有価証券報告書-第56期(平成29年9月1日-平成30年8月31日)

【提出】
2018/11/28 10:42
【資料】
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【項目】
95項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営理念は「世界の子供達と夢と感動を共有するエンタテインメント企業でありたい」であります。世界に発信するアニメ作品を創り、子供達の心が通じ合ってほしいという当社の夢が込められており、具現化に向けて着実に歩んでまいります。
当社の経営方針は、第一にアニメーションキャラクターを創り、育成することです。そのためパートナー企業とともにアニメ作品をプロデュースし、二次利用としての版権ビジネスを展開してまいります。当社の収益及び財産は、当社が関わったアニメーション番組を支持していただいたファンの方々に支えられて形成されております。健全な経営を継続し、ファンの方々に新しいアニメ作品やアニメーションキャラクター、新しい夢や感動を提供し続けることが、企業としての第一の社会的意義であると考えております。
二つめの方針は、社員全員がプロデューサーであるということです。プロデューサーの大きな役割は、個々のエンタテインメントコンテンツに関わるスポンサー・制作会社・放送局・出版社等のパートナー企業のメリットやニーズを調整することです。このようなプロデューサーの役割は、エンタテインメントコンテンツを創り出すうえで益々重要性を増しております。当社は少人数の会社ではありますが、社員全員が創業者マインドを持ち、誠実に業務を推進し、プロデューサー集団としてパートナー企業の信頼を得られるよう、努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社グループの中長期的な経営戦略は、中核であるアニメーション事業を拡大させるとともに、エンタテインメント企業として事業の多角化を図り、事業領域を広げていくことを基本的な考え方としております。アニメーション事業における持続的成長に、新規事業の業績を上乗せすることで企業の中長期的成長力を推進し、企業価値の向上を図ることを目標としております。
[アニメーション事業の拡充]
当社グループは、アニメーション事業拡大のため、積極的なコンテンツ投資を行い、アニメーションキャラクターの版権獲得に注力する方針を堅持してまいります。その中で、事業全体の投資回収率を高めることと、中長期的なヒット作品及び人気キャラクターを創り出すことが課題となります。
当社グループではヒットコンテンツを創り出す一つの方法論として、数年前から自社原作のオリジナル作品のプロデュースに注力してまいりました。自社原作のオリジナル作品は企画から完成までに手間と長い時間を要し、また知名度が低い等のリスクを伴いますが、全く新しい世界観を創り出すチャンスでもあります。年間2~3作品の自社原作のオリジナル作品をコンスタントにプロデュースできるよう、中長期的な経営戦略として継続してまいります。
また、アニメーション事業の投資回収スキームやアニメファンのニーズが多様化する事業環境において、海外の配信事業者やゲーム会社等新規事業パートナーとの協業による作品創りが急務となっております。それらの事業会社との取引実績は十分とは言えませんが、アニメ作品の協業を通じて中長期的な関係性を構築してまいります。
[海外事業領域の開拓]
当連結会計年度の海外売上は版権収入とイベント収入が中心でありますが、連結売上高に占める割合は9.0%とまだ十分とは言えません。
海外事業開拓の第一段階として、当社が主催するキャラクターイベント「C3」と株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるSOZO Pte.Ltd.が開催する「AFA」を統合し、平成29年6月より海外を含めた主要都市で「C3AFA」イベントを共同開催しております。「C3AFA」イベントを基軸としてイベント事業収入の拡大を図ってまいります。
イベント事業を通じて構築した日本企業・現地企業との関係性をもとに、次の段階として、アニメーション事業、キャラクターグッズのプロモーション事業及び版権ビジネス等のプロデュース事業を展開してまいります。海外事業領域でのビジネスはリスクを伴い、実現までに手間と時間を要しますが、当社グループの成長には欠かせない事業分野として取り組んでまいります。
