有価証券報告書-第20期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、2018年12月末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
①経営方針
当社グループは、「生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の力を借りて画期的な遺伝子医薬を開発・実用化し、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献する」ことを企業理念としています。
遺伝子の働きを利用して病気を治す遺伝子医薬は、従来の薬とは違う新しいタイプの医薬品であり、今までにない薬の効果が期待されます。当社グループは、大学や研究機関で生まれた研究成果を基に世界市場を対象とした遺伝子医薬の開発と実用化に取り組むことで、「遺伝子医薬のグローバルリーダー」を目指してまいります。
②利益配分に関する基本方針
当社グループの事業のステージは、現時点では創薬における先行投資の段階にあることから、利益配当は実施しておりません。
当社グループは研究開発活動を継続的に実施していく必要があることから、当面は、利益配当は実施せず、内部留保に努め、研究開発資金の確保を優先する方針です。しかしながら株主への利益還元についても重要な経営課題と認識しており、将来、経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当も検討する所存です。
③投資単位の引き下げに関する方針
投資単位の引き下げは、個人株主増加や株式流動性向上のために望ましい施策であると考えております。このため、投資単位の引き下げについては、引き下げによる費用増加、当社株式の出来高、株主数、株主分布状況を考慮しながら、慎重に検討していきたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは研究開発型の創薬系バイオベンチャーであり、利益が本格的に拡大するのは、現在開発している複数の新薬が上市され、提携先からロイヤリティの支払いを受ける時期になる予定です。したがって、現段階においては、提携先から契約一時金や開発協力金を受け取り財務リスクの低減を図りながら、研究開発を進め、早期の黒字化を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
2015年に、10年後の当社グループのあるべき姿を定めた「2025年ビジョン」を策定しました。世界で認知される遺伝子治療・核酸医薬のスペシャリストを意味する「遺伝子医薬のグローバルリーダー」となることがその柱です。これを実現するために、治療法のない病気に対する新薬を開発することで新市場を創出するという目標を掲げています。
具体的には以下のビジネスモデルに沿って事業を進めていきます。
当社グループは、設立以来、遺伝子医薬品の創薬技術・開発技術を活かした事業化を目指しております。遺伝子医薬品とは、HGF遺伝子治療薬に加えNF-κBデコイオリゴDNAなど核酸医薬品を含んだ総称です。遺伝子医薬の領域は、既存の製薬会社にとってノウハウが少なく、研究開発に取り組みにくい技術分野です。当社グループは、国内外の大学などで生まれた研究成果を積極的に導入し、遺伝子医薬を中心とした次世代バイオ医薬の開発と実用化を進めてまいります。
<当社グループの経営戦略>当社グループでは、以下のビジネスモデルに沿って事業を進めてまいります。

医薬品開発には一般に多額の資金と長い期間が必要とされ、しかも開発の成功確率の点で大きなリスクを伴います。最先端の技術を使い革新的な医薬品開発に挑戦している当社の場合には、特にこれが当てはまります。さらに販売面においても、マーケティング・販売機能を自社で構築するには多額の資金を必要とします。このため、経営資源の限られたベンチャー企業である当社グループは、当社医薬品の販売権を確保したい製薬企業と積極的に提携することで、提携先が持つ医薬品開発力・販売力を活用し、さらに提携先から契約金・マイルストーン及びロイヤリティを受け取ることで、開発・財務面でのリスクを低減することを目指しています。
なお当社グループは、事業が未だ先行投資の段階にあるため現時点では親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりますが、事業計画に沿って研究開発を着実に進め、将来、医薬品の販売から得られる収益によって損益を改善し、さらには利益を拡大する計画です。
<一般的な新薬開発のプロセスと期間>
<開発段階と収益構成>
<主な収益内容>
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、創薬系バイオベンチャーとして、次世代のバイオ医薬品である遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤、核酸医薬)や治療ワクチンなどの医薬品開発と製造販売の事業を推進しております。
一方で医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、当社グループは継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、すべての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
このような環境のもと、当社グループは当該状況の解消と継続的な発展を目指し、下記を重要な課題として取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進と事業基盤の拡大
