訂正有価証券報告書-第55期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/08/05 10:08
【資料】
PDFをみる
【項目】
134項目
3.重要な会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループが次の各要素をすべて有している場合にのみ、投資先を支配していると考えております。
・投資先に対するパワー
・投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利
・投資者のリターンの額に影響を及ぼすように投資先に対するパワーを用いる能力
当社グループによる支配の有無は、議決権又は類似の権利の状況や投資先に関する契約内容などに基づき、総合的に判断しております。
子会社については、当社グループが支配を獲得した日を取得日とし、その日より当社グループが支配を喪失するまで連結しております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表の調整を行っております。
子会社の決算日が当社と異なる場合には、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく子会社の財務数値を用いております。
当社グループ内の残高、取引高、収益及び費用は、重要性が乏しい場合を除き、全額を相殺消去しております。包括利益合計は、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分とに帰属させております。
子会社に対する所有持分の変動のうち、子会社に対する支配の喪失とならないものについては、資本取引として会計処理しております。
② 関連会社及びジョイント・ベンチャー(共同支配企業)
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営の方針に関する意思決定に対して、重要な影響力を有するが、支配的持分は有しない企業をいいます。一般的に、当社グループが議決権の20%から50%を保有する場合には、重要な影響力があると推定しております。当社グループが重要な影響力を有しているか否かの評価にあたり考慮されるその他の要因には、取締役会への参加等があります。なお、投資先の議決権の20%未満しか保有していない場合には、重要な影響力が明確に証明できる場合を除き、重要な影響力を有していないと推定しております。
ジョイント・ベンチャー(共同支配企業)とは、ジョイント・アレンジメント(共同支配の取決め、すなわち、複数の当事者が共同支配を有する取決め)のうち、共同支配を行う参加者が独立の事業体の純資産に対する権利を有するものをいいます。また、共同支配とは、契約上合意された支配の共有であり、参加者が取決めのリターンに重要な影響を及ぼす活動に関して、参加者の全会一致で決定し、当該活動を共同で営むことで成立します。
関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する持分の投資は、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って会計処理される、売却目的で保有する資産に分類される場合を除いて、持分法により会計処理しております。持分法を適用する際に考慮する純損益、その他の包括利益及び純資産は、関連会社及びジョイント・ベンチャーの財務諸表で認識された金額に、統一した会計方針を実行するのに必要な修正を加えたものです。持分法においては、当初認識時に関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資は原価で認識され、その帳簿価額を増額又は減額して、株式取得日以降における投資先の純損益及びその他の包括利益等に対する投資者の持分を認識しております。
(2) 企業結合
企業結合は、取得法を用いて会計処理をしております。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に移転した資産、引き受けた負債及び発行した資本持分の取得日公正価値の合計額で測定しております。
IFRS第3号「企業結合」に基づく認識の要件を満たす被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、次を除いて、取得日の公正価値で測定しております。
・繰延税金資産(又は繰延税金負債)及び従業員給付契約に関連する負債又は資産は、それぞれIAS第12号「法人所得税」及びIAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しております。
・被取得企業の株式報酬取引に係る負債もしくは資本性金融商品、又は被取得企業の株式報酬取引の取得企業の株式報酬取引への置換えに係る負債もしくは資本性金融商品に係る部分については、IFRS第2号「株式報酬」の方法に従って取得日現在で測定しております。
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産又は処分グループは、当該基準書に従って測定しております。
のれんは、取得対価が取得日時点における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しております。この差額が負の金額である場合には、直ちに純損益として認識しております。
企業結合を達成するために発生した取得関連費用は、発生時に純損益として認識しております。
企業結合が生じた連結会計年度の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、会計処理が完了していない項目について暫定的な金額で連結財務諸表上認識しております。測定期間中、取得日時点で存在し、それを知っていたならば取得日時点で認識した金額の測定に影響したであろう事実及び状況について入手した新しい情報を反映するために、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及修正します。測定期間は取得日から1年を超えることはありません。
非支配持分の追加取得については、資本取引として処理しているため、当該取引からのれんは認識しておりません。
すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的なものではない企業結合取引(共通支配下における企業結合取引)については、帳簿価額に基づき会計処理しております。
(3) 外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。
② 外貨建取引
外貨建取引については、取引日における為替レートにより機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性項目は期末日の為替レートを用いて機能通貨に換算し、外貨建非貨幣性項目は取得原価で測定されているものは取引日の為替レート、公正価値で測定されているものは、公正価値が測定された日の為替レートを用いて換算しております。
