訂正有価証券報告書-第19期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/10/17 9:21
【資料】
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【項目】
103項目

業績等の概要

(1)当期定性的情報
①当社及び当社関連会社が運営する一部施設において発生した虐待等について
当連結会計年度において当社グループは、当社及び当社の子会社である積和サポートシステム株式会社が運営する一部の施設において発生した虐待等について、専門的及び客観的な見地から、各施設の運営状況及び業務管理体制、経営陣によるコーポレートガバナンス体制の構築等の問題点の把握、当該問題の発生原因の徹底究明、再発防止策の検討等が必要であると判断し、株式会社メッセージ第三者調査委員会(以下「第三者委員会」といいます。)を設置し、全容解明に取り組んでまいりました。
そして、第三者委員会より、平成27年11月30日付で第三者委員会による調査の結果判明した事実関係、原因の究明、責任の所在及び再発防止策につき報告することを目的とする調査報告(以下「本報告書」といいます。)を受領しました。また、厚生労働省からは「介護保険制度における業務管理体制に対する認識が不十分である」及び「業務管理体制を確立させるための態勢が不十分である」等の業務改善勧告を受け、平成27年12月14日付けで勧告事項改善報告書を提出しております。
当社グループは本報告書の指摘事項及び提言並びに行政からの勧告内容に基づく各種施策を実行しております。
このような中、平成28年2月15日に弊社子会社である積和サポートシステム株式会社の元社員が入居者様を転落死させた容疑を受け逮捕され、同年4月15日に3件の転落死に関する容疑で起訴されたという事態は決してあってはならないことであり、極めて重く受け止めております。
あらためまして、亡くなられた入居者様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様には心よりお悔やみ申し上げます。
当社における管理体制が不十分であったことを痛感しており、二度とこのようなことを再発させないよう、ストレスチェック制度や職員に対するカウンセリングの導入、不適切なケアに対する対策の実施など、全社を挙げて対策を講じて参る所存です。ご関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、この場をお借りし深くお詫び申し上げます。
②SOMPOホールディングスグループの一員に
平成27年12月18日及び平成28年1月28日に、損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社(以下、「SOMPOホールディングス」といいます。)による当社株式に対する公開買付けに関して賛同の意見を表明する旨、また公開買付けへの応募については当社株主各位の判断に委ねる旨を取締役会で決議しました。公開買付の結果、SOMPOホールディングスの当社に対する持株比率は94.63%となり、平成28年3月7日に当社はSOMPOホールディングスグループの一員となりました。
(2)経営成績に関する分析
平成27年度の我が国における景気は、企業収益などは底堅さを維持してきたものの、足元では足踏みが長期化する懸念があります。
平成27年度に入っての実質GDPは、第1四半期に前期比年率△1.4%となった後、第2四半期は同1.4%のプラス成長となったものの、第3四半期には個人消費、住宅投資の減少を主因に同△1.1%と再びマイナス成長となり、設備投資が2四半期連続で増加したものの、個人消費や公共投資、輸出などが減少、内外需ともに弱い動きとなっております。なお、第4四半期は個人消費が増加に転じることからプラス成長が見込まれており一進一退の推移が続きました。
個人消費においては、実質所得の伸びが限られるなか、今冬の暖冬による光熱、季節商材への支出の減少が下押しに作用、年明け以降は株安など資産価値の減少を受けた消費者マインドの低下が重石となり停滞感の様相を呈しているものと考えられます。
企業収益においては、平成27年度の10-12月期の法人企業統計では、売上高が4四半期連続の減収、経常利益は資源安に伴う在庫の減損処理などが収益を下押しし、製造業が大幅減益となった一方で、底堅いインバウンド需要や都心部での再開発プロジェクトなどを背景に、建設・不動産業など、非製造業が増益。企業の経営体質は引き続き良好ながら、人件費の増加や、外需の不透明感の高まりから、利益率の改善は当面一服する見込みです。
設備投資においては、高水準の企業収益や、合理化・省力化に対するニーズの高まりを背景に、持ち直しが続く見込みながら、平成28年に入り急速に高まった市場の不確実性も相まって、ペースは緩やかにとどまる見通しであると想定されます。
平成28年年明け以降におきましては、円高・株安が重石となり、我が国経済は足踏みが長期化の様相であり、当面は年明け以降の円高・株安による企業の景況感や消費マインドの下振れなどから、力強さを欠く状況が続く見込みです。
このような中、当グループを取り巻く環境につきましては、我が国ではかつてない超高齢社会に直面することとなり、団塊の世代が75歳以上となる平成37年に備えて医療、介護など環境整備が急がれることは周知の状況であります。団塊の世代が75歳以上となる平成37年まであと9年となり、国はその時点で総人口の18%以上を占める75歳以上の高齢者の医療・介護を含む社会保障の整備を急ピッチで進めているものの、約700万人と推定される認知症高齢者、独居高齢者などにどう対応するのか、社会的な課題として考えていく必要があります。