当社グループでは、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンの3プロジェクトを推進しております。これらのプロジェクトを確実に推進していくことが最優先課題であると考えております。
さらに、これらの既存プロジェクトに加え、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する一部資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
②開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、開発プロジェクトのリスクを低減するために、製薬会社と提携し、契約金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進めるという提携モデルを基本方針としております。
重症虚血肢を含む末梢性血管疾患を対象としたHGF遺伝子治療薬については、米国と日本を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬株式会社と締結しております。2018年1月に厚生労働省に対し製造販売承認申請を行い、国内初の遺伝子治療薬として、2019年3月26日に条件及び期限付製造販売承認を取得いたしました。今後販売が開始されますとマイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。また椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験を開始しており、良好な結果が得られましたら早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等を得ることにより開発費の負担削減を目指してまいります。
今後も、製薬会社との提携を進めることにより、事業基盤の強化に努めてまいります。
③資金調達の実施
当社グループにとって、研究開発活動を推進することは継続的な発展のために重要であり、そのためには状況に応じ機動的に資金調達を行うことが必要となります。過去、株式上場以降も公募増資、第三者割当増資、新株予約権の発行などによって資金調達をしてまいりましたが、今後も、研究開発活動推進及び企業維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
①経営方針
当社グループは、「生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の力を借りて画期的な遺伝子医薬を開発・実用化し、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献する」ことを企業理念としています。
遺伝子の働きを利用して病気を治す遺伝子医薬は、従来の薬とは違う新しいタイプの医薬品であり、今までにない薬の効果が期待されます。当社グループは、大学や研究機関で生まれた研究成果を基に世界市場を対象とした遺伝子医薬の開発と実用化に取り組むことで、「遺伝子医薬のグローバルリーダー」を目指してまいります。
②利益配分に関する基本方針
当社グループの事業のステージは、現時点では創薬における先行投資の段階にあることから、利益配当は実施しておりません。
当社グループは研究開発活動を継続的に実施していく必要があることから、当面は、利益配当は実施せず、内部留保に努め、研究開発資金の確保を優先する方針です。しかしながら株主への利益還元についても重要な経営課題と認識しており、将来、経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当も検討する所存です。
③投資単位の引き下げに関する方針
投資単位の引き下げは、個人株主増加や株式流動性向上のために望ましい施策であると考えております。このため、投資単位の引き下げについては、引き下げによる費用増加、当社株式の出来高、株主数、株主分布状況を考慮しながら、慎重に検討していきたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは研究開発型の創薬系バイオベンチャーであり、利益が本格的に拡大するのは、現在開発している複数の新薬が上市され、提携先からロイヤリティの支払いを受ける時期になる予定です。したがって、現段階においては、提携先から契約一時金や開発協力金を受け取り財務リスクの低減を図りながら、研究開発を進め、早期の黒字化を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
2015年に、10年後の当社グループのあるべき姿を定めた「2025年ビジョン」を策定しました。世界で認知される遺伝子治療・核酸医薬のスペシャリストを意味する「遺伝子医薬のグローバルリーダー」となることがその柱です。これを実現するために、治療法のない病気に対する新薬を開発することで新市場を創出するという目標を掲げています。
具体的には以下のビジネスモデルに沿って事業を進めていきます。
当社グループは、設立以来、遺伝子医薬品の創薬技術・開発技術を活かした事業化を目指しております。遺伝子医薬品とは、HGF遺伝子治療薬に加えNF-κBデコイオリゴDNAなど核酸医薬品を含んだ総称です。遺伝子医薬の領域は、既存の製薬会社にとってノウハウが少なく、研究開発に取り組みにくい技術分野です。当社グループは、国内外の大学などで生まれた研究成果を積極的に導入し、遺伝子医薬を中心とした次世代バイオ医薬の開発と実用化を進めてまいります。
