | 12,262 |
当期利益への組替調整額 | △400 | - |
税効果調整前 | 7,963 | 12,262 |
税効果額 | △88 | △37 |
税効果調整後 | 7,875 | 12,225 |
その他の包括利益合計 | ||
当期発生額 | 262,486 | 1,199,112 |
当期利益への組替調整額 | △154,750 | △232,321 |
税効果調整前 | 107,736 | 966,791 |
税効果額 | 5,492 | △208,572 |
税効果調整後 | 113,228 | 758,219 |
(7)非支配持分との資本取引
非支配持分との取引による資本剰余金の増減額
(単位:百万円) |
前連結会計年度 (2022年4月 1日から 2023年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2023年4月 1日から 2024年3月31日まで) | |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ株式の市場買付に伴う持分変動影響額 | △47,440 | - |
その他 | △2,844 | △13,673 |
非支配持分との取引に伴う資本剰余金の増減額の合計 | △50,284 | △13,673 |
2022年5月9日、当社の取締役会は、株式会社エヌ・ティ・ティ・データとの更なる連携強化を進めていく観点から、市場買付により普通株式6,000万株又は1,000億円を上限として、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ株式を取得することを決議し、2022年10月から2023年2月にかけて普通株式49,672,800株を100,000百万円で取得しました。その結果、NTTグループの株式会社エヌ・ティ・ティ・データに対する持分比率が54.2%から57.8%に上昇し、前連結会計年度において資本剰余金が47,440百万円減少しました。この他、前連結会計年度において実施された、グローバル事業の再編における非支配持分との資本取引がNTTグループに与える財務的影響に重要性はありません。
(8)その他
2024年4月に「日本電信電話株式会社等に関する法律(以下、「NTT法」)の一部を改正する法律」が公布・施行され、剰余金処分の決議に係る認可は廃止となりましたが、新株の発行を含む特定の財務関連事項については、総務大臣の認可を得なければなりません。NTT法の詳細は「第2 事業の状況、3.事業等のリスク」に記載しています。