有価証券報告書-第21期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/24 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
176項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度においては、世界的に広がる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「コロナ」という。)の影響を受け、経済活動が抑制されました。政府による各種給付金や企業の資金繰り支援の強化等の政策や海外経済の回復を受け、わが国経済は緩やかながら回復基調にありますが、2021年1月には緊急事態宣言が再発出され、そのペースは鈍化しております。経済活動への一定の制約が長期化するなか、個人消費の低迷が続き、特に対面型サービス業への影響は大きくなっております。ワクチンの普及、緊急事態宣言の解除を受けて、経済は回復に向かうものと見られますが、コロナ流行前の水準への回復には時間を要すると考えられます。
当社が属する不動産業界においては、比較的規模の大きなオフィスビルの解約が目立ち、空室率が緩やかながら上昇しております。今後、テレワークの拡大等によりオフィス需要の変化が懸念されますが、当社が保有する中規模オフィスにおいては、大きな変化は見られておりません。コロナの大きな影響を受けたホテル産業においては、全世界的に人の移動が制限され、需要が激減しました。なお、安定性が高い賃貸住宅や物流施設の需要は引き続き堅調さを維持しており、投資需要も底堅い状況が続いております。
クリーンエネルギー事業においては、ESGの重要性が世界的に高まるなか、より一層の関心を集めるとともに、収益が経済環境に左右されない、安定性の高い事業としても注目されております。
主な取り組み
当社ではこのような急激な環境の変化に対応し、より信頼性の高い財務基盤の確保と徹底的なキャッシュ・フロー経営を実行しております。また、長期VISION「いちご2030」に沿い、従来の心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。
この一環として、当社では、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」に加盟し、「脱炭素宣言」をいたしました。
このRE100は、2050年までに事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギーとする目標を掲げることが要件になっておりますが、当社では、当社が運用する上場投資法人であるいちごオフィスリート投資法人(証券コード8975、以下「いちごオフィス」という。)、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463、以下「いちごホテル」という。)が保有する不動産にて消費する電力を含めて、2040年までに達成することを目標としております。
0102010_001.png
また、当社は、企業の存在意義は社会貢献であると考えております。事業活動を通じて社会的責任を果たすことを最大の目標としており、その表明とさらなる推進を目的として、「国連グローバル・コンパクト」に署名いたしました。国連グローバル・コンパクトとは、各企業および団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みです。
署名する企業および団体は、10の原則に賛同し、企業トップ自らのコミットメントのもと、その実現に向けて努力を継続することが求められます
0102010_002.jpg

人権原則1 :人権擁護の支持と尊重
原則2 :人権侵害への非加担
労働原則3 :結社の自由と団体交渉権の承認
原則4 :強制労働の排除
原則5 :児童労働の実効的な廃止
原則6 :雇用と職業の差別撤廃
環境原則7 :環境問題の予防的アプローチ
原則8 :環境に対する責任のイニシアティブ
原則9 :環境にやさしい技術の開発と普及
腐敗防止原則10:強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止の取組み


「既存事業の成長と深化」
・ 「心築(しんちく)事業」(注)
コロナの影響により、賃貸市場はアセットタイプにより状況が大きく異なりました。最も大きな影響を受けたホテルでは、売上が大きく落ち込んでおり、本格的な回復には時間を要するものと思われます。一方、当社が保有および運営するホテルにおいては、当社が開発したAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「
PROPERA」の導入により、稼働率については高い水準まで回復しております。商業施設においては、インバウンドに特化した店舗を除き、6月以降は回復基調でしたが、緊急事態宣言の再発出により、業態による格差が一層広がっております。特に飲食店においては、概ね厳しい状況が続いており、引き続き、テナント様とのコミュニケーションを充実させ、対応に取り組んでまいります。
