有価証券報告書-第38期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/23 15:00
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145項目
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、株主や投資家の皆さまをはじめ、お客さまやお取引先、従業員等、様々なステークホルダー(利害関係者)の期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要であると考えており、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでいます。
②企業統治体制の概要
当社は、独立社外監査役を含めた監査役による監査体制が経営監視機能として有効であると判断し、監査役会設置会社形態を採用しています。また、独立社外取締役を選任することにより、業務執行を適切に監督する機能を強化しています。さらに、執行役員制度を導入することにより、取締役会が担う経営に関する決定・監督の機能と、執行役員が担う業務執行の機能を明確に分離する体制を整え、経営の機動力の向上を図っています。加えて、当社は独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、指名・報酬の決定における客観性・透明性のさらなる向上を図っており、監査役会設置会社形態による統治機能が十分有効であると判断しています。
当社の業務は、各組織の所掌業務を定めた組織規程に則って執行されており、意思決定は、取締役会の監督の下、社長・副社長、執行役員及び各組織の長の責任を定めた責任規程に基づいて行っています。また当社は、グループ経営の推進に向けた適切な意思決定を行うため、重要な業務執行に関する各種会議、委員会を必要に応じて設置しています。
当社のコーポレート・ガバナンス体制の模式図は、以下のとおりです。
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③会社の機関の内容
○ 取締役会
取締役会は、独立社外取締役5名を含む取締役10名で構成され、社外取締役比率は50%となっています。また、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離することで、執行に対する監視機能と経営の機動力を担保しています。取締役会は、原則として毎月1回の定例取締役会を開催し、必要のある都度臨時取締役会を開催することで、グループ経営戦略に関する議論に加え、法令で定められた事項、及び会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役及び執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役員の職務執行を監督しています。
独立社外取締役については、それぞれ豊富な経験を有し、人格、見識ともに優れていることから、業務執行の監督機能強化への貢献及び幅広い経営的視点からの助言を期待するものです。
なお、当社は、取締役会による役員等の指名・報酬の決定等における独立性、客観性及び説明責任のさらなる強化を目的に、取締役会の事前審議等機関として5名の取締役で構成(過半数である3名が独立社外取締役)される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めています。
加えて、サステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、サステナビリティ委員会を取締役会直下の機関として任意に設置し、重要な課題・指標の決定については、取締役会で決議することで、その取組みのさらなる推進を図っています。
《取締役会の構成》
取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野等のバランス及び多様性を考慮した構成としており、業務執行の監督機能を強化する観点から選任している独立社外取締役5名を含む取締役10名で構成されています。詳細につきましては「(2)役員の状況」に記載しています。
《取締役会の活動》
原則として毎月1回、定例取締役会を開催するとともに、必要のある都度臨時取締役会を開催し、法令で定められた事項、及び会社経営・グループ経営に関する重要事項等、取締役会規則に定めた事項を決定するとともに、取締役及び執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役員の職務執行を監督しています。2022年度においては取締役会を14回開催しました(取締役であった榊原定征は、在任中に開催した4回のうち3回出席、監査役である鹿島かおるは14回のうち13回出席。その他取締役・監査役は全ての会で出席)。
《取締役会の実効性評価》
純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。
当社の取締役会は、執行役員等で構成する執行役員会議や、社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員等が参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項等を決定するとともに、各取締役及び各執行役員の職務執行の状況をモニタリングしています。
