有価証券報告書-第58期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
<人材戦略に関する方針と重点施策>中期経営計画では、人材戦略に関する方針として、「事業戦略に即した人事制度・人材育成」と「社員の“働きがい”を高めるWell-Being経営」を掲げ、4つの重点施策を設定しております。
■事業戦略に即した人事制度・人材育成
事業戦略と人材戦略、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲の連動を通じ、人材価値を最大化することを目指しております。
重点施策① 能力・スキルを高める、活かす「事業戦略と人材ポートフォリオ」
重点施策② 能力・スキルを適切に評価し、成果に報いる「処遇・報酬制度」
■社員の“働きがい”を高めるWell-Being経営
社員一人ひとりが心身ともに良いコンディションを保ち、組織への高いエンゲージメントを維持しながら、自律的な成長と事業を通じた新たな価値創出を実現することで、社員の“働きがい”の向上を目指しております。
重点施策③ 価値創出につなげる「Well-Being経営」
重点施策④ 多様性を尊重し活かす「ダイバーシティ&インクルージョン」
重点施策①「事業戦略と人材ポートフォリオ」
持続的な企業価値の向上に向け、事業戦略に連動した動的な人材ポートフォリオの構築と運用を重点施策の一つと位置付けております。中期戦略を基に事業単位の人材ポートフォリオ計画を策定し、計画に基づく人材採用、OJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成及びリスキリング、人材配置を推進することで、事業戦略の遂行に必要なスキルを有する人材の継続的な確保・育成を図っております。事業をリードする高度デジタル人材の育成においては、実務を通じた実践的スキルを磨くことに加え、基礎的な知識や手法を体系的に学び実践力の向上に生かすことが重要であるため、当社グループの全IT技術者を対象に、AIやクラウドなどの先進技術分野に関する教育を拡充しております。
また、「SCSKキャリアフレームワーク」により、社員が実務経験により発揮している職種別の専門スキルを、7段階で評価・認定する専門性認定制度を通じて可視化するとともに、社内有識者によって行われる専門性認定審査の結果を具体的な育成計画に反映させることで、事業戦略に連動した形でプロフェッショナル人材の効果的な育成を実現しております。また、職種ごとの有識者で構成された専門部会を設置し、専門性認定審査の審査に加え、職種別コミュニティの形成、先行事例の共有、各部会内にAIエージェントを通じてナレッジを提供するなどの活動を推進しております。2026年2月には、生成AIを活用した複数の検証プロセスと、これまで蓄積してきた評価ロジックを組み合わせて開発した「スキル評価システム」を導入し、審査プロセスの自動化を実現しております。これにより、評価の妥当性及び一貫性を確保するとともに、従前は年1回が限度であった審査機会の制約が取り払われ、よりスピーディーに社員が獲得したスキルを可視化し、人材配置に活用することが可能となりました。これらの取り組みにより、育成・評価・配置を一体的に運用し、社員の成長や能力発揮を最大化するとともに、事業戦略の実行力を高めることで、人的資本を起点とした企業価値向上を推進しております。
重点施策②「処遇・報酬制度」
競争の激しいIT・デジタル人材市場において、優秀な人材の確保・育成と定着を重要な経営課題ととらえ、社員一人ひとりが高い目標を掲げ、意欲的な挑戦を通じて成長し続けられる土壌づくりを進めています。その取り組みの一環として、人材価値を適切に評価し、報いる処遇・報酬制度の方針(以下②-a参照)を定めております。
処遇・報酬制度の基盤となる人事制度においては、組織運営を通じて事業成長を担う経営・マネジメント人材を対象とした「GM職掌」、高度な専門性に基づく成果の創出を担う「基幹職掌」など、キャリアパスに応じた複線型の人事制度を採用しております。これにより、多様な人材が自身の強みやキャリア志向に沿った選択をしながら能力開発に取り組み、成長し、活躍の幅を広げていくことを促進しています。また、高い市場価値を有し、事業成長に大きく寄与する高度人材の確保を目的として、年収3,000万円超の処遇を可能とする「ADV職掌」を設けるなど、外部環境や人材市場の変化を踏まえた柔軟な処遇の整備にも取り組んでおります。
社会・技術・市場・顧客ニーズの変化や、個人のキャリア観の多様化が一層進む中で、社員一人ひとりがキャリアオーナーシップの下、自らの価値を見つめ、その創出価値を高め続ける挑戦を促すこと、並びにその挑戦を支える企業文化を醸成することの重要性はますます高まっております。こうした環境変化を踏まえ、当社は職務を通じた社員一人ひとりのさらなる挑戦と、挑戦を通じた成長を後押しするため、人事制度の抜本的な改定を行い、2026年7月に新人事制度(以下②-b参照)への移行を予定しております。