総務省統計局のデータによりますと、平成27年9月15日現在の日本の高齢者人口は3384万人で、65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合(以下、高齢化率という。)は26.7%、前年比で89万人、0.8ポイントもの増加となり、高齢者人口、高齢化とも過去最高を示しました。総人口は44年後には9000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると予想されています。平成37年度時点においても、65歳人口は3657万人、その後も拡大を続けると推計されており、少子高齢化が急速に進むことは確実で、その対応と新たな経済成長戦略の立案が急務となり、平成27年10月に発足した第3次安倍晋三改造内閣の目玉プランである「一億総活躍社会」推進の根拠となっております。
当社グループとしては、このような国内情勢、国民の皆さまのニーズに応えていくという社会的使命を踏まえた環境のもと、主力事業である介護付有料老人ホーム(アミーユ等)は、一連の事案等による影響も考えられ、平成28年3月末時点での入居率は88.0%の水準へ低下する結果となりました。サービス付き高齢者向け住宅(Cアミーユ)は、計画通りに開設をしており、平成28年3月末時点での入居率は84.4%(開設後1年を経過した既存物件では84.7%)となっております。今後も、高齢者に対して良質な住まいと生活を提供することを目的にCアミーユの事業拡大をおこなってまいります。
当連結会計年度における、当社グループによる事業展開は、Cアミーユ4件を新たに開設し、当連結会計年度末の「アミーユ等」の施設数は、直営162施設、FC23施設、合計185施設、総入居定員は9,831名、「Cアミーユ」の件数は合計121件、総入居定員7,115名となっております。また、当連結会計年度末の「地域包括ケア事業」の事業所数は、訪問介護268、居宅介護支援204、通所介護47、定期巡回・随時対応型訪問介護看護59、夜間対応型訪問介護39、訪問入浴23、小規模多機能型居宅介護23、その他含む合計706か所となっております。
以上の結果、当連結会計年度の営業収入は78,799百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は6,791百万円(同7.6%減)、経常利益は6,355百万円(同8.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,395百万円(同1.0%増)となりました。
セグメント別の業績は以下のようになっております。
① アミーユ事業
既存施設の入居率が一連の事案により低迷したこと、及び労務費の増加等により、当連結会計年度において、営業収入は35,025百万円(前年同期比4.1%減)、セグメント利益は2,473百万円(同50.2%減)となりました。
② 地域包括ケア事業
当連結会計年度において、4件の「Cアミーユ」を新たに開設し、物件の入居率も一定確保。そのような中、定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の利益が大きく増加したこと等により、営業収入は39,380百万円(同2.9%増)、セグメント利益2,435百万円(同436.3%増)となりました。
③ 給食事業
当連結会計年度において、外部取引の拡大に伴い売上増に比べて原価増となり、営業収入は6,792百万円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は1,382百万円(同3.1%減)となりました。
④ その他
当連結会計年度において、主には介護用品の販売が増加したこと等により営業収入は2,619百万円(前年同期比0.1%増)、セグメント利益は479百万円(同0.2%増)となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,383百万円増加し、当連結会計年度末残高は15,834百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は5,473百万円(前年同期比12.7%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が6,370百万円(同12.5%減)になったこと及び未払消費税等の増減額が193百万円減少(前年は272百万円の増加)したこと、また、前受金の増減額が149百万円減少(前年は157百万円の増加)になったこと等によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は502百万円(前年は1,073百万円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入が6百万円(前年同期比99.2%減)になったこと及び事業分離による収入が23百万円になったこと(前年同期比96.8%減)等によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は2,587百万円(同45.6%減)となりました。これは主に短期借入金の返済に215百万円(同89.8%減)支出したこと及び長期借入金の返済に682百万円(同43.4%減)支出したこと等によるものであります。