貨幣性項目の為替差額は、発生する期間の純損益に認識しております。ただし、非貨幣性項目の利得又は損失がその他の包括利益に認識される場合は、当該為替差額もその他の包括利益に認識しております。
③ 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レートにより、収益及び費用については会計期間中の為替レートが著しく変動している場合を除き、その期間の平均為替レートにより換算しており、在外営業活動体の換算差額はその他の包括利益に認識しております。
在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益に認識され資本に累積されていた、在外営業活動体の換算差額は、処分による利得又は損失が認識される時に資本から純損益に振り替えております。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(a) 当初認識及び測定
当社グループでは、非デリバティブ金融資産は、契約条項の当事者となった取引日に当初認識しております。営業債権及びその他の債権については、これらの発生日に当初認識しております。
当社グループは、金融資産について、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に、当初認識時において分類しております。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを加算した金額で測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で測定しております。
金融資産は、以下の条件を共に満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
公正価値で測定する資本性金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定しなければならない売買目的で保有される資本性金融資産を除き、個々の資本性金融資産ごとに、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行っており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
償却原価で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(b) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおりに測定しております。
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅱ)公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動額は純損益として認識しております。
ただし、資本性金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、公正価値の変動額はその他の包括利益として認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については、純損益として認識しております。
(c) 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しております。
ただし、重要な金融要素を含んでいない営業債権及び契約資産、並びにリース債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を認識しております。
予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値に基づいて測定しております。
当社グループは、金融資産の予想信用損失を、以下のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力をかけずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
信用リスクが著しく増加しているか否かは、債務不履行リスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行リスクに変化があるか否かの判断にあたっては、主として以下の情報を考慮しております。信用リスクが期末日現在で低いと判断される場合には、当該金融資産に係る信用リスクは当初認識以降に著しく増加していないと評価しております。
・取引先相手の財務状況の悪化
・期日経過の情報
・外部信用格付の著しい変化
履行強制活動を行ってもなお返済期日を大幅に超過している場合、債務者が、破産、会社更生、民事再生、特別清算といった法的手続きを申し立てる場合等には、債務不履行が生じているものと判断しております。債務不履行に該当した場合又は債務者の著しい財政的困難等の減損の証拠が存在する場合には、信用減損しているものと判断しております。
当社グループは、ある金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しております。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しております。貸倒引当金を減額する事象が生じた場合は、貸倒引当金繰入額を純損益で認識しております。
(d) 認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しております。
② 非デリバティブ金融負債
(a) 当初認識及び測定
当社グループは、金融負債について、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債のいずれかに分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、発行した負債証券を、その発行日に当初認識しております。その他の金融負債は、すべて当該金融商品の契約の当事者になる取引日に当初認識しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(b) 事後測定
(ⅰ)償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、当初認識後実効金利法による償却原価で測定しております。
実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
(ⅱ)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債については、当初認識後公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しております。
(c) 認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
③ デリバティブ
当社グループは、為替リスク及び金利リスクを管理する目的で為替予約取引、金利スワップ取引、通貨スワップ取引などのデリバティブ取引を行っております。デリバティブは、契約の当事者となった時点の公正価値で当初認識し、その後も公正価値で事後測定しております。公正価値の変動額は純損益として認識しております。
