訂正有価証券報告書-第35期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/07/23 14:46
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【項目】
107項目

対処すべき課題

当企業グループでは、以下の内容を経営課題と位置づけ、積極的に取り組んでまいります。
① 「日本最大のゴルフ場保有会社」から「世界最大のゴルフ場運営会社」へ
当社は、2015年3月期から2017年3月期を期間とする3ヵ年の新中期経営計画「Accordia Vision 2017」を策定いたしました。当社は、当該中期経営計画の実現に向けて、以下の中長期の経営戦略に取り組んでまいります。
当企業グループは、ゴルフ場の運営事業を展開するに際して課題となった資産効率の改善を行うため、アセットライトを実施し、「新規ゴルフ場の買収→バリューアップ→譲渡→運営受託」という循環型の新たな経営モデルを導入いたします。この循環型ビジネスモデルを導入することで、ゴルフ場運営受託事業の拡大を加速させ、「日本最大のゴルフ場保有会社」から「世界最大のゴルフ場運営会社」への転換を目指してまいります。
当企業グループは、これによって、資本効率を高め、かつ、持続的成長を推進し、株式価値を創造するすることを経営目標とし、株主資本利益率15%を目指します。
(a)循環型ビジネスモデルの確立によるキャピタルゲインの創出
当企業グループはこれまで、積極的なゴルフ場の取得を行い日本最大のゴルフ場保有会社として日本のゴルフ業界をリードしてまいりました。
ゴルフ場 M&A 市場が回復基調にある昨今においては、次なるステージとして、ビジネス・トラストによるアセットライト施策を通じて資産の効率化による成長余力を高めます。
さらに、ゴルフ場の新規買収にこれまで以上に積極的に投資を行い、バリューアップした後にこれを譲渡することで、キャピタルゲインを創出いたします。
加えて、譲渡先より運営業務を受託することにより運営受託収入の拡充を図るという循環型のビジネスモデルを確立いたします。
(b)運営受託事業拡大による安定的キャッシュ創出
当社は、当社保有ゴルフ場のビジネス・トラスト等への移管による運営受託や、ビジネス・トラスト以外からの運営受託を獲得し、運営受託事業を持続的に拡大し、安定的なキャッシュ・フローを創出いたします。
当社は、これら運営受託事業の安定的な成長を持続可能なものにするために、これまで提唱し、培ってまいりました「カジュアルで、楽しいゴルフ」を提供する「アコーディア・ブランド」の価値を更に高めて継続したサービス改善を実施し、集客力を向上してまいります。更に、「カジュアル」を求める顧客層だけでなく、トーナメントコースの様な一流のゴルフコースに憧れを持つ顧客層、さらには純粋にゴルフを楽しみコストパフォーマンスを求める顧客層など、多様に存在する顧客層のニーズに対応するための新たなゴルフ場ブランドを展開し、新たな市場を獲得してまいります。
(c)総株主還元を用いた企業価値向上に繋がる株主還元の導入
従来は運営事業による株主還元としての配当を実施しておりましたが、資本効率の向上と循環型ビジネスモデルの確立により、(i)ゴルフ場の運営受託収益を原資とした安定配当に加えて、(ii)ゴルフ場の売却益等を原資とした自己株式取得、配当等による株主還元の双方による充実した株主還元を目指します。
これにより、当社の利益配分に関する基本方針は、みなし連結当期純利益(連結当期純利益から特別損益を控除し、当該特別損益に関わる法人税等を調整したものをいいます。)の45%を配当性向の目処とするとともに、これに追加して、追加のアセットライトによるゴルフ場の移管に伴う余剰キャッシュ・フローの一部を充当し、積極的に自己株式の取得または配当等を含む株主還元を目指すことで、2016年3月期および2017年3月期において、総株主還元性向(連結当期純利益に対する配当総額および自己株式取得総額の割合をいいます。)目標を90%といたします。