[アライアンス、M&Aの実現]
既存事業の派生ビジネスに留まらず、エンタテインメントという事業領域において多角化をすすめ、中長期的な成長を目指してまいります。その実現のために、アライアンス、M&Aは有効な手段と考えております。新規事業領域として最も重要な領域である海外事業においても、具体的な事業展開の方法論としては、現地企業との合弁、アライアンス、M&Aを想定しております。
継続した当社グループの課題ではありますが、積極的に情報収集を行い、引き続き実現を目指してまいります。アライアンス、M&Aはリスクを伴いますが、中期的な経営指標の達成にも必要なこととして取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と利益の確保を経営目標としております。アニメーションビジネスにおいては、1プロジェクトの金額が大きく単年度の業績に与える影響が大きいこと、利益の回収までの期間が比較的長期に渡ることから、3年間の平均売上高成長率を指標とするとともに、毎期の営業利益率を経営指標としております。
具体的な目標については、事業環境・経営戦略をもとに毎年中期経営計画立案時に設定しておりますが、3年間の売上高成長率については連結ベースで年間平均110%を、営業利益率については連結ベースで15%を目標としています。残念ながら、3期連続の減収となり、売上高の伸長について結果を残せておりませんが、アニメーション事業の環境の変化への対応と海外等の新規事業領域の開拓といった中長期的な経営戦略を着実に実現させることで、中期的な経営指標の達成に努めてまいります。
また、当連結会計年度末における当社グループのROEは9.1%となっております。ROEにつきましては具体的な数値目標は定めておりませんが、営業利益率の改善を図ることで、ROEの向上を目指してまいります。
(4) 経営環境
当社グループを取り巻く事業環境におきましては、アニメ作品の配信事業・配信サービスが世界規模で拡大することにより、DVD・BDの市場が縮小するだけでなく、アニメーション事業の構造は大きく変化しております。海外の大手配信事業者が作品の主要なスポンサーとなるケースや作品の一次利用がテレビ放送ではなく配信サービスというケースも目立つようになっており、アニメ作品の製作スキームは多様化しております。また、二次利用の場面においても、映像ビジネスやキャラクターグッズのみならず音楽・興行・舞台等へと利用の幅が広がるとともに複合化しております。アニメーション事業の投資回収スキームやアニメファンのニーズが多様化する事業環境において、製作委員会組成やキャラクター育成の創意工夫がより一層必要となるとともに、新しいパートナー企業との関係づくり等、事業環境の変化への対応が急務となっております。
(5)事業上の対処すべき課題
当社グループは、創業以来誠実に事業を推進し、キャラクターの版権や取引先との関係性等の財産を積み重ねてまいりました。当社グループが保有する有形無形の資産を最大限に活用し、以下の中長期的な事業課題をクリアすることで持続的な成長と企業価値の最大化を図ってまいります。
①ヒットコンテンツの創出
多くのファンの方が楽しんでいただけるアニメ作品やイベント・興行等を企画し、ファンの方が増えれば増えるほど収益が増加するスキームやヒットコンテンツを創出することが最大の課題です。
簡単なことではありませんが、オリジナルアニメ作品の製作活動や新しい事業パートナーに対する協業の提案活動を継続することで、ヒットコンテンツ創出の仕組みを構造的に構築することを目指してまいります。
②海外市場の開拓
中長期的には、国内市場に少子化の影響が懸念される中、海外市場の開拓はアニメ・キャラクター業界にとって共通の課題であります。
当社グループも中国での海外拠点設立も視野に置き、イベント事業・版権事業を中心とした海外事業の展開を加速してまいります。
③M&A、アライアンスによる事業の多角化
エンタテインメントに関するファンのニーズ、メディアの多様化等の変化に対応するためにも事業を多角化し、経営基盤を強固にすることが中長期的な課題であります。
新規事業創出の方法論として、国内・海外を問わず、M&A、アライアンスに関する情報収集を積極的に行い、当社グループの経営規模の拡大を模索してまいります。