取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営等における課題とその解決に向けた取組みや、出資や提携等の事業拡大に向けた取組みについて報告・審議されています。2022年度は、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、NTTグループにおけるグローバル事業の強化に向けた再編等の会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスのさらなる強化に向けた方針の策定等を中心に、活発な議論がなされました。また、独立社外取締役に対して、取締役会付議案件の事前説明に加え、取締役会後に代表取締役から当面の課題や検討状況を説明し、執行の注力内容と取組み趣旨の明確化に努めることで、取締役会の監督機能が充分に発揮できるような環境を整えています。
さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、独立社外取締役と代表取締役で当社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発に関する展示会における、最先端の研究成果等の説明や、最新ICT技術を用いた講演の紹介等も実施しました。他にも、独立社外取締役と当社監査役、主要なグループ会社の独立社外取締役等との間で、NTTグループの経営課題について意見交換を行いました。
これらの意見交換会において、独立社外取締役及び監査役から、当社の取締役会等に関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できていると評価されています。
また、取締役会の継続的な実効性向上を通じた経営ガバナンスの強化を目的に、毎年1回、取締役会の実効性評価を実施しています。2022年度においても第三者機関を起用し、全取締役・監査役を対象とした取締役会に関するアンケート調査を行い、取締役会としての実効性評価を実施しました。取締役会の役割と責務、構成、運営、満足度といった観点での質問を行い、第三者機関にて取りまとめた結果、全ての設問において肯定的意見が多数を占めており、取締役会に期待される重要な役割・責務が十分に果たされていることを確認しました。
また、戦略的議論の活性化にむけて実施した、意見交換会の開催や、グローバル事業の強化に向けた再編等の会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスのさらなる強化に向けた方針の策定等重要課題の議論の充実等により、全ての役員から肯定的な意見を得ており、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しています。
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《役員の選任》
当社の取締役会の構成は、NTTグループ人事方針における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。なお、社外役員については、幅広い経営視点・専門家としての意見を期待するとともに、社内外の取締役については、ダイバーシティの推進も踏まえて選任することとしています。取締役会は、独立社外取締役5名(うち女性2名)を含む取締役10名で構成され、社外取締役比率は50%となっています。
なお、当社においては、法令の定め(日本電信電話株式会社等に関する法律 第10条第1項)により、外国人を取締役とすることはできません。
NTTグループ人事方針
基本的な考え方
NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「Your Value Partner」として、お客さまに対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととします。
取締役候補の選任
取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任します。取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野等のバランス及び多様性を考慮した構成とします。
なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。
監査役候補の選任
監査役候補は、専門的な経験、見識等からの視点に基づく監査が期待できる人材を選任することとします。
なお、取締役の業務執行を公正に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を社外監査役とし、会社法に則り監査役の半数以上を選任します。

なお、取締役候補の選任にあたっては、独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。また、監査役候補の選任にあたっては、監査役候補の選任方針に基づき取締役が提案する監査役候補について、社外監査役が半数以上を占める監査役会における審議・同意を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。
(参考)取締役・監査役のスキルマトリックス
NTTグループ中期経営戦略の実現に向け、特に期待する分野を、①経営管理、②マーケティング・グローバルビジネス、③IT・DX・研究開発、④法務・リスクマネジメント・公共政策、⑤HR、⑥財務・ファイナンスの分野と定義しています。個々の取締役・監査役メンバーのスキルについても過不足なく適切に配置しており、その一覧は下表のとおりです。
0104010_003.png(注)各取締役・監査役に特に期待する分野を、最大5つまで記載しています。上記一覧表は、各取締役・監査役の有するすべての知見・経験を表すものではありません。