オフィスビルや賃貸住宅、物流施設では、コロナによる大きな影響は顕在化しておりません。とりわけ、収益の安定性がより高い賃貸住宅においては、投資家の投資需要が継続しており、当社においても売買が活発になっております。当期における売買は、賃貸住宅を中心に売却額414億円(固定資産の売却を含む)、取得額382億円となりました。
(注)心築(しんちく)について
心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心をこめた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、日本における「100年不動産」の実現を目指しております。
・ 「アセットマネジメント事業」
いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)および、私募ファンド事業への業務支援に注力いたしました。いちごでは、資産運用報酬制度について、Jリート市場で唯一、投資主価値に連動し、能動的な運用を促進する完全成果報酬をいちごオフィス、いちごホテルにて導入しております。このため、コロナの拡大によりホテルオペレーターの収益に連動する変動賃料が発生しない等の理由により、各投資法人が収受する賃料の減少が生じた場合においては、当社のベース運用フィーが減少するリスクがあります。当期においては、いちごホテルのベース運用フィーがホテル売上の減少に連動して減少いたしました。いちごホテルの収益が減少するなか、当社では、いちごホテルの財務基盤の強化を目的として、5億円の劣後投資法人債を引き受けております。
・ 「クリーンエネルギー事業」
当期は、6発電所(発電出力13.7MW)の太陽光発電所が新たに発電を開始し、当社が開発・運用する発電所の合計は、51発電所(発電出力150.0MW)まで成長いたしました。世界的にコロナの影響を受けるなか、市況の変化に左右されず、より安定性の高い当事業では、順調に新たな発電所が稼働しており、2021年4月末日時点において、風力発電所を含め67発電所(発電出力198.9MW)前期比+33%の成長を見込んでおります。なお、2022年2月期に入り発電を開始しております風力発電所「いちご米沢板谷ECO発電所」の建設において、明確な環境改善効果が認められる事業にのみ融資される株式会社新生銀行の「新生グリーンローン」により資金を調達しております。この資金調達においては、SDGsの「目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献するものと評価されております。
0102010_003.png0102010_004.png・ 信頼性の高い財務基盤の確保
当社は、リーマン・ショック以降、借入期間の長期化と借入コスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、収益基盤と財務基盤を強化してまいりました。今後もこの方針を継続し、当社の心築をよりサステナブルな事業へ進展させてまいります。
また、当社はESGを重要視しております。その一環として、国連「ポジティブ・インパクト金融原則」に則るESG/SDGsファイナンスとして国内不動産業初の認定を受け、株式会社三井住友銀行より借入限度額106億円を獲得しております。本借入は、使途が限定されない借り入れであり、当社のあらゆる事業活動に活用が可能です。
0102010_005.png0102010_006.png
・ 徹底的なキャッシュ・フロー経営
当社は、これまでも高いキャッシュの創出力を維持してまいりましたが、この急激な環境の変化に対応し、さらなるキャッシュの創出を図っております。具体的には、当社の心築事業に属する不動産を固定資産化することで、減価償却の税効果によりキャッシュを創出し、将来の成長投資に備えております。なお、当期末における固定資産比率は84.43%(注)です。
(注)当社の心築事業に属する不動産のうち、いちごオーナーズ、セントロ、ストレージプラスの資産を除く不動産を対象としております。
「新規事業の創出・生活基盤となる新たなインフラへの参入」
当社は、「サステナブルインフラ企業」として、不動産を人々の暮らしをより豊かにするインフラと捉えております。そして、ストック収益比率のさらなる向上と持続的な成長を企図し、既存事業の成長に併せ、不動産を活かした新規事業の創出により新たな収益ドライバーを育てております。
具体的には、2019年3月にホテル運営会社「博多ホテルズ」を設立し、数多くのホテルの保有・運用を通して当社がこれまで培ったノウハウを活用し、ホテルのさらなる価値向上と収益拡大を図っております。
当期においては、築35年を経過するホテルを、いちごの新ブランド「The OneFive Terrace Fukuoka(ザ・ワンファイブテラス福岡)」と「The OneFive Villa Fukuoka(ザ・ワンファイブヴィラ福岡)」としてリニューアルおよびリブランドしております。この「The OneFive」は、本当に必要なサービスを考え抜き、日本ならではの細やかなおもてなしや、クオリティに徹底してこだわり、シンプルで上質な居心地のホテルとして展開しております。
また、いちごのライフスタイルホテル「THE KNOT(ザ ノット)」について、第3弾の「THE KNOT SAPPORO」と第4弾の「THE KNOT HIROSHIMA」がグランドオープンしております。地域と融合しながら文化を発信し、地元の方々にも楽しんでいただけるようなホテルを目指しております。
