有価証券報告書-第38期(2023/07/01-2024/06/30)
当企業集団は、国際会計基準(IFRS)を適用しております。
また、国際会計基準(IFRS)に加えて、より実態を把握することができる指標(以下、Non-GAAP指標)を採用し、双方で連結経営成績を開示しております。
2023年6月期第4四半期に㈱コネクトエージェンシー及びジェイ・フェニックス・リサーチ㈱の両社を非継続事業に分類しておりましたが、全株式の譲渡が完了しております。
また、2024年6月期第3四半期に連結子会社である㈱フォーハンズ、同第4四半期に㈱readytowork、㈱スポーツストーリーズ及び㈱ブロンコス20を非継続事業に分類しておりましたが、当連結会計年度に全株式の譲渡が完了しております。
これにより、2023年6月期連結会計年度の売上収益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額に組み替えて記載しております。
セグメント関連につきましては、2024年6月期第4四半期において、教育事業が非継続事業へと移行したため、人材・教育事業から人材事業へと報告セグメント名称を変更しております。また、金融関連事業から金融事業へと報告セグメント名称を変更しておりますが、事業内容に変更はございません。
(1) 当期(2024年6月期)の経営成績
① IFRSに基づく経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化や雇用環境の改善が進み、景気は緩やかな回復傾向が続いております。しかしながら、地政学リスクによる資源価格の高騰や円安による物価上昇等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
この状況下において、コスト削減や新たな働き方を創造するオペレーション効率化のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)の最先端技術を活用し、自社だけでなく共創パートナー企業や地域社会、国の成長を重要視するとともに、社会課題解決に関わる人々の自己成長に向けた取り組みが注目されております。
このような事業環境のもと、当企業集団は、2023年8月の中期経営計画「2024-2026」にて掲げた、当企業集団の掲げるVISION「価値が溢れ出てくる社会」の実現を目指し、同計画にて掲げる目標達成に向けて取り組んでまいりました。また、重要基盤であるDX事業を中心としたグループ収益力を大幅に改善するために、2025年6月期以降に向けて、事業の選択と集中及びコスト削減による事業構造改革を進めてまいりました。
当連結会計年度における売上収益は10,714百万円(前年比9.5%減)となりました。EC事業が引き続き好調に推移したものの、主にDX事業において開発案件の一時的減少、GoToトラベル事業や全国旅行支援事業の終了による影響等が生じたことによるものです。
利益につきましては、営業損失は2,155百万円(前期は397百万円の営業利益)となりました。これは主に、DX事業での売上収益の減少による影響の他、事業構造改革に伴うオフィス縮小の解約金や、有形固定資産、無形資産及びのれんの減損損失等の計上によるものです。
税引前損失につきましては、2,166百万円(前期は374百万円の税引前利益)となり、法人所得税194百万円及び非継続事業からの当期損失516百万円を計上した結果、当期損失は2,877百万円(前期は213百万円の当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は2,887百万円(前期は218百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
(国際会計基準(IFRS)ベース) (%表示は対前年同期増減率)
| 売上収益 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | ||||||
| 百万円 | % | 百万円 | % | 百万円 | % | 百万円 | % | 百万円 | % | |
| 2024年6月期 | 10,714 | △9.5 | △2,155 | - | △2,166 | - | △2,877 | - | △2,887 | - |
| 2023年6月期 | 11,838 | - | 397 | - | 374 | - | △213 | - | △218 | - |
② Non-GAAP指標に基づく経営成績
Non-GAAP指標は、国際会計基準(IFRS)から当企業集団が定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。
Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当企業集団の恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で、有益な情報を提供できると判断しております。
なお、非経常的な項目とは、一定のルールに基づき将来見通し作成の観点から除外すべきと当企業集団が判断する一過性の利益や損失のことです。
Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照しておりますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
営業利益以下の各項目において投資事業有価証券にかかる損益を控除し、当期利益以下の各項目において非継続事業からの当期利益を控除調整しております。
当連結会計年度のNon-GAAP指標においては、上記の他、のれん等の減損損失、解約違約金、事業構造改善費用等2,069百万円、当期利益において繰延税金資産の取崩しの計上98百万円を控除しております。
(Non-GAAPベース) (%表示は対前年同期増減率)
| 売上収益 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | ||||||
| 百万円 | % | 百万円 | % | 百万円 | % | 百万円 | % | 百万円 | % | |
| 2024年6月期 | 10,714 | △9.5 | △203 | - | △214 | - | △274 | - | △274 | - |
| 2023年6月期 | 11,838 | - | 359 | - | 337 | - | 205 | - | 194 | - |
各セグメントの業績については以下の通りです。
なお、売上収益及びセグメント利益は国際会計基準(IFRS)に基づいて記載しております。

(ⅰ) DX事業
DX事業におきまして、㈱スカラコミュニケーションズでは、取引額の大きな一部業界における情勢変化や特定顧客の案件縮小の影響により、売上収益・利益は前年同期に対して減少しました。
㈱エッグでは、GoToトラベル事業や全国旅行支援事業の終了、当初計画からの進捗遅れ等の影響により前年同期に対して売上・利益は減少しました。一方で、デジタル田園都市国家構想交付金事業の納入は順調に進み、新規開発案件の獲得は堅調に推移しております。自治体公式LINEを活用した健康・介護予防のオンラインサービス開始等、他自治体への横展開に引き続き注力してまいります。
以上の結果により、DX事業全体では既存サービス及び新規サービスの導入を加速しておりますが、今期の売上計上は一部に留まり、売上収益・利益は減少しました。
なお、オペレーションのスリム化による生産性向上を図るため、事業構造改善費用として149百万円を計上した他、当初計画からの収益力向上の進捗遅れに伴う影響により、一時的な損失として、のれん及び固定資産の減損損失945百万円を計上しております。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比 増減額(率) | ||
| 売上収益 | 7,213 | 5,865 | △1,347(△18.7%) | |
| セグメント利益 (IFRS) | 本社費配賦前 | 1,007 | △564 | △1,572(-) |
| 本社費配賦後 | 350 | △1,217 | △1,567(-) | |
| セグメント利益 (Non-GAAP) | 本社費配賦前 | 1,007 | 529 | △477(△47.4%) |
| 本社費配賦後 | 350 | △122 | △472(-) | |
(注)当連結会計年度のNon-GAAP指標においては、のれん及び固定資産の減損損失、事業構造改善費用を控除しております。
(ⅱ) 人材事業
採用支援サービス事業では、新卒採用意欲の高まりが2025年春入社においても継続しており、体育会学生や女子学生に特化した採用支援サービスを軸に優秀な学生と企業との様々なマッチング機会のニーズは引き続き高いレベルを維持しています。
また、新規事業として中途転職支援事業及び学生向けキャリア教育事業を開始しており、既存事業で培った資産の有効活用により、早期業績拡大を図ってまいります。
人材紹介・採用イベントともに成長を継続し、売上収益は前年同期に対して増加しましたが、新規事業開始に伴う体制整備等の先行投資の影響により、利益は前年同期に対して減少しました。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比 増減額(率) | ||
| 売上収益 | 963 | 1,028 | 65(6.8%) | |
| セグメント利益 (IFRS、Non-GAAP) | 本社費配賦前 | 324 | 304 | △19(△6.1%) |
| 本社費配賦後 | 286 | 266 | △19(△6.9%) | |
(ⅲ) EC事業
EC事業では、SEOやデータフィード広告をはじめとしたデジタルマーケティング等、快適なUI/UXの追求を継続していることが功を奏し、売上収益は前年同期に対して増加しました。また、長年研究開発を続けてきたAI画像認識ソリューションについても物流拠点における発送業務の一部に導入を開始いたしました。今後は買取査定への応用も進める予定であり更なる生産性の向上に取り組んでまいります。
利益は外部環境に恵まれ前期活況を呈し急成長した一部タイトルの影響と、継続して取り組んでいるシステムの改修・改善や最新のテクノロジーの導入検討を積極的に推進していることから前年同期に対して減少しました。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比 増減額(率) | ||