《後継者計画》
最高経営責任者等の後継者候補については、技術革新、市場動向、経営環境の変化のスピードに対応できる後継者候補の確保が重要と捉え、幅広い職務経験、重要ポストへの配置等を通じ、候補者の多様性を担保し、人格、見識ともに優れ時世に合った人材を登用していけるよう育成を行っています。選任にあたっては、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会の審議を経て、取締役会で決定しています。
なお、将来の経営幹部候補については、年齢・性別・専門分野を問わず様々な人材を選抜し、経営幹部候補育成プログラムとしてスタートした“NTT University”における育成を通じて、変革をリードしていく意欲溢れる多様な人材を対象としていきます。
○ 監査役会
監査役会は、社内監査役2名と独立社外監査役3名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計5名で構成されています。業務執行者とは異なる独立した立場から業務監査及び会計監査を実施し、取締役の職務執行状況を監査しています。
詳細につきましては「(2)役員の状況」及び「(3)監査の状況 ①監査役会の状況」に記載しています。
○ 指名委員会、報酬委員会
取締役会による役員等の指名・報酬の決定等における独立性、客観性及び説明責任のさらなる強化を目的に、取締役会の事前審議機関として5名の取締役で構成(過半数である3名が独立社外取締役)される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めています。2022年度末時点において、両委員会を構成する委員は、島田明(代表取締役社長)、廣井孝史(代表取締役副社長)、坂村健(社外取締役)、内永ゆか子(社外取締役)及び渡邉光一郎(社外取締役)とし、議事運営を統括する委員長は島田明(代表取締役社長)としていました。なお、有価証券報告書提出日現在、両委員会構成委員及び議事運営を統括する委員長に変更はございません。両委員会の決議にあたっては、構成メンバーである委員の過半数が出席し、出席委員の過半数をもって行うこととしています。
2022年度は指名委員会を5回、報酬委員会を1回開催し、役員等の選任、後継者計画、役員報酬体系の在り方等について活発な議論を実施しています。(全ての委員が全ての会に出席)
指名委員会事前審議事項(1)グループ全体の取締役・執行役員の選任及び解任並びにその候補者の指名を行うにあたっての方針
(2)取締役の選任及び解任に関する事項
(3)主要グループ会社の代表取締役の選定及び解職に関する事項
(4)代表取締役、その他役付取締役の選定及び解職
(5)会長の選定及び解職
(6)社長に事故があるとき、その職務を代行する取締役の順序
(7)取締役に関する業務分担の決定及び使用人職務の委嘱
(8)執行役員の選任及び解任並びに職務の委嘱
(9)前各号に掲げるほか、取締役・執行役員等の指名に関して取締役会から諮問を受けた事項
個別委任事項取締役・執行役員等の指名に関して取締役会から個別に委任を受けた事項
報酬委員会事前審議事項(1)取締役・執行役員の報酬の決定方針及び報酬の構成・水準
(2)前号に掲げるほか、取締役・執行役員等の報酬に関して取締役会から諮問を受けた事項
個別委任事項(1)取締役・執行役員の報酬の割合、算定方法及び個人別の報酬の額
(2)取締役・執行役員等の報酬の決定に関して取締役会から個別に委任を受けた事項

○ サステナビリティ委員会
サステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であると位置づけ、サステナビリティについての取組みに対する取締役の監督機能の強化を目的に、取締役会の事前審議機関として代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を任意に設置しています。NTTグループのサステナビリティに関わる基本戦略、活動の実施状況、情報開示について議論し、取組みを推進しています。
○ 執行役員会議
会社の重要な意思決定にあたっては、原則として、執行役員等で構成する執行役員会議において審議した上で決定することとし、週1回程度開催することとしています。なお、意思決定の透明性を高めるため、執行役員会議には監査役1名も参加することとしています。
④企業統治に関するその他の事項
○ 内部統制システムの整備の状況、子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況等
当社は、NTTグループにおける内部統制システムの整備に関する基本方針を定め、取締役会にて決議しています。決議の内容は、以下のとおりです。
内部統制システムの整備に関する基本方針
1.内部統制システムの整備に関する基本的考え方
(1)当社は、内部統制システムの整備にあたり、法令の遵守、損失の危機管理及び適正かつ効率的な事業運営を目的に、損失の未然防止、損失最小化に向けた各種対策を講じる。
(2)上記内部統制システムの整備のため、内部監査部門を設置し、規程・体制等の整備を統括するとともに、監査レビューの実施やグループとしてリスクの高い共通項目についての統一的な内部監査を実施することにより、内部統制システムの有効性を評価した上、必要な改善を実施する。
(3)金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制システムの信頼性の確保についても適切な取り組みを実施する。
(4)社長は業務執行の最高責任者として、内部統制システムの整備及び運用について責任をもって実施する。
