有価証券報告書-第17期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)
事業等のリスク
当社グループの事業展開上、リスク要因となる可能性がある主な事項を以下のとおり記載しております。また、当社グループでは、コントロールできない外部要因や、事業上のリスクとして具体化する可能性は必ずしも高くないと見られる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下のとおり開示しております。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断及び当社の有価証券に関する投資判断は、以下の記載事項及び本資料中の本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載は、当社株式への投資に関するリスクの全てを網羅するものではありません。
本項においては、将来に関する事項が一部含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)当社グループの事業に関するリスクについて
a. 特定のコンテンツへの依存について
イ. 売上高の依存
当社グループの売上高実績に占める「パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)」関連の売上高の割合は、平成24年より急拡大してまいりました。現在では、スマートフォン向け、ニンテンドー3DS向け、その他キャラクターグッズ等の展開を含め、幅広いユーザー様へ展開しており、その売上高比率は、平成24年12月期56.5%、平成25年12月期91.1%であり、本コンテンツへ依存している状況であります。それ故、強力なゲームコンテンツの出現により、「パズドラ」のコンテンツ力が低下を招き、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
ロ.マンスリーアクティブユーザー数の維持・拡大
当社が制作するゲームは全てゲームブランドとしての確立を目指し、マルチプラットフォーム展開を推進しております。このため、「パズドラ」においても、ARPU(Average Revenue Per User、顧客一人当たりの利用額)などをKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)として戦略立案するのではなく、MAU(Monthly Active User、月に1回以上ログインしている利用者数)を重視し、ゲーム内イベント等の立案を行っております。従って、ゲーム内イベントやキャンペーン等がユーザーに評価されなかったり、他社ゲームの台頭により「パズドラ」の競争力が低下しMAUが維持できず減少した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
b.開発資金の負担について
当社グループでは、代表取締役社長CEOを中心とした開発チームが発案したゲーム企画のプロトタイプ(試作品)を開発することが、ゲーム制作の第一歩となります。スマートフォンゲームをはじめPCオンラインゲームを含めると、自社でオリジナルコンテンツを開発する際には、完成までに半年~5年と商用開始までに長期に亘る場合もあり、多額の先行投資が必要になります。このようにコンテンツを保有するためには、いずれの方法においても多額の初期投資費用が発生するケースがあり、商用サービスを開始し投資回収を終えるまで長期間に亘り、先行投資負担に耐えうる運転資金が必要となります。
c.新規ゲームコンテンツ等の開発・販売について
当社グループは、事業拡大の上で自社オリジナルタイトルの開発をはじめとしたキラータイトルの確保が重要な戦略となっております。しかし、新規タイトルの開発には、開発5原則に基づき「面白さ」を追求した新規タイトルの開発に努めておりますが、その開発には時間と費用を必要とするものがある一方、ユーザーの嗜好の変化により開発した新規タイトルが受け入れられる保証はなく、開発の凍結や中止をする可能性があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループは、優良なライセンス許諾先の新規開拓及び関係維持に努めておりますが、必ずしも国内外において新規のライセンス使用許諾先ができるとは限らず、また現在の使用許諾先についても必ず契約更新がなされる保証はありません。また、今後の市場拡大に伴い、配信・運営権に係るロイヤリティ料率が現行の契約内容より上昇する可能性もあります。このような経営上の不測の事態に陥った場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
d.グローバル展開について
当社グループは、中長期的な成長を続けるためグローバル展開を推進し、オンラインゲーム、家庭用ゲームソフトやスマートフォンゲームを自社展開または海外パートナーとの連携により展開を図っております。しかし、グローバル展開においては、各国における市場動向、政治・経済、文化、知的財産権や現地の法的リスク等の様々なカントリーリスクが内在しており、このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
e.為替リスクについて
