有価証券報告書-第36期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、株主や投資家の皆さまをはじめ、お客さまやお取引先、従業員等、様々なステークホルダー(利害関係者)の期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要であると考えています。中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、「Your Value Partner」としてパートナーの皆さまとともに社会的課題の解決をめざした活動を推進するために、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでいます。
②企業統治の体制
当社は、業務執行を適切に監督する機能を強化するため、独立社外取締役を複数名選任するとともに、独立社外監査役が過半数を占める監査役会を設置することにより監査体制の強化を図っています。また、執行役員制度を導入することにより、取締役会が担う経営に関する決定・監督の機能と、執行役員が担う業務執行の機能を明確に分離する体制を整え、経営の機動力の向上を図っています。加えて、当社は独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、人事・報酬の決定における客観性・透明性の更なる向上を図っており、監査役会設置会社形態による統治機能が十分有効であると判断しています。
当社の業務は、各組織の所掌業務を定めた「組織規程」に則って執行されており、意思決定は、取締役会の監督の下、社長・副社長、執行役員及び各組織の長の責任を定めた「責任規程」に基づいて行っています。また当社は、グループ経営の推進に向けた適切な意思決定を行うため、重要な業務執行に関する各種会議、委員会を必要に応じて設置しています。
当社のコーポレート・ガバナンス体制の模式図は、以下のとおりです。

○ 取締役会
取締役会は、独立社外取締役4名を含む取締役8名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離することで、執行に対する監視機能をより強化するとともに、経営の機動力の向上も図っております。取締役会は、原則として毎月1回の定例取締役会を開催し、必要のある都度臨時取締役会を開催することで、グループ経営戦略に関する議論に加え、法令で定められた事項、及び会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役及び執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役員の職務執行を監督しております。
○ 監査役会
監査役会は、社内監査役2名と独立社外監査役3名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計5名で構成されています。業務執行者とは異なる独立した立場から業務監査及び会計監査を実施し、取締役の職務執行状況を監査しています。
詳細につきましては「(2)役員の状況」に記載しています。
○ 人事・報酬委員会
取締役の人事・報酬の決定における客観性・透明性の向上を目的に、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めています。2020年度は人事・報酬委員会を5回開催したほか、委員会メンバーによる意見交換会を複数回開催し、グループ会社のガバナンス向上、サクセッションプラン、役員報酬体系の在り方等について活発な議論を実施しています。
なお、2020年度においては、人事・報酬委員会は澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊原定征(社外取締役)を構成メンバーとしています。
○ 執行役員会議
会社の重要な意思決定にあたっては、原則として、執行役員等で構成する「執行役員会議」において審議した上で決定することとし、週1回程度開催することとしています。なお、意思決定の透明性を高めるため、「執行役員会議」には監査役1名も参加することとしています。
○ 各種委員会
「執行役員会議」の下には、重要な業務執行に関して課題ごとに議論する委員会を設置しています。主な委員会としては、グループとしてのR&Dビジョンや技術開発戦略を審議する「技術戦略委員会」、一定規模以上の投資案件等を審議する「投資戦略委員会」、財務に関する基本方針や財務諸課題を審議する「財務戦略委員会」等があります。これらの委員会は原則として社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員等が参加し、年間を通じて必要に応じて開催しています。
③企業統治に関するその他の事項
(A) 取締役会の状況
○ 取締役会の構成
取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野等のバランス及び多様性を考慮した構成としており、業務執行の監督機能を強化する観点から選任している独立社外取締役4名を含む取締役8名で構成されています。
詳細につきましては「(2)役員の状況」に記載しています。
○ 取締役会の活動
原則として毎月1回、定例取締役会を開催するとともに、必要のある都度臨時取締役会を開催し、法令で定められた事項、及び会社経営・グループ経営に関する重要事項等、「取締役会規則」に定めた事項を決定するとともに、取締役及び執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役員の職務執行を監督しています。
○ 取締役会の実効性評価
純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。