当社では、このようなホテル事業のさらなる成長を企図し、いちごのAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」を開発いたしました。現状の統計プロセスを基にした過去データの複数要因の解析や、予測能力の高い機械学習により、最善の宿泊施設の価格設定を提案いたします。これにより、当社は、ホテルの年間収益を約10~40%向上させており、今後はより多くの宿泊施設に提供してまいります。
0102010_007.pngいちごのAIレベニューマネジメント「PROPERA」の強み
その他、不動産とアニメーションのビジネスシナジーを企図し、押井守総監督、西村純二監督による新作アニメーション「ぶらどらぶ」への独占出資を行っており、当社が秋葉原駅より徒歩4分に保有する「AKIBAカルチャーズZONE」との連動を図っております。また、不動産とのビジネスシナジーのある「TSUBASA+」への出資も行っております。「TSUBASA+」は、スマートフォンのGPS機能を活用した仮想×現実のリアルワールドゲームです。当社保有の不動産の位置にバーチャル(仮想)スタジアムを設定する等、周囲の地域の活性化とスポーツ支援を図ってまいります。
当社は、2019年度シーズンよりJリーグの「トップパートナー」に就任し、Jリーグとともに豊かさ溢れる地域社会に取り組むとともに、当社およびいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンの株主・投資主様を対象とした「いちごJリーグ株主・投資主優待」制度を導入しております。
当期は、コロナの影響により、試合チケットの抽選を一時休止しておりましたが、選手サイン入りグッズプレゼント、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏や元サッカー日本代表の岡野雅行氏を招いたオンラインサロンへのご招待、いちご×Jリーグオリジナルタオルプレゼント、Jリーグ選手サイン入り公式試合球プレゼントと幅広いプレミアム企画を実施させていただきました。
当社では、いちごSNS(Facebook、Instagram等ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運用し、いちごのニュースや日頃の活動をお知らせしております。その他、企業価値向上を目的とした各種いちごブランディングを継続的に推進しております。
業績の詳細
当連結会計年度の業績は、売上高61,368百万円(前期比29.8%減)、営業利益9,668百万円(同65.1%減)、経常利益7,179百万円(同70.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,027百万円(同38.7%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
・アセットマネジメント(AM)
当該セグメントの業績につきましては、いちごホテルにおいてコロナの影響によりホテル売上に連動してベース運用フィーが減少したこと、前期において発生した物件売却益の成果報酬が当期は発生しなかったこと等により、セグメント売上高2,480百万円(前期比37.2%減)、セグメント利益1,403百万円(同44.5%減)となりました。
・心築(しんちく)
当期は、レジデンス以外の売買が停滞したことにより、前期比で売却が少なかったことから、売却益が減少いたしました。加えて、前連結会計年度末に販売用不動産を固定資産へ振替えたことにより減価償却費が増加いたしました。また、コロナの影響によりホテルを中心とする変動賃料体系の物件の賃貸収入が減少したこと等により、当該セグメントの売上高は54,780百万円(前期比32.0%減)、セグメント利益は6,528百万円(同72.8%減)となりました。
・クリーンエネルギー
当該セグメントの業績につきましては、前連結会計年度に竣工した発電所の売電収入が通期で寄与したことや当期において新たに6つの発電所が売電を開始したこと等により、売上高は4,654百万円(前期比22.6%増)、セグメント利益は1,834百万円(同44.2%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、50,590百万円となり、前連結会計年度末の40,826百万円と比較して9,763百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益7,610百万円、減価償却費4,797百万円、売上債権の増減額925百万円、および主に物件の売却による販売用不動産等の減少額5,080百万円等により21,870百万円の資金の増加があった一方、法人税等の支払額4,467百万円、利息の支払額2,119百万円があったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは15,463百万円(前年同期は11,892百万円)となりました。