②-a.処遇・報酬制度の方針
・「人材価値最大化」を基本方針に据え、社員一人ひとりの価値創出への貢献に最大限報いる。
・IT・デジタル人材マーケットを踏まえ、競争力のある報酬水準を確保する。
・担う役割と専門性に応じた報酬水準を設定し、成果に応じたメリハリある処遇を実現する。
②-b.新人事制度の概要
(1)職掌・等級制度
・能力・経験を基準とする職能等級制度から、担う役割に基づく「役割区分制度」へ移行し、職務内容と報酬の連動性を向上
・上位役割への挑戦である“ストレッチアサイン”を、社員への先行的な人的資本投資と位置づけ、報酬と連動させて促進することで、意欲ある社員の可能性を引き出し、成長スピードを向上
・社員が自身のキャリア志向に応じて職掌を選択可能とし、キャリアオーナーシップの醸成と適所適材の配置を推進
(2)報酬・評価制度
・担う役割の大きさに応じた報酬水準を設定し、メリハリのある処遇を実現
・60歳以降の継続雇用時に一律に報酬水準を見直す制度を廃止し、年齢や経験に左右されない、役割に基づく報酬決定により処遇の適正化を推進
・事業戦略と人材戦略の連動を一層高めるため、戦略的重要度が極めて高い職種を「戦略職種」と位置づけ、柔軟な処遇を可能とする仕組みを導入
・担う役割に応じた成果に加え、成果創出に至る行動を評価し、挑戦を通じた成長と人材価値向上を促進
IT人材の獲得競争が激化し市場価値が高まる中、優秀な人材の確保及び社員エンゲージメントの向上を目的として、直近では、2025年7月に例月給与を全社平均で15,000円引き上げ、人事評価や昇格に伴う昇給額と合わせ全社平均で5.2%の報酬水準の引き上げと、新卒採用者の初任給については月額10,000円の増額を実施しました。2026年7月には現行制度に基づく定期昇給に加え、貢献度に応じた特別加算を実施することで、全社平均で5.0%の報酬水準の引き上げを予定しております。
今後、新人事制度の運用を通じて、「自己革新能力」の高い人材と組織を創り、人的資本を通じた持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
重点施策③「Well-Being経営」
当社グループの最大の財産、かつ成長の原動力は“人”であり、社員一人ひとりの健康こそが、社員やその家族の幸せと事業発展の礎であることから「社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動につながる最高のサービスが提供できる。」という健康経営の理念を2016年3月期に明文化し、健康経営を経営上の重点課題として取り組んでまいりました。
2024年3月期からは、これまでの取り組みで培ってきた働きやすい環境を基盤とし、価値創出を通じた社会への貢献と働きがいを実感できるWell-Being経営を実践しております。その実践においては、当社グループにおけるWell-Beingの7つの価値観と25の指標を独自に定義し、アンケート調査にて社員の実感値を可視化しております。その結果は「SCSK Well-Being Score」として組織へフィードバックし、組織の実態と照らし合わせながら課題を把握し、向上施策につなげることで、Well-Beingの向上を継続的に図るサイクルの確立を目指しております。また、当社グループの全社員がアクセス可能なWell-Beingポータルサイトを開設し、トップメッセージや解説動画に加え、当社グループの各社・各組織における活動を支援する施策ガイドなどの情報を提供しております。2026年3月期には、社員の主体的な参加を通じてWell-Beingを推進し、新しい文化を醸成することを目的として、自主性を尊重した手挙げ式による「Well-Beingサポーター活動」を開始いたしました。Well-Beingサポーターによる社長への全社活動施策提案会を全社ライブ配信するなど、新たな挑戦を全社員で共有することでWell-Being経営の理解浸透を図り、組織及び社員一人ひとりの主体的な取り組みにつなげております。
今後も、当社グループ全体でのWell-Being経営の実践を通して、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社を実現することで、当社グループのエンゲージメント向上を目指してまいります。

重点施策④「ダイバーシティ&インクルージョン」
