有価証券報告書-第54期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/18 15:57
【資料】
PDFをみる
【項目】
155項目
(2)気候変動関連の取組
当社グループはサステナビリティ経営において、SDGsに掲げられた社会課題に対してもその重要性を認識し、積極的に取組を進めています。中でも環境問題については「事業活動を通じて環境にやさしい経営を実践し、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献する」という環境方針のもと、環境マネジメントシステムの継続的な向上に努めています。
なお、ガバナンス及びリスク管理の考え方に関しましては、(1)サステナビリティ経営に含まれております。
・戦略
当社の事業が気候関連のリスクに対してレジリエンスを有するかどうか、また当社の事業に影響を与える機会にはどのようなものがあるかを明らかにするため、以下の通り分析を実施いたしました。
・気候関連のリスクおよび機会の洗い出しおよび定性評価
当社の事業に影響を与えうる気候関連のリスクと機会について洗い出しを行い、それぞれについて影響度、時間軸、そして発現可能性について検討を行いました。気候関連のリスクおよび機会は移行リスクと物理的リスク、機会に大きく分類されますが、それらをそれぞれ以下の通り細分化して洗い出しを行いました。
それぞれのリスクおよび機会について、その要因や事業影響の説明、財務的影響度、時間軸や発現可能性について検討を行い、下表の通り整理しました。
0102010_013.png
《移行リスク》
領域要因事業影響発現時期発現
可能性
財務
影響度
政策炭素税価格の上昇、新たな環境税の導入炭素価格上昇影響による税負担、化石燃料由来の電力料金の増加によるコストの増加短~長期
炭素税価格の上昇炭素価格上昇影響が協力会社の業務委託費に転嫁されることによる調達費用の増加短~中期
新たな環境税の導入、省エネ法規制の強化設備更新・投資負担の増加中~長期
情報開示義務の強化企業情報開示義務の強化への対応のためのコストの増加短~中期
市場パートナー企業における気候変動対応の遅れ下記の取組によるコストの増加
①Scope3カテゴリー1の削減等、気候変動対応に取り組めるパートナー企業への単価アップ
②既存主要パートナーへの気候変動対応に関する取組導入支援
短~中期
評判投資家からの評価の変化投資家からのGHG削減要請・気候変動問題への対応が不十分と評価され、企業価値が低下することによる株価の低下短~中期

《物理的リスク》
領域要因事業影響発現時期発現
可能性
財務
影響度
急性風水災等の気象災害の増加・激甚化自社拠点の被災による建物被害や事業停止、取引先企業の被災による機会損失中~長期
大雨、強風等の極端気象の増加交通網やネットワーク等のインフラ寸断による生産性の低下中~長期
慢性慢性的な海水面上昇自社拠点または周辺地域の水没に伴う移転、機会損失長期
熱波および慢性的な気温上昇冷房使用量の増加、機器のメンテナンス・更新費用の増加中~長期
従業員のヒートストレスや感染症リスクの高まりによる体調不良、生産性の低下中~長期

《機会》
領域要因事業影響発現時期発現
可能性
財務
影響度
製品とサービス低炭素サービス、気候変動対応サービス需要の高まり顧客のカーボンニュートラル対応に合わせたサービスの開発(炭素会計のブロックチェーン化、管理システム)による需要の増加に伴う売上の増加短~中期
低炭素サービス、気候変動対応サービス需要の高まり顧客における気象災害の増加、激甚化への備えや電力効率改善取組に伴うハイクオリティクラウド環境への移行需要の増加に伴う売上の増加短~中期
エネルギー源エネルギー調達の見直し、再生可能エネルギーの活用再生可能エネルギーの導入や電気自動車の導入による炭素税影響の軽減、エネルギー調達費用の減少短~中期
レジリエンス気候変動関連の情報開示の強化企業情報開示の充実を通じたESG投資獲得機会の増大短~中期

・シナリオ分析のテーマ設定
洗い出した気候関連リスクのうち、次のテーマについてシナリオ分析を実施しました。
移行リスク 分析テーマ
●炭素税の導入およびエネルギー価格の変動の影響

物理的リスク 分析テーマ
●気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響についてのハザードスクリーニング