当社の取締役会は、執行役員等で構成する執行役員会議や、社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員等が参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項等を決定するとともに、各取締役及び各執行役員の職務執行の状況をモニタリングしています。
取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営等における課題とその解決に向けた取り組みや、出資や提携等の事業拡大に向けた取り組みについて報告・審議されており、2020年度は、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、B2B2Xモデルの推進に向けた提携等の会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスの更なる強化に向けた方針の策定等を中心に、活発な議論がなされました。特に、2020年度は執行役員制度の導入やグループ会社の役員を改選したこともあり、ガバナンスに関する議案の割合が増加しております。また、2020年度は、独立社外取締役への取締役会付議案件の事前説明に加え、取締役会後に代表取締役から当面の課題や検討状況を説明し、執行の注力内容と取り組み趣旨の明確化に努めることで、取締役会の監督機能の強化を図りました。
さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、独立社外取締役と代表取締役で当社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発に関する展示会への参加を含め、最先端の研究成果等について説明しました。他にも、独立社外取締役と当社監査役、主要なグループ会社の独立社外取締役等との間で、NTTグループの経営課題について適宜意見交換を行いました。
これらの意見交換会において、独立社外取締役及び監査役から、当社の取締役会等に関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できているとの意見をいただいているところです。
また、取締役会の継続的な実効性向上を通じた経営ガバナンスの強化を目的に、毎年1回、取締役会の実効性評価を実施しています。2020年度においても第三者機関を起用し、全取締役・監査役を対象とした取締役会に関するアンケート調査を行い、取締役会としての実効性評価を実施しました。取締役会の役割と責務、構成、運営、満足度といった観点での質問を行い、第三者機関にて取りまとめた結果、全ての設問において肯定的意見が多数を占めており、取締役会に期待される重要な役割・責務が十分に果たされていることを確認しました。
また、戦略的議論の活性化にむけて実施した、執行役員制度の導入や意見交換会の設定等、一連のガバナンス関連の見直しにより、取締役会の実効性は向上したと全ての役員から肯定的な意見を得ており、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しております。
一方で、コンプライアンスの体制、監督体制に改善すべき点があったこと等が指摘されており、今後速やかに、会食等に関する社内ルールの見直し及び厳格な運用を軸としたコンプライアンス体制の見直し、監督機能の強化を実施します。
また、主要な子会社の経営陣との意見交換機会の更なる充実等、実効性のより高い取締役会の運営をめざし、引き続き改善に取り組んでまいります。
○ 取締役の選解任方針・選解任手続
当社の取締役会の構成は、「NTTグループ人事方針」における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。なお、社外役員については、幅広い経営視点・専門家としての意見を期待するとともに、社内外の取締役については、ダイバーシティの推進も踏まえて選任することとしております。取締役会は、独立社外取締役4名(うち女性1名)を含む取締役8名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、選解任については、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会での審議を経て行うこととします。なお、当社においては、法令の定め(「日本電信電話株式会社等に関する法律」第10条第1項)により、外国人を取締役とすることはできません。
NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「Your Value Partner」として、お客さまに対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととしています。
取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任しています。なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。
なお、取締役候補の選任にあたっては、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。
(参考)取締役・監査役のスキルマトリックス

○ 後継者計画
最高経営責任者の後継者候補については、技術革新、市場動向、経営環境の変化のスピードに対応できる後継者候補の確保が重要と捉え、幅広い職務経験、重要ポストへの配置等を通じ、候補者の多様性を担保し、人格、見識ともに優れ時世に合った人材を登用していけるよう育成を行っています。なお、選任にあたっては、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て、取締役会で決定しています。
○ 取締役の活動の支援体制等
独立社外取締役に対しては、取締役会事務局を連絡先とし、常日頃より、業務執行に関する問い合わせ、説明等のサポートを実施しています。
○ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨定款に定めています。
○ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、この選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めています。
(B) 監査役会の状況
「(3)監査の状況 ①監査役会の状況」に記載しています。
(C) その他
○ 内部統制システムの整備の状況
当社は、NTTグループにおける内部統制システムの整備に関する基本方針を定め、取締役会にて決議しています。その方針の基本的考え方は、以下のとおりです。
(a)当社は、内部統制システムの整備にあたり、法令の遵守、損失の危機管理及び適正かつ効率的な事業運営を目的に、損失の未然防止、損失最小化に向けた各種対策を講じる。
(b)上記内部統制システムの整備のため、内部統制室を設置し、規程・体制等の整備を統括するとともに、監査レビューの実施やグループとしてリスクの高い共通項目についての統一的な内部監査を実施することにより、内部統制システムの有効性を評価した上、必要な改善を実施する。
(c)金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制システムの信頼性の確保についても適切な取り組みを実施する。
(d)社長は業務執行の最高責任者として、内部統制システムの整備及び運用について責任をもって実施する。
○ 取締役・監査役に対する研修
NTTグループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメント等、様々な研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験等を積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所等における最新の研究開発成果への理解を深める機会を設ける等、NTTグループ事業への理解を更に深める取り組みも行っています。
○ 責任限定契約の内容の概要
当社と社外取締役及び監査役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しています。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額としています。
○ 役員等賠償責任保険
当社は会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、これにより、被保険者が会社役員等の地位に基づいて行った行為(不作為を含む)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用等を補償することとしています。ただし、贈収賄等の犯罪行為や意図的に違法行為を行った役員自身の損害等は補償対象外とすることにより、役員等の職務の執行の適正性が損なわれないように措置を講じています。
当該保険契約の被保険者は、当社及び当社子会社である東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、NTT株式会社の取締役、監査役、執行役員です。
○ 株主総会決議事項を取締役会で決議できることとした事項
当社は、取締役会決議によって市場取引等により自己の株式の取得ができる旨定款に定めています。これは、経営環境に応じた柔軟な資本政策を行うことができるようにするものです。
当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めています。これは株主への機動的な利益還元を行うことができるようにするものです。
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役会決議によって取締役及び監査役の責任を法令の限度において免除することができる旨定款に定めています。これは、取締役及び監査役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮できるようにするものです。
○ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。これは、特別決議の定足数をより確実に充足できるようにするものです。
○ コンプライアンス体制の整備状況
《NTTグループ企業倫理憲章の制定》
健全な企業活動を推進していくためには、法令を遵守し、高い倫理観を持って事業を運営していくことが不可欠という認識のもと、2002年11月、「NTTグループ企業倫理憲章」を策定しました。
「NTTグループ企業倫理憲章」は、NTTグループに所属する全ての役員及び社員を対象に、企業倫理に関する基本方針と具体的な行動指針を示しています。行動指針には、社会的責務の大きな企業グループの一員として、不正や不祥事の防止に努めること、企業内機密情報の漏えいを防止すること、お客さまやお取引先との応接の際の過剰な供授をなくすこと等、公私を問わず高い倫理観を持って行動することを定めています。
《NTTグループ企業倫理憲章の浸透に向けた取り組み》
「NTTグループ企業倫理憲章」を実効性のあるものとするために、社員向けの企業倫理研修等を実施するとともに、社員向けWebサイトでは「NTTグループ企業倫理憲章」の内容や企業倫理上問題となる事例を詳しく解説し、社員の理解度向上に努めています。また、社員への意識調査を毎年実施して浸透度を測り、更なる企業倫理の浸透度向上に活かしています。
《企業倫理ヘルプライン(社外受付窓口)の設置》
不正や不祥事の未然防止を図るために、グループ各社において社内受付窓口を設けているほか、当社が弁護士事務所に委託して、全グループ企業を対象とした「企業倫理ヘルプライン(社外受付窓口)」を設けています。
寄せられた相談や通報は各主管担当において調査・対応し、グループ各社の企業倫理委員会で報告された上で、年1回以上の頻度で当社の企業倫理委員会で全申告内容と対応状況を取りまとめ、取締役会に報告しています。