当社グループは、2025年3月期から、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)にEquity(公平性・公正性)とBelonging(“共に働く”と定義)の要素を加え、DEIB(Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)へとその概念を進化させ、多様な人材一人ひとりが安心して能力を発揮し、「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる環境の実現を通じて、持続的な価値創出を支える組織づくりを進めています。

これまで、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な社員が同じステージで活躍できるよう、長時間労働を是正し生産性の高い働き方を目指すスマートワーク・チャレンジに加え、リモートワークやフレックスタイム制度、各世代のライフイベントをサポートする各種休暇制度の導入など、働く場所や時間に柔軟性を持たせた働き方を整備してきました。これらの取り組みは、社員の自律的な意識の醸成やワークライフバランスの確立に寄与し、DEIB推進の基盤となっております 。
育児との両立支援においては、育児休業や育児休暇を取得する期間に限らず、男女を問わず恒常的に育児に参画しながら仕事との両立ができる環境の実現を目指しております。育児初期における育児休業の分割取得や、育児に関する特別休暇の拡大に取り組んだ結果、男性社員の育児休業取得率は5年前に比べると約10倍に増加し、育児休暇も含めた育児関連の休業・休暇の取得率は80%を超えております。こうした意識変化を踏まえ、2025年3月期には「配偶者の出産休暇」制度を改定し、対象期間及び付与日数を最大20日間へ拡充いたしました。今後も男性の家庭参画を後押しする職場環境を整備し、性別を問わず仕事と育児の両立がしやすい組織風土のさらなる醸成を目指してまいります。
また、多様な人材の能力を引き出し、経営の意思決定や組織運営における多様性を確保するためには、マネジメント層における人材の多様性を確保する必要があることから、2012年にD&I推進の専任組織を設置して以来、女性の登用については継続的に取り組んでまいりました。働き方改革の取り組みにより、労働時間に起因する成長期等の男女格差を解消するとともに、人事制度や専門性認定制度に基づく公平・公正な評価や処遇を推進しています。加えて、社会的背景やアンコンシャスバイアスを克服し、女性の登用を着実に進捗させるため、女性ライン管理職の登用目標を設定するとともに、2階層上のライン職によるメンター制度の導入や、必要なスキルを習得するための社外研修への参加機会、経営層やロールモデルとの対話の場を提供するなど、各役職別の育成・登用施策を実施しております。
提出会社の女性登用・育成目標
さらに、属性に関わらず安心して働き、活躍できる職場環境の実現を目指し、LGBTQのインクルージョンに関する社員の理解促進、意識啓発にも取り組んでおります。当社グループ会社社員も参加可能なセミナーの開催やアライコミュニティを通じた交流の場の提供など、グループ全体での継続的な支援活動を拡充しております。また、障がい者雇用に関しては、当社グループ及び特例子会社である東京グリーンシステムズ㈱での雇用推進に加え、2025年3月期からパラアスリートの雇用を本格的に拡充し、パラスポーツへの理解を通じて多様性を尊重する企業文化の醸成に取り組んでおります。
当社グループは今後も、属性に関わらず多様な人材がその能力を最大限発揮できる「働きやすさ」「働きがい」のある会社を目指し、DEIBの取り組みを推進してまいります。
(ご参考)
・女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」
(2022年3月期~2026年3月期、2027年3月期~2029年3月期)
https://www.scsk.jp/corp/csr/diversity.html#wactivity
人材関連データ
※1 連結での数値。(「デジタルスキル標準教育修了者」以外は単体での数値)
※2 2025年3月期「Re-skilling」を、2026年3月期より「グローバル能力開発」「専門能力開発」「ビジネス能力
開発」に研修カテゴリー変更。
※3 正社員・専門型正社員のキャリア採用者数。
※4 期中の平均従業員数に対する依願退職者の割合。
※5 正社員・専門型正社員・シニア正社員の平均年間給与。
※6 詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2)従業員の状況 ④管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び男女の賃金の差異<男女の賃金の差異>をご参照ください。
※7 社員意識調査で、「働きやすい会社」および「やりがいのある会社」の両項目にポジティブ回答を行った社員の
割合。2026年3月期の実績(連結)は、それぞれ86.1%、76.8%。
