訂正有価証券報告書-第55期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)
有報資料
(1)全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
1)会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
2)地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
② 経営環境
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)に対するワクチン接種の進展とともに、緩やかに持ち直しつつあります。しかしながら、海外での感染拡大は依然として継続しており、国内での再拡大の懸念は払拭されていません。また、サプライチェーンの分断による部材の高騰等の影響が表面化してきており、今後の景気減退と企業活動における投資抑制の動向によっては、大きな影響が出る可能性も否定できません。
こうした状況の中、政府は、ワクチンの追加接種をはじめ社会経済活動の再開に向けて国民や中小企業を支援する様々な施策を準備しています。当社グループでは、そのような政府の取り組みに迅速に対応したシステムやサービスの提供を通じて地域・社会を支援してまいります。
また、当社グループが提供する製品およびサービスには法令等の改正とICTの進化が大きな影響を与えます。法令等の改正としては、令和2年4月より開始した大法人の電子申告の義務化、令和4年1月より施行される改正電子帳簿保存法、同4月から施行されるグループ通算税制、令和5年10月から導入されるインボイス制度、並びに電子インボイス等が挙げられます。これに加え、国・地方のデジタル改革の推進や地方公会計の統一的な基準などもあり、その対応を求められています。ICTの進化については、クラウドコンピューティング技術の進歩、FinTechへの対応、AIの活用などがあげられます。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社グループの提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)法令を完全に遵守したシステムの提供
当社グループは、関連法令に完全に準拠し、最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社グループにおいては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
2)グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用しております。
3)働きがいのある組織風土の醸成
当社グループは、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
4)業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、サービスの強化・拡充に取り組みます。
5)システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、障害に該当するユーザーを特定して障害の内容と対処方法を通知すると共に、「100%顧客救援」の方針のもとに復旧を迅速に支援する体制づくりに努めています。
6)情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社では顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」、平成29年6月19日にISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」、令和3年6月7日にはITサービスマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC20000」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
(2)会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,500名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、2019年から2021年までの3年間にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
1)「TKC方式による書面添付」の推進(2021年末目標:法人書面添付15.6万社)
2)「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2021年末目標:14万社28.0万件)
3)「TKC方式の自計化」の推進(2021年末目標:30.0万社(内、電子帳簿18.0万件))
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2021年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
② 経営環境
国税庁が2020年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和元年度における全法人の黒字申告割合は35.3%でした。前年度に比べて0.6ポイント増と、9年連続で黒字申告割合が増えているものの、依然として法人の約65%が赤字となっています。さらに、コロナウイルスの影響から、中小企業が経営難や赤字に陥るリスクは未だ回避できておりません。多くの中小企業は先が見通せない状況で、緊急融資等を受けて手元資金を確保しており、その返済が令和3年以降に始まりました。それにより中小企業は今後、返済するための必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。
そうした中でTKC会員事務所は、黒字決算と適正申告の実現に向けて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の約56%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。
令和4年1月1日に改正電子帳簿保存法が、また令和5年10月1日に改正消費税法が施行されます。すべての事業者が電子取引のデータ保存や、適格請求書(インボイス)への対応を迫られることとなります。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、TKC会員の関与先拡大の機会と捉えています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図り、システムやサービスの開発・提供を通じてTKC会員の活動を支援してまいります。
1)システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
a.当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。それは、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持し、税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度改定に迅速・的確に対応します。
b.当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通した TKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。こうしたTKC会員の業務の高付加価値化の支援強化を図ります。
2)自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした自計化推進活動を展開しています。
3)TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
4)TKC連結グループソリューションの強化と拡充
TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」と連携し、「TKC連結グループソリューション」の活用による大企業の税務、会計、海外子会社管理業務等の合理化・効率化を支援します。