・シナリオ分析結果
・[移行リスク]炭素税の導入およびエネルギー価格の変動の影響
洗い出した気候関連リスクのうち、「炭素税の導入およびエネルギー価格の変動の影響」をテーマとしてシナリオ分析を実施しました。
・分析の前提条件
0102010_014.png本シナリオ分析にあたっては、2030年と2050年を評価時点としています。複数の温度上昇のシナリオを想定し、それぞれについて当社事業活動の将来想定(省エネルギー活動を特段行わない場合と省エネルギー活動を行う場合の二通り)もあわせて考慮することで、当社事業に対する財務的影響をより詳細に把握できるようにしています。
分析において採用したシナリオは、国際的に通用する国際エネルギー機関(IEA)による世界エネルギー見通し(WEO)に示されるSTEPS、APS、NZEを主なものとしていますが、一部のパラメータは気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)によるシナリオに基づいて補完しています。
・分析結果
以上の想定に基づいて分析した結果は以下の通りです。
「成り行き」においては、世の中が脱炭素にこれ以上進まないことを想定しているため、当社の事業活動における省エネルギー活動を行わない場合のみを考慮します。このシナリオでは、2030年、2050年にかけて当社グループが調達する各種エネルギーの価格は低下することが見込まれますが、事業規模の拡大を踏まえると、2030年に1千万円弱、2050年に5千万円弱のエネルギー価格の財務的影響が増加する見込みです。炭素価格による影響は2030年で5百万円、2050年で1千万円の増加を見込んでいます。
「脱炭素」においては、当社の事業活動における省エネルギー活動を行わない場合と省エネルギー活動を行う場合を想定します。省エネ活動を推進する場合とそうでない場合を比較して、2030年にはその影響は数百万円と軽微ですが、2050年にはエネルギー価格の財務的影響において1千万円以上の効果が生まれると見込んでいます。再エネの導入を進めていくことで、2030年時点においても特にエネルギー価格による財務的影響を改善できる見込みです。
「ネットゼロ」においては、当社の事業活動における省エネルギー活動を行わない場合と省エネルギー活動を行う場合を想定します。2030年には電力価格が上昇することでエネルギー価格による財務的影響が他のシナリオよりも大きくなりますが、2050年にむけて電力価格の下落が見込まれることで、「脱炭素」シナリオよりもエネルギー価格の財務的影響の増加幅は小さくなります。「脱炭素」シナリオ同様、再エネを推進することで、2030年の財務的影響を軽微に抑えられる見込みです。
・対応戦略
以上の通り、当社グループ事業の将来想定に基づいて、2030年および2050年における複数のシナリオにおける当社グループの炭素価格負担やエネルギー負担の見込みを求めましたが、財務的影響は限定的であることが確認できました。今回の当社想定の範囲においては、該当する気候変動リスク要因に対するレジリエンスを有していると考えられます。
今後計画している省エネ活動や再エネ導入といった取組を進めることで、よりレジリエンスを高めていきます。
また、今後も、リスク・機会の内、当社グループの事業との関連性が高いものについて、必要に応じてシナリオ分析を実施し、対応戦略の検討を進めるなど、情報開示の充実化を進めてまいります。
・[物理的リスク]気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響についてのハザードスクリーニング
気候変動に伴う気象災害の増加が当社グループの事業に与える影響を予測するため、キューブシステムグループの国内外7拠点(国内:5拠点、海外:2拠点)について、影響の可能性を評価し、物理的リスクの影響について優先的に調査すべき拠点のスクリーニングを行いました。
・分析の前提条件
分析では、洪水、高潮のリスクの把握を目的に、公開資料や外部専門家からの提供資料等に基づき、現在気候下、及び2℃シナリオ(RCP2.6またはSSP1-2.6)及び4℃シナリオ(RCP8.5またはSSP5-8.5)の気候変動シナリオ下の2030年、2050年、2090年について、5段階のハザードグレードを付与し、その変化について評価しました。
・分析結果
洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点が現在気候下において0拠点、気候変動の影響を最も受けるSSP5-8.5下(2050 年、2090年)において1拠点でした。高潮リスクについては、全拠点が高潮による浸水ハザードは極めて低いと考えられる(グレードE)と評価され、気候変動による将来変化は見られませんでした。
《物理的リスク評価結果(対象:国内外7拠点)》
※グレードB以上:リスクに留意する必要があり、より詳細なリスク評価の実施が望まれる
0102010_015.png
・対応戦略
今回のシナリオ分析において浸水リスクに留意すべきと評価された拠点については、リスク評価の実施を検討し、その結果に応じて浸水対策やBCPの作成を進めてまいります。
具体的な取組として、以下の内容を行っております。
・TCFDへの取組
当社グループは、気候変動問題を重要な経営課題のひとつとして捉えています。当社では、気候関連財務情報の開示の重要性を認識し、2021年11月にTCFD最終報告書に対する支持を表明するとともに、TCFD提言に基づく適切な情報開示の拡充に取り組んでいます。また、SBTの水準に基づき当社が排出する温室効果ガスの排出量の削減に向けた取組を進めております。
・気候変動リスク・機会の評価に用いる指標
気候変動のリスクを評価するにあたっては、温室効果ガス(GHG)排出量、エネルギー使用量、及び再生可能エネルギーの使用比率を指標として用いています。
また、2022年度に、SBT認定基準※1に基づき、2021年度を基準年とした2030年までのGHG排出量削減目標を定めました。この削減目標の達成度を第2次中期経営計画の重要経営指標として設定し、毎年削減目標達成のための施策やアクションプランを立案するとともに、執行役員を兼務する取締役を対象とした業績連動型株式報酬におけるインセンティブとしています。GHG排出量の各年度別の削減目標に対する取組及び削減実績に基づいて達成度を評価し、達成度に応じてポイントを付与し、付与されたポイントは中期経営計画の最終年度終了後に株式に換算され、報酬として付与しています。
・GHG排出量目標と達成状況
キューブシステムグループでは、2020年度以前は東京本社のScope1,2のみを算定していましたが、2021年度より、GHG排出量算定の範囲をグループ全体に拡大し、Scope3排出量も含めたバリューチェーン全体のGHG排出量を算定しています。
2021年度を基準年として、2030年までのGHG排出量削減目標を下記のとおり定めています。
・Scope1+2 2030年度までに38%削減(2021年度比)
・Scope3(カテゴリー1) 2030年度までに23%削減(2022年度比)
GHG排出量の実績は以下のとおりです。今後、目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量削減への取組を着実に進めてまいります。
(参考)GHG排出量削減目標推移
0102010_016.png
なお、当社では、2005年にISO14001を取得し、これに準拠した企業活動を実践しています。環境評価の情報開示に国際的に取り組む評価機関であるCDPより、2024年度の気候変動に関する調査において、自社の環境リスクやその影響を認識し行動している、との評価を受けております。今後も事業活動において環境への配慮はもとより、具体的な数値目標を定めて定期的な見直しを図りつつ、継続的改善に取り組んでまいります。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。