訂正有価証券報告書-第54期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)
1.全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
①会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
②地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
(2) 経営環境
当社グループが提供する製品およびサービスに大きな影響を与えるものは、法令等の改正とICTの進化です。法令等の改正としては、令和2年4月より開始した大法人の電子申告の義務化、令和3年4月より強制適用される収益認識に関する会計基準、デジタル手続法や地方公会計の統一的な基準などがあり、その対応を求められています。
また、ICTの進化については、クラウドコンピューティング、FinTech、AI、RPAなどがあり、加えて令和3年はデジタル庁の創設やマイナンバーカードと健康保険証の一体化などが予定されています。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社グループの提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
ただし、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の収束が見通せない中、わが国経済の先行きは不透明であり、当社グループの顧客である会計事務所とその関与先である中小企業、地方公共団体等への影響も長期化することが予想されます。今のところ印刷事業部門である子会社において民間企業からのダイレクトメール(DM)受注の減少が顕在化していますが、当社グループの業績への影響は僅少です。なお、今後の景気減退と企業活動における投資抑制の動向によっては、大きな影響が出る可能性も否定できません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①法令を完全に遵守したシステムの提供
当社グループは、関連法令に完全に準拠し、最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社グループにおいては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
②グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用開始しております。
③働きがいのある組織風土の醸成
当社グループは、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
④業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、サービスの強化・拡充に取り組みます。
⑤システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、障害に該当するユーザーを特定して障害の内容と対処方法を通知すると共に、「100%顧客救援」の方針のもとに復旧を迅速に支援する体制づくりに努めています。
⑥情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社では顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」を、平成29年6月19日にはISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
2.会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,400名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年までの3カ年にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2020年末目標:法人書面添付14.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2020年末目標:12万社24.5万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2020年末目標:28.5万社)
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2020年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
(2) 経営環境
国税庁が2019年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、平成30年度における全法人の黒字申告割合は34.7%でした。前年度に比べて0.5ポイント増と、8年連続で黒字申告割合が増えているものの、依然として法人の約65%が赤字となっています。
さらに、コロナウイルスの感染拡大に伴い、経営難や赤字に陥る中小企業が今後ますます増えるおそれがあります。多くの中小企業は先が見通せない状況で、緊急融資等を受けて手元資金を確保しており、その返済が令和3年以降に始まります。それにより中小企業は今後、返済するための必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。
そうした中でTKC会員事務所は、黒字決算と適性申告の実現にむけて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の約60%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。
一方、令和2年4月1日以降開始事業年度から、資本金1億円超の法人について法人税等の電子申告が義務化されました。また、地方税においても、資本金の額が1億円超の法人など、一定の法人が提出する法人住民税および法人事業税の納税申告書、申告書に添付すべきものとされている書類について、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととされました。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、市場開拓とTKC会員の関与先拡大のチャンスととらえています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
①システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
1)当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、これと関連する税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
2)当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通したTKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
②自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした提案活動を展開します。
③TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
④TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成する「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
3.地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
(2) 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。
その一つの課題が「スマート自治体」の実現です。地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供するスマート自治体への転換と共同・広域クラウドの推進は、市区町村にとって重要な経営課題となっています。
また、令和元年5月31日には「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(略称:「デジタル手続法」)が公布され、「デジタル化の基本3原則」(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)と「行政手続きのオンライン原則」の方針が示され、市区町村に対しては〈行政手続きのオンライン化は努力義務〉であるとされました。
こうした現状を踏まえて、国は「自治体システムの標準化」への取り組みも加速させています。市区町村の情報システムは、これまで各団体が独自に構築・発展させてきた結果、発注・維持管理や制度改正対応などの面で人的・財政的負担が生じています。また、市区町村ごとに異なる様式・帳票は、それを作成・利用する住民・企業・自治体等の負担にもつながっており、「行政のデジタル化」に向けた基盤整備という点では情報システムの標準化・共同化が不可欠となっています。
加えて、コロナウイルスの感染拡大により日本の社会経済活動が激変し、それまでの価値観を一変させました。特に、特別定額給付金の支給遅れなどの発生は「行政手続きのデジタル化」を加速させる契機となっています。