5)TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成するコンテンツ「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」「LegalBookSearch」等の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
(3)地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
② 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。
地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供する「スマート自治体(デジタル社会)」への転換が、市区町村にとって重要な経営課題となっています。特に、コロナウイルス対応で行政のデジタル化の遅れが社会的課題として顕在化したことで、その動きは一段と加速しています。政府は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)を策定し、デジタル社会の実現のためには住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であるとして『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』(総務省/令和2年12月25日策定)により、全ての自治体が足並みを揃えて以下の施策に取り組んでいくことを求めました。
1)情報システムの標準化・共通化
令和8年3月末までに、基幹系17業務システムについて国が策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行するとともに、国による全国的なクラウド(ガバメントクラウド)を活用し、それらのシステムを利用
2)マイナンバーカードの普及促進
令和5年3月末までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを目指し、交付円滑化計画に基づき申請を促進するとともに交付体制を充実
3)行政手続のオンライン化
令和5年3月末を目指して、住民が利用する主な手続(31手続)についてマイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能に
4)AI・RPAの利用促進
5)テレワークの推進
6)セキュリティー対策の徹底
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、これからも市区町村が行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくために〈持続可能な行政経営〉の確立が期待されています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、正確な財政状況の見える化を図り、財務書類等から得られた情報を事業評価やトップの意思決定に積極的に活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において他業種や新興企業の市場参入が相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、地方公共団体における「自治体DX」の実現、および「持続可能な行財政改革」を支援するため、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて「住民サービスの充実」と「行政効率の向上によるコスト削減」を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の5つの重点活動に取組みます。
1)基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層の推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
a.令和8年3月末までを期限とした自治体の情報システムの標準化・共通化に対応すべく、国の策定する「標準仕様」に完全準拠したシステムの開発、およびガバメントクラウドへの対応を開始しました。
b.当社におけるガバメントクラウド対応とは、TISCで運用・稼働しているシステムを国が用意する全国的なクラウド基盤上で運用・稼働させることになります。
c.なお、ガバメントクラウド対応にあたり、国が調達した「ガバメントクラウド先行事業」に当社顧客(埼玉県美里町・川島町)が採択され、当社はアプリケーション事業者として両町とともに当事業に取り組みます。当事業では主にガバメントクラウドへの移行、移行後システムの機能・動作、情報セキュリティー等の検証を実施します。
2)財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
3)eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
4)利用者の視点から新しい「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
5)地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
(4)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「デジタル技術」と「ニーズの変化に対応した製品・サービスの提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションやマーケティングに貢献することを経営方針として掲げました。またコロナウイルスの感染拡大は情報化社会における政府のデジタル化への急速な流れをもたらしました。社会の環境の変化、お客さまの価値観の変化に対応し、自社の生産技術を活かした製品・サービスの開発、品質改善、付加価値の向上に取り組みます。そしてお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
② 経営環境
主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット環境の拡大、またコロナウイルスの影響により、暮らしは「新しい生活様式」、働き方も「新しいビジネス様式」へと移行、政府の「デジタル改革」の方針のもと行政のデジタル化、規制改革、マイナンバーカードの普及、教育のデジタル化など、市場はこれまでにない環境変化と価値観の変化により新たなビジネスの創造に向かっており、この変化に対応した製品・サービスの提供に努めます。
ビジネス帳票は長期的に需要の減退が続いておりますが、生産環境の整備、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの印刷事業部門では、データ・プリント・サービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
1)アナログとデジタルを融合した印刷技術で製品・サービスの付加価値を向上させ、顧客のダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
2)顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開のため新技術開発へ継続して取り組みます。
3)コロナウイルスの感染拡大は顧客のアウトソーシング化を加速させました。その受託では高品質かつ、コストの最小化、情報セキュリティーリスクの低減などにより顧客の経営効率化に寄与します。
4)DPS専門工場の生産環境の一層の整備により、品質改善、品質力の強化と生産力の増強を図ります。
5)品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
6)全社においてデジタルトランスフォーメーション(DX)と自動化に取り組み全部門の生産性と業務品質を向上させます。
7)顧客や取引先等からの信頼獲得、および政府が進めるマイナンバーカードの普及促進に合わせ、マイナンバーの管理については「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
8)「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。