| 売上収益 | 2,138 | 2,238 | 100(4.7%) | |
| セグメント利益 (IFRS、Non-GAAP) | 本社費配賦前 | 379 | 303 | △76(△20.1%) |
| 本社費配賦後 | 316 | 240 | △76(△24.1%) | |
(ⅳ) 金融事業
金融事業においては、利益率の高い新商品の販促活動により、保有契約件数は年間最高値を達成しましたが、新商品開発に伴う先行投資やウェブサイト・ランディングページの改修等のマーケティング施策を強化した費用が増加し、売上収益・利益は前年同期に対して減少しました。
なお、当初計画からの収益力向上の進捗遅れに伴う影響により、一時的な損失として、のれん及び固定資産の減損損失613百万円を計上しております。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比 増減額(率) | ||
| 売上収益 | 1,245 | 1,216 | △28(△2.3%) | |
| セグメント利益 (IFRS) | 本社費配賦前 | △160 | △782 | △621(-) |
| 本社費配賦後 | △196 | △818 | △621(-) | |
| セグメント利益 (Non-GAAP) | 本社費配賦前 | △160 | △169 | △8(-) |
| 本社費配賦後 | △196 | △205 | △8(-) | |
(注)当連結会計年度のNon-GAAP指標においては、のれん及び固定資産の減損損失を控除しております。
(ⅴ) インキュベーション事業
㈱ソーシャル・エックスでは「逆プロポ」各種サービスを通じて、官民共創による社会課題解決型の新規事業創出を支援しております。東京都の「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業(TOKYO SUTEAM)」の協定事業者として実施している、財務リターンと社会的インパクトを両立する社会課題解決型スタートアップの創出・支援をめざす「官民共創型アクセラレーションプログラム(ソーシャルXアクセラレーション)」では、1期目の入賞企業が自治体との実証実験へと進み、2期目のファイナリストが決定しました。また、内閣府沖縄総合事務局、群馬県庁でも同様のプログラムがスタートし、同プログラムへの金融機関等からの関心も高まっています。そのような流れの中、北國銀行の投資子会社であるQRインベストメントとインパクトファンド組成に向けた検討が始まり、山口ファイナンシャルグループの100%出資子会社であるYMFG ZONEプラニングと「地域活性化に係る連携協力に関する協定書」を締結する等の動きも出ています。
「逆プロポ」では、博報堂、Mellow、BABY JOB、ENELL、コンカー等、スタートアップから大企業まで幅広い募集が行われ、テレビ番組等メディアにも取り上げられました。また、昨年8月に開発した官民共創人材育成プログラムは、これまでに40社85自治体3省庁合計400名に向けて展開し、その後、東京都による連携促進型オープンイノベーションプラットフォーム事業にも取り入れられる等、今後も各方面への展開が決まっております。愛知県豊田市からは一年間の出向職員を受け入れ、東京都港区には、企業連携推進アドバイザーとしてディレクターを派遣する等、政府はじめ各所からの注目が集まる中、共創エコノミーの構築に向け、新たな挑戦を続けております。
また㈱スカラは、これまで培ってきた事業開発やM&Aの経験とグループにおけるDXのノウハウを掛け合わせて情報通信業等の上場企業に対し、共創型のM&AアドバイザリーとしてM&Aの実行支援サービスを実施しております。これまでの経験を生かした売り手候補への直接的なアプローチにより、高い返信率で潜在層を掘り起こしております。
上記の新規事業の積極的な取り組みにより収益規模は徐々に拡大しておりますが、M&A関連等のサービス開発の費用が先行し、利益は前年同期に対して減少しました。
なお、一部の事業における将来収益力の見直しに伴い、一時的な損失として、固定資産の減損損失61百万円を計上しております。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比 増減額(率) | ||
| 売上収益 | 269 | 294 | 25(9.4%) | |
| セグメント利益 (IFRS) | 本社費配賦前 | △197 | △182 | 15(-) |
| 本社費配賦後 | △203 | △188 | 15(-) | |
| セグメント利益 (Non-GAAP) | 本社費配賦前 | △235 | △190 | 44(-) |
| 本社費配賦後 | △241 | △196 | 44(-) | |
(注)当連結会計年度のNon-GAAP指標においては、固定資産の減損損失及び事業構造改善費用を控除しております。
(2) 当期の財政状態の分析
(資産)