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、財政の透明性を高め、その効率化・適正化を図る「行財政改革」も一段と加速しています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、財務書類等から得られた情報をもとに経年比較や類似団体間の比較、指標を用いた分析等を行い、施設別の財務書類の作成・分析を通じて公共施設マネジメントに役立てるなど資産管理や予算編成などへ積極的に活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において「Govtech(ガブテック)ベンチャー」と呼ばれる新興企業の市場参入も相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、地方公共団体における「スマート自治体」や「行政サービス・デジタル化」の実現、および「行財政改革」を支援するため、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて「行政効率の向上」と「住民の利便性向上」を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の五つの重点活動に取り組みます。
①基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
②財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
③eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
④利用者の視点から新しい「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
⑤地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
4.印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「デジタル技術」と「確実な印刷物の提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションやマーケティングに貢献することを経営方針として掲げました。情報社会の高度化、またコロナウイルスの影響による政府の急速なデジタル化推進が予想されます。社会の急激な変化に伴う、お客さまの多種多様なニーズに対応するために、お客さまへの最大価値を生み出す営業力、品質力、生産力をもとに、最新の設備と技術を駆使して、より付加価値の高いサービスを提供してまいります。そしてお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
(2) 経営環境
主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット広告の増大、またコロナウイルスの影響により、働き方もテレワーク、在宅勤務など「新しいビジネス様式」へ移行、行政手続等のデジタル化が政府の方針により一気に進むと思われます。この大きな変化に適応し生き残りを図ります。市場はこれまでにない環境変化と新たなビジネス創造に向かっており、この変化に対応した提案活動により顧客満足度の向上に努めます。
ビジネス帳票は長期的に需要の減退が続いておりますが、生産環境の整備、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当グループの印刷事業部門では、データ・プリント・サービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
①既存顧客のシェアアップおよび新規顧客の開拓のため、データプリントサービス関連商品の販売体制を強化します。
②関西工場及び関西営業所の本格的稼働により、関西以西の西日本エリアの営業拡販につなげます。
③アナログとデジタルを融合した印刷技術を顧客に提案し、その顧客のダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
④コロナウイルスの影響により、顧客のアウトソーシング化が加速すると考えられ、BPOの受注では高品質かつ、コストの最小化、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
⑤拡充したDPS専門工場の生産環境の一層の整備により、品質力の強化と生産力の増強を図ります。
⑥顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
⑦品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
⑧封筒製造の設備を新規導入し、さらなる内製化により外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
⑨顧客や取引先等からの信頼獲得、および政府が進めるマイナンバーカードの普及促進に合わせ、マイナンバーの管理については「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
⑩「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。
(1) 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
①会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
②地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
(2) 経営環境
当社グループが提供する製品およびサービスに大きな影響を与えるものは、法令等の改正とICTの進化です。法令等の改正としては、令和2年4月より開始した大法人の電子申告の義務化、令和3年4月より強制適用される収益認識に関する会計基準、デジタル手続法や地方公会計の統一的な基準などがあり、その対応を求められています。
また、ICTの進化については、クラウドコンピューティング、FinTech、AI、RPAなどがあり、加えて令和3年はデジタル庁の創設やマイナンバーカードと健康保険証の一体化などが予定されています。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社グループの提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
ただし、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の収束が見通せない中、わが国経済の先行きは不透明であり、当社グループの顧客である会計事務所とその関与先である中小企業、地方公共団体等への影響も長期化することが予想されます。今のところ印刷事業部門である子会社において民間企業からのダイレクトメール(DM)受注の減少が顕在化していますが、当社グループの業績への影響は僅少です。なお、今後の景気減退と企業活動における投資抑制の動向によっては、大きな影響が出る可能性も否定できません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①法令を完全に遵守したシステムの提供
当社グループは、関連法令に完全に準拠し、最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社グループにおいては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
②グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用開始しております。
③働きがいのある組織風土の醸成
当社グループは、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
④業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、サービスの強化・拡充に取り組みます。
⑤システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、障害に該当するユーザーを特定して障害の内容と対処方法を通知すると共に、「100%顧客救援」の方針のもとに復旧を迅速に支援する体制づくりに努めています。
⑥情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社では顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」を、平成29年6月19日にはISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
2.会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,400名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年までの3カ年にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2020年末目標:法人書面添付14.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2020年末目標:12万社24.5万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2020年末目標:28.5万社)
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2020年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
(2) 経営環境
国税庁が2019年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、平成30年度における全法人の黒字申告割合は34.7%でした。前年度に比べて0.5ポイント増と、8年連続で黒字申告割合が増えているものの、依然として法人の約65%が赤字となっています。