当社グループは、韓国GRAVITY Co., Ltd.及びフィンランドKahon 3 Oyをはじめ、在外関係会社を有しております。当該グループ会社においては、連結財務諸表の作成時に外貨建から円換算するため、換算時の為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
f.財政状態及び経営成績について
当社グループが事業を展開するゲーム業界は、総じて製品のライフサイクルが短い傾向にあります。当社グループでは、一つのゲームを長期間楽しんで頂けるよう「マルチプラットフォーム戦略」を推進することで多面的な展開を図っておりますが、当社グループの経営戦略が想定どおりに推進しない場合は、当初予定していたキャッシュ・フローを生み出さない場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの事業環境に関するリスクについて
a.PCオンラインゲーム事業について
パソコン向けの国内オンラインゲーム市場は、黎明期のような爆発的な成長時期は一段落したものの、インターネットや通信環境の向上などにより、今後も市場規模は安定的に推移するものと予測しております。
また、PCオンライン事業については、有価証券報告書提出日現在において特段の法的規制はございません。しかしながら、ゲーム市場に対する規制等が新たに制定された場合には、当社グループの経営成績や今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
b.モバイルコンシューマ事業について
世界的なスマートフォン普及台数の拡大に伴い、スマートフォンゲーム市場も急激に成長を遂げております。今後も各メーカーの固有の仕様を搭載したスマートフォン端末が続々と普及することが予想され、技術の進歩により各種端末の高性能化が一段と進むことにより、開発コストの上昇が予想されます。また、PCオンライン事業同様に有価証券報告書提出日現在において法的規制はございませんが、規制等が新たに制定された場合は、当社グループの経営成績や事業展開に影響を与える可能性があります。
c.競争の激化について
技術革新が急速に進展しユーザーの需要が多様化する一方で、インターネット向けエンターテインメントの供給会社及びゲームのタイトル数は増加の一途を辿っております。このような中、当社グループにおいては、これまで培ったPCオンライン事業の制作・企画・運営力のノウハウを活かし、様々な端末にゲームを提供することで、より一層のユーザー満足度の向上を図っております。しかしながら、競合他社の台頭による当社グループの優位性低下や、価格競争激化による収益性の悪化、またユーザー獲得競争の熾烈化により当社グループの想定よりもMAUが確保できず減少した場合には、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
d.ユーザーニーズへの対応について
当社グループの提供するゲームのユーザーは、一般消費者が顧客となっております。そのため、当社グループが提供するゲームは、ユーザーの嗜好性に左右される可能性があり、当社グループがそのユーザーの嗜好性に対応したゲームを提供できない場合には、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
e.風評被害を受ける可能性について
当社グループの事業は、インターネット上でパソコン、家庭用ゲーム機並びにスマートフォン向けにゲームの開発・配信・運営を行っている特性上、当社グループのユーザーはインターネットにおける情報に頻繁にアクセスしております。そのため、事実の有無にかかわらず風評被害の影響を受けやすく、これにより売上高が大きく変動する可能性があります。このため、当社グループではよりよくユーザーの声を聞くため、「WEBヘルプデスク」を中心に、ユーザーの声を幅広く収集し、顧客満足度の向上に努力しております。
f.技術革新への対応について
当社グループが事業を展開しているオンラインゲーム市場は、ネットワーク技術及びサーバー運営技術に密接に関連しており、これらの分野は、技術革新が著しいという特徴を有しております。当社グループでは、適時にコンピュータ技術等の進展に対応していく方針ではありますが、当社グループが想定していない新技術・新サービスの普及等により事業環境が急激に変化した場合、必ずしも迅速には対応できない恐れがあります。また、事業環境の変化に対応するための費用が多額となる可能性もあり、このような場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
g.個人情報保護について
当社グループのPCオンライン事業では、会員登録、コンテンツの利用登録及び課金に際して、個人情報を取得して利用するとともに、当社サーバー内に個人情報をストックしております。また、経済産業省より個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号、同日一部公布・施行)が為される等、企業の個人情報保護に対する要請は厳格になっております。
当社グループでは独自に、ガンホーゲームズユーザーについてはガンホーIDとアトラクションIDの段階管理を行い、重要な個人情報の管理を物理的に分けることで外部からの個人情報アクセスを防ぐとともに、当社グループ内においても個人情報にアクセスできる人員を制限する等の方策により、個人情報が流出しないよう留意しております。