※8 社員意識調査で、「自分の能力が十分活かされている」項目にポジティブ回答し、さらに健康アンケートで「健
康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに80%以上発揮出来ている」と回答した社員の割合。
2026年3月期の実績(連結)は、それぞれ75.2%、75.5%。
※9 2023年3月期(実績)に対する比率を算出。
※10 取締役は除く、受け入れ出向者は含む。
※11 期中に育児休業等の利用を開始した社員の数。
※12 期中に本人もしくは配偶者が出産した社員のうち、期中に育児休業等の利用を開始した社員の割合。
※13 期中に育児休業等を終了し復職もしくは退職した社員のうち、復職した社員の割合。
※14 育児休業等を利用し、期中に復職した社員における育児休業等の平均取得日数。
※15 家族の看護、中学校卒業までの子の育児に必要な疾病予防および学校行事への参加、不妊治療による通院
の際に時間単位で取得可能な休暇(年間5日間)。
※16 裁量労働制適用者、管理監督者を含む全社員の平均。
※「人的資本・多様性」に関する詳細な情報については、当社WEBサイトに公表されている「統合報告書」をご参照ください。https://www.scsk.jp/ir/library/report/index.html
<人材戦略に関する方針と重点施策>中期経営計画では、人材戦略に関する方針として、「事業戦略に即した人事制度・人材育成」と「社員の“働きがい”を高めるWell-Being経営」を掲げ、4つの重点施策を設定しております。
■事業戦略に即した人事制度・人材育成
事業戦略と人材戦略、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲の連動を通じ、人材価値を最大化することを目指しております。
重点施策① 能力・スキルを高める、活かす「事業戦略と人材ポートフォリオ」
重点施策② 能力・スキルを適切に評価し、成果に報いる「処遇・報酬制度」
■社員の“働きがい”を高めるWell-Being経営
社員一人ひとりが心身ともに良いコンディションを保ち、組織への高いエンゲージメントを維持しながら、自律的な成長と事業を通じた新たな価値創出を実現することで、社員の“働きがい”の向上を目指しております。
重点施策③ 価値創出につなげる「Well-Being経営」
重点施策④ 多様性を尊重し活かす「ダイバーシティ&インクルージョン」
重点施策①「事業戦略と人材ポートフォリオ」
持続的な企業価値の向上に向け、事業戦略に連動した動的な人材ポートフォリオの構築と運用を重点施策の一つと位置付けております。中期戦略を基に事業単位の人材ポートフォリオ計画を策定し、計画に基づく人材採用、OJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成及びリスキリング、人材配置を推進することで、事業戦略の遂行に必要なスキルを有する人材の継続的な確保・育成を図っております。事業をリードする高度デジタル人材の育成においては、実務を通じた実践的スキルを磨くことに加え、基礎的な知識や手法を体系的に学び実践力の向上に生かすことが重要であるため、当社グループの全IT技術者を対象に、AIやクラウドなどの先進技術分野に関する教育を拡充しております。
また、「SCSKキャリアフレームワーク」により、社員が実務経験により発揮している職種別の専門スキルを、7段階で評価・認定する専門性認定制度を通じて可視化するとともに、社内有識者によって行われる専門性認定審査の結果を具体的な育成計画に反映させることで、事業戦略に連動した形でプロフェッショナル人材の効果的な育成を実現しております。また、職種ごとの有識者で構成された専門部会を設置し、専門性認定審査の審査に加え、職種別コミュニティの形成、先行事例の共有、各部会内にAIエージェントを通じてナレッジを提供するなどの活動を推進しております。2026年2月には、生成AIを活用した複数の検証プロセスと、これまで蓄積してきた評価ロジックを組み合わせて開発した「スキル評価システム」を導入し、審査プロセスの自動化を実現しております。これにより、評価の妥当性及び一貫性を確保するとともに、従前は年1回が限度であった審査機会の制約が取り払われ、よりスピーディーに社員が獲得したスキルを可視化し、人材配置に活用することが可能となりました。これらの取り組みにより、育成・評価・配置を一体的に運用し、社員の成長や能力発揮を最大化するとともに、事業戦略の実行力を高めることで、人的資本を起点とした企業価値向上を推進しております。
重点施策②「処遇・報酬制度」
競争の激しいIT・デジタル人材市場において、優秀な人材の確保・育成と定着を重要な経営課題ととらえ、社員一人ひとりが高い目標を掲げ、意欲的な挑戦を通じて成長し続けられる土壌づくりを進めています。その取り組みの一環として、人材価値を適切に評価し、報いる処遇・報酬制度の方針(以下②-a参照)を定めております。