なお、これらの窓口への通報者は、通報したことによる不利益が生じないよう保護されることが「NTTグループ企業倫理憲章」に明記されています。
また、経営陣から独立した窓口として監査役への独立通報ルートを開設・運用しており、社外申告窓口を通じた通報は、原則として監査役へも同時に直接的な送付を行うとともに、監査役へ対してのみ通報することも可能としています。
《贈収賄防止》
NTTグループは、法令を遵守することはもとより、高い倫理観を持って事業を運営していくことが不可欠との認識のもと、いかなる贈収賄や便宜供与、ファシリテーションペイメント(注)等の不正を禁止しています。特に贈賄防止に関しては、「贈賄防止ハンドブック」を作成し、海外子会社も含めたグループ企業社員に周知するとともに、社内Webサイトにも公開し、理解徹底に努めています。
さらに、当社、NTT東日本・西日本については「日本電信電話株式会社等に関する法律」により贈収賄が禁止事項とされ、これに違反した場合は法的に罰せられます。
(注)ファシリテーションペイメント:通常の行政サービスにかかわる手続円滑化のみを目的とした小額の支払い
《サプライヤーとの協働》
サプライチェーンにおける賄賂をはじめとした不正行為等に対し、サプライヤーの皆さまとともに社会規範や法令を遵守し、社会的責任を果たしていくため、「サプライチェーンCSR推進ガイドライン」を制定・公開しています。この「サプライチェーンCSR推進ガイドライン」において、「政治・行政との健全かつ正常な関係を保ち、贈賄や違法な政治献金等を行わないこと」「ステークホルダーとの関係において不適切な利益の供与や受領を行わないこと」等の遵守をサプライヤーの皆さまへお願いし、サプライヤーも含めた不正行為の防止等に取り組んでいます。
○ リスク管理体制の整備の状況
《ビジネスリスクマネジメント》
身近に潜在するリスクの発生を予想・予防し、万一リスクが顕在化した場合でも損失を最小限に抑えること等を目的として、リスクマネジメントの基本的事項を定めたリスクマネジメント規程を制定しています。代表取締役副社長が委員長を務めるビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、リスクマネジメントのPDCAサイクルを構築し運用しています。なお、本委員会は2020年度において1回開催され、全社的に影響を与えると想定されるリスクの特定及びその管理方針等について議論しました。
また、グループ一体となってリスクマネジメントに取り組むため、NTTグループビジネスリスクマネジメントマニュアルを策定しグループ各社に配布しています。本マニュアルにより、リスク発生に備えた事前対処策、リスクが顕在化した場合におけるグループ連携方法や対応方針、情報連絡フロー等を定め、迅速な対応を可能とする体制を整備し運用しています。
《リスクの抽出・重点リスクの特定》
当社では社会環境の変化等を踏まえ、想定するリスクや、その管理方針の見直しを随時行っています。
リスクの抽出にあたっては、ビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、NTTグループを取り巻くリスクの分析プロセスを策定し、このプロセスに則って定期的にリスク分析を実施することで、全社リスクを特定します。さらに、それらリスクの相関分析を行い、最も重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「重要リスク」と特定し、その対応策を決定します。
なお、事業等のリスクについては、「第2 事業の状況」に記載しています。
○ 株主及び投資家の皆さまとの対話
当社は株主の皆さまとの対話を重視した経営を推進しており、株主総会の場での対話はもちろんのこと、社長をはじめとする経営幹部は、機関投資家の皆さまとの個別面談や個人投資家の皆さまに向けた説明会を通じて、業績動向はもとより、中期的な経営戦略やガバナンス等の説明・質疑応答等についても株主の皆さまとの対話を積極的に進めています。
株主の皆さまとの対話を通じていただいたご意見等につきましては適切に共有されており、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」の策定にあたっても、株主の皆さまの意見も踏まえて検討・策定を実施しました。
なお、株主の皆さまとの対話に際しては、インサイダー情報の管理徹底はもちろんのこと、フェア・ディスクロージャー(適時、公正かつ公平な情報開示)に配意して、積極的な情報開示を進めています。海外投資家の皆さまの利便性向上のため、開示資料の日英同時開示に努めており、事業報告を含む招集通知全文についても日英同時で株主総会開催日の1ヶ月以上前に開示しました。
《株主及び投資家の皆さまとの建設的な対話に関する方針》
(a)統括する経営陣の指定
財務部門長を責任者とし、財務部門にIR室を設置しています。
(b)有機的な連携のための方策
「財務戦略委員会」等において定期的に決算状況を議論する等、関係各部署と連携の上、コミュニケーションを充実させています。
(c)対話手段の充実
個別面談のほか、投資家の皆さまのニーズを踏まえたテーマ別説明会等を開催しています。
(d)効果的なフィードバック
株主や投資家の皆さまからいただいた意見を経営幹部やグループ各社に共有し、コミュニケーションの充実に役立てています。
(e)インサイダー情報の管理
ディスクロージャーポリシーに基づき、公正かつ公平な情報開示を実施しています。
《対話充実に向けた取り組み(当事業年度)》
・機関投資家の皆さま向け
(a)四半期ごとの決算説明会の実施(4回)
(b)国内外のIRカンファレンスへの参加(7回)
(c)NTT IR DAY(機関投資家の皆さま向けの説明会)の開催(1回)
(d)国内外での個別説明会の実施(延べ350件以上)
(議題:中期経営戦略・業績・ガバナンス等)
・個人投資家の皆さま向け
(a)会社説明会の実施(2回)
(b)オンライン会社説明会の実施(3回)
(経営層による会社説明会1回を含む)
(c)各種出版物等を通じた情報発信(2回)