① 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
1)会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
2)地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
② 経営環境
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)に対するワクチン接種の進展とともに、緩やかに持ち直しつつあります。しかしながら、海外での感染拡大は依然として継続しており、国内での再拡大の懸念は払拭されていません。また、サプライチェーンの分断による部材の高騰等の影響が表面化してきており、今後の景気減退と企業活動における投資抑制の動向によっては、大きな影響が出る可能性も否定できません。
こうした状況の中、政府は、ワクチンの追加接種をはじめ社会経済活動の再開に向けて国民や中小企業を支援する様々な施策を準備しています。当社グループでは、そのような政府の取り組みに迅速に対応したシステムやサービスの提供を通じて地域・社会を支援してまいります。
また、当社グループが提供する製品およびサービスには法令等の改正とICTの進化が大きな影響を与えます。法令等の改正としては、令和2年4月より開始した大法人の電子申告の義務化、令和4年1月より施行される改正電子帳簿保存法、同4月から施行されるグループ通算税制、令和5年10月から導入されるインボイス制度、並びに電子インボイス等が挙げられます。これに加え、国・地方のデジタル改革の推進や地方公会計の統一的な基準などもあり、その対応を求められています。ICTの進化については、クラウドコンピューティング技術の進歩、FinTechへの対応、AIの活用などがあげられます。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社グループの提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)法令を完全に遵守したシステムの提供
当社グループは、関連法令に完全に準拠し、最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社グループにおいては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
2)グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用しております。
3)働きがいのある組織風土の醸成
当社グループは、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
4)業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、サービスの強化・拡充に取り組みます。
5)システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、障害に該当するユーザーを特定して障害の内容と対処方法を通知すると共に、「100%顧客救援」の方針のもとに復旧を迅速に支援する体制づくりに努めています。
6)情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社では顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」、平成29年6月19日にISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」、令和3年6月7日にはITサービスマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC20000」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
(2)会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,500名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、2019年から2021年までの3年間にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
1)「TKC方式による書面添付」の推進(2021年末目標:法人書面添付15.6万社)
2)「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2021年末目標:14万社28.0万件)
3)「TKC方式の自計化」の推進(2021年末目標:30.0万社(内、電子帳簿18.0万件))
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2021年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
② 経営環境
国税庁が2020年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和元年度における全法人の黒字申告割合は35.3%でした。前年度に比べて0.6ポイント増と、9年連続で黒字申告割合が増えているものの、依然として法人の約65%が赤字となっています。さらに、コロナウイルスの影響から、中小企業が経営難や赤字に陥るリスクは未だ回避できておりません。多くの中小企業は先が見通せない状況で、緊急融資等を受けて手元資金を確保しており、その返済が令和3年以降に始まりました。それにより中小企業は今後、返済するための必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。
そうした中でTKC会員事務所は、黒字決算と適正申告の実現に向けて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の約56%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。
令和4年1月1日に改正電子帳簿保存法が、また令和5年10月1日に改正消費税法が施行されます。すべての事業者が電子取引のデータ保存や、適格請求書(インボイス)への対応を迫られることとなります。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、TKC会員の関与先拡大の機会と捉えています。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図り、システムやサービスの開発・提供を通じてTKC会員の活動を支援してまいります。
1)システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
a.当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。それは、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持し、税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度改定に迅速・的確に対応します。
b.当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通した TKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。こうしたTKC会員の業務の高付加価値化の支援強化を図ります。
2)自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした自計化推進活動を展開しています。
3)TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
4)TKC連結グループソリューションの強化と拡充
TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」と連携し、「TKC連結グループソリューション」の活用による大企業の税務、会計、海外子会社管理業務等の合理化・効率化を支援します。
