有価証券報告書-第21期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
67項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、イノベーションを通じて人々と社会に力を与えること(エンパワーメント)を経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していきます。グローバル イノベーション カンパニーであり続けるというビジョンのもと、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を目指します。
(2) 目標とする経営指標
主な経営指標として、全社及び各事業の売上収益、Non-GAAP営業利益、流通総額(商品・サービスの取扱高)及び会員数等のKPI(Key Performance Indicator)を重視し、成長性や収益性を向上させることを目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、楽天グループ会員を中心としたユーザーに対し、様々なサービスを提供するビジネスモデル「楽天エコシステム(経済圏)」の構築を基本的事業戦略としています。当社グループが保有するメンバーシップ、ビッグデータ、ブランドを結集したビジネス展開による楽天エコシステムの拡大により、国内外の会員がEC、FinTech(金融)、デジタルコンテンツ等の複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果を創出し、グループ収益の最大化を目指します。
加えて、コンプライアンスの遵守や情報セキュリティ管理を徹底し、コーポレート・ガバナンスを率先して強化していくとともに、ダイバーシティ(多様性)の尊重や人材の育成に継続的に取り組むことで、一人ひとりが活躍できる社会の形成にも寄与していきます。
こうした取組を通じ、国内及び進出先国・地域の活性化、日本及び世界経済の発展に貢献し、ステークホルダーの皆様から信頼され続ける企業を目指します。
(4) 対処すべき課題
「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」企業グループとして、事業環境の変化に柔軟に対応し、持続可能な成長に向けた仕組を構築することが、当社グループの対処すべき課題です。長期にわたる持続的な成長により、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を図るとともに、社会全体に便益をもたらすグローバル イノベーション カンパニーであり続けることを目指します。
①事業戦略
当社グループが保有するメンバーシップ、ビッグデータ、ブランドを核とする楽天エコシステムにおいて、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、グループ収益の最大化を目指します。
EC及び旅行予約をはじめとしたインターネットサービスにおいては、ロイヤルカスタマーの醸成、新規ユーザーの獲得、顧客満足度の向上、楽天エコシステムのオープン化戦略の推進、スマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化等に取り組むとともに、ビッグデータやAI等の活用を通じた新しい市場の創造を目指します。『楽天モバイル』、『Viber』等のサービスにおいては、楽天エコシステムの会員基盤を拡大するとともに、ユーザーに新たな価値を提供することを目指します。
クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス、保険サービス等のFinTech(金融)サービスにおいては、事業間の相乗効果の創出、クロスユースの促進、AIや音声認識等のテクノロジーとの融合を通じた一層の成長を目指します。
また、シェアリングエコノミーサービス、広告事業、投資事業といった新たなビジネスポートフォリオの強化、ディープラーニング(深層学習)等のAIの活用に引き続き注力することで、現状にとらわれないイノベーションに不断に挑んでいきます。
こうした個々のビジネスの成長や事業間シナジーの最大限の追求に加え、当社グループが持つメンバーシップやビッグデータ、『楽天スーパーポイント』等の活用による革新的なマーケティング手法の確立、世界共通の会員IDやロイヤルティプログラムを提供するグローバルIDプラットフォームの構築、サービスブランド統合やFCバルセロナ及びゴールデンステート・ウォリアーズとのパートナーシップを通じたブランド価値向上等により、今後もエコシステムを国内のみならずグローバルでも拡大していきたいと考えています。このためにはグローバル経営を一層強化する必要があり、海外拠点の強化、技術開発のグローバルでの最適化等に向けた体制強化へも力を入れていきます。
②経営体制
当社グループは、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置付け、様々な施策を講じています。
当社は監査役会設置会社であり、経営の監査を行う監査役会は、全員が社外監査役によって構成されています。また、経営の監督と業務執行の分離を進めるため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。
当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役及び社外監査役を中心に、客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営について多角的な議論を自由闊達に行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。また、取締役及び監査役を中心に、グループ経営戦略等に関する集中討議を年4回開催しており、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない、中長期的視野に立った議論を行っています。
加えて、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するために社内カンパニー制を導入しています。
当社グループでは今後もこうした取組を通じて、迅速な経営判断を可能にし、より実効性の高いガバナンス機能を有する経営体制を構築していきます。