有価証券報告書-第53期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

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2019/12/23 9:41
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【項目】
155項目

有報資料

1.全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
①会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
②地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
(2) 経営環境
当社を取り巻く経営環境の変化にはさまざまなものがありますが、とりわけ当社の提供する製品およびサービスに大きな影響を与えるものは、法令等の改正とICTの進化です。
法令等の改正としては、改正消費税法、電子帳簿保存法のJIIMA認証制度、大法人の電子申告の義務化、行政手続きのデジタル化(デジタル手続法)、地方公会計の統一的な基準などがあり、その対応を求められています。
また、ICTの進化については、クラウドコンピューティング、FinTech、AI、RPAなどがあり、これらの技術は急速な変化を遂げています。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社の提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
(3) 対処すべき課題
①法令を完全に遵守したシステムの提供
当社は、関連法令に完全に準拠し最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社においては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
②グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用開始しております。
③働きがいのある組織風土の醸成
当社は、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
④業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合には、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、引き続き既存サービスの強化・拡充に取り組みます。
⑤システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、迅速に、すべてのユーザーに対してその影響度を調査し、結果を報告するとともに、被災ユーザーの100パーセントを救援する体制を整えるべく努力しています。
⑥情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、並びに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社グループでは顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」を、平成29年6月19日にはISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
2.会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,400名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年までの3カ年にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2019年末目標:法人書面添付13.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2019年末目標:12万社24万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2019年末目標:27.7万社)
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2019年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
(2) 経営環境
令和元年10月1日から消費税の標準税率が10%に変更されるとともに、8%の軽減税率が導入されました。ただし旧税率の8%と軽減税率の8%は地方消費税の按分割合が異なっています。そのためこの二つの8%を帳簿上、明確に区別する必要が生じてきます。また、企業が発行する請求書においては「区分記載請求書等保存方式」を経て、令和3年4月1日には「適格請求書保存方式」の導入がなされる予定となっています。請求書の記載要件や帳簿の記載事項が増えるとともに、適格請求書の発行事業者登録なども必要になります。関与先企業にとって、消費税改正への対応は単なる税率の改定にとどまらず、請求書発行、会計システムの変更、レジシステムの変更や従業員教育など、多岐にわたるものとなっています。
また、令和元年9月30日より、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下、JIIMA)による「電子帳簿ソフト法的要件認証(以下、JIIMA認証)制度」が開始され、その認定を受けたソフトウエアを利用する場合は、ユーザーは税務署に対する承認申請の手続きが大幅に簡素化されることになりました。JIIMA認証制度は、会計ソフトウエア・ベンダーが事前に電子帳簿保存法の要件を満たしていることをJIIMAに確認を求め、JIIMAが法的要件を充足しているソフトウエアとして認証する制度です。したがって認証を受けたソフトウエアを利用開始するユーザーは、電子帳簿保存法等が要求している機能要件を満たしているかを自ら証明する必要がなく、そのソフトウエアを届出だけで利用することができるようになりました。
一方、平成30年度税制改正により、令和2年4月1日以降開始事業年度から、資本金1億円超の法人について法人税等の電子申告が義務化されます。また、地方税においても、資本金の額が1億円超の法人など、一定の法人が提出する法人住民税および法人事業税の納税申告書、申告書に添付すべきものとされている書類について、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととされました。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、市場開拓とTKC会員の関与先拡大のチャンスととらえています。
(3) 対処すべき課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
①システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
1)当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、これと関連する税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
2)当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通した
TKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い、企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
②自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした活動を展開します。
③TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
④TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成する「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
3.地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
(2) 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えており、その新しい課題が「スマート自治体」の実現です。地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供するスマート自治体への転換は、市区町村にとって重要な経営課題となっています。
また、令和元年5月31日には「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(略称:「デジタル手続法」)が公布され、「デジタル化の基本3原則」(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)と「行政手続きのオンライン原則」の方針が示され、市区町村に対しては〈行政手続きのオンライン化は努力義務〉であるとされました。
したがって、スマート自治体の推進においては、行政手続きのオンライン化を進め、窓口業務の効率化を図ることが欠かせません。また同時に、行政サービスにかかる受付・審査・決裁・書類の保存などのバックオフィス業務まで一貫してデジタル処理できる環境を整備することも喫緊の課題となっています。さらに、これらに必要なシステム等を市区町村ごとに構築するのは非効率なことから、クラウドの共同利用(自治体クラウド)がこれまでにも増して急速に拡大する見込みです。
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増すなかで、財政の透明性を高め、その効率化・適正化を図る「行財政改革」も一段と加速しています。そのため、市区町村では統一的な会計基準に基づく財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、公会計情報を日々の財務活動や行財政運営へ組み込み、その上で予算編成や行政評価などに活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、平成の大合併を境として業界再編が進み、マイナンバー制度以降はさらに業務システムの自社開発からの撤退や特定事業へ集中する事業者が相次いでいます。このことから、経営環境の変化に柔軟に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく時代へとシフトしているといえそうです。
(3) 対処すべき課題
当社では、地方公共団体における「スマート自治体」や「行政サービスデジタル化」の実現、および「行財政改革」を支援するため、地方公共団体事業部門では、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて住民の利便性向上と行政効率の向上を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の五つの重点活動に取り組みます。
①基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
②財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
③eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
④利用者の視点から新しい「行政サービスデジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
⑤地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
4.印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「確実な印刷物の提供」により、顧客企業やそのお客様に貢献することを企業理念として掲げております。情報社会の高度化に伴うお客様の多種多様なニーズに対応するために、データ出力からメーリングサービスに至るまで、最新の設備と技術を駆使して、より付加価値の高いサービスを提供してまいります。そしてお客様の良きパートナーとして、印刷物を使った情報発信によるコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
(2) 経営環境
主力商品のデータプリントサービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット広告の台頭や行政手続等のデジタル化の普及がありながらも、年々成長を続けております。市場は「紙とデジタル」双方の利点を生かしたクロスメディア化という新たな価値の創造に向かっております。この傾向を捉えた提案活動により顧客満足度の向上に努めます。
ビジネス帳票は需要減少が続いておりますが、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
(3) 対処すべき課題
当グループの印刷事業部門では、データプリントサービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
①新規顧客の開拓により、データプリントサービス関連商品の販売促進に注力します。
②関西工場及び関西営業所の開設により、関西以西の西日本エリアの新規開拓を行い営業拡販につなげます。
③アナログとデジタルを融合した印刷技術を顧客に提案し、その顧客とのダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
④BPOの一環として顧客の間接業務を受託し、高品質を担保しつつ業務効率化、コスト削減、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
⑤既存顧客との関係をさらに深め、シェアアップを図ります。
⑥顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
⑦製造工程の機械化による正確性の担保と生産効率化による納期短縮の提案を行い、官公庁案件のシェアを拡大します。
⑧品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
⑨さらなる内製化を進めることで外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
⑩顧客や取引先等からの信頼獲得およびマイナンバー管理を確かなものとするため「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
⑪「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。

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