有価証券報告書-第100期(2023/04/01-2024/03/31)
① ガバナンス・戦略
当社グループは、取り巻く環境変化に柔軟かつ迅速に対応し、持続的な企業価値向上を果たしていくため、「経営戦略をいかに実現するか」という観点から、“人”に関する様々なマネジメントに取り組んでいる。
こうした取り組みを時々の情勢、課題に応じて不断に見直すとともに、日々の取り組みを通じて、ありたい姿を見据えた企業文化の醸成につなげるべく、“人”に関する中長期的な「方針」とその進捗をモニタリングする「指標」を設定し、内部の議論及び外部との対話を通じて継続的にマネジメントの改善を図る一連のサイクルとして「人材マネジメントサイクル」の確立を目指している。このサイクルのうち、内部の議論については、中期経営計画において定期的に、また必要に応じて、人材マネジメントの領域に属する採用、異動配置、評価、育成、報酬、働き方、安全・健康などの方針、指標及び具体的施策を経営会議・取締役会に付議している。また、労働組合との意見交換も行っている。
<人材マネジメントサイクルの全体イメージ>
“人”に関する取り組みは息の長いものとなるが、ありたい姿をしっかりと見据え、改善を重ねながら持続的な企業価値向上に挑戦していく。以下、人的資本に関する方針、取り組みについて記載している。その進捗をモニタリングする人材マネジメント指標については「③ 指標及び目標」に記載している。
a.多様な人材の活躍推進
当社グループは、当社グループの経営理念「信頼。創造。成長。」のなかでも「創造。」、つまり、変化に対応し新たな価値を創造する担い手となるのは“人”であるという認識のもと、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関するグループ全体の包括的な方針として、「多様な人材の活躍推進方針」を策定している。

「多様な人材の活躍推進方針」のもと、グループ一体となって多様な人材が活躍できる更なる環境づくりに取り組んでいくこととしており、当社及びグループ会社は、それぞれの経営事情や事業特性等に応じて自律的・主体的に必要な施策を実施していく。以下、当社における現在の主な取り組みを記載している。
(a)「自律性」と「多様性」の更なる推進
ⅰ.自ら考え行動する人材の育成
社員は、中長期的にありたい姿やチャレンジしたい仕事などの成長目標及びこれを実現するために主体的に取り組むべきことを申告し、管理職は、その内容を参考にして育成計画を策定している。その育成計画をもとに、社員の成長に資する業務付与を行うとともに、日常の仕事を通じたOJT、階層別や応募型のOff-JTも効果的に組み合わせて育成を図っている。
また、2024年度からは新たにオンライン動画学習を導入し、階層別研修のカリキュラム内容に応じて利用するとともに、OJTや自己啓発支援などにも活用している。
ⅱ.多様な働き方の推進
多様な働き方の実現に向けて、フレックスタイム勤務制度や在宅勤務制度、配偶者同行休職制度の導入など、働き方の選択肢の充実を図っている。
また、各人の意欲に応じて自律的にキャリア形成できる環境を整備する観点から、従来の社内公募制度を拡充し、社内兼業の仕組みを設けている。
このほか、育児・介護のための休職制度や短時間勤務制度、生活上の様々なニーズに対応するための当社独自の休務制度など、仕事と家庭の両立支援制度を整備するとともに、男性の育児参加を推進し、男女ともに仕事と家庭を両立できる職場風土の醸成に取り組んでいる。
<至近に新設・拡充した主な制度>
(注)入社から退職までの期間における生活上の様々なニーズ(育児・ボランティア・自己啓発等)へ弾力的かつ幅広く対応するために設けた当社独自の休暇制度。
ⅲ.女性社員の活躍推進
女性社員の活躍に関する数値目標を設定のうえ、より一層の活躍を推進している。適性や育成計画に基づく幅広い業務付与により能力発揮を促すとともに、研修会などを通じて、管理職や女性社員の意識改革に取り組んでいる。
⦅至近に実施した研修会等⦆
(b)個人と組織の「関係性」向上
ⅰ.組織文化に関する指標の把握
多様な人材の活躍に向けて社員個々の力を最大限に引き出すため、個人と組織の「関係性」の高さを表す「従業員エンゲージメント」、個人と組織の「関係性」の土台となる「心理的安全性」「働きやすさ実感度」、さらには、社員一人ひとりの「自律性」の高さを表す「人材ビジョン実践度」という組織文化に関する指標について、全社員を対象とした自己申告制度において毎年調査し、その申告内容は上司と部下のコミュニケーションの材料としても活用している。
ⅱ.管理職のマネジメント支援