しかしながら、顧客情報の流出による問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
h.知的財産権について
当社グループが提供するゲームには、第三者の保有する知的財産権のライセンスを受けて事業展開を行っており、第三者の知的財産権を侵害しないように、特に留意しております。当社グループでは、ライセンス取得の検討段階より、取得候補について弁理士及び弁護士を通じて特許庁のデータベース確認等の調査を行っております。また、当社グループはライセンサーとの契約において、第三者の権利侵害を為していない旨の保証と責任を条項に組み込む等して、当社グループ事業での安全な遂行が為されるように留意しております。
しかしながら、当社グループの調査範囲が十分かつ妥当であるとは保証できず、また、特許権等の知的財産権が当社グループ事業にどのように適用されるかの全てを正確に想定することは困難であります。万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より損害賠償請求及び使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、並びに当該知的財産権に関する対価の支払い等が発生する可能性があります。このような場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末現在、当社グループは知的財産権に関する訴訟等を起こされた事実はありません。
i.システムトラブルについて
当社グループのオンラインゲームは、サーバ一を介してサービス提供を行っており、地震等の自然災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止等、現段階では予測不可能な事由によりシステムがダウンした場合には営業継続が不可能となります。また、アクセス数の増加等の一時的な過剰負荷によって当社グループあるいはデータセンターのサーバーが作動不能や誤作動した場合、正常にコンテンツ配信できなかった場合等、あらゆる原因によりシステムが停止する可能性があります。さらには、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や役職員の過誤等によって、当社グループが提供するコンテンツが書き換えられたり、重要なデータを消去又は不正に入手されたりする恐れがあります。
当社グループは、このような状況を事前に防ぐべく、セキュリティを重視したシステム構成、ネットワークの負荷分散、365日24時間の監視体制等、安全性を重視した体制作りに取り組んでおります。また、当社グループが提供するオンラインゲームに不良箇所(バグ)が発生した場合、これらのゲーム配信サービスを中断・停止させて、原因究明及び復旧作業を行っております。
このような事態が発生した場合には、当社グループに直接的な損害が生じる他、当社グループのサーバーの作動不能や欠陥等に起因する取引の停止等については、当社グループシステム自体への信頼性の低下等のリスクが想定され、当社の経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
j.M&A等に関するリスク
当社グループは、当社をはじめ株式会社ゲームアーツ、株式会社アクワイア及びGRAVITY Co., Ltd.等の子会社から形成されており、「感動と楽しい経験」をお客様に提供することを目指して事業を展開しております。グループ各社を通じた事業展開、すなわち特定の事業に特化・注力する会社の設立もしくは買収等にあたっては、損失が発生するリスク、グループの信用低下リスク等を伴う可能性があり、出資先会社の事業活動や経営成績によっては当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
k.スマートフォンユーザーの課金トラブルについて
スマートフォンの利用者は年齢層が幅広く、昨今では中高生のユーザーも増加、またスマートフォンをもたない未成年者が家族の端末を利用しゲームアプリで遊ぶ、といったような未成年者のゲームユーザーも増加しております。当社のスマートフォンゲームでは、ゲーム内で有料アイテムを販売しており、アイテムを購入する際には、クレジットカードの利用、通信キャリア決済、またはプリペイドカードを利用するなど決済手段がいくつか存在します。特に家族の端末を利用したクレジットカード決済においては、未成年者が誤って有料アイテムを購入することによる多額の請求が発生するなど、課金に関するトラブルが発生しております。当社グループでは、各地域の消費生活センターや消費者庁と情報交換を行い、健全な市場環境の形成に取り組んでおりますが、当社グループが想定していない規制等が新たに制定された場合は、当社グループの経営成績や事業展開に影響を与える可能性があります。
l.Apple Inc.及びGoogle Inc.の動向について
