有価証券報告書-第23期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/25 13:40
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当社グループを取り巻くビジネス環境は大きな変革期を迎えております。生活者があらゆるものの中心となる、「生活者主導社会TM」が本格的に到来したことに加え、生活者や企業の行動においてサステナビリティが重要なファクターとなりつつあります。また、AIなど先端テクノロジーやデジタルインフラの充実により産業構造が変化すると同時に、テクノロジーによる人の能力や可能性の拡張が進行しています。こうした中、顧客企業のニーズは従来の広告・マーケティング領域にとどまらず、ビジネスモデルの変革や顧客接点の質的向上へと大きく広がっています。
この劇的な環境変化を背景に、当社グループは「広告会社」というオリジン(原点)を超え、より広範な価値を提供する企業体へと事業構造を転換する方針です。不確実性の高い時代においてグループ全体の変革を推し進めるには、すべての判断や動機づけの根幹となる「存在意義」の明確化が不可欠です。そこで、グローバルな視座に基づく当社グループ共通の価値観として、グローバルパーパス「生活者、企業、社会。それぞれの内なる想いを解き放ち、時代をひらく力にする Aspirations Unleashed」を策定しました。
このグローバルパーパスを全ての企業活動の起点に据え、当社グループのクリエイティビティをエッジに、生活者・企業・社会をつなぎ、新たな関係価値を生み出すことで、広告会社グループから「クリエイティビティ・プラットフォーム」となることを目指します。
(1) 中期基本戦略
当社グループが新たな関係価値を生み出す事業領域として、「マーケティング」「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」「グローバル」の6つの事業領域を設定しました。各領域が独自のビジネスモデルで収益を拡大させるだけでなく、領域間の有機的な連携を深めることで、さらなる成長と事業基盤の安定化を図る方針です。現中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置づけ、マーケティングビジネスの構造改革と新たな成長機会の開発を強力に推し進めます。その上で、2032年3月期をターゲットに、これら6領域の確立と相互連携を完成させ、グループ全体の利益構造を抜本的に変革してまいります。
この基本戦略に基づき、以下に掲げる3つの取り組みを進めます。
(2) 収益性の改善と成長オプションの創造
・マーケティングビジネスの構造変革
統合マーケティングへのニーズが高度化・複雑化する中、事業会社間の連携強化と収益モデルの多様化を進め、グループとして最適なサービス提供体制を構築しています。特に成長著しいデジタルおよびコマース領域を強化し、事業規模のさらなる拡大を実現します。
このグループ連携を一段と加速させるため、持株会社直轄の「グループアカウント戦略室」を中核に、グループ各社の専門性をシームレスに融合させ、リソース配置の最適化による効率化と生産性の向上を推進します。
成長を続けるデジタルマーケティング領域において、㈱Hakuhodo DY ONEにおける事業統合効果によって持続的な収益改善の体制が整いました。あわせて、連結子会社となった㈱デジタルホールディングスとの連携により、クロスセル提案を加速させ、成長領域における市場シェアを拡大してまいります。
また、数万人規模の生活者データを学習させた独自AI「バーチャル生活者」をはじめとする自社開発のテクノロジーやソリューションの実装を進めてまいります。高度な分析に基づく戦略立案を武器に、大型競合案件における勝率を高めると同時に、業務の高度化による付加価値向上を実現しています。
これら一連の取り組みを通じ、ブランド構築から顧客獲得までを一気通貫で支援する「フルファネル対応力」をグループ全体で提供する体制へ進化させてまいります。事業会社間の連携をさらに深め、収益モデルを多様化させることで、売上総利益の持続的成長と高収益体制の両立を確固たるものにしてまいります。
・新たな成長オプションの創造
当中期経営計画の3カ年の間、「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」の各事業領域に対し積極的な投資を行い、事業基盤を構築することで、グループの収益の柱として育成しています。