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、株主や投資家の皆さまをはじめ、お客さまやお取引先、従業員等、様々なステークホルダー(利害関係者)の期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要であると考えています。中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、「Your Value Partner」としてパートナーの皆さまとともに社会的課題の解決をめざした活動を推進するために、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでいます。
②企業統治の体制
当社は、業務執行を適切に監督する機能を強化するため、独立社外取締役を複数名選任するとともに、独立社外監査役が過半数を占める監査役会を設置することにより監査体制の強化を図っています。また、執行役員制度を導入することにより、取締役会が担う経営に関する決定・監督の機能と、執行役員が担う業務執行の機能を明確に分離する体制を整え、経営の機動力の向上を図っています。加えて、当社は独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、人事・報酬の決定における客観性・透明性の更なる向上を図っており、監査役会設置会社形態による統治機能が十分有効であると判断しています。
当社の業務は、各組織の所掌業務を定めた「組織規程」に則って執行されており、意思決定は、取締役会の監督の下、社長・副社長、執行役員及び各組織の長の責任を定めた「責任規程」に基づいて行っています。また当社は、グループ経営の推進に向けた適切な意思決定を行うため、重要な業務執行に関する各種会議、委員会を必要に応じて設置しています。
当社のコーポレート・ガバナンス体制の模式図は、以下のとおりです。

○ 取締役会
取締役会は、独立社外取締役4名を含む取締役8名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離することで、執行に対する監視機能をより強化するとともに、経営の機動力の向上も図っております。取締役会は、原則として毎月1回の定例取締役会を開催し、必要のある都度臨時取締役会を開催することで、グループ経営戦略に関する議論に加え、法令で定められた事項、及び会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役及び執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役員の職務執行を監督しております。
○ 監査役会
監査役会は、社内監査役2名と独立社外監査役3名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計5名で構成されています。業務執行者とは異なる独立した立場から業務監査及び会計監査を実施し、取締役の職務執行状況を監査しています。
詳細につきましては「(2)役員の状況」に記載しています。
○ 人事・報酬委員会
取締役の人事・報酬の決定における客観性・透明性の向上を目的に、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めています。2020年度は人事・報酬委員会を5回開催したほか、委員会メンバーによる意見交換会を複数回開催し、グループ会社のガバナンス向上、サクセッションプラン、役員報酬体系の在り方等について活発な議論を実施しています。
なお、2020年度においては、人事・報酬委員会は澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊原定征(社外取締役)を構成メンバーとしています。
○ 執行役員会議
会社の重要な意思決定にあたっては、原則として、執行役員等で構成する「執行役員会議」において審議した上で決定することとし、週1回程度開催することとしています。なお、意思決定の透明性を高めるため、「執行役員会議」には監査役1名も参加することとしています。
○ 各種委員会
「執行役員会議」の下には、重要な業務執行に関して課題ごとに議論する委員会を設置しています。主な委員会としては、グループとしてのR&Dビジョンや技術開発戦略を審議する「技術戦略委員会」、一定規模以上の投資案件等を審議する「投資戦略委員会」、財務に関する基本方針や財務諸課題を審議する「財務戦略委員会」等があります。これらの委員会は原則として社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員等が参加し、年間を通じて必要に応じて開催しています。
③企業統治に関するその他の事項
(A) 取締役会の状況
○ 取締役会の構成
取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野等のバランス及び多様性を考慮した構成としており、業務執行の監督機能を強化する観点から選任している独立社外取締役4名を含む取締役8名で構成されています。
詳細につきましては「(2)役員の状況」に記載しています。
○ 取締役会の活動
原則として毎月1回、定例取締役会を開催するとともに、必要のある都度臨時取締役会を開催し、法令で定められた事項、及び会社経営・グループ経営に関する重要事項等、「取締役会規則」に定めた事項を決定するとともに、取締役及び執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役員の職務執行を監督しています。
○ 取締役会の実効性評価
純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。
