有価証券報告書-第37期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 11:19
【資料】
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【項目】
143項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は創業からつなぐ「日本の食文化を守り育てる」との想いを礎とした「食でつなぐ。人を満たす。」とのパーパス(存在意義)のもと、「食」が持つあらゆる可能性を模索し、「食」を通じてあらゆるヒト・モノ・コトをつなぎ合わせることで、世の中に対して新たな価値を提供し続け、持続可能なより良い社会の実現に貢献していく企業であり続けることを経営方針としております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社は、2024年3月期から2026年3月期までの中期事業方針のもと、着実な売上回復と徹底したコストコントロールに取り組み、2025年3月期において黒字転換を達成いたしました。これにより、全社的なコスト管理能力が向上し、筋肉質な収益体質への転換を果たした一方で、コロナ禍以降の財務安定化を最優先し、既存のメディア事業を通じたネット予約による新規集客支援や既存加盟店のサポートにリソースを重点配分してまいりました。このような中においても、マーケティングエージェントの伸長により業務支援領域での手応えが得られたほか、足元では有料加盟店舗数も増加に転じ始める等の成果がみられたものの、当社独自の強みを活かした飲食店に対する業務・経営支援領域における提供価値のさらなる拡大や、持続的な成長の礎となる有料加盟店舗数の本格的な拡大については、組織全体の遂行能力を最大限に発揮しきれたとはいえず、中長期的な再成長に向け加速の余地を残す結果となりました。
当社を取り巻く事業環境については、顧客である飲食店において、生産年齢人口の減少や各種コストの高騰を背景に、従来の労働集約的な経営手法からの転換が急務となっています。具体的には、デジタルトランスフォーメーションやアウトソーシング活用による省人化・省力化を通じた業務効率化、データやAIの活用による業務の最適化等の必要性が一段と高まっています。また、ネット予約を軸とした新規集客支援を中心とするメディア領域は、多様なプレイヤーの台頭により激しい競争環境にあり、当社が持続的な成長を実現するためには、従来のメディア事業の成長のみに依拠した事業構造からの転換が不可欠であると認識しております。
このような状況下、当社が「日本の食文化を守り育てる」という創業の想いと「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパスのもと、中長期的な企業価値の向上を実現するためには、飲食店に深く寄り添い、課題を解決するB2Bモデルでの事業展開に回帰・集中し、創業以来のコア・コンピタンスである「サポート力」と「情報資産」を最大限に発揮することが重要であると捉えております。
この方向性を具現化するため、当社グループは2027年3月期から2029年3月期までの3か年を対象とする「中期経営計画2028」を策定いたしました。本計画では、改めて「“真の”飲食店のサポーター」となることをビジョンに掲げ、顧客である飲食店からの当社に対する認識を、従来の「集客メディア」から「経営サポーター」へと転換させる『提供価値の変革』と、中長期的な成長の礎となる『飲食店ネットワークの拡大』を全社方針として推進してまいります。本方針のもと、当社は飲食店の経営手法の転換を伴走支援する「飲食店経営プラットフォーム」としての機能拡充を図るため、具体的に以下の5つの事業戦略に取り組んでまいります。
① メディア・会員サービスの強化
ネット予約を軸とした新規集客支援を中心とするメディア領域は、変化の激しいWebサービスの潮流に左右されやすい側面を有しております。そのため、当社は楽天グループとの強固な連携体制をさらに推し進め、最大限に活用することで、飲食店への安定的かつ持続的な送客サイクルの構築を推進してまいります。具体的には、「幹事ランク制度」の活性化や公式アプリの機能強化、パーソナライズされたプッシュ型情報発信の精度向上等に取り組むことで、楽天会員による「楽天ぐるなび」のリピート利用を促進いたします。同時に、楽天IDを通じて予約・来店・会計といった外食に関わる行動をシームレスに統合し、楽天会員にとって最も「利便性と利得性の高いメディア」の実現を追求してまいります。
② エージェント事業の確立