当社グループの売上においてスマートフォン向けゲームの比率が高まっていることから、プラットフォーム提供会社であるApple Inc.及びGoogle Inc.への収益依存が拡大しております。そのため、プラットフォーム提供会社の事業戦略の転換並びに動向に伴い、手数料率や為替変動によるアイテム単価の変更等の要因により、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業運営において権限委譲や人員拡充等により組織的対応の強化を進めておりますが、現在においても組織としては小規模であり、何らかの理由により当社での事業推進が困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(3)当社グループを取り巻くグループ環境について
a.グループ会社との関係性について
当連結会計年度末現在、ソフトバンクグループは、当社株式を40%保有しております。当社はソフトバンクグループの中で、オンラインによるエンターテインメント事業を推進する企業として位置づけられ事業を展開しておりますが、将来のグループ政策の変更等により、当社の位置づけが変わる可能性があります。その場合、当社の経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(4)当社の事業体制について
a.代表取締役社長CEO森下一喜への依存について
当社グループの事業推進者は、代表取締役社長CEOである森下一喜であります。同氏は、平成13年5月に当社に入社し、PCオンライン事業の立ち上げに関わってきた人物であります。PCオンラインゲーム事業の主力商品である「ラグナロクオンライン」を韓国で発掘、日本での配信権を確保した他、近年では、モバイルコンシューマ事業における「パズル&ドラゴンズ」のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど、当社のヒットタイトルの創出に大きく貢献しております。また、現在では新規ゲーム開発にあたって、同氏が企画・開発・監修まで全ての行程に携わる最高責任者であることから、その依存度は高いものと考えられます。
当社グループは、事業運営において権限移譲や人員拡充等により組織的対応の強化を進めておりますが、現在においても組織としては小規模であり、何らかの理由により当社グループでの事業推進が困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
b.人材の確保について
当社グループは、オンラインゲームのシステム技術者、ゲーム企画開発者及び拡大する組織に対応するための管理担当者等、各方面での優秀な人材を確保していくことが重要になります。特にオンラインゲームに関する技術者及び企画開発者については、技術革新が著しく、また、オンラインゲーム自体に携わった経験を保有する人材の絶対数が少ないことから、優秀な人材確保は容易ではないと認識しております。
当社グループでは、優秀な人材の確保を継続していく方針でありますが、今後適時適切な人材確保及び人材配置に失敗した場合、または人材が流出した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が一部含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)当社グループの事業に関するリスクについて
a. 特定のコンテンツへの依存について
イ. 売上高の依存
当社グループの売上高実績に占める「パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)」関連の売上高の割合は、平成24年より急拡大してまいりました。現在では、スマートフォン向け、ニンテンドー3DS向け、その他キャラクターグッズ等の展開を含め、幅広いユーザー様へ展開しており、その売上高比率は、平成24年12月期56.5%、平成25年12月期91.1%であり、本コンテンツへ依存している状況であります。それ故、強力なゲームコンテンツの出現により、「パズドラ」のコンテンツ力が低下を招き、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
平成24年12月期 (連結) | 平成25年12月期 (連結) | |||
金額 (百万円) | 比率 (%) | 金額 (百万円) | 比率 (%) | |
パズル&ドラゴンズ 関連売上高 | 14,599 | 56.5 | 148,584 | 91.1 |
売上高 | 25,821 | 100.0 | 163,060 | 100.0 |
ロ.マンスリーアクティブユーザー数の維持・拡大
当社が制作するゲームは全てゲームブランドとしての確立を目指し、マルチプラットフォーム展開を推進しております。このため、「パズドラ」においても、ARPU(Average Revenue Per User、顧客一人当たりの利用額)などをKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)として戦略立案するのではなく、MAU(Monthly Active User、月に1回以上ログインしている利用者数)を重視し、ゲーム内イベント等の立案を行っております。従って、ゲーム内イベントやキャンペーン等がユーザーに評価されなかったり、他社ゲームの台頭により「パズドラ」の競争力が低下しMAUが維持できず減少した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
b.開発資金の負担について