さらに、コロナウイルスの感染拡大に伴い、経営難や赤字に陥る中小企業が今後ますます増えるおそれがあります。多くの中小企業は先が見通せない状況で、緊急融資等を受けて手元資金を確保しており、その返済が令和3年以降に始まります。それにより中小企業は今後、返済するための必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。
そうした中でTKC会員事務所は、黒字決算と適性申告の実現にむけて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の約60%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。
一方、令和2年4月1日以降開始事業年度から、資本金1億円超の法人について法人税等の電子申告が義務化されました。また、地方税においても、資本金の額が1億円超の法人など、一定の法人が提出する法人住民税および法人事業税の納税申告書、申告書に添付すべきものとされている書類について、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととされました。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、市場開拓とTKC会員の関与先拡大のチャンスととらえています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
①システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
1)当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、これと関連する税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
2)当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通したTKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
②自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした提案活動を展開します。
③TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
④TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成する「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
3.地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
(2) 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。
その一つの課題が「スマート自治体」の実現です。地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供するスマート自治体への転換と共同・広域クラウドの推進は、市区町村にとって重要な経営課題となっています。
また、令和元年5月31日には「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(略称:「デジタル手続法」)が公布され、「デジタル化の基本3原則」(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)と「行政手続きのオンライン原則」の方針が示され、市区町村に対しては〈行政手続きのオンライン化は努力義務〉であるとされました。
こうした現状を踏まえて、国は「自治体システムの標準化」への取り組みも加速させています。市区町村の情報システムは、これまで各団体が独自に構築・発展させてきた結果、発注・維持管理や制度改正対応などの面で人的・財政的負担が生じています。また、市区町村ごとに異なる様式・帳票は、それを作成・利用する住民・企業・自治体等の負担にもつながっており、「行政のデジタル化」に向けた基盤整備という点では情報システムの標準化・共同化が不可欠となっています。
加えて、コロナウイルスの感染拡大により日本の社会経済活動が激変し、それまでの価値観を一変させました。特に、特別定額給付金の支給遅れなどの発生は「行政手続きのデジタル化」を加速させる契機となっています。
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、財政の透明性を高め、その効率化・適正化を図る「行財政改革」も一段と加速しています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、財務書類等から得られた情報をもとに経年比較や類似団体間の比較、指標を用いた分析等を行い、施設別の財務書類の作成・分析を通じて公共施設マネジメントに役立てるなど資産管理や予算編成などへ積極的に活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において「Govtech(ガブテック)ベンチャー」と呼ばれる新興企業の市場参入も相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、地方公共団体における「スマート自治体」や「行政サービス・デジタル化」の実現、および「行財政改革」を支援するため、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて「行政効率の向上」と「住民の利便性向上」を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の五つの重点活動に取り組みます。
①基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
②財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
③eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
④利用者の視点から新しい「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
⑤地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
4.印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「デジタル技術」と「確実な印刷物の提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションやマーケティングに貢献することを経営方針として掲げました。情報社会の高度化、またコロナウイルスの影響による政府の急速なデジタル化推進が予想されます。社会の急激な変化に伴う、お客さまの多種多様なニーズに対応するために、お客さまへの最大価値を生み出す営業力、品質力、生産力をもとに、最新の設備と技術を駆使して、より付加価値の高いサービスを提供してまいります。そしてお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
(2) 経営環境
主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット広告の増大、またコロナウイルスの影響により、働き方もテレワーク、在宅勤務など「新しいビジネス様式」へ移行、行政手続等のデジタル化が政府の方針により一気に進むと思われます。この大きな変化に適応し生き残りを図ります。市場はこれまでにない環境変化と新たなビジネス創造に向かっており、この変化に対応した提案活動により顧客満足度の向上に努めます。
ビジネス帳票は長期的に需要の減退が続いておりますが、生産環境の整備、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当グループの印刷事業部門では、データ・プリント・サービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
①既存顧客のシェアアップおよび新規顧客の開拓のため、データプリントサービス関連商品の販売体制を強化します。
②関西工場及び関西営業所の本格的稼働により、関西以西の西日本エリアの営業拡販につなげます。
③アナログとデジタルを融合した印刷技術を顧客に提案し、その顧客のダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
④コロナウイルスの影響により、顧客のアウトソーシング化が加速すると考えられ、BPOの受注では高品質かつ、コストの最小化、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
⑤拡充したDPS専門工場の生産環境の一層の整備により、品質力の強化と生産力の増強を図ります。
⑥顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
⑦品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
⑧封筒製造の設備を新規導入し、さらなる内製化により外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
⑨顧客や取引先等からの信頼獲得、および政府が進めるマイナンバーカードの普及促進に合わせ、マイナンバーの管理については「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
⑩「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。