有価証券報告書-第59期(2024/10/01-2025/09/30)

【提出】
2025/12/11 14:30
【資料】
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【項目】
168項目

有報資料

(1)全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、経営理念に「顧客への貢献」を掲げ、創業時に会社定款第2条に定めた次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
1)会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
2)地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
今日、当社の定款には上記以外の事業目的も追加していますが、これらの事業目的はこの創業来の事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっておりません。
② 経営環境
わが国経済は、原材料価格の高騰や金利の変動、中東地域を巡る情勢不安や米国の通商政策などの影響はあったものの、国内の経済活動が活性化してきていることによって緩やかに景気の回復が続きました。このような経済環境において、当社グループは顧客ならびに地域社会に貢献すべく事業を展開しました。
当社グループが提供する製品およびサービスは、法律や社会制度、ICT、価値観などの変化が大きく影響します。会計事務所や地方公共団体は労働生産年齢人口の減少等に伴い、今後は人材採用が一層厳しくなると見込まれています。また、生成AIが想定を上回るスピードで進化を続け、広く社会に浸透しはじめています。そうした中で当社は、法令に完全準拠しながらAIなども積極的に取り入れ、より付加価値の高いシステムを開発・提供することにより、顧客の事業の持続的な成長・発展を支援していきたいと考えています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)システム開発におけるAIの活用
当社の顧客である会計事務所と地方公共団体は、法制度改正、物価の上昇や少子高齢化社会の到来といった外部環境の変化に起因する様々な課題に直面しています。当社はかねてより、AIの積極的な活用とその知識やスキルを有する人材の育成に取り組み、顧客が抱える課題解決を支援するためのシステムを提供してまいりました。今後は、宇都宮大学とのAI活用の共同研究やプログラミングにおける生成AIの活用などにも取り組み、さらに付加価値の高いシステムを提供できるようにシステム開発体制を強化してまいります。
2)サイバーセキュリティ対策の強化
当社は、会計事務所や企業、地方公共団体、金融機関、大学、法律事務所など、80万件超のお客さまにクラウド サービスを提供しています。自社データセンターを基盤に、創業60年で培ったノウハウを活かし、社員が24時間365日体制で稼働状況を監視し、運用面でも万全を期しています。近年、サイバー攻撃により被害を受ける企業が増加しております。当社においては、「安全・安心・便利」なデータセンター運営を維持するため、社員教育の徹底や積極的な設備投資により、サイバーセキュリティ対策を一層強化しています。
3)持続的な成長と中長期における企業価値の向上のための取り組み
少子高齢化社会の到来により人材確保は企業の重要課題となり、働き方の多様化への対応も求められています。当社は創業以来、「最大の財産は従業員」という理念のもと、人材育成、待遇改善、職場環境整備に努めてきました。今後は、優秀な人材の確保・育成を強化し、人的資本経営や資本効率の向上、株価を意識した経営を推進します。これらの取り組みにより、企業価値を高め、中長期的な成長を確かなものにします。
(2)会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,600名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
② 経営環境
国税庁が令和7年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和6年度における全法人の黒字申告割合は36.5%でした。前年度に比べて0.5ポイント改善しているものの、依然として法人の約3分の2が赤字となっています。さらに、原材料費や人件費、燃料費等の高騰により、多くの中小企業は必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。
そうした中でTKC会員事務所は、顧客である中小企業の「黒字決算と適正申告」の実現に向けて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の57.0%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
会計事務所事業部門は、圧倒的なスピード感をもって顧客に有益な情報を提供するとともに、最新のクラウド技術の活用と法令に完全準拠したシステムの開発・提供によって、顧客の業務生産性と付加価値向上を支援します。
また、TKC全国会との連携により「会計で会社を強くする」活動と「黒字決算と適正申告の実現」に取り組んでまいります。
次期における当部門の主要な商品・市場戦略は、以下のとおりです。
1)FXクラウドシリーズの推進による「黒字決算と適正申告」の実現
2)「月次決算速報サービス」の普及促進による月次決算実践支援
3)「ペポルインボイス」の普及促進によるデジタルシームレスの実現
4)「TKCモニタリング情報サービス」の普及促進による金融機関との連携強化
