有価証券報告書-第95期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 11:22
【資料】
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【項目】
186項目
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)
1.連結の範囲に関する事項
連結子会社の数 49社(前連結会計年度は43社)
連結子会社名は「第1 企業の概況 3.事業の内容の[事業系統図]」に記載している。
2.持分法の適用に関する事項
持分法適用の関連会社数 21社(前連結会計年度は18社)
主な持分法適用関連会社は、㈱関電工、日本原子力発電㈱、㈱JERA他である。
グリーンウェイ・グリッド・グローバル社については、新たに設立したため、持分法適用の範囲に含めている。ディープ・シー・グリーン・エナジー(香港)社、ベト・ハイドロ社については、新たに株式を取得したため、持分法適用の範囲に含めている。
持分法を適用していない関連会社(日本原子力防護システム㈱、原燃輸送㈱他)は、それぞれ連結純損益及び連結利益剰余金等に及ぼす影響が軽微であり、かつ、全体としてもその影響に重要性が乏しい。
3.連結子会社の事業年度等に関する事項
連結子会社の決算日が連結決算日と異なる会社はテプコ・リソーシズ社、テプコ・イノベーション・アンド・インベストメンツ・ユーエス社の2社(前連結会計年度は2社)であり、12月31日を決算日としている。
なお、連結財務諸表の作成にあたっては、各連結子会社の決算日現在の財務諸表を使用し、連結決算日との間に重要な取引が生じた場合には、連結上必要な調整を行うこととしている。
4.会計方針に関する事項
(1)重要な資産の評価基準及び評価方法
イ 長期投資(その他有価証券)
時価のある有価証券は、決算日の市場価格等による時価法(売却原価は移動平均法)により評価し、その評価差額は全部純資産直入法によっている。
時価のない有価証券は、移動平均法による原価法によっている。
ロ たな卸資産
主として、収益性の低下に基づく簿価切下げを行う総平均法による原価法によっている。
ハ デリバティブ
時価法によっている。
(2)重要な減価償却資産の減価償却の方法
有形固定資産は定率法によっている。
無形固定資産は定額法によっている。
耐用年数は、法人税法に規定する基準と同一である。
なお、2005年度以降取得分の送電線路に係る地役権の耐用年数は、送電線路の耐用年数に準じた年数(36年)
とし、それ以外の送電線路に係る地役権は平均残存耐用年数としている。
また、有形固定資産には特定原子力発電施設の廃止措置に係る資産除去債務相当資産を計上しているが、当該廃止措置に係る費用の計上方法については、(8)原子力発電施設解体費の計上方法に記載している。
(3)重要な引当金の計上基準
イ 貸倒引当金
売掛債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上する方法によっている。
ロ 災害損失引当金
① 新潟県中越沖地震による損失等に係るもの
新潟県中越沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用または損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
② 東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用または損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
災害損失引当金に含まれる主な費用または損失の計上方法等については以下のとおりである。
a 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用または損失
政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力統合対策室により策定された「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 ステップ2完了報告書」(平成23年12月16日)を受け、政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成23年12月21日。以下「中長期ロードマップ」という)が策定された(平成29年9月26日最終改訂)。これらに係る費用または損失のうち、通常の見積りが可能なものについては、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額(「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画における炉心等除去に要する費用を除く)を計上している。
なお、中長期ロードマップに係る費用または損失のうち、工事等の具体的な内容を当連結会計年度末では想定できず、通常の見積りが困難であるものについては、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
b 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用または損失のうち加工中等核燃料の処理費用
今後の使用が見込めない加工中等核燃料に係る処理費用について、当該費用の現価相当額(割引率4.0%)を計上している。
なお、装荷核燃料に係る処理費用はその他固定負債に含めて表示している。
c 福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失
被災した福島第二原子力発電所の今後の取扱いについては未定であるものの、原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失は、新潟県中越沖地震により被災した柏崎刈羽原子力発電所の復旧等に要する費用または損失と同程度と判断し、これに基づく見積額を計上している。
(追加情報)
・災害損失引当金残高の内訳
前連結会計年度
(2018年3月31日)
当連結会計年度
(2019年3月31日)
① 新潟県中越沖地震による損失等に係るもの5,119百万円5,112百万円
② 東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの437,282443,716
うちa 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用または損失315,442321,813
b 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用または損失のうち加工中等核燃料の処理費用5,8856,121
c 福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失115,384115,256
d その他569525
442,402448,829

・福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用または損失のうち中長期ロードマップに係る費用または損失の見積り
原子力発電所の廃止措置の実施にあたっては予め原子炉内の燃料を取り出す必要があるが、その具体的な作業内容等の決定は原子炉内の状況を確認するとともに必要となる研究開発等を踏まえての判断となる。従って、中長期ロードマップに係る費用または損失については、海外原子力発電所事故における実績額に基づき計上している金額を含め、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
ハ 特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用または損失に備えるため、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画に定める金額のうち炉心等除去に要する費用を計上している。なお、申請額のうち、既承認額については特定原子力施設炉心等除去引当金に、それ以外の申請額を特定原子力施設炉心等除去準備引当金に計上している。
ニ 原子力損害賠償引当金
前連結会計年度(2017年4月1日から2018年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成23年8月5日)等の賠償に関する国の指針や、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づく賠償見積額から「原子力損害賠償補償契約に関する法律」(昭和36年6月17日 法律第148号)の規定による補償金の受入額及び「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年8月30日 法律第110号)等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの。以下「除染費用等」という)に対応する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)の規定に基づく資金援助の申請額(以下「資金交付金」という)を控除した金額を原子力損害賠償引当金に計上している。