2.内部統制システムに関する体制の整備
(1)取締役、執行役員及び社員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社は、法令を遵守することはもとより、高い倫理観を持って事業を運営していくため、以下の取り組みを行う。
1)社員就業規則等において、事業を適正かつ効率的に運営するため、誠実に法令、規程及び通達を遵守し、全力をあげてその職務の遂行に専念すべき義務を定める。
2)企業倫理については、NTTグループ企業倫理規範を策定し、NTTグループ全ての役員及び社員に対して、企業倫理に関する具体的行動指針とする。
3)企業倫理の責任体制を明確化し、企業倫理の確立、コンプライアンス意識の醸成、綱紀の保持、申告に関する調査検討等を行うため、副社長を委員長として、企業倫理委員会を設置する。
4)より風通しの良い企業風土の醸成に努め、グループ各社内の企業倫理ヘルプライン受付窓口及び弁護士を活用したグループ横断的な社外の企業倫理ヘルプライン受付窓口を設置し、匿名・記名を問わず申告を受け付ける。また、経営陣から独立した受付窓口として監査役への独立通報ルートも設置する。なお、企業倫理ヘルプライン受付窓口及び監査役に申告したことを理由として、申告者に対して不利益となる取り扱いは行わない。
5)役員や社員に対する継続的な啓発活動を行うため、企業倫理研修等を実施する。また、社内チェックの充実・強化を図るため、企業倫理に関する意識調査等を行う。
6)内部監査部門は、内部監査計画を取締役会に報告するとともに、それに基づき内部監査を実施し、その結果を定期的に取締役会に報告する。
(2)ビジネスリスクマネジメントに関する規程その他の体制
当社は、ビジネスリスクについて適切にマネジメントするため、以下の取り組みを行う。
1)リスクマネジメントの基本的事項を定め適正かつ効率的な業務運営を行うためリスクマネジメント規程を策定する。
2)ビジネスリスクマネジメントの責任体制を明確化するため、副社長を委員長として、会社運営に関わる新たなビジネスリスクへの対処に向けた危機管理を行うためにビジネスリスクマネジメント推進委員会を設置する。
3)また、NTTグループが一体となってリスクマネジメントを行うため、リスクの発生を予防し、事前準備するとともに、リスクが発生した場合に的確かつ迅速な対応を可能とするよう、ビジネスリスクマネジメントマニュアルを策定する。
(3)取締役及び執行役員の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社は、取締役及び執行役員の適切な責任分担と監督体制により効率的な事業運営を行うため、以下の取り組みを行う。
1)組織の構成と各組織の所掌業務を定める組織規程及び権限の分掌を定める責任規程を策定する。
2)執行役員制度を導入し、取締役会が担う経営に関する決定・監督の機能と執行役員が担う業務執行の機能を明確に分離する体制を整え、経営の機動力の向上を図る。
3)取締役会規則を定め、原則月1回開催される取締役会において、経営に関する重要事項について、関係法規、経営判断の原則及び善良なる管理者の注意義務等に基づき決定を行うとともに、取締役及び執行役員は、定期的に職務の執行状況等について報告する。
4)職務執行の公正性を監督する機能を強化するため、取締役会に独立した立場の社外取締役を含める。
5)さらにNTTグループを統括・調整する持株会社として、効率的かつ効果的なグループ経営を推進するため、会社経営・グループ経営に関する重要事項を課題毎に議論し、適正な意思決定を行うための執行役員会議、委員会を設置する。
また、NTTグループの事業運営において必要な事項の各社からの報告に関する体制を整備する。
(4)取締役及び執行役員の職務の執行に関する情報の保存及び管理に関する体制
当社は、取締役及び執行役員の職務の執行に関する情報の管理を行い、適正かつ効率的な事業運営に資するため、以下の取り組みを行う。
1)文書(関連資料及び電磁媒体に記録されたものを含む。以下「文書」という。)その他の情報の管理について必要事項を定めるため、文書規程、情報セキュリティマネジメント規程等を策定する。
2)文書の整理保存の期間については、法令に定めるものの他、業務に必要な期間、保存する。
(5)NTTグループにおける業務の適正を確保するための体制
当社は、NTTグループ会社間の取引については法令に従い適切に行うことはもとより、NTTグループが適正な事業運営を行い、グループとしての成長・発展に資するため、グループ会社において以下の取り組みを行う。
1)危機発生時の親会社への連絡体制を整備する。
2)不祥事等の防止のための社員教育や研修等を実施する。
3)情報セキュリティ及び個人情報保護に関する体制を整備する。
4)親会社へ定期的に財務状況等の報告を行う。
5)親会社の内部監査部門等による内部監査を実施する。
(6)監査役の職務を補助すべき社員に関する事項及びその社員の取締役及び執行役員からの独立性に関する事項
当社は、監査役の監査が実効的に行われることを確保するため、監査役の職務を補助すべき社員について以下の取り組みを行う。
1)監査役の職務を補助すべき専任の社員を配置するため、会社法上の重要な組織として監査役室を設置する。
2)監査役室に所属する社員は、監査役の指揮命令に基づき業務を実施する。
3)監査役室に所属する社員の人事異動、評価等について、監査役会の意見を尊重し対処する。
(7)取締役、執行役員及び社員が監査役に報告をするための体制及びその他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
当社は、監査役の監査が実効的に行われることを確保するため、取締役、執行役員及び社員が職務執行に関する重要な事項について監査役に報告する等、以下の取り組みを行う。