当社グループでは、代表取締役社長CEOを中心とした開発チームが発案したゲーム企画のプロトタイプ(試作品)を開発することが、ゲーム制作の第一歩となります。スマートフォンゲームをはじめPCオンラインゲームを含めると、自社でオリジナルコンテンツを開発する際には、完成までに半年~5年と商用開始までに長期に亘る場合もあり、多額の先行投資が必要になります。このようにコンテンツを保有するためには、いずれの方法においても多額の初期投資費用が発生するケースがあり、商用サービスを開始し投資回収を終えるまで長期間に亘り、先行投資負担に耐えうる運転資金が必要となります。
c.新規ゲームコンテンツ等の開発・販売について
当社グループは、事業拡大の上で自社オリジナルタイトルの開発をはじめとしたキラータイトルの確保が重要な戦略となっております。しかし、新規タイトルの開発には、開発5原則に基づき「面白さ」を追求した新規タイトルの開発に努めておりますが、その開発には時間と費用を必要とするものがある一方、ユーザーの嗜好の変化により開発した新規タイトルが受け入れられる保証はなく、開発の凍結や中止をする可能性があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループは、優良なライセンス許諾先の新規開拓及び関係維持に努めておりますが、必ずしも国内外において新規のライセンス使用許諾先ができるとは限らず、また現在の使用許諾先についても必ず契約更新がなされる保証はありません。また、今後の市場拡大に伴い、配信・運営権に係るロイヤリティ料率が現行の契約内容より上昇する可能性もあります。このような経営上の不測の事態に陥った場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
d.グローバル展開について
当社グループは、中長期的な成長を続けるためグローバル展開を推進し、オンラインゲーム、家庭用ゲームソフトやスマートフォンゲームを自社展開または海外パートナーとの連携により展開を図っております。しかし、グローバル展開においては、各国における市場動向、政治・経済、文化、知的財産権や現地の法的リスク等の様々なカントリーリスクが内在しており、このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
e.為替リスクについて
当社グループは、韓国GRAVITY Co., Ltd.及びフィンランドKahon 3 Oyをはじめ、在外関係会社を有しております。当該グループ会社においては、連結財務諸表の作成時に外貨建から円換算するため、換算時の為替レートが大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
f.財政状態及び経営成績について
当社グループが事業を展開するゲーム業界は、総じて製品のライフサイクルが短い傾向にあります。当社グループでは、一つのゲームを長期間楽しんで頂けるよう「マルチプラットフォーム戦略」を推進することで多面的な展開を図っておりますが、当社グループの経営戦略が想定どおりに推進しない場合は、当初予定していたキャッシュ・フローを生み出さない場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの事業環境に関するリスクについて
a.PCオンラインゲーム事業について
パソコン向けの国内オンラインゲーム市場は、黎明期のような爆発的な成長時期は一段落したものの、インターネットや通信環境の向上などにより、今後も市場規模は安定的に推移するものと予測しております。
また、PCオンライン事業については、有価証券報告書提出日現在において特段の法的規制はございません。しかしながら、ゲーム市場に対する規制等が新たに制定された場合には、当社グループの経営成績や今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
b.モバイルコンシューマ事業について
世界的なスマートフォン普及台数の拡大に伴い、スマートフォンゲーム市場も急激に成長を遂げております。今後も各メーカーの固有の仕様を搭載したスマートフォン端末が続々と普及することが予想され、技術の進歩により各種端末の高性能化が一段と進むことにより、開発コストの上昇が予想されます。また、PCオンライン事業同様に有価証券報告書提出日現在において法的規制はございませんが、規制等が新たに制定された場合は、当社グループの経営成績や事業展開に影響を与える可能性があります。
c.競争の激化について
技術革新が急速に進展しユーザーの需要が多様化する一方で、インターネット向けエンターテインメントの供給会社及びゲームのタイトル数は増加の一途を辿っております。このような中、当社グループにおいては、これまで培ったPCオンライン事業の制作・企画・運営力のノウハウを活かし、様々な端末にゲームを提供することで、より一層のユーザー満足度の向上を図っております。しかしながら、競合他社の台頭による当社グループの優位性低下や、価格競争激化による収益性の悪化、またユーザー獲得競争の熾烈化により当社グループの想定よりもMAUが確保できず減少した場合には、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
d.ユーザーニーズへの対応について