処遇・報酬制度の基盤となる人事制度においては、組織運営を通じて事業成長を担う経営・マネジメント人材を対象とした「GM職掌」、高度な専門性に基づく成果の創出を担う「基幹職掌」など、キャリアパスに応じた複線型の人事制度を採用しております。これにより、多様な人材が自身の強みやキャリア志向に沿った選択をしながら能力開発に取り組み、成長し、活躍の幅を広げていくことを促進しています。また、高い市場価値を有し、事業成長に大きく寄与する高度人材の確保を目的として、年収3,000万円超の処遇を可能とする「ADV職掌」を設けるなど、外部環境や人材市場の変化を踏まえた柔軟な処遇の整備にも取り組んでおります。
社会・技術・市場・顧客ニーズの変化や、個人のキャリア観の多様化が一層進む中で、社員一人ひとりがキャリアオーナーシップの下、自らの価値を見つめ、その創出価値を高め続ける挑戦を促すこと、並びにその挑戦を支える企業文化を醸成することの重要性はますます高まっております。こうした環境変化を踏まえ、当社は職務を通じた社員一人ひとりのさらなる挑戦と、挑戦を通じた成長を後押しするため、人事制度の抜本的な改定を行い、2026年7月に新人事制度(以下②-b参照)への移行を予定しております。
②-a.処遇・報酬制度の方針
・「人材価値最大化」を基本方針に据え、社員一人ひとりの価値創出への貢献に最大限報いる。
・IT・デジタル人材マーケットを踏まえ、競争力のある報酬水準を確保する。
・担う役割と専門性に応じた報酬水準を設定し、成果に応じたメリハリある処遇を実現する。
②-b.新人事制度の概要
(1)職掌・等級制度
・能力・経験を基準とする職能等級制度から、担う役割に基づく「役割区分制度」へ移行し、職務内容と報酬の連動性を向上
・上位役割への挑戦である“ストレッチアサイン”を、社員への先行的な人的資本投資と位置づけ、報酬と連動させて促進することで、意欲ある社員の可能性を引き出し、成長スピードを向上
・社員が自身のキャリア志向に応じて職掌を選択可能とし、キャリアオーナーシップの醸成と適所適材の配置を推進
(2)報酬・評価制度
・担う役割の大きさに応じた報酬水準を設定し、メリハリのある処遇を実現
・60歳以降の継続雇用時に一律に報酬水準を見直す制度を廃止し、年齢や経験に左右されない、役割に基づく報酬決定により処遇の適正化を推進
・事業戦略と人材戦略の連動を一層高めるため、戦略的重要度が極めて高い職種を「戦略職種」と位置づけ、柔軟な処遇を可能とする仕組みを導入
・担う役割に応じた成果に加え、成果創出に至る行動を評価し、挑戦を通じた成長と人材価値向上を促進
IT人材の獲得競争が激化し市場価値が高まる中、優秀な人材の確保及び社員エンゲージメントの向上を目的として、直近では、2025年7月に例月給与を全社平均で15,000円引き上げ、人事評価や昇格に伴う昇給額と合わせ全社平均で5.2%の報酬水準の引き上げと、新卒採用者の初任給については月額10,000円の増額を実施しました。2026年7月には現行制度に基づく定期昇給に加え、貢献度に応じた特別加算を実施することで、全社平均で5.0%の報酬水準の引き上げを予定しております。
今後、新人事制度の運用を通じて、「自己革新能力」の高い人材と組織を創り、人的資本を通じた持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
重点施策③「Well-Being経営」
当社グループの最大の財産、かつ成長の原動力は“人”であり、社員一人ひとりの健康こそが、社員やその家族の幸せと事業発展の礎であることから「社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動につながる最高のサービスが提供できる。」という健康経営の理念を2016年3月期に明文化し、健康経営を経営上の重点課題として取り組んでまいりました。
2024年3月期からは、これまでの取り組みで培ってきた働きやすい環境を基盤とし、価値創出を通じた社会への貢献と働きがいを実感できるWell-Being経営を実践しております。その実践においては、当社グループにおけるWell-Beingの7つの価値観と25の指標を独自に定義し、アンケート調査にて社員の実感値を可視化しております。その結果は「SCSK Well-Being Score」として組織へフィードバックし、組織の実態と照らし合わせながら課題を把握し、向上施策につなげることで、Well-Beingの向上を継続的に図るサイクルの確立を目指しております。また、当社グループの全社員がアクセス可能なWell-Beingポータルサイトを開設し、トップメッセージや解説動画に加え、当社グループの各社・各組織における活動を支援する施策ガイドなどの情報を提供しております。2026年3月期には、社員の主体的な参加を通じてWell-Beingを推進し、新しい文化を醸成することを目的として、自主性を尊重した手挙げ式による「Well-Beingサポーター活動」を開始いたしました。Well-Beingサポーターによる社長への全社活動施策提案会を全社ライブ配信するなど、新たな挑戦を全社員で共有することでWell-Being経営の理解浸透を図り、組織及び社員一人ひとりの主体的な取り組みにつなげております。