5)TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会との連携による会員導入活動の強化
6)「TKC連結グループソリューション」の強化・拡充による大企業の税務・会計業務の合理化
7)「TKCローライブラリー」の利用拡大とアカデミック市場におけるDX推進
(3)地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
② 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。地域社会における少子高齢化・人口減少に伴う労働力不足を背景に、これまでの半数の職員数でも持続可能な形で行政サービスを提供する「スマート自治体(デジタル社会)」への転換が、市区町村にとって重要な経営課題となっています。特に、行政のデジタル化の遅れが社会的課題として顕在化したことで、その動きは一段と加速しています。政府はデジタル社会の実現のためには住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であるとして『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』(総務省/令和6年4月24日改定)により、全ての自治体が足並みを揃えて取り組んでいくことを求めました。
さらには、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、これからも市区町村が行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくために〈持続可能な行政経営〉の確立が期待されています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、正確な財政状況の見える化を図り、財務書類等から得られた情報を事業評価やトップの意思決定に積極的に活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において他業種や新興企業の市場参入が相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
地方公共団体事業部門は、令和8年3月末日までに、国が定める標準仕様に準拠する「標準準拠システム」への移行を完遂する計画を策定しています。それにより導入作業費などの一時的な売り上げが集中することから、第59期に続いて第60期も業績の大幅な伸びを見込んでいます。
また、地方公共団体は、デジタル技術を徹底的に活用した業務改革による「効率的な行政運営」と「住民生活の利便性向上」が求められており、システム標準化移行後はこの流れがさらに加速すると予想されています。当社では、こうした変化を機会と捉え、最新技術を活用したイノベーションを創発し新たな顧客価値を創造するとともに、サポート体制を充実させ、システム標準化移行完了後もさらなる成長につなげてまいります。
(4)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「デジタル技術」と「ニーズの変化に対応した製品・サービスの提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションとマーケティングに貢献することを経営方針として掲げています。新型コロナウイルスの感染拡大は情報化社会における急速なデジタル化推進の流れをもたらしました。社会環境の変化やお客さまの価値観の変化に対応し、自社の生産技術を生かした製品・サービスの開発、品質改善、付加価値の向上に取り組みます。さらにお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
② 経営環境
行政のデジタル化や規制改革、令和6年10月1日からの郵便料金改定、マイナンバーカードの普及、教育のデジタル化、消費税インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正など、印刷事業を取り巻く環境は変化しています。主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)においては、こうした「新しい生活様式」や「新しいビジネス様式」に対応した製品・サービスの提供が求められています。
また、地球温暖化が急速に進む中で、CO2削減や環境配慮を志向するお客さまが増加しています。「グローバルな諸課題の解決を目指すために掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)」をはじめ環境に優しい製品の開発は、印刷業界においても避けては通れない重要課題だと考えています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
印刷事業部門においては、DPS業務やBPO業務に経営資源を集中し、顧客の課題を解決するコミュニケーション実現に向けた新製品・サービスの開発に取り組みます。併せて製品・サービスのさらなる品質と付加価値の向上、特に、QRコードをはじめとするデジタル技術の印刷物への活用に努め、販路を拡大します。
また、地方公共団体情報システム標準化を事業拡大の機会と捉え、これに対応した生産設備の充実と生産体制の強化を図り、来春以降の納税通知書等印刷業務の完遂に取り組みます。
なお、令和4年10月3日付で取得したFSC森林認証(CoC認証)の制度を生かし、お客さまの「グローバルな諸課題の解決を目指すために掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)」への対応を支援します(FSC-C182216)。

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