当社グループの提供するゲームのユーザーは、一般消費者が顧客となっております。そのため、当社グループが提供するゲームは、ユーザーの嗜好性に左右される可能性があり、当社グループがそのユーザーの嗜好性に対応したゲームを提供できない場合には、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
e.風評被害を受ける可能性について
当社グループの事業は、インターネット上でパソコン、家庭用ゲーム機並びにスマートフォン向けにゲームの開発・配信・運営を行っている特性上、当社グループのユーザーはインターネットにおける情報に頻繁にアクセスしております。そのため、事実の有無にかかわらず風評被害の影響を受けやすく、これにより売上高が大きく変動する可能性があります。このため、当社グループではよりよくユーザーの声を聞くため、「WEBヘルプデスク」を中心に、ユーザーの声を幅広く収集し、顧客満足度の向上に努力しております。
f.技術革新への対応について
当社グループが事業を展開しているオンラインゲーム市場は、ネットワーク技術及びサーバー運営技術に密接に関連しており、これらの分野は、技術革新が著しいという特徴を有しております。当社グループでは、適時にコンピュータ技術等の進展に対応していく方針ではありますが、当社グループが想定していない新技術・新サービスの普及等により事業環境が急激に変化した場合、必ずしも迅速には対応できない恐れがあります。また、事業環境の変化に対応するための費用が多額となる可能性もあり、このような場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
g.個人情報保護について
当社グループのPCオンライン事業では、会員登録、コンテンツの利用登録及び課金に際して、個人情報を取得して利用するとともに、当社サーバー内に個人情報をストックしております。また、経済産業省より個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号、同日一部公布・施行)が為される等、企業の個人情報保護に対する要請は厳格になっております。
当社グループでは独自に、ガンホーゲームズユーザーについてはガンホーIDとアトラクションIDの段階管理を行い、重要な個人情報の管理を物理的に分けることで外部からの個人情報アクセスを防ぐとともに、当社グループ内においても個人情報にアクセスできる人員を制限する等の方策により、個人情報が流出しないよう留意しております。
しかしながら、顧客情報の流出による問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
h.知的財産権について
当社グループが提供するゲームには、第三者の保有する知的財産権のライセンスを受けて事業展開を行っており、第三者の知的財産権を侵害しないように、特に留意しております。当社グループでは、ライセンス取得の検討段階より、取得候補について弁理士及び弁護士を通じて特許庁のデータベース確認等の調査を行っております。また、当社グループはライセンサーとの契約において、第三者の権利侵害を為していない旨の保証と責任を条項に組み込む等して、当社グループ事業での安全な遂行が為されるように留意しております。
しかしながら、当社グループの調査範囲が十分かつ妥当であるとは保証できず、また、特許権等の知的財産権が当社グループ事業にどのように適用されるかの全てを正確に想定することは困難であります。万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より損害賠償請求及び使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、並びに当該知的財産権に関する対価の支払い等が発生する可能性があります。このような場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末現在、当社グループは知的財産権に関する訴訟等を起こされた事実はありません。
i.システムトラブルについて
当社グループのオンラインゲームは、サーバ一を介してサービス提供を行っており、地震等の自然災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止等、現段階では予測不可能な事由によりシステムがダウンした場合には営業継続が不可能となります。また、アクセス数の増加等の一時的な過剰負荷によって当社グループあるいはデータセンターのサーバーが作動不能や誤作動した場合、正常にコンテンツ配信できなかった場合等、あらゆる原因によりシステムが停止する可能性があります。さらには、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や役職員の過誤等によって、当社グループが提供するコンテンツが書き換えられたり、重要なデータを消去又は不正に入手されたりする恐れがあります。
当社グループは、このような状況を事前に防ぐべく、セキュリティを重視したシステム構成、ネットワークの負荷分散、365日24時間の監視体制等、安全性を重視した体制作りに取り組んでおります。また、当社グループが提供するオンラインゲームに不良箇所(バグ)が発生した場合、これらのゲーム配信サービスを中断・停止させて、原因究明及び復旧作業を行っております。