組織運営の鍵を握る管理職のためのマネジメント支援情報を継続的に発信するとともに、従業員エンゲージメントの向上に向け、組織文化に関する指標のマネジメントへの活かし方を示したハンドブックを全管理職へ配布している。また、マネージャー・課長クラスを対象にした「リーダーのための心理的安全性研修」や副長クラスを対象にした「リーダーシップトレーニング研修」を実施している。
(c)人材(量・質)の確保と成長
中長期的な想定に基づく人員計画を策定し、計画人数の確保を図るとともに、事業状況や成長領域への事業展開を踏まえつつ、他企業経験者や高度な専門能力を有する人材など多様な価値観・経験を有する人材の採用にも計画的かつ積極的に取り組んでいる。また、結婚、育児、介護、配偶者の転勤や、転職等のキャリアアップにより当社を自己都合退職した者を対象に、時期を問わず募集・再雇用する「おかえリターン制度」を設け、柔軟かつ効率的な人材の確保にも取り組んでいる。
b.人権の尊重
当社グループは、すべての人々の人権を尊重することを事業活動の根底におき、いかなる差別も行わず、人権が真に尊重される社会の実現に向けて取り組むことを企業行動憲章に掲げる行動原則の一つとして明示している。その具体的行動指針として、当社グループの全役員及び全従業員が人権尊重の考え方を共有し、実践していくため、「中国電力グループ人権方針」を策定している。

これまでも、同和問題やハラスメントなどの人権問題についての認識を深め、人権問題の解決に向けた行動につながるよう、当社においては、全社員対象の職場研修をはじめ、新入社員・新任ライン長など階層別の研修を毎年計画・実施するなど、人権啓発に取り組んでいる。
「中国電力グループ人権方針」のもと、人権デュー・ディリジェンスの実践など事業活動の中で社会から求められている人権尊重の考え方を深く理解し、人権に関する課題に真摯に向き合い、人権の尊重に留意して業務に取り組むことで、人権が真に尊重される職場や社会の実現に努めていく。
c. 安全と健康の推進
当社グループは、事業活動の基盤となる安全と心身の健康を確保することを最優先し、労働災害の防止、健康の保持増進に取り組むことを企業行動憲章に掲げる行動原則の一つとして明示している。
当社においては、安全管理や健康経営に関わる諸施策を推進していくための「安全健康推進業務運営方針」を毎年定めている。この方針のもと、当社グループに関わる全ての人がお互いを尊重し、安全と健康を気づかいあう職場風土の醸成に取り組むとともに、ライン管理者による安全管理の徹底と職場自主活動の推進を両輪として、先取り安全と基本ルールの遵守並びにコミュニケーションの促進を柱に、職場で働く一人ひとりの安全の確保と心身の健康保持増進に向けて継続的に活動を展開している。以下、当社における現在の主な取り組みを記載している。
(a)災害ゼロの追求
災害ゼロを目指して、社員一人ひとりの安全意識の高揚と安全行動の習慣化に向けて取り組んでいる。
⦅主な取り組み⦆
・作業時等の安全確保を目的としたDXの推進
・危険予知活動及びリスクアセスメントによる先取り安全の徹底
・当社と工事受注者が工事施工に伴う安全確保の協力体制を確立し、一体となって災害の防止を図ることを目的に請負工事安全対策協議会を設置・運営
(b)心とからだの健康づくり
社員一人ひとりの健康の保持増進が生産性の向上や活力ある職場づくりにつながるという考えのもと、健康経営を推進している。
⦅主な取り組み⦆
・産業保健スタッフによる健康指導や健康教育の実施
・健康保険組合とのコラボヘルスによる健康イベント(ウォーキングラリー、体重測定チャレンジ等)の実施
・ストレスチェック結果を活用した職場環境改善活動とメンタルヘルス不調の未然防止
・メンタルヘルス不調者への適切な対応と円滑な職場復帰に向けた支援
② リスク管理
全社リスク管理体制のもと、多様な人材の活躍推進、人権の尊重、安全と健康の推進に関するリスクの洗い出し、評価、対応策の検討を行い、経営計画等に反映して継続的にリスク管理を実践している。
また、業績等に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載している。
当社グループは、取り巻く環境変化に柔軟かつ迅速に対応し、持続的な企業価値向上を果たしていくため、「経営戦略をいかに実現するか」という観点から、“人”に関する様々なマネジメントに取り組んでいる。