コンサルティングビジネスにおいて、戦略コンサルティングを起点に、経営課題のレイヤーから顧客に深く入り込むことで、大規模な統合マーケティング案件へと繋げる収益拡大モデルなど、グループ連携をてこにした収益力強化を進めています。コンテンツビジネスでは、自社IPを活用したストック型ビジネスの拡張を推進しています。音楽領域では、アーティストのグッズ・チケット販売などを担う新会社「㈱Chapter-I(チャプター・アイ)」を設立したほか、スポーツ領域では日米トップアスリートを対象としたマネジメント会社を取得し、「HAKUHODO Athlete Solution Inc.」として本格稼働させており、新たな収益基盤の構築を着実に進めています。これらの新たな成長オプションの創造をさらに加速させるため、コンテンツビジネスおよびインキュベーションビジネスの推進機能を持株会社に集約しました。これにより、経営陣による投資判断の迅速化と、グループ全体での事業運営機能の強化を図り、新規領域における投資対効果の最大化を目指します。
・グローバルビジネスのリモデル
海外に拠点を置くグループ各社が、それぞれ個別戦略の推進とサービス提供エリアの拡張を遂行すると同時に、グループ内連携を強化します。戦略事業組織kyuの持つ専門性・先進性と、博報堂の生活者発想をかけあわせることで、デジタルマーケティング領域を中心に収益力を強化します。加えて、M&Aによる非連続な成長機会の探索を継続します。
戦略事業組織であるkyuにおいて経営体制を刷新し、収益性の改善を最優先課題として取り組んでいます。各社に分散していた管理機能のシェアードサービス化やグループ内でのリソース共有を強力に推進し、経営効率の向上を図ります。成長市場であるASEAN地域においては、㈱博報堂と㈱Hakuhodo DY ONEの一体運営を開始しました。両社のノウハウを融合させることで、顧客提供価値の最大化を追求するとともに、オペレーションコストの最適化を徹底しています。これらの抜本的な体制刷新とコスト構造の改革を通じて、確固たる利益体質へと転換するとともに、売上総利益の持続的な拡大を実現してまいります。
(3) グループ経営基盤の強化
前中期経営計画期間に設立した、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂DYコーポレートイニシアティブの2社をはじめとしたグループ共通基盤の強化を継続することで、グループとしての競争力の強化と効率化を図ります。
(4) サステナビリティ経営の推進
当社グループは、人を中心としたサステナブルな経営により社会への価値創出を目指します。社員、株主、取引先、メディア、コンテンツホルダー、各種団体をはじめとするマルチステークホルダーとの適切な協働に取り組み、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指しています。
サステナビリティ経営の進捗に関しては、環境及びジェンダー平等に対する目標値を設定し各種取り組みを進めております。環境課題については、2050年度のカーボンニュートラルを目標としており、中間指標として2030年度のスコープ1+2の排出量を2023年度(2024年3月期)比で50%削減する目標を設定しております。また、ジェンダー平等については、2030年度までに管理職の女性比率30%の達成を目指しています。
2026年3月期は、安定的な調達(QCDの確保)、社会的責任(人権・環境)の遂行、法令順守とリスク管理体制の確立を目的に、調達基本方針・調達ガイドラインを策定するなど、各種取り組みを行いました。ESG各領域でサステナビリティ経営を推進すると同時に、社会課題に対応する人材の育成を行い、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指します。
(5) 中期経営計画における目標
当社グループは、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置付けており、「成長性の維持・向上」「収益力の強化」を踏まえた計画値としました。新たな中期経営目標は、以下のとおりです。
⦅中期経営目標(2027年3月期)⦆
調整後のれん償却前営業利益年平均成長率(注1):+10%以上
調整後売上総利益年平均成長率(注2):+5%以上
調整後のれん償却前オペレーティング・マージン(注3):13%以上
のれん償却前ROE(注4):10%以上

(注1)調整後のれん償却前営業利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。
(注2)調整後売上総利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における連結売上総利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。
(注3)調整後のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益
(注4)企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均)

上記に掲げた中期経営目標の達成に向け、掲げた中期基本戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。

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