2015年3月期の配当予想につきましては、上記の基本方針のうち、みなし連結当期純利益の45%を目処とする配当性向に係る利益配分を基本としつつも、期中においてビジネス・トラストによるアセットライトを実施するといった要因や2016年3月期以降におけるシミュレーション上の配当水準に配慮し、1株当たり36円の配当を予定しております。あわせて、当社は、ビジネス・トラストによるアセットライト施策の一環として、2014年8月上旬を目途に、買付代金の総額を450億円以上とする自己株式の公開買付けを行うことを予定しており、加えて、ビジネス・トラストによるアセットライトを通じて当社が受領する金額等を考慮した上で、さらなる株主還元が可能な場合には、追加的な配当の実施を検討いたします。
② ゴルフ事業革命の推進
当企業グループは、上記に加えて、従前からの経営方針であるゴルフ事業革命の推進についても、引き続き取り組んでまいります。
(a)マルチブランド戦略推進によるブランド力向上
当企業グループでは、アコーディア・ブランド設立以来、「常に快適なラウンドを約束する良質なゴルフコースの提供」、「お客様の多様なニーズに応えるプレースタイルの提供」、「専門店のようにサービスの充実したプロショップの提供」、「スポーツの場に相応しいリーズナブルなレストランの提供」の「サービス4原則」の徹底を図ることでサービスレベルを向上させ、新しいゴルフサービスを提供しております。これまでは、このブランドのもとで、ゴルフのプライベート利用に焦点を当て、カジュアルで楽しいゴルフを発展・定着させ、新しいゴルファーからの支持を得て成長を遂げてまいりましたが、さらに低料金で純粋にプレーのみを楽しみたい顧客ニーズが存在することや、カジュアルゴルフでは満足しないプレミアムサービスを求める顧客ニーズも存在するため、これらの顧客ニーズへ訴求する新たなブランドを設立いたしました。
当社ゴルフ場の中でも特にポテンシャルが高いコースについては、「本物志向」「ステータス」をコンセプトに、トーナメントクオリティのコースセッティングや上質感のあるクラブハウス、ゴルフライフを充実させる付加サービスを提供するプレミアムブランドとして「TROPHIAGOLF」を設立。高付加価値のオペレーションに加え、実際にトーナメントの誘致を行うなどの施策によって、ブランドコンセプトを顧客に訴求し定着させ、単価の維持向上、会員関連収入による収益モデルを追求します。
また、「シンプル」をコンセプトに、良質なコースコンディションを提供しつつ、付加サービスは省力化するローコストブランドとして「EVERGOLF」を設立。セルフチェックインやタブレット型GPSナビなどサービスのシステム化でコストダウンを実現することや、リーズナブルなカフェレストランを導入することで、ローコストオペレーションを実現し、さらなる低料金でのプレーを可能にさせ、かつ、収益の改善を図ります。
平成25年10月1日にTROPHIAGOLFとして石岡ゴルフ倶楽部を、平成26年1月8日にEVERGOLFとして習志野カントリークラブ空港コースをそれぞれリニューアルオープンしております。
(b)最適コストの実現
当企業グループでは、日本最大のゴルフ場運営会社として、スケールメリットを活かしたローコスト化を推進しており、ゴルフ場における受電・人事・経理業務を集約することによる業務の合理化及びコース機器や材料・消耗品・ショップ商品・食材等の集中購買を行っております。また、ゴルフ1回当りのコストを下げ、ゴルファーがより来場しやすい環境をつくり、より多くのゴルファーにもっとゴルフを楽しんでいただくことを目的に、カフェテリアレストランの導入、自動精算機の導入、快適なセルフプレーの推進につながる環境整備等を顧客ニーズを見極めながら順次拡大しております。
また、ブランドごとの最適コストの実現のため、労務費の変動費化、ゴルフ場のフロントやレストランなど複数の業務間における兼務、レストランにおける調理業務の省力化などを行い、利益改善を図ります。
(c)収益最大化オペレーションの実現