これらの賠償額の見積りについては、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、現時点の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
(追加情報)
電気事業会計規則に基づき、当連結会計年度末において、除染費用等に対応する資金交付金に係る未収金1,627,254百万円については、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金には計上しておらず、同未収金相当額は原子力損害賠償引当金に計上していない。
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当連結会計年度末における賠償見積額を原子力損害賠償引当金に計上している。賠償額の見積りは、原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成23年8月5日)等の賠償に関する国の指針や、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づいている。
なお、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末における合理的な見積り額を計上している。
(追加情報)
電気事業会計規則に基づき、当連結会計年度末において、原子力損害賠償補償契約に関する法律(昭和36年6月17日 法律第148号)の規定による補償金の受入額188,926百万円及び「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年8月30日 法律第110号)等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対応する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)の規定に基づく資金援助の申請額に係る未収金1,449,106百万円は、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金及び原子力損害賠償引当金から控除している。
ホ 原子力発電工事償却準備引当金
原子力発電所の運転開始直後に発生する減価償却費の負担を平準化するため、電気事業法第27条の3及び同条の29の規定により、「原子力発電工事償却準備引当金に関する省令」(経済産業省令)に基づき計上している。
(4)退職給付に係る会計処理の方法
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している。
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によっている。
過去勤務費用は、主としてその発生時に全額を費用処理している。
数理計算上の差異は、主として各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年)による定額法により按分した額を、それぞれ発生の当連結会計年度から費用処理している。
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上している。
(5)重要なヘッジ会計の方法
イ ヘッジ会計の方法
繰延ヘッジ処理によっている。また、特例処理の要件を満たしている金利スワップについては特例処理によっている。
ロ ヘッジ手段とヘッジ対象
a ヘッジ手段 燃料価格に関するスワップ
ヘッジ対象 燃料購入に係る予定取引の一部
b ヘッジ手段 金利スワップ
ヘッジ対象 長期借入金の利息支払額の一部
ハ ヘッジ方針
デリバティブ取引に関する社内規程に基づき、燃料購入価格変動、為替変動及び金利変動によるリスクをヘッジすることを目的としている。
ニ ヘッジ有効性評価の方法
ヘッジ対象のキャッシュ・フロー変動の累計とヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動の累計を半期毎に比較してヘッジの有効性を評価している。ただし、特例処理によっている金利スワップについては有効性の評価を省略している。
(6)連結キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲
連結キャッシュ・フロー計算書における資金(現金及び現金同等物)は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなる。
(7)使用済燃料再処理等拠出金費の計上方法
使用済燃料の再処理等の実施に要する費用は、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」(平成28年5月18日 法律第40号)第4条第1項に規定する拠出金を、運転に伴い発生する使用済燃料の量に応じて費用計上する方法によっている。
なお、2004年度末までに発生した使用済燃料の再処理等に要する費用の見積額のうち、2005年度の引当計上基準変更に伴い生じた差異は、「電気事業会計規則等の一部を改正する省令」(平成28年9月30日 経済産業省令第94号)附則第4条に基づき使用済燃料に係る拠出金として納付することによりその費用負担の責任を果たすことになり、2019年度まで毎期均等額30,560百万円を費用計上する。
また、使用済燃料の再処理関連加工に係る拠出金については、使用済燃料再処理関連加工仮勘定に計上している。
(8)原子力発電施設解体費の計上方法
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年6月10日 法律第166号)に規定された特定原子力発電施設の廃止措置について、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成23年3月25日)第8項を適用し、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(経済産業省令)の規定に基づき、原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間にわたり、定額法による費用計上方法によっている。また、総見積額の現価相当額を資産除去債務に計上している。
ただし、エネルギー政策の変更や安全規制の変更等に伴って、原子炉を廃止する場合で、発電事業者の申請に基づき経済産業大臣の承認を受けたときは、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月(改正省令の施行日の前日までに運転を廃止したときは、廃止日の属する月から起算して10年を経過する月)までの期間にわたり、定額法で費用計上することとなる。
(追加情報)
・福島第一原子力発電所1~4号機の解体費用の見積り
被災状況の全容の把握が困難であることから、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
(会計方針の変更)
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年6月10日 法律第166号)に規定された特定原子力発電施設の廃止措置について計上している資産除去債務に対応する除去費用は、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成23年3月25日)第8項を適用し、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(経済産業省令)の規定に基づき、原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間に安全貯蔵予定期間を加えた期間にわたり、定額法による費用計上方法によっていたが、2018年4月1日に「原子力発電施設解体引当金に関する省令等の一部を改正する省令」(平成30年3月30日 経済産業省令第17号)が施行され、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」が改正されたため、同施行日以降は、見込運転期間にわたり定額法による費用計上方法に変更した。
これに伴い、従来の方法と比べて、当連結会計年度の原子力発電施設解体費が17,449百万円増加したことにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益は、それぞれ17,449百万円減少し、また、当連結会計年度末の原子力発電設備及び資産除去債務は、それぞれ116,430百万円及び133,879百万円増加している。
なお、当連結会計年度の1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益はそれぞれ10円88銭、10円88銭及び3円53銭減少している。
(9)消費税等の会計処理
消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜方式によっている。