今後も、当社グループ全体でのWell-Being経営の実践を通して、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社を実現することで、当社グループのエンゲージメント向上を目指してまいります。

重点施策④「ダイバーシティ&インクルージョン」
当社グループは、2025年3月期から、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)にEquity(公平性・公正性)とBelonging(“共に働く”と定義)の要素を加え、DEIB(Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)へとその概念を進化させ、多様な人材一人ひとりが安心して能力を発揮し、「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる環境の実現を通じて、持続的な価値創出を支える組織づくりを進めています。

これまで、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な社員が同じステージで活躍できるよう、長時間労働を是正し生産性の高い働き方を目指すスマートワーク・チャレンジに加え、リモートワークやフレックスタイム制度、各世代のライフイベントをサポートする各種休暇制度の導入など、働く場所や時間に柔軟性を持たせた働き方を整備してきました。これらの取り組みは、社員の自律的な意識の醸成やワークライフバランスの確立に寄与し、DEIB推進の基盤となっております 。
育児との両立支援においては、育児休業や育児休暇を取得する期間に限らず、男女を問わず恒常的に育児に参画しながら仕事との両立ができる環境の実現を目指しております。育児初期における育児休業の分割取得や、育児に関する特別休暇の拡大に取り組んだ結果、男性社員の育児休業取得率は5年前に比べると約10倍に増加し、育児休暇も含めた育児関連の休業・休暇の取得率は80%を超えております。こうした意識変化を踏まえ、2025年3月期には「配偶者の出産休暇」制度を改定し、対象期間及び付与日数を最大20日間へ拡充いたしました。今後も男性の家庭参画を後押しする職場環境を整備し、性別を問わず仕事と育児の両立がしやすい組織風土のさらなる醸成を目指してまいります。
また、多様な人材の能力を引き出し、経営の意思決定や組織運営における多様性を確保するためには、マネジメント層における人材の多様性を確保する必要があることから、2012年にD&I推進の専任組織を設置して以来、女性の登用については継続的に取り組んでまいりました。働き方改革の取り組みにより、労働時間に起因する成長期等の男女格差を解消するとともに、人事制度や専門性認定制度に基づく公平・公正な評価や処遇を推進しています。加えて、社会的背景やアンコンシャスバイアスを克服し、女性の登用を着実に進捗させるため、女性ライン管理職の登用目標を設定するとともに、2階層上のライン職によるメンター制度の導入や、必要なスキルを習得するための社外研修への参加機会、経営層やロールモデルとの対話の場を提供するなど、各役職別の育成・登用施策を実施しております。
提出会社の女性登用・育成目標
| 役職 | 目標値 |
| 執行役員 | 2030年度末までに20% |
| 部長級(部室長・副部長) | 2030年度末までに20% |
さらに、属性に関わらず安心して働き、活躍できる職場環境の実現を目指し、LGBTQのインクルージョンに関する社員の理解促進、意識啓発にも取り組んでおります。当社グループ会社社員も参加可能なセミナーの開催やアライコミュニティを通じた交流の場の提供など、グループ全体での継続的な支援活動を拡充しております。また、障がい者雇用に関しては、当社グループ及び特例子会社である東京グリーンシステムズ㈱での雇用推進に加え、2025年3月期からパラアスリートの雇用を本格的に拡充し、パラスポーツへの理解を通じて多様性を尊重する企業文化の醸成に取り組んでおります。
当社グループは今後も、属性に関わらず多様な人材がその能力を最大限発揮できる「働きやすさ」「働きがい」のある会社を目指し、DEIBの取り組みを推進してまいります。
(ご参考)
