有価証券報告書-第23期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 15:00
【資料】
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【項目】
88項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会に力を与えること(エンパワーメント)を経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していきます。グローバル イノベーション カンパニーであり続けるというビジョンのもと、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を目指します。
(2) 目標とする経営指標
主な経営指標として、全社及び各事業の売上収益、Non-GAAP営業利益、流通総額(商品・サービスの取扱高)、会員数及びクロスユース率等のKPI(Key Performance Indicator)を重視し、成長性や収益性を向上させることを目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、楽天グループ会員を中心としたユーザーに対し、様々なサービスを提供するビジネスモデル「楽天エコシステム」を構築し、拡大することを基本的事業戦略としています。当社グループが保有するメンバーシップ、データ、ブランドを結集したビジネス展開による「楽天エコシステム」の拡大により、国内外の会員がEC、フィンテック、デジタルコンテンツ、携帯キャリア事業等の複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果を創出し、グループ収益の最大化を目指します。
加えて、コンプライアンスの遵守や情報セキュリティ管理を徹底し、コーポレート・ガバナンスを率先して強化していくとともに、ダイバーシティ(多様性)の尊重や人材の育成に継続的に取り組むことで、一人ひとりが活躍できる社会の形成にも寄与していきます。
こうした取組を通じ、国内及び進出先国・地域の活性化、日本及び世界経済の発展に貢献し、ステークホルダーの皆様から信頼され続ける企業を目指します。
(4) 対処すべき課題
「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」企業グループとして、事業環境の変化に柔軟に対応し、持続可能な成長に向けた仕組を構築することが、当社グループの対処すべき課題です。長期にわたる持続的な成長により、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を図るとともに、社会全体に便益をもたらすグローバル イノベーション カンパニーであり続けることを目指します。
①事業戦略
当社グループが保有するメンバーシップ、データ、ブランドを核とする「楽天エコシステム」において、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、グループ収益の最大化を目指します。
EC及び旅行予約をはじめとしたインターネットサービスにおいては、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得、クロスユースの促進に加え、「楽天エコシステム」のオープン化戦略、自社物流網の整備・強化等に注力することで、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指します。
クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス、保険サービス、電子マネーサービス等を提供するフィンテックにおいては、事業間の相乗効果の創出、クロスユースの促進、AIや音声認識等のテクノロジーとの融合を通じた一層の成長を目指します。また、キャッシュレス決済においては、2018年4月に経済産業省により策定された「キャッシュレス・ビジョン」の中で、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることが目標とされ、その一環として2019年10月1日には、消費税引き上げにあわせたキャッシュレス決済に対するポイント還元施策が導入されました。これらを背景に、当社グループにおいては、決済サービス導入箇所の拡大や、QR・バーコード決済、電子マネー、ポイントを含む総合的なキャッシュレス決済の推進に取組むとともに、決済サービスプラットフォーム構想の実現に向け、これらの決済手段を統合したペイメントアプリの機能拡充に引き続き注力します。
モバイルにおいては、2018年4月に総務省より認定を受けた第4世代移動通信システム(4G)の普及のための特定基地局の開設計画及び2019年4月に認定を受けた第5世代移動通信システム(5G)の導入のための特定基地局の開設計画に則り、世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークの構築を行いました。今後は、全国区におけるネットワークの展開を進め、信頼性の高い通信サービスの提供を行うとともに、顧客基盤の拡大に取り組んでまいります。また、5Gにおいては、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoTの進展に伴い、その基盤となる通信ネットワークの重要性が飛躍的に増大することが予想されるなかで、「超高速」、「超低遅延」、「多数同時接続」といった5Gの特性を活かした社会課題の解決が期待されており、当社グループにおいては、5Gを2020年代の社会インフラとして、消費者の利便性の向上のみならず、様々な分野における活用や新ビジネスの創出を通して、社会的諸課題の解決、地方創生等に貢献していくことを目指します。
また、C2C(消費者間取引)事業、シェアリングエコノミーサービス、広告事業、投資事業といった新たなビジネスポートフォリオの強化、ディープラーニング(深層学習)等のAIの活用に引き続き注力することで、現状にとらわれないイノベーションに不断に挑んでいきます。
こうした個々のビジネスの成長や事業間シナジーの最大限の追求に加え、当社グループが持つメンバーシップやデータ、『楽天ポイント』等の活用による革新的なマーケティング手法の確立、世界共通の会員IDやロイヤルティプログラムを提供するグローバルIDプラットフォームの構築、サービスブランド統合、「FCバルセロナ」、NBA「ゴールデンステート・ウォリアーズ」等とのパートナーシップを通じたブランド価値向上等により、今後も「楽天エコシステム」を国内のみならずグローバルでも拡大していきたいと考えています。このためにはグローバル経営を一層強化する必要があり、経営資源配分の最適化を図るための事業ポートフォリオの見直しをはじめ、技術開発のグローバルでの最適化等に向けた体制強化へも力を入れていきます。
②経営体制
当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていきます。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置付け、様々な施策を講じています。
当社は、監査役会設置会社であり、経営の監査を行う監査役会は、過半数が社外監査役によって構成されています。また、当社は、経営の監督と業務執行の分離を進めるため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。
当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役及び社外監査役を中心に、客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営について多角的な議論を自由闊達に行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。また、取締役及び監査役を中心に、グループ経営戦略等に関するロングミーティングを取締役会とは別に開催しており、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない、中長期的視野に立った議論を行っています。
加えて、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するために社内カンパニー制を導入しています。
当社グループでは、今後もこうした取組を通じて、迅速な経営判断を可能にし、より実効性の高いガバナンス機能を有する経営体制を構築していきます。