このような事態が発生した場合には、当社グループに直接的な損害が生じる他、当社グループのサーバーの作動不能や欠陥等に起因する取引の停止等については、当社グループシステム自体への信頼性の低下等のリスクが想定され、当社の経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
j.M&A等に関するリスク
当社グループは、当社をはじめ株式会社ゲームアーツ、株式会社アクワイア及びGRAVITY Co., Ltd.等の子会社から形成されており、「感動と楽しい経験」をお客様に提供することを目指して事業を展開しております。グループ各社を通じた事業展開、すなわち特定の事業に特化・注力する会社の設立もしくは買収等にあたっては、損失が発生するリスク、グループの信用低下リスク等を伴う可能性があり、出資先会社の事業活動や経営成績によっては当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
k.スマートフォンユーザーの課金トラブルについて
スマートフォンの利用者は年齢層が幅広く、昨今では中高生のユーザーも増加、またスマートフォンをもたない未成年者が家族の端末を利用しゲームアプリで遊ぶ、といったような未成年者のゲームユーザーも増加しております。当社のスマートフォンゲームでは、ゲーム内で有料アイテムを販売しており、アイテムを購入する際には、クレジットカードの利用、通信キャリア決済、またはプリペイドカードを利用するなど決済手段がいくつか存在します。特に家族の端末を利用したクレジットカード決済においては、未成年者が誤って有料アイテムを購入することによる多額の請求が発生するなど、課金に関するトラブルが発生しております。当社グループでは、各地域の消費生活センターや消費者庁と情報交換を行い、健全な市場環境の形成に取り組んでおりますが、当社グループが想定していない規制等が新たに制定された場合は、当社グループの経営成績や事業展開に影響を与える可能性があります。
l.Apple Inc.及びGoogle Inc.の動向について
当社グループの売上においてスマートフォン向けゲームの比率が高まっていることから、プラットフォーム提供会社であるApple Inc.及びGoogle Inc.への収益依存が拡大しております。そのため、プラットフォーム提供会社の事業戦略の転換並びに動向に伴い、手数料率や為替変動によるアイテム単価の変更等の要因により、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業運営において権限委譲や人員拡充等により組織的対応の強化を進めておりますが、現在においても組織としては小規模であり、何らかの理由により当社での事業推進が困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(3)当社グループを取り巻くグループ環境について
a.グループ会社との関係性について
当連結会計年度末現在、ソフトバンクグループは、当社株式を40%保有しております。当社はソフトバンクグループの中で、オンラインによるエンターテインメント事業を推進する企業として位置づけられ事業を展開しておりますが、将来のグループ政策の変更等により、当社の位置づけが変わる可能性があります。その場合、当社の経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(4)当社の事業体制について
a.代表取締役社長CEO森下一喜への依存について
当社グループの事業推進者は、代表取締役社長CEOである森下一喜であります。同氏は、平成13年5月に当社に入社し、PCオンライン事業の立ち上げに関わってきた人物であります。PCオンラインゲーム事業の主力商品である「ラグナロクオンライン」を韓国で発掘、日本での配信権を確保した他、近年では、モバイルコンシューマ事業における「パズル&ドラゴンズ」のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど、当社のヒットタイトルの創出に大きく貢献しております。また、現在では新規ゲーム開発にあたって、同氏が企画・開発・監修まで全ての行程に携わる最高責任者であることから、その依存度は高いものと考えられます。
当社グループは、事業運営において権限移譲や人員拡充等により組織的対応の強化を進めておりますが、現在においても組織としては小規模であり、何らかの理由により当社グループでの事業推進が困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
b.人材の確保について
当社グループは、オンラインゲームのシステム技術者、ゲーム企画開発者及び拡大する組織に対応するための管理担当者等、各方面での優秀な人材を確保していくことが重要になります。特にオンラインゲームに関する技術者及び企画開発者については、技術革新が著しく、また、オンラインゲーム自体に携わった経験を保有する人材の絶対数が少ないことから、優秀な人材確保は容易ではないと認識しております。
当社グループでは、優秀な人材の確保を継続していく方針でありますが、今後適時適切な人材確保及び人材配置に失敗した場合、または人材が流出した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。