<当社グループの経営戦略>当社グループでは、以下のビジネスモデルに沿って事業を進めてまいります。

医薬品開発には一般に多額の資金と長い期間が必要とされ、しかも開発の成功確率の点で大きなリスクを伴います。最先端の技術を使い革新的な医薬品開発に挑戦している当社の場合には、特にこれが当てはまります。さらに販売面においても、マーケティング・販売機能を自社で構築するには多額の資金を必要とします。このため、経営資源の限られたベンチャー企業である当社グループは、当社医薬品の販売権を確保したい製薬企業と積極的に提携することで、提携先が持つ医薬品開発力・販売力を活用し、さらに提携先から契約金・マイルストーン及びロイヤリティを受け取ることで、開発・財務面でのリスクを低減することを目指しています。
なお当社グループは、事業が未だ先行投資の段階にあるため現時点では親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりますが、事業計画に沿って研究開発を着実に進め、将来、医薬品の販売から得られる収益によって損益を改善し、さらには利益を拡大する計画です。
<一般的な新薬開発のプロセスと期間>
プロセス | 期間 | 内容 |
基礎研究 | 2~3年 | 医薬品ターゲットの同定、候補物質の創製及び絞込み |
前臨床試験 | 3~5年 | 実験動物を用いた有効性及び安全性の確認試験 |
臨床試験 | 3~7年 | 第Ⅰ相:少数の健康人を対象に、安全性及び薬物動態を確認する試験 第Ⅱ相:少数の患者を対象に、有効性及び安全性を確認する試験 第Ⅲ相:多数の患者を対象に、有効性及び安全性を最終的に確認する試験 |
申請・承認 | 1~2年 | 国(厚生労働省)による審査 |
<開発段階と収益構成>

<主な収益内容>
収益 | 内容 |
契約一時金 | 契約締結時に受ける収益 |
開発協力金 | 研究開発に対する経済的援助として受け取る収益 |
マイルストーン | 研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成)に応じて受け取る収益 |
ロイヤリティ | 製品上市後に販売額の一定比率を受け取る収益 |
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、創薬系バイオベンチャーとして、次世代のバイオ医薬品である遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤、核酸医薬)や治療ワクチンなどの医薬品開発と製造販売の事業を推進しております。
一方で医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、当社グループは継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、すべての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
このような環境のもと、当社グループは当該状況の解消と継続的な発展を目指し、下記を重要な課題として取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進と事業基盤の拡大
当社グループでは、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンの3プロジェクトを推進しております。これらのプロジェクトを確実に推進していくことが最優先課題であると考えております。
さらに、これらの既存プロジェクトに加え、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する一部資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
②開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、開発プロジェクトのリスクを低減するために、製薬会社と提携し、契約金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進めるという提携モデルを基本方針としております。
重症虚血肢を含む末梢性血管疾患を対象としたHGF遺伝子治療薬については、米国と日本を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬株式会社と締結しております。2018年1月に厚生労働省に対し製造販売承認申請を行い、国内初の遺伝子治療薬として、2019年3月26日に条件及び期限付製造販売承認を取得いたしました。今後販売が開始されますとマイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。また椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験を開始しており、良好な結果が得られましたら早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等を得ることにより開発費の負担削減を目指してまいります。
今後も、製薬会社との提携を進めることにより、事業基盤の強化に努めてまいります。
③資金調達の実施
当社グループにとって、研究開発活動を推進することは継続的な発展のために重要であり、そのためには状況に応じ機動的に資金調達を行うことが必要となります。過去、株式上場以降も公募増資、第三者割当増資、新株予約権の発行などによって資金調達をしてまいりましたが、今後も、研究開発活動推進及び企業維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。