有価証券報告書-第43期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

【提出】
2016/05/25 16:41
【資料】
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【項目】
123項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社は、『私たちは、お客さま、地域社会の「環境価値」を創造し続けます。』の経営理念のもと、総合FMS事業のパイオニアとして世の中の「安全・安心・快適」を常に進化させ続けることで社会の持続的な発展に貢献し、株主さまやお客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまから高い信頼と評価を得ることを経営の基本方針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、アジアを主たる活動領域と定め、「アジア発グローバルレベルの総合FMS企業集団」を目指し、経営理念として掲げる「環境価値」創造を原点に、事業を通して社会の発展に貢献すると共に、更なる企業価値の向上を目指しています。
総合FMS事業を取り巻く経営環境を見渡すと、国内では日本において人手不足や人件費の上昇傾向が見られます。これらの傾向は今後も継続していくことが見込まれ、人的サービスを主とする設備管理、警備、清掃の各事業においては、既存の事業モデルでは中長期的に大きな成長を図ることが難しくなっていくものと想定されます。また、「インダストリー4.0」(※)に代表されるように、IoT(モノのインターネット)化や各種センサーの進化など、近年、情報通信に関する技術革新が急速に進んでいます。これにより、製造業やIT企業といった異業種からの市場参入による競争環境の激化も想定されます。加えて、当社では、業容拡大に伴う業務品質の維持・向上が経営上の重要な課題の一つであると認識しています。
こうした経営環境に対する認識のもと、当社は中長期的な持続的成長の実現に向け、既存事業モデルの変革に取り組むことで環境変化に適応した成長基盤を構築すると共に、業務品質向上に向けた取り組みを推進してまいります。
※インダストリー4.0とは、ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクトであり、情報技術を駆使した産業の革新のこと。
〈事業モデル変革に向けた取り組み〉
次の3つのプロジェクトチーム(PT)組成により、事業モデルの変革を進めてまいります。
① オフィスビルPT
日本では、平成27年7月に「建築物省エネ法」が施行され国家政策として省エネが推進する中、オフィスビルの省エネ対応が政府の補助金制度等により奨励されています。当社では、これを一つの契機として省エネ提案を推進すると共に、「建物の環境性能評価」や「快適かつ効率的な職場環境」といった新たな提供価値を創出することでオフィスビル市場における事業拡大を目指します。
② 次世代施設管理モデル構築PT
近年、情報通信に関する技術革新が急速に進む中、当社においても、これらIoTや各種センサー、クラウドに集約した情報を活用した次世代施設管理モデルの構築を目指します。施設の環境性能最大化に向けて、省エネ施策の一層の推進、遠隔監視・制御による施設巡回型管理へのシフト、お客さまの電力コスト低減を融合させた次世代施設管理モデルの展開を図ります。
③ 清掃ロボットPT
清掃事業の生産性向上に向けて、業務用清掃ロボットの早期導入を目指し簡易型モデルの実用化を図ります。また、進化の著しいAI(人工知能)を含む最新の技術を取り入れた清掃ロボットの研究開発を推進してまいります。
〈業務品質向上への取り組み〉
現在、当社ではISO(品質・環境)統合マニュアル及びISO27001(情報セキュリティ)の基準に基づき業務品質の維持・向上に努めていますが、今後、更なる研鑽が必要であると考えております。
当社は「安全・安心・快適」の提供を使命とする企業集団として、これまで以上に高品質かつ高効率なサービスの提供を目指し、ISO内部監査における監査リーダーとしての資格を保有する現場責任者によるセルフチェック並びに相互監査を徹底してまいります。加えて、将来的なファシリティマネジメントのISO化に関する国際的な動き等も見据え、「快適さ」や「綺麗さ」といった定性的な価値基準の定量化に向けた取り組みを推進し、独自の品質基準によるアジア最高水準のサービス提供を目指してまいります。
〈ダイバーシティ推進〉
当社では、平成27年4月に「お客さま満足の実現と新たな環境価値創造に向けて」と言うテーマをもとに、ダイバーシティ推進宣言をいたしました。ダイバーシティ推進の目的は、それぞれの異なった個性を尊重しながら、多様な人材を総力化し、企業競争力を向上させることです。平成27年度は中国、アセアン、日本で2,300人を採用するなど、人材の多様化を進めています。当社の当面の課題は「女性の活用」です。当事者である女性従業員はもとより、管理職のダイバーシティ経営への理解促進、従業員が職場の悩みを相談できるネットワークの構築、成功事例の共有による効率的な活動推進などを通じて、ダイバーシティ経営の実現を目指す風土作りを進めています。人材の多様化を活かし、ファシリティマネジメントに新しい価値観を創造することを重点に置いて、取り組んでまいります。