・女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」
(2022年3月期~2026年3月期、2027年3月期~2029年3月期)
https://www.scsk.jp/corp/csr/diversity.html#wactivity
人材関連データ
| 戦略 | 指標 | 目標 | 実績 | ||||
| 2026年 3月期 | 区分 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 単位 | |||
| 事業戦略と人材ポートフォリオ | コンサル・ビジネスデザイン人材 | 500名以上 | 523 | 587 | 名 | ||
| 先進技術育成研修修了者 | 3,000名以上 | 2,349 | 3,881 | 名 | |||
| 高度プロジェクト・マネージャ人材(高度PM) | 250名以上 | 219 | 265 | 名 | |||
| デジタルスキル標準教育修了者※1 | 10,000名 | 11,129 | 12,694 | 名 | |||
| 研修時間(1人あたり年間平均) | 69 | 81 | 時間 | ||||
| 研修費用(1人あたり年間平均) | 28.3 | 25.4 | 万円 | ||||
| 研修カテゴリー別受講者数※2 | キャリア開発 | 1,483 | 1,697 | 名 | |||
| リーダーシップ開発 | 2,388 | 3,268 | 名 | ||||
| グローバル能力開発 | 216 | 938 | 名 | ||||
| 専門能力開発 | 10,894 | 18,526 | 名 | ||||
| ビジネス能力開発 | - | 6,158 | 名 | ||||
| Re-Skilling | 19,599 | - | 名 | ||||
| 計 | 34,580 | 30,587 | 名 | ||||
| 採用者数 | 新卒採用者数 | 男性 | 220 | 236 | 名 | ||
| 女性 | 89 | 97 | 名 | ||||
| 計 | 309 | 333 | 名 | ||||
| キャリア採用者数※3 | 男性 | 279 | 194 | 名 | |||
| 女性 | 108 | 61 | 名 | ||||
| 計 | 387 | 255 | 名 | ||||
| 離職率※4 | 男性 | 3.6 | 3.7 | % | |||
| 女性 | 3.6 | 3.1 | % | ||||
| 計 | 3.6 | 3.6 | % | ||||
| 戦略 | 指標 | 目標 | 実績 | ||||
| 2026年 3月期 | 区分 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 単位 | |||
| 処遇・報酬制度 | 平均年間給与※5 | 7,877 | 7,969 | 千円 | |||
| 男女別賃金差異※6 | 21~25歳 | 98.4 | 98.7 | % | |||
| 26~30歳 | 99.8 | 100.2 | % | ||||
| 31~35歳 | 94.1 | 94.4 | % | ||||
| 36~40歳 | 86.6 | 87.8 | % | ||||
| 41~45歳 | 87.5 | 86.4 | % | ||||
| 46~50歳 | 82.9 | 84.6 | % | ||||
| 51~55歳 | 84.6 | 82.5 | % | ||||
| 56~60歳 | 83.8 | 85.9 | % | ||||
| 61歳~ | 75.7 | 78.8 | % | ||||
| 計 | 83.8 | 85.1 | % | ||||
| Well-Being経営 | エンゲージメント※7 | 90%以上 | 働きやすい会社 | 89.7 | 89.6 | % | |
| やりがいのある会社 | 79.1 | 80.0 | % | ||||
| パフォーマンス発揮度※8 | 90%以上 | 自分の能力が活かされている | 77.3 | 79.3 | % | ||
| プレゼンティーイズム(パフォーマンス発揮度) | 20歳代 | 75.4 | 76.1 | % | |||
| 30歳代 | 70.9 | 71.5 | % | ||||
| 40歳代 | 79.9 | 78.2 | % | ||||
| 50歳代 | 82.6 | 82.1 | % | ||||
| 60歳以上 | 85.0 | 82.4 | % | ||||
| 計 | 78.5 | 77.9 | % | ||||
| 戦略 | 指標 | 目標 | 実績 | ||||
| 2026年 3月期 | 区分 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 単位 | |||