ゴルフ場の市場特性によるマーケットポジションを分類し、適正稼働率の確保を図ります。さらに、これまで蓄積した顧客動向等のデータベースと直近の市場動向を分析し、日々のマーケティングに活用することで、最適なキャパシティの設定、最適価格での販売による収益の最大化を図っております。来場データ・市場データの分析については、リピート率の向上や集客チャネルの最適化への施策検討にも活用してまいります。また、レベニューマネジメント(売上管理手法)により、需要を予測し、適正な価格、稼働率、枠数にてプレー枠を販売することにより、収益の最大化を図ります。
当企業グループの既存顧客の来場促進は、平成26年3月末時点で合計約333万枚発行しているACCORDIA GOLFポイントプログラムをベースとして行っております。まず、平成26年3月31日時点で約18万名おられる各ゴルフ場の会員の皆様を安定的な収益を支える最重要顧客と位置づけ、プロショップでのポイントカード利用時のポイント還元率の優遇をしております。さらに、会員の皆様には、年2回の無料ゴルフクリニックや会員限定イベントの提供など、会員サービスの向上に努め、会員の皆様やその周辺の方々のゴルフ場利用拡大に結びつけております。
③ 練習場事業の拡大及び収益向上
当企業グループでは、練習場における快適な環境の整備はもちろん、「アコーディア・ゴルフアカデミー」ではゴルフ場での実践的なレッスンを取り入れたレッスンプログラムを実施し、初心者や女性のゴルフデビューを促しております。さらに、品揃えが豊富なプロショップの提供など、高品質な付加価値サービスを提供することで来場を促進し、練習場の来場者に対し近隣のゴルフ場を案内することで、シナジー効果を高めてまいります。また、グループのスケールメリットを活かすため、システムやインフラの統一を行うことで、練習場事業においてもローコストオペレーションを確立してまいります。
今後も、集客強化の観点から、当社ブランドによるゴルフ練習場施設増加のスピードを拡大するため、運営受託方式、フランチャイズ方式などノンアセット型運営事業を推進し、買収・建設については都市部で投資効率が高い優良案件に限定してまいります。
④ リテール事業における販売・仕入強化と販売チャネル拡大
当社のリテール事業は、設立以来売上を拡大し、平成25年度における売上高は約 43 億円となりました。更なる収益拡大に向けて、リテール事業を分社化し、事業に特化した専門の組織として機動性・効率性を高めます。
また、ショップ独自のブランド「golfrevo(ゴルフレボ)」を立ち上げ、従来の運営ゴルフ場・練習場インショップをゴルフ用品専門店へとリニューアルし、サービス強化をしてまいります。また、路面店・フランチャイズなどの新たな収益機会を創出することでリテール事業を強化してまいります。
⑤ ゴルフ市場の活性化
ゴルフ人口の拡大、ゴルフ市場の活性化は、今後の当企業グループの成長を長期的に維持するために不可欠なものであると考えております。そのため、当企業グループでは、今後のゴルファーの増加に向け、女性向けWebサイトと初心者向けイベントの充実、ファッション雑誌への掲載、ジュニアレッスンイベント、若年層向け年度会員制度などに取り組んでおります。また、現在の顧客基盤である団塊世代以上のゴルファーにとって、生涯にわたりゴルフを楽しんでいただける施策も行っております。例えば、70歳以上の会員ゴルファーには、年間を通した乗用カートのフェアウェイ乗り入れを可能としております。さらに、全国11地区で展開しているシニア向け平日共通年度会員は、複数のコースを楽しんでいただけるとともに、コンペ等のイベント参加によりゴルフ仲間を増やせるというメリットもあり、好評を得ております。今後も、女性やジュニア、シニアなど、性別、世代を問わずゴルフの楽しさを理解してもらえるようなイベントの企画や情報の発信を積極的に行い、ゴルフ関連市場の拡大、活性化に取り組んでまいります。
⑥ 安定的なファイナンス手段の確立
ゴルフ場・ゴルフ練習場の買収・建設等に係わる資金調達については、シンジケートローンや社債、コミットメントライン等をバランス良く組み合わせ、低コストかつ安定的なファイナンス手段を確保しております。
また、金利変動に対するリスクマネジメントに取り組み、健全な財務体質の維持を図ってまいります。
⑦ コンプライアンス体制の強化
ガバナンス体制、コンプライアンス体制の強化を図ると同時に、研修や啓発活動を通じ従業員一人一人のコンプライアンス意識の向上を図ってまいります。