当社の取締役会は、執行役員等で構成する執行役員会議や、社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員等が参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項等を決定するとともに、各取締役及び各執行役員の職務執行の状況をモニタリングしています。
取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営等における課題とその解決に向けた取り組みや、出資や提携等の事業拡大に向けた取り組みについて報告・審議されており、2020年度は、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、B2B2Xモデルの推進に向けた提携等の会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスの更なる強化に向けた方針の策定等を中心に、活発な議論がなされました。特に、2020年度は執行役員制度の導入やグループ会社の役員を改選したこともあり、ガバナンスに関する議案の割合が増加しております。また、2020年度は、独立社外取締役への取締役会付議案件の事前説明に加え、取締役会後に代表取締役から当面の課題や検討状況を説明し、執行の注力内容と取り組み趣旨の明確化に努めることで、取締役会の監督機能の強化を図りました。
さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、独立社外取締役と代表取締役で当社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発に関する展示会への参加を含め、最先端の研究成果等について説明しました。他にも、独立社外取締役と当社監査役、主要なグループ会社の独立社外取締役等との間で、NTTグループの経営課題について適宜意見交換を行いました。
これらの意見交換会において、独立社外取締役及び監査役から、当社の取締役会等に関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できているとの意見をいただいているところです。
また、取締役会の継続的な実効性向上を通じた経営ガバナンスの強化を目的に、毎年1回、取締役会の実効性評価を実施しています。2020年度においても第三者機関を起用し、全取締役・監査役を対象とした取締役会に関するアンケート調査を行い、取締役会としての実効性評価を実施しました。取締役会の役割と責務、構成、運営、満足度といった観点での質問を行い、第三者機関にて取りまとめた結果、全ての設問において肯定的意見が多数を占めており、取締役会に期待される重要な役割・責務が十分に果たされていることを確認しました。
また、戦略的議論の活性化にむけて実施した、執行役員制度の導入や意見交換会の設定等、一連のガバナンス関連の見直しにより、取締役会の実効性は向上したと全ての役員から肯定的な意見を得ており、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しております。
一方で、コンプライアンスの体制、監督体制に改善すべき点があったこと等が指摘されており、今後速やかに、会食等に関する社内ルールの見直し及び厳格な運用を軸としたコンプライアンス体制の見直し、監督機能の強化を実施します。
また、主要な子会社の経営陣との意見交換機会の更なる充実等、実効性のより高い取締役会の運営をめざし、引き続き改善に取り組んでまいります。
○ 取締役の選解任方針・選解任手続
当社の取締役会の構成は、「NTTグループ人事方針」における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。なお、社外役員については、幅広い経営視点・専門家としての意見を期待するとともに、社内外の取締役については、ダイバーシティの推進も踏まえて選任することとしております。取締役会は、独立社外取締役4名(うち女性1名)を含む取締役8名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、選解任については、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会での審議を経て行うこととします。なお、当社においては、法令の定め(「日本電信電話株式会社等に関する法律」第10条第1項)により、外国人を取締役とすることはできません。
NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「Your Value Partner」として、お客さまに対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととしています。
取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任しています。なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。
なお、取締役候補の選任にあたっては、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。
(参考)取締役・監査役のスキルマトリックス

○ 後継者計画
最高経営責任者の後継者候補については、技術革新、市場動向、経営環境の変化のスピードに対応できる後継者候補の確保が重要と捉え、幅広い職務経験、重要ポストへの配置等を通じ、候補者の多様性を担保し、人格、見識ともに優れ時世に合った人材を登用していけるよう育成を行っています。なお、選任にあたっては、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て、取締役会で決定しています。
○ 取締役の活動の支援体制等
独立社外取締役に対しては、取締役会事務局を連絡先とし、常日頃より、業務執行に関する問い合わせ、説明等のサポートを実施しています。
○ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨定款に定めています。
○ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、この選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めています。
(B) 監査役会の状況
「(3)監査の状況 ①監査役会の状況」に記載しています。
(C) その他
○ 内部統制システムの整備の状況
当社は、NTTグループにおける内部統制システムの整備に関する基本方針を定め、取締役会にて決議しています。その方針の基本的考え方は、以下のとおりです。
(a)当社は、内部統制システムの整備にあたり、法令の遵守、損失の危機管理及び適正かつ効率的な事業運営を目的に、損失の未然防止、損失最小化に向けた各種対策を講じる。
(b)上記内部統制システムの整備のため、内部統制室を設置し、規程・体制等の整備を統括するとともに、監査レビューの実施やグループとしてリスクの高い共通項目についての統一的な内部監査を実施することにより、内部統制システムの有効性を評価した上、必要な改善を実施する。
(c)金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制システムの信頼性の確保についても適切な取り組みを実施する。
(d)社長は業務執行の最高責任者として、内部統制システムの整備及び運用について責任をもって実施する。
○ 取締役・監査役に対する研修
NTTグループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメント等、様々な研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験等を積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所等における最新の研究開発成果への理解を深める機会を設ける等、NTTグループ事業への理解を更に深める取り組みも行っています。
○ 責任限定契約の内容の概要
当社と社外取締役及び監査役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しています。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額としています。
○ 役員等賠償責任保険
当社は会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、これにより、被保険者が会社役員等の地位に基づいて行った行為(不作為を含む)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用等を補償することとしています。ただし、贈収賄等の犯罪行為や意図的に違法行為を行った役員自身の損害等は補償対象外とすることにより、役員等の職務の執行の適正性が損なわれないように措置を講じています。
当該保険契約の被保険者は、当社及び当社子会社である東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、NTT株式会社の取締役、監査役、執行役員です。
○ 株主総会決議事項を取締役会で決議できることとした事項
当社は、取締役会決議によって市場取引等により自己の株式の取得ができる旨定款に定めています。これは、経営環境に応じた柔軟な資本政策を行うことができるようにするものです。
当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めています。これは株主への機動的な利益還元を行うことができるようにするものです。
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役会決議によって取締役及び監査役の責任を法令の限度において免除することができる旨定款に定めています。これは、取締役及び監査役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮できるようにするものです。
○ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。これは、特別決議の定足数をより確実に充足できるようにするものです。
○ コンプライアンス体制の整備状況
《NTTグループ企業倫理憲章の制定》
健全な企業活動を推進していくためには、法令を遵守し、高い倫理観を持って事業を運営していくことが不可欠という認識のもと、2002年11月、「NTTグループ企業倫理憲章」を策定しました。
「NTTグループ企業倫理憲章」は、NTTグループに所属する全ての役員及び社員を対象に、企業倫理に関する基本方針と具体的な行動指針を示しています。行動指針には、社会的責務の大きな企業グループの一員として、不正や不祥事の防止に努めること、企業内機密情報の漏えいを防止すること、お客さまやお取引先との応接の際の過剰な供授をなくすこと等、公私を問わず高い倫理観を持って行動することを定めています。
《NTTグループ企業倫理憲章の浸透に向けた取り組み》
「NTTグループ企業倫理憲章」を実効性のあるものとするために、社員向けの企業倫理研修等を実施するとともに、社員向けWebサイトでは「NTTグループ企業倫理憲章」の内容や企業倫理上問題となる事例を詳しく解説し、社員の理解度向上に努めています。また、社員への意識調査を毎年実施して浸透度を測り、更なる企業倫理の浸透度向上に活かしています。
《企業倫理ヘルプライン(社外受付窓口)の設置》
不正や不祥事の未然防止を図るために、グループ各社において社内受付窓口を設けているほか、当社が弁護士事務所に委託して、全グループ企業を対象とした「企業倫理ヘルプライン(社外受付窓口)」を設けています。
寄せられた相談や通報は各主管担当において調査・対応し、グループ各社の企業倫理委員会で報告された上で、年1回以上の頻度で当社の企業倫理委員会で全申告内容と対応状況を取りまとめ、取締役会に報告しています。
