有価証券報告書-第50期(2022/03/01-2023/02/28)

【提出】
2023/05/22 13:22
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

(1) 経営の基本方針
当社は、経営理念「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます。」のもと、アジアを主たる活動領域にファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業を展開しています。当社が掲げる「環境価値創造」とは、人々が平和と豊かさを享受できる環境を創出していくということです。当社は、事業を通じて環境価値を創造し続け、社会の持続的発展に貢献していくことで、お客さま、地域社会から必要とされ続ける企業でありたいと考えています。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イオンディライト ビジョン2025
当社は、更なる持続的成長を目的にイオンディライト ビジョン2025(以下、「ビジョン2025」)を策定し、「アジアにおいて『安全・安心』、『人手不足』、『環境』の3つを成長戦略の柱に社会課題を解決する環境価値創造企業を目指す」ことを宣言しています。また、これを実現するため、FMの専門家集団としての企業ブランドを確立するとともに、事業を展開する各エリアにおいて地域経済圏の形成に取り組んでいます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期3ヵ年経営計画の策定(2022年2月期~2024年2月期)
当社は、ビジョン2025の実現に向けて、2022年2月期を初年度とする中期3ヵ年経営計画(以下、「中期経営計画」)を策定しました。中期経営計画では、「お客さま起点の経営」、「DXの推進」、「グループ経営」の3つを基本方針に掲げ、各種取り組みを推進しています。
2024年2月期は、引き続き、3つの基本方針に則った各種取り組みを推進してまいります。これにより、エネルギーコストや人件費の上昇といった大きな環境変化を伴ったアフターコロナにおける新たな成長戦略を描くための変革を遂行してまいります。
(ア)お客さま起点の経営
当社が目指すのは、お客さまの声をサービス開発や品質管理、営業といった自らの組織力に変え、価値ある提案へと繋げる体制です。これを実現するため、お客さまの声や施設の状況、顧客業界の市場動向といった様々なデータを収集、分析し価値ある情報へと加工していく仕組みとしてイオンディライトプラットフォームの整備に取り組んでまいりました。
2024年2月期は、お客さまの課題解決に貢献する情報のアウトプットに向け、更なる整備を進めてまいります。
また、営業部門では、アカウント営業をより一層強化することで、顧客内シェア拡大や新規顧客開拓の更なる促進を図ります。アカウントマネジメントを通じて、個々のお客さまとの関係性を強化することにより、施設用途毎によりカスタマイズされたソリューションを提案してまいります。この一環として、省エネ機器の導入をはじめとしたエネルギーマネジメントなど、これまで培ってきた環境負荷低減に関するノウハウを活かしたソリューションを通じて、お客さまのエネルギーコスト上昇に対する課題解決に貢献してまいります。また、感染制御を組み込んだ清掃ソリューション「衛生清掃」や防疫対策を含めた清掃サービスの提供を通じて、医療関連施設や宿泊施設における感染対策を含めた「安全・安心」の確保に貢献してまいります。
(イ)DXの推進
当社は、「お客さま起点の経営」と「DXの推進」は不可分の関係にあると考えています。お客さま起点の経営体制を精度の高いものとしていくためには、イオンディライトプラットフォーム(以下、「ADプラットフォーム」)の整備とともに、より多くのお客さまの声や様々な施設の情報をADプラットフォーム上に流通させ、分析、加工を経たアウトプット情報をグループ全体で活用していく必要があります。
こうした中、当社では、施設の情報量拡大と人手不足に対応した持続可能な事業モデル構築を目的に、業務プロセスのDXを推進しています。業務プロセスのDXとして2022年2月期より、新たな施設管理モデル「エリア管理」の展開を本格化し、2023年2月期末までに全国累計273施設で省人化を実現し、カスタマーサポートセンターから遠隔制御できる施設を増加させました。同時に、より付加価値の高いアウトプットを実現していくため、施設の使用電力を可視化するツールの導入など、インプット情報の質を高めるための取り組みを推進しています。
2024年2月期は、引き続き「エリア管理」の展開を拡大していきます。アカウントマネジメント強化を通じて得られる顧客情報と合わせてADプラットフォームにインプットする施設情報を増加させることで、お客さまにとって、より価値の高い情報をアウトプットし、カスタマーサクセスへの更なる貢献を目指してまいります。
(ウ)グループ経営
(国内)
国内グループ各社は、2022年2月期以降、新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢といった環境変化の影響もあり苦戦を強いられています。こうした中、グループとしての更なる成長を図るため、あらためて各社の専門性を踏まえた個社毎の精緻な戦略を策定し実践してまいります。これにより、イオンディライトグループ内での機能と役割を明確化し、協力会社との関係性強化と合わせて、事業を展開する各エリアでの地域経済圏形成を促進していきます。
なお、地域経済圏形成に向けた取り組みの一環として、2023年3月には、九州一円で清掃を中心に設備管理やマンション管理、建設施工などを展開する株式会社アスクメンテナンス(以下、「アスクメンテナンス」)の株式を取得し完全子会社化することを決定しました。アスクメンテナンスは様々な用途の施設へのサービス提供実績を持つとともに、九州の事業者として初めて「清掃サービス」のエコマークを取得するなど、品質面でも高い評価を受ける企業です。当社は、アスクメンテナンスをイオンディライトグループに迎え入れることで、九州における事業基盤を拡大するとともに、両社が培ってきた技術やノウハウを融合し、更なる品質向上や経営の効率化を図ってまいります。
(中国)
アジア最大の成長エリアと位置付ける中国では、引き続き、中核事業会社による重点ターゲット(高級ショッピングセンターや医療関連施設、都市開発エリア)での受託拡大を促進するとともに、2022年10月に投資性公司へと移行した「永旺永楽(中国)投資有限公司」のもと、M&Aや新規事業への投資を積極化してまいります。これにより、事業規模の拡大を加速してまいります。
(アセアン)
アセアンでは、2022年度にマレーシア(クアラルンプール)に地域事務所を開設いたしました。2023年度は、既進出エリア(マレーシア、ベトナム、カンボジア、インドネシア)での事業拡大や品質マネジメントの強化に取り組んでまいります。