有価証券報告書-第25期(令和1年11月1日-令和2年10月31日)

【提出】
2021/01/28 9:04
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

(1)経営の基本方針
当社グループは、人材育成のソリューションを提供することを通して、お客様の成長とともに当社グループの企業価値を向上させ継続的に安定した成長を続けることが社会貢献と考え事業活動を行っております。
「HR Tech × Ed Tech の分野にて日本を代表するソリューションカンパニーを目指す」という新たなビジョンを掲げ、第二の創業期としてこれまで着手してきた改革フェーズから、次なる成長ステージへと歩みを進めております。また、2022年までの中期経営計画を羅針盤に、「収益力の大幅向上」 と「業態のトランスフォーム」の加速に着手しております。
(2)経営環境
労働人口減少による人材育成の重要性や、政府が推進する働き方改革など、生産性の向上は今後ますます重要性が高まってまいります。
事業セグメント別の状況としましては、Eラーニング事業では、法人向け学習管理システムである「iStudy LMS」及び「SLAP」はシステム保守およびカスタマイズ開発による既存クライアントからの固定的な収益源である中、新型コロナウイルスの影響により働き方・研修の在り方・社員の能力育成を検討する企業が増え、eラーニングのニーズ拡大が追い風となっております。現に、社会貢献事業として実施した『学校教育機関向け「SLAP」無償提供キャンペーン』は、先生・生徒間でのオンデマンド授業を実現し、未参入だった学校教育市場において2020年3月より学校教育機関への営業開始から半年で合計10,000IDを獲得することができました。各種研修講座・サービス・eラーニングコンテンツにおいては、引き続き先端技術分野のコンテンツの拡充を図っております。また、企業のオンデマンドコンテンツ制作ニーズが高まり、AI資格(E資格 、G検定)対策コースやブロックチェーンスキルコース、注目度の高い先端リードテクノロジー分野のコース開発も継続するなど、デジタル時代の到来を見据えた展開をしております。一方で、eラーニングビジネスを年率2倍以上の規模感で拡大しようとする場合、最もeラーニングの普及が進む中国およびアメリカのように、「K-12」と称される小学校から高等学校までの12年間に該当する教育期間の未開拓マーケットに参入するビジネスモデル及び組織体制への移行が必要となり、これまで少数精鋭で経営してきた当社グループにとっては短期間で集中的な組織への投資が必要になろうと仮説を立てております。ゆえに、当社の組織規模とeラーニングを取り巻く市場の成熟状況を踏まえた投資リターンの期待確度を考えると、短期間での過大な投資による拡大戦略を選択せず効率化による利益率向上を目指してまいりたいと考えております。
アカデミー事業においては、当セグメント売上の大部分を構成するITエンジニアによる客先常駐開発及び顧客システムの受託開発が、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言発令による影響を直接的に受け、新規案件や契約の更新時期が集中する4月及び5月に契約見合わせが相次ぐ結果となりました。このような影響を受け、システムエンジニアリング業界では、中小規模の事業者の倒産や廃業が多いとされています。また、従来から新卒採用を中心とした規模の拡大策を取り続けていたところ、新型コロナウイルスによる急速な需要縮小による外部環境変化への対応が遅れた面はありましたが、採用活動の見直しや間接コストの削減に着手しております。
インキュベーション事業においては、M&Aにより獲得したクシムインサイトのUI/UX 設計、およびグラフィックデザインの機能が、連結対象各社とのシナジーを創出しております。UI/UXデザイナーを当社グループの機能として獲得した結果、クシムにおいてeラーニングコンテンツおよび動画コンテンツの制作受注などの提案力が向上し、かつ、グループブランディングをいっそう強化していると評価しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 売上高の拡大と安定した収益基盤の確立
当社グループは、売上高の更なる拡大と安定した収益基盤の確立が最重要課題であると認識しております。
当社グループの強みは、企業における人材育成に必要な仕組みを1つのパッケージで実現する学習管理ソフトウエアの開発及び販売、豊富なeラーニング学習コンテンツの提供など、様々な教育ツールを取りそろえ一貫した教育サービスの提供ができることにあります。また、お客様の潜在的ニーズを的確に把握し、お客様の教育システム構築における提案力の高さも当社の強みであります。さらに、アカデミー事業における開発要員の派遣を通じて教育サービス分野のみならずお客様のIT環境の課題について総合的な提案ができること、さらにAI、IoT分野にも知見を広げサービスを提供していることであります。
営業基盤及びお客様サポート基盤の整備を強化し、現行のお客様のサービス向上、新規お客様への導入支援の改善に取り組むとともに、販売パートナーとの連携を強化することで売上高の更なる拡大と安定した収益基盤の確立を図ってまいります。
② 組織体制の強化と人材の育成
当社グループが継続的に企業価値を拡大していくためには、より高いサービスの提供と新しい製品の開発が不可欠であると考えております。そのためには、優秀な人材の採用と育成並びに組織体制の強化が重要であります。労働条件の改善や新しい雇用形態の導入を図り、働きやすい魅力ある職場作りに取り組むとともに、定期的に社内勉強会や外部研修を実施し、社員一人一人のスキルアップ強化を図り、バランスの取れた組織体制の構築に引き続き努めてまいります。
なお、上記施策に加え、新型コロナウイルス感染拡大影響の顕在化による経営への影響を軽減するため、徹底した間接経費削減や業務効率化による固定費削減、消費動向や顧客動向を踏まえた売上リカバリー施策の実施をいたします。