こうした取り組みを時々の情勢、課題に応じて不断に見直すとともに、日々の取り組みを通じて、ありたい姿を見据えた企業文化の醸成につなげるべく、“人”に関する中長期的な「方針」とその進捗をモニタリングする「指標」を設定し、内部の議論及び外部との対話を通じて継続的にマネジメントの改善を図る一連のサイクルとして「人材マネジメントサイクル」の確立を目指している。このサイクルのうち、内部の議論については、中期経営計画において定期的に、また必要に応じて、人材マネジメントの領域に属する採用、異動配置、評価、育成、報酬、働き方、安全・健康などの方針、指標及び具体的施策を経営会議・取締役会に付議している。また、労働組合との意見交換も行っている。
<人材マネジメントサイクルの全体イメージ>

“人”に関する取り組みは息の長いものとなるが、ありたい姿をしっかりと見据え、改善を重ねながら持続的な企業価値向上に挑戦していく。以下、人的資本に関する方針、取り組みについて記載している。その進捗をモニタリングする人材マネジメント指標については「③ 指標及び目標」に記載している。
a.多様な人材の活躍推進
当社グループは、当社グループの経営理念「信頼。創造。成長。」のなかでも「創造。」、つまり、変化に対応し新たな価値を創造する担い手となるのは“人”であるという認識のもと、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関するグループ全体の包括的な方針として、「多様な人材の活躍推進方針」を策定している。

「多様な人材の活躍推進方針」のもと、グループ一体となって多様な人材が活躍できる更なる環境づくりに取り組んでいくこととしており、当社及びグループ会社は、それぞれの経営事情や事業特性等に応じて自律的・主体的に必要な施策を実施していく。以下、当社における現在の主な取り組みを記載している。
(a)「自律性」と「多様性」の更なる推進
ⅰ.自ら考え行動する人材の育成
社員は、中長期的にありたい姿やチャレンジしたい仕事などの成長目標及びこれを実現するために主体的に取り組むべきことを申告し、管理職は、その内容を参考にして育成計画を策定している。その育成計画をもとに、社員の成長に資する業務付与を行うとともに、日常の仕事を通じたOJT、階層別や応募型のOff-JTも効果的に組み合わせて育成を図っている。
また、2024年度からは新たにオンライン動画学習を導入し、階層別研修のカリキュラム内容に応じて利用するとともに、OJTや自己啓発支援などにも活用している。
ⅱ.多様な働き方の推進
多様な働き方の実現に向けて、フレックスタイム勤務制度や在宅勤務制度、配偶者同行休職制度の導入など、働き方の選択肢の充実を図っている。
また、各人の意欲に応じて自律的にキャリア形成できる環境を整備する観点から、従来の社内公募制度を拡充し、社内兼業の仕組みを設けている。
このほか、育児・介護のための休職制度や短時間勤務制度、生活上の様々なニーズに対応するための当社独自の休務制度など、仕事と家庭の両立支援制度を整備するとともに、男性の育児参加を推進し、男女ともに仕事と家庭を両立できる職場風土の醸成に取り組んでいる。
<至近に新設・拡充した主な制度>
在宅勤務 | 対象事業所、対象者、適用事由、実施可能回数を拡大 |
育児短時間勤務 | 対象となる子の年齢を小学3年生の年度末まで拡大 |
フレックスタイム勤務 | コアタイムを4時間から2時間に短縮 |
時間単位の年次有給休暇 <新設> | 年次有給休暇を1時間単位で取得可能 |
ライフサポート休暇 (注) | 適用事由に「不妊治療」を追加 |
社内兼業 <新設> | 各部署が公募する業務に応募し、自部署に所属しながら当該業務にも従事 |
配偶者同行休職 <新設> | 配偶者の転勤等に同行するため1回につき3年まで休職可能 |
(注)入社から退職までの期間における生活上の様々なニーズ(育児・ボランティア・自己啓発等)へ弾力的かつ幅広く対応するために設けた当社独自の休暇制度。
ⅲ.女性社員の活躍推進
女性社員の活躍に関する数値目標を設定のうえ、より一層の活躍を推進している。適性や育成計画に基づく幅広い業務付与により能力発揮を促すとともに、研修会などを通じて、管理職や女性社員の意識改革に取り組んでいる。
⦅至近に実施した研修会等⦆
組織メンバーの違いを活かす職場マネジメント研修 | 主に男女の違いを正しく理解し、それを活かすマネジメントをしていくための実践的知識・具体策を、OJT実施者が身に付けることを目的に実施 |
新任管理職への啓発活動 | 新任管理職に必要な知識として、人的資本に関する方針や、女性活躍推進の行動計画・取り組みについて個別学習を実施 |
若年層女性社員研修 | ライフイベントも見据えた主体的なキャリア形成を支援することを目的に実施 |
(b)個人と組織の「関係性」向上
ⅰ.組織文化に関する指標の把握