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△15,630百万円(前年同期は△10,263百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16,447百万円、無形固定資産の取得による支出1,468百万円、投資有価証券の取得による支出547百万円、貸付けによる支出374百万円があった一方、有形固定資産の売却による収入2,850百万円、貸付金の回収による収入351百万円があったことによるものです。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは10,167百万円(前年同期は9,537百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,793百万円、長期借入れによる収入51,877百万円、長期借入金の返済による支出48,996百万円、長期ノンリコースローンの借入れによる収入3,300百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出1,301百万円、非支配株主からの払込みによる収入10,000百万円、自己株式の取得による支出2,999百万円、配当金の支払額3,298百万円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業につきましては、生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
前年同期比(%)
アセットマネジメント(百万円)1,935△36.5
心築(百万円)54,778△32.0
クリーンエネルギー(百万円)4,65422.6
合計(百万円)61,368△29.8

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
ワナカ特定目的会社13,01514.9--
東京レジ・アイリス・1合同会社
東京レジ・アイリス・2合同会社
東京レジ・アイリス・3合同会社
東京レジ・アイリス・4合同会社
16,35818.7--
カペラ1中目黒(合)
カペラ2高円寺南2(合)
カペラ3中目黒2(合)
カペラ4笹塚(合)
カペラ5新宿(合)
カペラ6三軒茶屋(合)
カペラ8巣鴨(合)
カペラ10高田馬場(合)
カペラ11目黒(合)
カペラ12文京茗荷谷(合)
カペラ13中目黒3(合)
カペラ14武蔵小山(合)
カペラ15明大前(合)
カペラ16東新宿(合)
カペラ17四ツ谷(合)
カペラ18千石2(合)
カペラ19高田馬場2(合)
カペラ21上目黒(合)
--17,28728.2
ケンタウリ1日本橋三越前(合)
ケンタウリ2四谷若葉(合)
ケンタウリ3市谷甲良町(合)
ケンタウリ4渋谷宇田川町(合)
ケンタウリ5神宮前(合)
ケンタウリ6中目黒(合)
ケンタウリ7都立大学2(合)
ケンタウリ8池袋(合)
ケンタウリ9代田橋(合)
ケンタウリ10南三軒茶屋(合)
ケンタウリ11東上野(合)
--13,38421.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載の通りであります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは以下の通りと考えております。
a.たな卸資産の評価
当社は、販売目的で保有している販売用不動産について期末に評価額の見直しを行い、正味売却価額が不動産帳簿価額よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表計上額とし、その差額は販売用不動産評価損として売上原価または特別損失に計上します。 そのため事業環境の変化等により、上記の評価額の前提や仮定に変更が生じた場合には販売用不動産評価損として売上原価または特別損失の計上が必要となる可能性があります。
b.固定資産の減損会計
当社は、減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額には正味売却価額と使用価値のいずれか高い方を用いており、使用価値については、継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値を見積もっております。
そのため事業環境の変化などにより、上記見積り額の前提や仮定に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は347,076百万円となり、前連結会計年度末と比較して13,350百万円増加(前期比4.0%増)いたしました。
これは主に、販売用不動産の減少4,180百万円に対して、現金及び預金の増加9,764百万円、太陽光発電所等の有形固定資産の増加8,193百万円があったことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は236,820百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,701百万円増加(前期比2.0%増)いたしました。