5)TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成するコンテンツ「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」「LegalBookSearch」等の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
(3)地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
② 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。
地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供する「スマート自治体(デジタル社会)」への転換が、市区町村にとって重要な経営課題となっています。特に、コロナウイルス対応で行政のデジタル化の遅れが社会的課題として顕在化したことで、その動きは一段と加速しています。政府は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)を策定し、デジタル社会の実現のためには住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であるとして『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』(総務省/令和2年12月25日策定)により、全ての自治体が足並みを揃えて以下の施策に取り組んでいくことを求めました。
1)情報システムの標準化・共通化
令和8年3月末までに、基幹系17業務システムについて国が策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行するとともに、国による全国的なクラウド(ガバメントクラウド)を活用し、それらのシステムを利用
2)マイナンバーカードの普及促進
令和5年3月末までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを目指し、交付円滑化計画に基づき申請を促進するとともに交付体制を充実
3)行政手続のオンライン化
令和5年3月末を目指して、住民が利用する主な手続(31手続)についてマイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能に
4)AI・RPAの利用促進
5)テレワークの推進
6)セキュリティー対策の徹底
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、これからも市区町村が行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくために〈持続可能な行政経営〉の確立が期待されています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、正確な財政状況の見える化を図り、財務書類等から得られた情報を事業評価やトップの意思決定に積極的に活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において他業種や新興企業の市場参入が相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、地方公共団体における「自治体DX」の実現、および「持続可能な行財政改革」を支援するため、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて「住民サービスの充実」と「行政効率の向上によるコスト削減」を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の5つの重点活動に取組みます。
1)基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層の推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
a.令和8年3月末までを期限とした自治体の情報システムの標準化・共通化に対応すべく、国の策定する「標準仕様」に完全準拠したシステムの開発、およびガバメントクラウドへの対応を開始しました。
b.当社におけるガバメントクラウド対応とは、TISCで運用・稼働しているシステムを国が用意する全国的なクラウド基盤上で運用・稼働させることになります。
c.なお、ガバメントクラウド対応にあたり、国が調達した「ガバメントクラウド先行事業」に当社顧客(埼玉県美里町・川島町)が採択され、当社はアプリケーション事業者として両町とともに当事業に取り組みます。当事業では主にガバメントクラウドへの移行、移行後システムの機能・動作、情報セキュリティー等の検証を実施します。
2)財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
3)eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
4)利用者の視点から新しい「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
5)地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
(4)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等
① 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「デジタル技術」と「ニーズの変化に対応した製品・サービスの提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションやマーケティングに貢献することを経営方針として掲げました。またコロナウイルスの感染拡大は情報化社会における政府のデジタル化への急速な流れをもたらしました。社会の環境の変化、お客さまの価値観の変化に対応し、自社の生産技術を活かした製品・サービスの開発、品質改善、付加価値の向上に取り組みます。そしてお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
② 経営環境
主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット環境の拡大、またコロナウイルスの影響により、暮らしは「新しい生活様式」、働き方も「新しいビジネス様式」へと移行、政府の「デジタル改革」の方針のもと行政のデジタル化、規制改革、マイナンバーカードの普及、教育のデジタル化など、市場はこれまでにない環境変化と価値観の変化により新たなビジネスの創造に向かっており、この変化に対応した製品・サービスの提供に努めます。
ビジネス帳票は長期的に需要の減退が続いておりますが、生産環境の整備、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの印刷事業部門では、データ・プリント・サービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
1)アナログとデジタルを融合した印刷技術で製品・サービスの付加価値を向上させ、顧客のダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
2)顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開のため新技術開発へ継続して取り組みます。
3)コロナウイルスの感染拡大は顧客のアウトソーシング化を加速させました。その受託では高品質かつ、コストの最小化、情報セキュリティーリスクの低減などにより顧客の経営効率化に寄与します。
4)DPS専門工場の生産環境の一層の整備により、品質改善、品質力の強化と生産力の増強を図ります。
5)品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
6)全社においてデジタルトランスフォーメーション(DX)と自動化に取り組み全部門の生産性と業務品質を向上させます。
7)顧客や取引先等からの信頼獲得、および政府が進めるマイナンバーカードの普及促進に合わせ、マイナンバーの管理については「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
8)「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。