1)取締役等から職務執行等の状況について以下の項目について報告する。
a.執行役員会議で決議された事項
b.会社に著しい損害を及ぼした事項及び及ぼすおそれのある事項
c.月次決算報告
d.内部監査の状況
e.法令・定款等に違反するおそれのある事項
f.ヘルプラインへの通報状況
g.グループ会社から報告を受けた重要な事項
h.上記以外のコンプライアンス上重要な事項
2)監査役の求めに応じ、代表取締役、会計監査人、内部監査部門等は、それぞれ定期的及び随時に監査役と意見交換を実施する。
3)監査役は取締役会のほか、重要な会議に出席することができる。
4)監査役は、独自に外部の専門家と契約し監査業務に関する助言を受けることができる。
5)監査役は、職務の執行に必要な費用について請求することができ、当社は当該請求に基づき支払いを行う。
6)監査役に報告した者は、報告したことを理由として不利益となる取り扱いを受けない。

○ リスク管理体制の整備の状況
事業等のリスクやリスク管理体制の整備については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
○ 責任限定契約の内容の概要
当社と社外取締役及び監査役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しています。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額としています。
○ 役員等賠償責任保険
当社は会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、これにより、被保険者が会社役員等の地位に基づいて行った行為(不作為を含む)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用等を補償することとしています。ただし、被保険者自身が贈収賄等の犯罪行為や意図的に違法行為を行ったことに起因して被保険者が被る損害等については補償対象外とすることにより、役員等の職務の執行の適正性が損なわれないように措置を講じています。
当該保険契約の被保険者は、当社及び当社子会社であるNTT東日本、NTT西日本の取締役、監査役、執行役員です。
○ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨定款に定めています。
○ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、この選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めています。
○ 株主総会決議事項を取締役会で決議できることとした事項
当社は、取締役会決議によって市場取引等により自己の株式の取得ができる旨定款に定めています。これは、経営環境に応じた柔軟な資本政策を行うことができるようにするものです。
当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めています。これは株主への機動的な利益還元を行うことができるようにするものです。
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役会決議によって取締役及び監査役の責任を法令の限度において免除することができる旨定款に定めています。これは、取締役及び監査役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮できるようにするものです。
○ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。これは、特別決議の定足数をより確実に充足できるようにするものです。
○ 取締役・監査役のサポート体制
社外取締役に対しては、取締役会事務局が連絡窓口となり、社外取締役からの問合せに対する回答や業務執行に関する情報提供等のサポートを常日頃より行っています。加えて、取締役会開催前には、取締役会事務局等より社外取締役に対して、審議にかけられる案件の内容等について事前に説明を行っています。
社外監査役を含む監査役については、その職務を補助するため監査役室を設置し、監査役監査業務のサポートを実施しています。
○ 取締役・監査役に対する研修
NTTグループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメント等、様々な研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験等を積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所等における最新の研究開発成果への理解を深める機会を設ける等、NTTグループ事業への理解をさらに深める取組みも行っています。
○ コンプライアンス体制の整備状況
《NTTグループ企業倫理規範の制定》
健全な企業活動を推進していくためには、法令を遵守し、高い倫理観を持って事業を運営していくことが不可欠という認識のもと、2002年11月にNTTグループ企業倫理憲章(現NTTグループ企業倫理規範)を策定しました。
NTTグループ企業倫理規範は、NTTグループに所属する全ての役員及び社員を対象に、企業倫理に関する基本方針と具体的な行動指針を示しています。行動指針には、社会的責務の大きな企業グループの一員として、不正や不祥事の防止に努めること、企業内機密情報の漏えいを防止すること、お客さまやお取引先との応接の際の過剰な供授をなくすこと等、公私を問わず高い倫理観を持って行動することを定めています。