これは主に、借入金が4,674百万円増加、ノンリコースローンが1,998百万円増加した一方、未払法人税等が1,843百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は110,255百万円となり、前連結会計年度末と比較して8,648百万円増加(前期比8.5%増)いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上5,027百万円、非支配株主持分10,013百万円の増加に対し、剰余金の配当3,372百万円、自己株式の取得2,999百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は28.5%(前期比1.6ポイント減少)となりました。
(経営成績の分析)
(売上高)
連結売上高は、レジデンスを主とした堅調な物件の売却による売却益の獲得や、新たに竣工した発電所の稼働による売電収入の増加等があったものの、前期比では不動産の売却が減少したこと、コロナの影響によりホテルの賃貸収入が減少したこと等により、売上高は61,368百万円(前期比29.8%減)となり、前期比で減少となりました。
売上高の主な内訳は、不動産販売収入38,580百万円、不動産賃貸収入15,916百万円、不動産フィー収入1,891百万円および売電収入4,654百万円であります。
(営業利益)
営業利益は、前述の通り不動産販売収入および不動産賃貸収入が減少したこと、また、心築事業に属する不動産の減価償却費が1,791百万円増加したこと等により9,668百万円(前期比65.1%減)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は417百万円(前期比178.1%増)となりました。
前期比で増加となった要因は、デリバティブ評価益243百万円の計上であります。その他の主な収益内訳は、受取配当金78百万円であります。なお、当社では将来の金利上昇リスクに備え、金利スワップ取引(デリバティブ取引)を行っております。
営業外費用は、デリバティブ評価損および融資関連費用が減少した為、2,906百万円(前期比16.4%減)となりました。
主な内訳は、支払利息2,338百万円、融資関連費用279百万円であります。
(特別損益)
特別利益は、720百万円(前期比233.7%増)となりました。
主な内訳は、不動産の売却による固定資産売却益720百万円であります。
特別損失は、288百万円(前期比96.4%減)となりました。
主な内訳は、貸倒引当金繰入額144百万円、投資有価証券評価損114百万円、減損損失27百万円であります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税は2,622百万円となりました。また、当連結会計年度において法人税等調整額を△58百万円計上しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,027百万円となり、前期比38.7%の減少となりました。
(3)資金の源泉および流動性についての分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(4)資金需要及び財務政策
当社の事業活動における資金需要の主なものは、不動産の取得および太陽光発電設備の建設に係る資金であります。
財務政策の状況につきましては、コロナの影響を受ける中においても安定した財務体制を構築すべく、流動性資金の確保を進めると同時に、返済期日分散、借入期間の長期化、アモチ(借入期間中の約定返済)の縮減等、借入条件の改善、および資金調達手法の多様化に積極的に努めてまいりました。
当期においては、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、資金調達においても、ESGの取り組みを強化しております。当社は、国内不動産業として初めて、株式会社三井住友銀行が組成した国連環境計画・金融イニシアティブ「ポジティブ・インパクト金融原則」(注)に則る「ポジティブ・インパクト金融原則適合型ESG/SDGs評価シンジケーション」(以下、「ESG/SDGsファイナンス」という。)により、借入限度額106億円の設定をいたしました。
ESG/SDGsファイナンスとは、企業の事業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、サステナブル経営の実現に向けた活動を継続的に支援することを目的とした融資です。本借入による調達資金は、資金使途が限定されておらず、評価される企業の事業活動においてあらゆる使途に活用可能なため、今後の不動産取得において有効活用してまいります。
(注)ポジティブ・インパクト金融原則について
SDGsの達成に向け、金融機関が積極的な投融資を行うための原則として、2017年1月に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEPFI)により策定されたものです。資金提供先企業のネガティブな影響を軽減し、現実的かつ信頼性のある方法でポジティブな影響を高めるための資金提供のあり方が定められており、「定義」「枠組み」「透明性」「評価」の4つの原則で構成されています。