外食産業における深刻な人手不足を背景に、Web販促をはじめとする飲食店の多様な業務を代行するエージェント事業は、飲食店のニーズを捉え着実な拡大基調にあります。今後、生産年齢人口の減少に伴い、アウトソーシングへの需要はさらに高まることが予測されること、また、本領域はB2Bモデルへの回帰・集中を進め、当社のコア・コンピタンスである「サポート力」と「情報資産」を最大限に発揮する重要施策のひとつであることから、本領域を当社の成長の牽引役と位置付け、サービスのさらなる拡充を推進してまいります。運用面においては、生成AIを段階的に導入することで業務の効率化を徹底し、創出したリソースを顧客との対話や潜在ニーズの把握に配分いたします。これにより、個々の店舗に寄り添った付加価値の高いサービス提供と、対応店舗数の拡大を両立させ、事業の実効性を高めてまいります。
③ 加盟価値の拡充
これまで飲食店が当社へ加盟する主な目的はメディア掲載による集客力の向上にありましたが、今後は飲食店の認識を「集客メディア」から「経営サポーター」へと転換させ、当社が選ばれる理由を多角化してまいります。具体的には、店舗ページ掲載やネット予約システムといった従来の基本機能に加え、リピート促進を支援するCRM機能や、店舗の収益及びキャッシュ・フローの改善に寄与する決済関連機能を楽天グループとの協業により付加いたします。これにより、日々の店舗運営における課題解決と収益力の向上に資する価値を創出し、飲食店に深く寄り添うB2Bモデルへの回帰・集中を具現化することで、より一層幅広い飲食店へとターゲット層を拡大いたします。同時に、店舗運営の基幹を支えるサービスとして定着を図ることで、解約リスクを最小化し、強固な顧客基盤を構築してまいります。
④ 営業体制の強化・活動プロセスの改善
上述の「加盟価値の拡充」を通じた飲食店ネットワークの拡大を実効性のあるものとするため、中小規模店を中心とした外食産業と深くつながり・支える力であり、当社のB2Bモデルの要である営業体制の強化及びその活動プロセスの改善を推進してまいります。具体的には、営業人員の増員(2027年3月期において約70名の採用予定)に加え、新規開拓に特化した組織の組成や、生成AIの活用や人材育成体制の強化等による営業スキルの標準化・向上を進めてまいります。また、外部パートナーとの連携による見込み客獲得チャネルの拡充や、生成AIの活用による営業の提案準備工数の削減、受注後のオンボーディング期間の短縮等のプロセス改善にも取り組んでまいります。これらの改革により、有料加盟店舗数の増加ペースを加速させ、中長期にわたる指数関数的成長の礎となる強固な飲食店ネットワークの構築を目指してまいります。
⑤ AI時代に即したデータ基盤の構築・活用
上述の各施策や飲食店ネットワークから得られる多種多様な情報を最大限に活用し、経営支援の精度を高めるため、生成AIを軸としたデータ基盤の構築を進めてまいります。具体的には、AIによる高速かつ柔軟な解析を可能とするインフラ整備に加え、部門を越えてデータや機能を自在に組み合わせる連携体制を構築し、情報の蓄積がさらなる価値向上を生む「自律的な成長サイクル」を確立いたします。これにより、過去の分析に留まらない予見に基づく先回りのサポートを実現すると同時に、AIを自在に操りながら顧客に寄り添って価値を生み出すプロデュース型組織への変革を図り、「AI×データ×人」の力を融合させた「経営コンシェルジュ」として、飲食店を繁盛へと導く圧倒的な競争優位性を発揮してまいります。
これらの取り組みを通じて、最終年度となる2029年3月期には、売上高18,900百万円(年平均成長率10%)、営業利益1,300百万円(営業利益率7%)、総有料加盟店舗数60,000店舗、総加盟店舗数100,000店舗の達成を目指してまいります。
あわせて、本計画の遂行にあたっては、「ROICマネジメントの実践による収益力と資本生産性の向上」、「戦略的財務基盤の構築」及び「株主還元の強化」という3つの視点を軸とした資本コスト経営を推進してまいります。これらを通じて資本効率の最適化を図り、2029年3月期において自己資本当期純利益率(ROE)21%、投下資本利益率(ROIC)16%の達成を目指してまいります。
さらに長期的な視点においては、本中期経営計画期間における飲食店経営プラットフォーム機能の拡充と飲食店ネットワークの拡大を通じて、質及び量の飛躍的な向上を見込む外食産業に関する情報資産の本格的な利活用を進めてまいります。具体的には、飲食店に対し仕入れや調達業務にも支援の領域を広げていくとともに、メーカーや卸等の外食関連事業者との最適なマッチングを図る等、バリューチェーン全体への価値提供を構想しております。こうした情報資産を核としたデータ駆動型のビジネスモデルの本格展開により外食産業のさらなる繁栄と当社の持続的な企業価値向上を実現してまいります。

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