なお、上記デリバティブについて、ヘッジ会計を適用しているものはありません。
④ 複合金融商品の発行
当社グループは、転換社債型新株予約権付社債を発行しておりますが、当初認識時に発行に伴う払込金額を社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債部分は負債とし、新株予約権部分は資本に分類し表示しております。新株予約権は、払込金額と負債部分の当初測定額(公正価値)との差額で当初測定しております。転換社債型新株予約権付社債の発行に関連する取引コストはすべて、負債要素及び資本要素の当初の帳簿価額の比率に応じて各要素に按分しております。当初認識後は、複合金融商品の負債要素は実効金利法を用いた償却原価により測定しております。複合金融商品の資本要素については、当初認識後は再測定を行っておりません。
⑤ 金融資産及び金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的に強制可能な権利を現在有しており、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動リスクを負わない取得日から3ヶ月以内に満期日又は償還期限の到来する短期投資からなっております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しております。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から見積販売費用を控除した額であります。取得原価は、主として個別法に基づいて算定されており、購入原価、改修工事費等を含む加工費ならびに現在の場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでおります。
(7) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用が含まれております。
有形固定資産の取得原価から残存価額を控除した償却可能額を耐用年数にわたって、定額法により減価償却しております。主な有形固定資産の耐用年数は、次のとおりです。
建物3年~50年
工具、器具及び備品1年~20年

なお、減価償却方法、残存価額及び見積耐用年数は各連結会計年度の末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「(2) 企業結合」に記載のとおりです。当初認識後ののれんについては、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
減損については、「(10) 非金融資産の減損」に記載のとおりです。
② 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
(a) 個別に取得した無形資産
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
(b) 企業結合で取得した無形資産
企業結合で取得した無形資産は、当該無形資産の取得原価を取得日現在の公正価値で測定しております。
(c) 自己創設無形資産(開発費)
開発(又は内部プロジェクトの開発局面)における支出は、次のすべてを立証できる場合に限り資産として認識することとしており、その他の支出はすべて発生時に費用処理しております。
・使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
・無形資産を使用又は売却できる能力
・無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
耐用年数を確定できる無形資産は、当該資産の耐用年数にわたり定額法により償却しております。償却は、当該資産が使用可能となった時点に開始しております。主な無形資産の耐用年数は、次のとおりです。
ソフトウエア3年~10年
顧客関連資産12年~18年6ヵ月

なお、償却方法、残存価額及び見積耐用年数は各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(9) リース
① 借手側
当社グループは、契約の開始時に、当該契約がリース又はリースを含んだものであるのかどうかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
契約がリースであるか又はリースを含んでいると判定した場合、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識しております。リース負債は未払リース料総額の現在価値で測定し、使用権資産は、リース負債の当初測定の金額に、開始日以前に支払ったリース料等、借手に発生した当初直接コスト及びリースの契約条件で要求されている原状回復義務等のコストを調整した取得原価で測定しております。なお、リース期間は、リースの解約不能期間にリースを延長するオプションを行使すること又はリースを解約するオプションを行使しないことを過去の平均入居期間等を考慮して決定しています。
当初認識後は、使用権資産は耐用年数とリース期間のいずれか短い年数にわたって、定額法で減価償却を行っております。また、使用権資産の減損については、「(10)非金融資産の減損」のとおりです。
リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分し、金融費用は連結損益計算書において認識しております。
ただし、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース料をリース期間にわたり定額法により費用認識しております。
② 貸手側
当社グループは、リースをオペレーティング・リース又はファイナンス・リースのいずれかに分類しております。原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合には、ファイナンス・リースに分類し、原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを移転するものではない場合には、オペレーティング・リースに分類しております。
ファイナンス・リース
リースの開始日において、ファイナンス・リースに基づいて保有している資産は、正味リース投資未回収額に等しい金額で債権として表示しております。正味リース投資未回収額に対する一定の期間リターン率を反映するパターンに基づいて、リース期間にわたり金融収益を認識しております。
オペレーティング・リース
オペレーティング・リースによるリース料は、定額法により収益を認識しております。
サブリース
転貸不動産などの当社グループが中間の貸手であるサブリースを分類する際に、ヘッドリースが短期リースである場合には、オペレーティング・リースに分類し、それ以外の場合には、サブリースは、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して分類しております。
(10) 非金融資産の減損