さらに、100%連結子会社であるいちごECOエナジー株式会社を通じ、いちご米沢板谷ECO発電所の建設資金を株式会社新生銀行の「新生グリーンローン」第1号案件として、30億円の借入れをいたしました。いちご米沢板谷ECO発電所の開発は、SDGsの「目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献するものと評価していただきました。
また、当社は、サステナブルインフラ企業として持続可能な社会を実現することを目指し、「不動産」と「クリーンエネルギー」の事業領域でのさらなる進展を図っており、組織目標と本風力発電所開発が整合していること、地域コミュニティの共生を重視していること、法令・条例等の遵守に留まらず、自主的な環境影響評価を実施し、環境や社会に配慮した開発を行っていることをその他評価ポイントとして評価していただきました。
(5)経営上の目標の達成状況について
当社は、2019年2月期を最終年度とした中期経営計画「Power Up 2019」で掲げた経営指標をすべて達成し、新たに2020年2月期を初年度とする長期 VISION「いちご 2030」を策定しております。
当社は、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて事業優位性のさらなる拡充を図り、株主価値の最大化に向け全力を尽くしてまいります。
■取り組み期間
2020年2月期~2030年2月期(11年間)
■資本生産性の目標
①ROE(自己資本利益率)期間平均15%以上
積極的なITや事業への先行投資により、初期はROEの低下が見込まれますが、資本生産性の向上や安定収益基盤の創出により当社の将来ROEを向上させ、長期にわたるROE15%以上の収益構造の確立を図るとともに、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の成長を図っており、当期のROE実績は5.0%となっております。
②「JPX日経インデックス400」11年間継続の組み入れ
「JPX日経インデックス400」は、3年平均ROE、3年累積営業利益、時価総額を選定基準とし、資本生産性と価値向上が高い企業により構成される株価指数です。当社は、2030年8月の定期入替時まで11年間継続して組み入れられることを目指しており、現時点においても組み入れがなされております。
■キャッシュ創出力の目標
エコノミック営業キャッシュフロー※ 11年間継続の当期純利益超過
当社の高いキャッシュフロー創出力は成長投資と株主還元の源泉であり、その創出力の維持とさらなる強化に注力してまいります。なお、当期におけるエコノミック営業キャッシュフローは10,383百万円となっており、親会社株主に帰属する当期純利益5,027百万円を大きく超過しており、引き続き高い水準のキャッシュフローを創出しております。
※エコノミック営業キャッシュフローとは、当社の決算短信の表紙に記載されている「販売用不動産および販売用発電設備の増減額(仕入・売却)の影響を除く営業活動によるキャッシュ・フロー(税引後)」を指します。
■安定収益の目標ストック収益比率(2030年2月期)60%以上
2019年2月期のストック収益比率53%から60%以上へと向上を図ります。同時に、フロー収益に関しても心築売却益中心の収益構造を分散化します。それにより不動産市況の景気循環に左右されにくく、安定性の高い収益構造の構築を実現してまいります。当期のストック収益比率は72%となっており、2019年2月期比で大きな向上がなされております。
■株主還元策
当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により株主の皆さまからのご支援に報いると同時に、機動的な自社株買いを通じて中長期的な株主価値向上を図ります。
①「安心安定配当」の累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)
当社は、2017年2月期より導入した「累進的配当政策」を本期間においても継続いたします。各年度の1株あたり配当金(DPS)を原則として前期比「維持か増配」のみとさせていただき、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能にする「安心安定配当」を実現いたします。
[累進的配当政策について]
累進的配当政策とは、株主に対する長期的なコミットメントを示す株主還元策です。株主還元の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とする累進的配当政策は、持続的な価値向上に対する企業から株主へのコミットメントといえます。
②DOE(株主資本配当率)3%以上
安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」も引き続き採用することで、長期にわたり株主資本の成長と連動する、安定的な配当成長を図っており、当期においては3.3%の実績となっており引き続き安定的な配当を維持しております。
③機動的な自社株買い
上述の配当政策とともに、株主価値向上に資する最適資本構成を目指し、機動的な自社株買いを実施いたします。
当期においては、取得価額総額2,999百万円の自社株買いを実施しております。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。