有価証券報告書-第31期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 14:49
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研究開発活動

当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション(SI)事業は、日本経済の緩やかな回復を受けて改善傾向にありますが、依然厳しい競争環境にさらされています。そのような環境下で競争に勝ち残っていくため、システム開発の高速化、高品質化等「生産技術の革新」に関する研究開発に重点的に取り組んでいます。また、新しい技術トレンドを積極的に取り入れる「最先端技術の活用」にも取り組んでいます。これら2つの取り組みに対して、状況の変化に柔軟に対応できる開発力を合わせ、お客様に魅力的なシステムを提案・提供するための研究開発を強化しています。
更に、日本電信電話株式会社との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しています。
当連結会計年度の研究開発費は15,094百万円です。研究開発の成果は、公共・社会基盤、金融、法人・ソリューション、北米及びEMEA・中南米に共通して適用可能であるため、セグメント別に分計はしていません。
[生産技術の革新]
当社はこれまでにソフトウェア開発の自動化による高速・高品質な開発の実現に取り組んできており、これは当社にとって競争上非常に優位な要素となっていました。そうした中で、自動化技術の更なる高度化に加え、レガシーモダナイゼーション(注1)や、開発環境の変化、顧客のビジネス環境の変化に機敏に対応するための開発プロセスの革新を加速しています。また、標準化についてもグローバルレベルでの取り組みを進めています。
当社はIT業界のリーディングカンパニーとして、インターネット黎明期より他社に先駆けて、日々の生活に欠かせない重要インフラ等を強固なセキュリティ技術で守ってきましたが、世界的に情報システムへのサイバー攻撃が激しさを増している中、更なるセキュリティ強化施策に取り組みました。
・当社は、セキュリティ分野の先進技術を有する㈱イエラエセキュリティ及び㈱神戸デジタル・ラボと、プラントや電力インフラ等で使用される監視制御システムや製造工場で使用される製造ライン管理システム等の制御系システム向け脅威分析サービスの提供を目的として業務提携することで2018年9月に合意しました。
・当社グループは、刻々と変化するエンドポイント(注2)の状況に応じた脅威の検知、対応及び復旧が可能な「Tanium(タニウム)」を国内外の当社グループ拠点へ導入しました。また、当社グループのセキュリティ管理プラットフォームとして、ネットワーク機器や様々なエンドポイント機器のログの収集と分析が一元的に可能な「Exabeam(エクサビーム)」を順次導入開始しました。これらの取り組みを通じ、国内外における当社グループの情報セキュリティレベルが向上しました。また、各ソリューションを当社グループの拠点に導入したことにより得られた知見をもとに、より高度なセキュリティコンサルティング等に関するお客様へのサービス提供を目的として、2018年11月からエヌ・ティ・ティ・データ先端技術㈱と共にタニウム合同会社と、2019年1月から米国のExabeam, Inc.と協業を開始しました。
・セキュリティ分野においては求められる専門性の高さにより人材の不足が懸念される中、当社グループではセキュリティ人材の育成とスキル向上に積極的に取り組み、2018年度には、NTTグループが推進する「セキュリティ人材認定」を有する8,300人以上が国内外で活躍しています。
・世界で増大するセキュリティ被害の抑止を目的に、サイバーセキュリティのグローバル動向及び今後の予測に関する調査レポートを日本語及び英語で四半期ごとに公開するとともに、テレビ、新聞、雑誌等への取材協力を行いました。
[最先端技術の活用]
特にAI、IoT、ITインフラ最先端技術(ブロックチェーン等)の技術テーマに注力し、該当する研究テーマやお客様とのPoC等に対して優先的な投資を行っています。また、中長期的に取り組むべき研究テーマを見定めるための手段の一つとして、政治・経済・社会・技術の4軸で将来変化を捉え、近未来の「情報社会トレンド」、「技術トレンド」を導出し、NTT DATA Technology Foresight(注3)として策定・公開する取り組みを行っています。
<お客様のデジタルビジネスの実現に向けた、六本木のデザインスタジオ“AQUAIR”の開設及びグローバルネットワークの強化>・お客様のデジタルビジネスの企画から実証実験・マーケティングまでをシームレスに実現するためのデザインスタジオ「Fluid Experience Design Studio "AQUAIR(アクエア)"(以下、本スタジオ)」を2018年6月に開設しました。本スタジオは、最新の技術・ワークスタイルが体験できる施設であり、実証実験を行うための仮設店舗も備えています。2018年度は100社を超えるお客様や当社パートナーが本スタジオを訪れ、デジタルとリアル空間を融合した新規サービスの実現に向けた、様々な体験や技術検証の場として活用されました。また、本スタジオを含む海外の当社グループのデザインスタジオ(グローバル全体で15拠点)が連携する「NTT DATA Design Network(注4)」との活動を通して、UX-UI(注5)を強みとする人材や各種事例の共有及び国を越えたプロジェクトの推進を実施しました。
(注1)レガシーモダナイゼーション
長期間にわたり維持保守されてきたシステム(レガシーシステム)では、度重なる追加開発によって、システムの肥大化・複雑化・属人化が進み、現行システムが実現している業務全体に対する理解が難しくなっています。そのようなブラックボックス化したシステムの仕様を棚卸しして、既存の資産を活用しつつ、新たなシステムへと再構築(刷新)することです。
(注2)エンドポイント
PC、スマートフォン、サーバ等のネットワークに接続された端末のことです。
(注3)NTT DATA Technology Foresight
情報社会の近未来展望(情報社会トレンド)とITに関する技術トレンドです。政治・経済・社会・技術の4つの観点で実施するITに関連する動向の網羅的調査と、国内外の有識者へのヒアリング・議論を通じて導出しています。2012年度からトレンド情報の公開を開始し、毎年更新しています。
(注4)「NTT DATA Design Network」
グローバル全体で15拠点あるデザインスタジオの間で、相互に事例やノウハウを共有したり、プロジェクトを支援したりすることによって、より広い視野でのビジネスデザインの検討を実現するための当社グループのネットワークのことです。
(注5)UX(ユーザーエクスペリエンス)-UI(ユーザーインターフェース)
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがサービスを通じて受け取る体験やそれに伴う感情のことです。UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーとサービスとの接点であり、両者の間で情報をやりとりするための仕組みのことです。
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