《NTTグループ企業倫理規範の浸透に向けた取組み》
NTTグループ企業倫理規範を実効性のあるものとするために、社員向けの企業倫理研修等を実施するとともに、社員向けWebサイトではNTTグループ企業倫理規範の内容や企業倫理上問題となる事例を詳しく解説し、社員の理解度向上に努めています。また、社員への意識調査を毎年実施して浸透度を測り、さらなる企業倫理の浸透度向上に活かしています。
《企業倫理ヘルプライン(社外受付窓口)の設置》
不正や不祥事の未然防止を図るために、グループ各社において社内受付窓口を設けているほか、当社が弁護士事務所に委託して、全グループ企業を対象とした企業倫理ヘルプライン(社外受付窓口)を設けています。
寄せられた相談や通報は各主管担当において調査・対応し、グループ各社の企業倫理委員会で報告された上で、年1回以上の頻度で当社の企業倫理委員会で全申告内容と対応状況を取りまとめ、取締役会に報告しています。
なお、これらの窓口への通報者は、通報したことによる不利益が生じないよう保護されることがNTTグループ企業倫理規範に明記されています。
また、経営陣から独立した窓口として監査役への独立通報ルートを開設・運用しており、社外申告窓口を通じた通報は、原則として監査役へも同時に直接的な送付を行うとともに、監査役へ対してのみ通報することも可能としています。
《贈収賄防止》
NTTグループは、法令を遵守することはもとより、高い倫理観を持って事業を運営していくことが不可欠との認識のもと、いかなる贈収賄や便宜供与、ファシリテーションペイメント※等の不正を禁止しています。特に贈賄防止に関しては、贈賄防止ハンドブックを作成し、海外子会社も含めたグループ企業社員に周知するとともに、社内Webサイトにも公開し、理解徹底に努めています。
さらに、当社、NTT東日本・西日本については「日本電信電話株式会社等に関する法律」により贈収賄が禁止事項とされ、これに違反した場合は法的に罰せられます。
※ ファシリテーションペイメント:通常の行政サービスに関わる手続円滑化のみを目的とした小額の支払い
《サプライヤとの協働》
サプライチェーンにおける賄賂をはじめとした不正行為等に対し、サプライヤの皆さまとともに社会規範や法令を遵守し、社会的責任を果たしていくため、サプライチェーンサステナビリティ推進ガイドラインを制定・公開しています。このガイドラインにおいて、「汚職や違法な政治献金の防止、不適切な利益供与及び受領の禁止」「公正なビジネスの遂行」等の遵守をサプライヤの皆さまへ要請しています。
また、NTTグループは重要なサプライヤの皆さまに対する自己評価アンケートや直接対話といったエンゲージメント活動を行うことにより、ガイドライン遵守状況の確認を推進しています。確認の結果、ガイドラインに記載する事項を満たさない行為や事象が特定された際には、当該のサプライヤに対して是正を求める等、サプライヤの皆さまと協働した不正行為等の防止に取り組んでいます。
○ 株主及び投資家の皆さまとの対話
当社は株主の皆さまとの対話を重視した経営を推進しており、株主総会の場での対話はもちろんのこと、社長をはじめとする経営幹部は、機関投資家の皆さまとの個別面談や個人投資家の皆さまに向けた説明会を通じて、業績動向はもとより、中期的な経営戦略やガバナンス等の説明・質疑応答等についても株主の皆さまとの対話を積極的に進めています。
株主の皆さまとの対話を通じていただいたご意見等につきましては適切に共有されており、2023年5月に発表した中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」の策定にあたっても、株主の皆さまの意見も踏まえて検討・策定を実施しました。
なお、株主の皆さまとの対話に際しては、インサイダー情報の管理徹底はもちろんのこと、フェア・ディスクロージャー(適時、公正かつ公平な情報開示)に配意して、積極的な情報開示を進めています。海外投資家の皆さまの利便性向上のため、開示資料の日英同時開示に努めており、事業報告を含む招集通知全文についても日英同時で株主総会開催日の1ヶ月以上前に開示しました。
《株主及び投資家の皆さまとの建設的な対話に関する方針》
(a)統括する経営陣の指定
財務部門長を責任者とし、財務部門にIR室を設置しています。
(b)有機的な連携のための方策
定期的に決算状況を議論する等、関係各部署と連携の上、コミュニケーションを充実させています。
(c)対話手段の充実
個別面談のほか、投資家の皆さまのニーズを踏まえたテーマ別説明会等を開催しています。
(d)効果的なフィードバック
株主や投資家の皆さまからいただいた意見を経営幹部やグループ各社に共有し、コミュニケーションの充実に役立てています。
(e)インサイダー情報の管理
ディスクロージャーポリシーに基づき、公正かつ公平な情報開示を実施しています。
《対話充実に向けた取組み(当事業年度)》
・機関投資家の皆さま向け
(対話を実施した取組みの概要)
(a)四半期ごとの決算説明会の実施(4回)
(b)国内外のIRカンファレンスへの参加(9回)
(c)NTT IR DAY(機関投資家の皆さま向けの説明会)の開催(1回)
(d)国内外での個別説明会の実施(延べ350件以上)
(対話を実施した投資家の概要)
[投資スタイル] グロース、バリュー、配当重視等の投資スタイル
[担当分野] ファンドマネージャー、アナリスト、ESG担当、議決権行使担当
(対話の主なテーマ)
中期経営戦略、業績、株主還元、サステナビリティ、ガバナンス等
・個人投資家の皆さま向け
(a)オンライン開催による会社説明会の実施(4回)
(経営層による会社説明会3回を含む)
(b)株主向け刊行物等を通じた情報発信(2回)