当社グループは、期末日ごとに資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積っております。減損の兆候の有無に係らず、未だ使用可能ではない無形資産、及び企業結合で取得したのれんについては毎期減損テストを実施しております。
回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
使用価値は、資産の継続的使用及び最終的な処分から発生する将来キャッシュ・インフロー及びアウトフローの見積額を貨幣の時間価値及び当該資産の固有のリスクの市場評価を反映した税引前の割引率により割り引いて算定した現在価値です。
のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位は、のれんを内部報告目的で管理している最小の単位であり、かつ事業セグメントよりも大きくならないようにしております。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生成していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、当該全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額に基づき減損テストを行っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額が当該資産又は資金生成単位の帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まず、その単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
のれんに関連する減損損失は戻入れておりません。その他の資産については、過去に認識した減損損失は、毎期末日において損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を評価しております。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れております。
(11) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として、合理的に見積り可能な法的又は推定的義務を現在の負債として負っており、当該債務を決済するために経済的便益の流出が生じる可能性が高い場合に、引当金を認識しております。
当社グループは、連結会計年度の末日における現在の債務を決済するために要する支出(将来キャッシュ・フロー)の最善の見積りを行い、貨幣の時間的価値の影響に重要性がある場合には、見積られた将来キャッシュ・フローをその負債に固有のリスクを反映させた割引率で割り引いた現在価値で測定しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは、金融費用として認識しております。
なお、当社グループの主な引当金は次のとおりです。
資産除去債務
賃借契約終了時に原状回復義務のある賃借事務所・建物等の原状回復費用見込額について、資産除去債務を計上しております。これらの費用の金額や支払時期の見積りは、現在の事業計画等に基づくものであり、将来の事業計画等により今後変更される可能性があります。
(12) 従業員給付
① 短期従業員給付
短期従業員給付とは、従業員が関連する勤務を提供した期間の末日後12ヶ月以内に決済の期限が到来する従業員給付をいい、ある会計期間中に従業員が勤務を提供した時に、当社グループは当該勤務の見返りに支払うと見込まれる割り引かない金額で認識しております。当社グループにおける短期従業員給付には賞与及び有給休暇に係るものがあります。
累積型の有給休暇に関する従業員給付の予想コストは、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時に認識しております。また、当社グループは、累積型有給休暇の予想コストを、連結会計年度の末日現在で累積されている未使用の権利の結果として当社グループが支払うと見込まれる追加金額として測定しております。
なお、賞与については、過去に従業員から勤務を提供された結果、支払を行う法的又は推定的義務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しております。
② 退職後給付
当社グループの退職後給付制度は、主として確定拠出制度を採用しております。確定拠出型の退職給付に係る費用は、その拠出時に費用として認識しております。
(13) 投資不動産
投資不動産は、賃貸収入又はキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産であります。投資不動産の認識後の測定については原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
土地以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたって、定額法により算定しております。投資不動産の種類別の耐用年数は、次のとおりです。
建物2年~47年

なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(14) 資本
① 普通株式
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用は関連する税効果を控除後に資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、取得原価で認識し、資本から控除して表示しております。また、その取得に直接起因する取引費用は、資本から控除しております。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識し、帳簿価額と受取対価との差額は資本剰余金に含めております。
(15) 株式報酬
当社は、持分決済型の株式に基づく報酬制度として、ストック・オプション制度、株式給付信託(J-ESOP)及び譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、現金決済型の株式に基づく報酬制度として、従業員持株会支援信託(ESOP)を採用しております。
① ストックオプション制度
ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しております。付与されたストック・オプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、モンテカルロ・シミュレーション等を用いて算定しております。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
② 株式給付信託(J-ESOP)
株式給付規程に基づき従業員に対しポイントを付与しております。ポイントの公正価値は付与日時点で測定しており、当該制度に関する従業員報酬費用は権利確定期間にわたって認識しております。
③ 譲渡制限付株式報酬制度
本制度の報酬は、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。
④ 従業員持株会支援信託(ESOP)