多様な人材の活躍に向けて社員個々の力を最大限に引き出すため、個人と組織の「関係性」の高さを表す「従業員エンゲージメント」、個人と組織の「関係性」の土台となる「心理的安全性」「働きやすさ実感度」、さらには、社員一人ひとりの「自律性」の高さを表す「人材ビジョン実践度」という組織文化に関する指標について、全社員を対象とした自己申告制度において毎年調査し、その申告内容は上司と部下のコミュニケーションの材料としても活用している。
ⅱ.管理職のマネジメント支援
組織運営の鍵を握る管理職のためのマネジメント支援情報を継続的に発信するとともに、従業員エンゲージメントの向上に向け、組織文化に関する指標のマネジメントへの活かし方を示したハンドブックを全管理職へ配布している。また、マネージャー・課長クラスを対象にした「リーダーのための心理的安全性研修」や副長クラスを対象にした「リーダーシップトレーニング研修」を実施している。
(c)人材(量・質)の確保と成長
中長期的な想定に基づく人員計画を策定し、計画人数の確保を図るとともに、事業状況や成長領域への事業展開を踏まえつつ、他企業経験者や高度な専門能力を有する人材など多様な価値観・経験を有する人材の採用にも計画的かつ積極的に取り組んでいる。また、結婚、育児、介護、配偶者の転勤や、転職等のキャリアアップにより当社を自己都合退職した者を対象に、時期を問わず募集・再雇用する「おかえリターン制度」を設け、柔軟かつ効率的な人材の確保にも取り組んでいる。
b.人権の尊重
当社グループは、すべての人々の人権を尊重することを事業活動の根底におき、いかなる差別も行わず、人権が真に尊重される社会の実現に向けて取り組むことを企業行動憲章に掲げる行動原則の一つとして明示している。その具体的行動指針として、当社グループの全役員及び全従業員が人権尊重の考え方を共有し、実践していくため、「中国電力グループ人権方針」を策定している。

これまでも、同和問題やハラスメントなどの人権問題についての認識を深め、人権問題の解決に向けた行動につながるよう、当社においては、全社員対象の職場研修をはじめ、新入社員・新任ライン長など階層別の研修を毎年計画・実施するなど、人権啓発に取り組んでいる。
「中国電力グループ人権方針」のもと、人権デュー・ディリジェンスの実践など事業活動の中で社会から求められている人権尊重の考え方を深く理解し、人権に関する課題に真摯に向き合い、人権の尊重に留意して業務に取り組むことで、人権が真に尊重される職場や社会の実現に努めていく。
c. 安全と健康の推進
当社グループは、事業活動の基盤となる安全と心身の健康を確保することを最優先し、労働災害の防止、健康の保持増進に取り組むことを企業行動憲章に掲げる行動原則の一つとして明示している。
当社においては、安全管理や健康経営に関わる諸施策を推進していくための「安全健康推進業務運営方針」を毎年定めている。この方針のもと、当社グループに関わる全ての人がお互いを尊重し、安全と健康を気づかいあう職場風土の醸成に取り組むとともに、ライン管理者による安全管理の徹底と職場自主活動の推進を両輪として、先取り安全と基本ルールの遵守並びにコミュニケーションの促進を柱に、職場で働く一人ひとりの安全の確保と心身の健康保持増進に向けて継続的に活動を展開している。以下、当社における現在の主な取り組みを記載している。
(a)災害ゼロの追求
災害ゼロを目指して、社員一人ひとりの安全意識の高揚と安全行動の習慣化に向けて取り組んでいる。
⦅主な取り組み⦆
・作業時等の安全確保を目的としたDXの推進
・危険予知活動及びリスクアセスメントによる先取り安全の徹底
・当社と工事受注者が工事施工に伴う安全確保の協力体制を確立し、一体となって災害の防止を図ることを目的に請負工事安全対策協議会を設置・運営
(b)心とからだの健康づくり
社員一人ひとりの健康の保持増進が生産性の向上や活力ある職場づくりにつながるという考えのもと、健康経営を推進している。
⦅主な取り組み⦆
・産業保健スタッフによる健康指導や健康教育の実施
・健康保険組合とのコラボヘルスによる健康イベント(ウォーキングラリー、体重測定チャレンジ等)の実施
・ストレスチェック結果を活用した職場環境改善活動とメンタルヘルス不調の未然防止
・メンタルヘルス不調者への適切な対応と円滑な職場復帰に向けた支援
② リスク管理
全社リスク管理体制のもと、多様な人材の活躍推進、人権の尊重、安全と健康の推進に関するリスクの洗い出し、評価、対応策の検討を行い、経営計画等に反映して継続的にリスク管理を実践している。
また、業績等に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載している。