資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5,616百万円減少し、12,699百万円となりました。その主な要因は、現金及び現金同等物の減少923百万円、使用権資産の減少1,456百万円、のれんの減少1,012百万円、無形資産の減少1,049百万円及び繰延税金資産の減少325百万円等によるものです。
(負債)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,096百万円減少し、8,130百万円となりました。その主な要因は、非流動負債の社債及び借入金の減少342百万円、繰延税金負債の減少255百万円、リース負債の減少272百万円及び長期リース負債の減少1,223百万円等によるものです。
(資本)
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ3,519百万円減少し、4,569百万円となりました。その主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期損失2,887百万円の計上及び配当による利益剰余金の減少645百万円等によるものであります。
(3) 当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ923百万円減少し、6,817百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、251百万円の流入(前期比349百万円の流入減少)となりました。この主な要因は、税引前損失2,166百万円、非継続事業からの税引前損失489百万円(前期は374百万円の税引前利益、522百万円の非継続事業からの税引前損失)、減損損失1,961百万円(前期比1,561百万円の流入増加)、減価償却費及び償却費711百万円(前期比80百万円の流入減少)、法人所得税の還付額31百万円(前期は法人所得税の支払額324百万円)等が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、161百万円の流入(前期は214百万円の流出)となりました。この主な要因は、投資事業有価証券の売却による収入255百万円(前期比97百万円の流入増加)、敷金及び保証金の回収による収入48百万円(前期比47百万円の流入増加)、無形資産の取得による支出△70百万円(前期比32百万円の流出減少)、投資有価証券の取得による支出△33百万円(前期比59百万円の流出減少)等が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,348百万円の流出(前期比902百万円の流出減少)となりました。この主な要因は、借入金の返済等による資金の流出△28百万円(前期比888百万円の流出減少。「短期借入金の純増減額」、「長期借入れによる収入」、「長期借入金の返済による支出」の合計)、リース負債の返済による支出△493百万円(前期比58百万円の流出減少)及び配当金の支払額△647百万円(前期比15百万円の流出増加)等が生じたことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
(ⅰ) 生産実績
当企業集団で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(ⅱ) 受注実績
当企業集団で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| DX事業 | 5,865,868 | 81.3 |
| 人材事業 | 1,028,301 | 106.8 |
| EC事業 | 2,238,629 | 104.7 |
| 金融事業 | 1,216,357 | 97.7 |
| インキュベーション事業 | 294,351 | 109.4 |
| その他 | 71,040 | 728.8 |
| 合計 | 10,714,549 | 90.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.本表には非継続事業の実績は含んでおりません。
(5) 重要性がある会計方針及び当該見積り及び当該見積りに用いた仮定
当企業集団は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りであります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当企業集団は、手元資金及び事業により創出されるフリーキャッシュ・フローによることを基本としておりますが、事業活動に必要な資金を安定的に調達するのに加え、成長領域への投資において追加的に資金が必要な場合に備え、金融機関からの借入及び社債の発行等による資金調達を行っております。
資金需要の主なものは、運転資金、成長領域への投資資金、借入金の返済、法人税及び配当金の支払等であり、資金調達については、多様な資金調達手段から調達時の状況に応じて最適な手段を選択し、安定的な資金の確保、資本コストの最適化に努めております。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当企業集団の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。