本制度では、各報告日ごとに、信託終了時に分配すべき信託収益のうち報告日までに発生した部分を負債として認識しており、当該負債を公正価値で測定しております。
(16) 収益認識
① 顧客との契約から生じる収益
当社グループは、次の5ステップアプローチに基づき、約束した商品又は役務を顧客に移転し、顧客が当該商品又は役務に対する支配を獲得した時に収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
なお、顧客との契約獲得の増分コスト又は契約を履行するためのコストのうち、回収が見込まれるものについては資産として認識し、顧客の見積契約期間(4年~25年)にわたり、定額法で償却を行っております。
具体的な収益認識基準は、次のとおりです。
(a) 一時点で充足される履行義務
当社グループが行っている販売用不動産の販売については、不動産の受渡時点において、顧客が当該不動産に対する支配を獲得、履行義務が充足されると判断し、収益を認識しております。
(b) 一定の期間にわたり充足される履行義務
次の要件のいずれかに該当する場合は、製品又は役務に対する支配が一定期間にわたり移転するため、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識しております。
(ⅰ)顧客が履行によって提供される便益を、履行するにつれて同時に受け取って消費する。
(ⅱ)履行が、資産を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の創出又は増価について支配する。
(ⅲ)履行が、他に転用できる資産を創出せず、かつ、現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を有している。
当社グループでは、入会時の契約に基づいて顧客に年間ポイントを付与し、顧客が当該ポイントを利用することで当社グループのサービスを利用できるサービスを提供しております。当該サービスについては顧客に付与した年間ポイント総数に対する消費ポイントの割合から進捗度を測定し、収益を認識しております。
また、当社グループで提供している福利厚生サービスについては、サービス提供に応じて履行義務が充足されるため、当該期間で収益を認識しております。
この他、当社グループではグローバル企業に対する赴任管理サービスを提供しておりますが、当該サービスについては、当社グループが顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受することから、契約期間にわたり収益を認識しています。
② ファイナンス・リース(貸手)の収益
ファイナンス・リースに係る金融収益は、当社グループの正味リース投資未回収額に対して一定の計算利益率を反映する方法で認識しております。
③ オペレーティング・リース(貸手)の収益
オペレーティング・リースに係るリース収益は、リース期間にわたって定額法により認識しております。
④ 利息収益
利息収益は、実効金利法により認識しております。
⑤ 配当収入
配当収入は、支払を受ける権利が確定した時に認識しております。
(17) 法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益に認識する項目を除き、純損益に認識しております。
その他の包括利益に認識される項目に関する当期税金及び繰延税金は、その他の包括利益として認識しております。
① 当期税金
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、決算日までに制定又は実質的に制定されたものです。
② 繰延税金
繰延税金は、連結会計年度の末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異等に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引(企業結合取引を除く)によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異について、解消する時期をコントロールでき、かつ、予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期見直され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しております。
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている法定税率(及び税法)に基づいて、資産が実現される又は負債が決済される期に適用されると予想される税率(及び税法)によって測定されます。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産及び当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ以下のいずれかの場合に相殺しております。
・法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合
・異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産及び当期税金負債を純額ベースで決済することを意図している、もしくは当期税金資産を実現させると同時に当期税金負債を決済することを意図している場合
(18) 政府補助金
政府補助金は、補助交付のための付帯条件を満たし、補助金を受領することについて合理的な保証が得られた時に認識しています。収益に関する政府補助金は、補助金により保証される費用が認識される期間にわたって、純損益として認識しています。
(19) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者(普通株主)に帰属する純損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の期中平均株式数で除して計算しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、すべての希薄化性潜在的普通株式による影響について調整して計算しております。
(20) 売却目的で保有する非流動資産
非流動資産(又は処分グループ)の帳簿価額が、継続的使用ではなく主に売却取引により回収される場合には、当該非流動資産(又は処分グループ)を売却目的保有に分類しております。売却目的保有へ分類するためには、売却の可能性が非常に高く、現状で直ちに売却が可能なことを条件としており、当社グループの経営者が当該資産の売却計画の実行を確約し、1年以内で売却が完了する予定である場合に限られております。
売却目的保有に分類された非流動資産(又は処分グループ)は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しており、売却目的保有に分類された後は減価償却又は償却を行っておりません。
(21) キャッシュ・フロー
リロケーション事業の借上社宅管理事業等から生じるリース債権及びリース負債のキャッシュ・フローについては、営業活動から生じるキャッシュ・フローとして、営業活動によるキャッシュ・フローに表示しております。