なお、これらの窓口への通報者は、通報したことによる不利益が生じないよう保護されることが「NTTグループ企業倫理憲章」に明記されています。
また、経営陣から独立した窓口として監査役への独立通報ルートを開設・運用しており、社外申告窓口を通じた通報は、原則として監査役へも同時に直接的な送付を行うとともに、監査役へ対してのみ通報することも可能としています。
《贈収賄防止》
NTTグループは、法令を遵守することはもとより、高い倫理観を持って事業を運営していくことが不可欠との認識のもと、いかなる贈収賄や便宜供与、ファシリテーションペイメント(注)等の不正を禁止しています。特に贈賄防止に関しては、「贈賄防止ハンドブック」を作成し、海外子会社も含めたグループ企業社員に周知するとともに、社内Webサイトにも公開し、理解徹底に努めています。
さらに、当社、NTT東日本・西日本については「日本電信電話株式会社等に関する法律」により贈収賄が禁止事項とされ、これに違反した場合は法的に罰せられます。
(注)ファシリテーションペイメント:通常の行政サービスにかかわる手続円滑化のみを目的とした小額の支払い
《サプライヤーとの協働》
サプライチェーンにおける賄賂をはじめとした不正行為等に対し、サプライヤーの皆さまとともに社会規範や法令を遵守し、社会的責任を果たしていくため、「サプライチェーンCSR推進ガイドライン」を制定・公開しています。この「サプライチェーンCSR推進ガイドライン」において、「政治・行政との健全かつ正常な関係を保ち、贈賄や違法な政治献金等を行わないこと」「ステークホルダーとの関係において不適切な利益の供与や受領を行わないこと」等の遵守をサプライヤーの皆さまへお願いし、サプライヤーも含めた不正行為の防止等に取り組んでいます。
○ リスク管理体制の整備の状況
《ビジネスリスクマネジメント》
身近に潜在するリスクの発生を予想・予防し、万一リスクが顕在化した場合でも損失を最小限に抑えること等を目的として、リスクマネジメントの基本的事項を定めたリスクマネジメント規程を制定しています。代表取締役副社長が委員長を務めるビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、リスクマネジメントのPDCAサイクルを構築し運用しています。なお、本委員会は2020年度において1回開催され、全社的に影響を与えると想定されるリスクの特定及びその管理方針等について議論しました。
また、グループ一体となってリスクマネジメントに取り組むため、NTTグループビジネスリスクマネジメントマニュアルを策定しグループ各社に配布しています。本マニュアルにより、リスク発生に備えた事前対処策、リスクが顕在化した場合におけるグループ連携方法や対応方針、情報連絡フロー等を定め、迅速な対応を可能とする体制を整備し運用しています。
《リスクの抽出・重点リスクの特定》
当社では社会環境の変化等を踏まえ、想定するリスクや、その管理方針の見直しを随時行っています。
リスクの抽出にあたっては、ビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、NTTグループを取り巻くリスクの分析プロセスを策定し、このプロセスに則って定期的にリスク分析を実施することで、全社リスクを特定します。さらに、それらリスクの相関分析を行い、最も重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「重要リスク」と特定し、その対応策を決定します。
なお、事業等のリスクについては、「第2 事業の状況」に記載しています。
○ 株主及び投資家の皆さまとの対話
当社は株主の皆さまとの対話を重視した経営を推進しており、株主総会の場での対話はもちろんのこと、社長をはじめとする経営幹部は、機関投資家の皆さまとの個別面談や個人投資家の皆さまに向けた説明会を通じて、業績動向はもとより、中期的な経営戦略やガバナンス等の説明・質疑応答等についても株主の皆さまとの対話を積極的に進めています。
株主の皆さまとの対話を通じていただいたご意見等につきましては適切に共有されており、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」の策定にあたっても、株主の皆さまの意見も踏まえて検討・策定を実施しました。
なお、株主の皆さまとの対話に際しては、インサイダー情報の管理徹底はもちろんのこと、フェア・ディスクロージャー(適時、公正かつ公平な情報開示)に配意して、積極的な情報開示を進めています。海外投資家の皆さまの利便性向上のため、開示資料の日英同時開示に努めており、事業報告を含む招集通知全文についても日英同時で株主総会開催日の1ヶ月以上前に開示しました。
《株主及び投資家の皆さまとの建設的な対話に関する方針》
(a)統括する経営陣の指定
財務部門長を責任者とし、財務部門にIR室を設置しています。
(b)有機的な連携のための方策
「財務戦略委員会」等において定期的に決算状況を議論する等、関係各部署と連携の上、コミュニケーションを充実させています。
(c)対話手段の充実
個別面談のほか、投資家の皆さまのニーズを踏まえたテーマ別説明会等を開催しています。
(d)効果的なフィードバック
株主や投資家の皆さまからいただいた意見を経営幹部やグループ各社に共有し、コミュニケーションの充実に役立てています。
(e)インサイダー情報の管理
ディスクロージャーポリシーに基づき、公正かつ公平な情報開示を実施しています。
《対話充実に向けた取り組み(当事業年度)》
・機関投資家の皆さま向け
(a)四半期ごとの決算説明会の実施(4回)
(b)国内外のIRカンファレンスへの参加(7回)
(c)NTT IR DAY(機関投資家の皆さま向けの説明会)の開催(1回)
(d)国内外での個別説明会の実施(延べ350件以上)
(議題:中期経営戦略・業績・ガバナンス等)
・個人投資家の皆さま向け
(a)会社説明会の実施(2回)
(b)オンライン会社説明会の実施(3回)
(経営層による会社説明会1回を含む)
(c)各種出版物等を通じた情報発信(2回)