| ダイバーシティ&インクルージョン | 部長級の女性数※9 | 3倍以上 | 2.0 | 3.0 | 倍 | ||
| ライン管理職数※10 | 役員・本部長級 | 男性 | 90 | 89 | 名 | ||
| 女性 | 4 | 5 | 名 | ||||
| 計 | 94 | 94 | 名 | ||||
| 部長級 | 男性 | 298 | 294 | 名 | |||
| 女性 | 33 | 35 | 名 | ||||
| 計 | 331 | 329 | 名 | ||||
| 課長級 | 男性 | 447 | 429 | 名 | |||
| 女性 | 66 | 68 | 名 | ||||
| 計 | 513 | 497 | 名 | ||||
| 総計 | 男性 | 835 | 812 | 名 | |||
| 女性 | 103 | 108 | 名 | ||||
| 計 | 938 | 920 | 名 | ||||
| 育児休業利用者数 | 利用者数※11 | 男性 | 77 | 114 | 名 | ||
| 女性 | 64 | 65 | 名 | ||||
| 計 | 141 | 179 | 名 | ||||
| 取得率※12 | 男性 | 50.0 | 62.6 | % | |||
| 女性 | 100.0 | 100.0 | % | ||||
| 計 | 64.7 | 72.5 | % | ||||
| 復職率※13 | 男性 | 94.4 | 98.1 | % | |||
| 女性 | 95.5 | 100.0 | % | ||||
| 計 | 95.0 | 98.8 | % | ||||
| 平均取得日数※14 | 男性 | 86 | 107 | 日 | |||
| 女性 | 425 | 403 | 日 | ||||
| 計 | 268 | 217 | 日 | ||||
| 両立支援休暇利用者数※15 | 男性 | 500 | 440 | 名 | |||
| 女性 | 434 | 391 | 名 | ||||
| 計 | 934 | 831 | 名 | ||||
| 配偶者出産休暇利用者数 | 118 | 140 | 名 | ||||
| 平均月間残業時間※16 | 22 | 22 | 時間 | ||||
| 年次有給休暇※16 | 平均取得日数 | 17.2 | 17.1 | 日 | |||
| 取得率 | 89.4 | 88.6 | % | ||||
※1 連結での数値。(「デジタルスキル標準教育修了者」以外は単体での数値)
※2 2025年3月期「Re-skilling」を、2026年3月期より「グローバル能力開発」「専門能力開発」「ビジネス能力
開発」に研修カテゴリー変更。
※3 正社員・専門型正社員のキャリア採用者数。
※4 期中の平均従業員数に対する依願退職者の割合。
※5 正社員・専門型正社員・シニア正社員の平均年間給与。
※6 詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2)従業員の状況 ④管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び男女の賃金の差異<男女の賃金の差異>をご参照ください。
※7 社員意識調査で、「働きやすい会社」および「やりがいのある会社」の両項目にポジティブ回答を行った社員の
割合。2026年3月期の実績(連結)は、それぞれ86.1%、76.8%。
※8 社員意識調査で、「自分の能力が十分活かされている」項目にポジティブ回答し、さらに健康アンケートで「健
康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに80%以上発揮出来ている」と回答した社員の割合。
2026年3月期の実績(連結)は、それぞれ75.2%、75.5%。
※9 2023年3月期(実績)に対する比率を算出。
※10 取締役は除く、受け入れ出向者は含む。
※11 期中に育児休業等の利用を開始した社員の数。
※12 期中に本人もしくは配偶者が出産した社員のうち、期中に育児休業等の利用を開始した社員の割合。
※13 期中に育児休業等を終了し復職もしくは退職した社員のうち、復職した社員の割合。
※14 育児休業等を利用し、期中に復職した社員における育児休業等の平均取得日数。
※15 家族の看護、中学校卒業までの子の育児に必要な疾病予防および学校行事への参加、不妊治療による通院
の際に時間単位で取得可能な休暇(年間5日間)。
※16 裁量労働制適用者、管理監督者を含む全社員の平均。
※「人的資本・多様性」に関する詳細な情報については、当社WEBサイトに公表されている「統合報告書」をご参照ください。https://www.scsk.jp/ir/library/report/index.html