有価証券報告書-第54期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/23 13:04
【資料】
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【項目】
157項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高いサービスを広くお客様に提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを目指しております。また、常にお客様のニーズにお応えするために新商品の開発及びサービスの向上に努め、新しい価値を提供し続けることにより、当社グループのさらなる発展を図ってまいります。社会、株主、そして従業員に対して信頼と期待に応え、事業の永続的な企業価値向上を目指してまいります。
サステナブルな発展に欠くことのできない安定的なキャッシュ・フローを確保するため、また、景気循環に左右される業界環境において、様々な変化に柔軟に対応できるビジネスモデルの構築を進めてまいります。
(2021 中期経営計画ビジョン)
「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」
(2)経営環境
新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響が続く中で、世界各国でワクチン接種などの抑制施策や経済活動の回復もあり、持ち直しの動きもみられますが、ロシア・ウクライナ情勢によって生じる地政学的リスクの懸念等によって、エネルギー価格や穀物価格の高騰等の影響による物価上昇など、経済成長への不安要素が強く、依然として先行き不透明な状況が続いております。
国内の建設業界において、国土強靭化計画等を背景とする社会インフラの維持修繕工事を中心に底堅さが見られますが、急激な円安進行により、民間の設備投資は、エネルギー価格や建設資材の価格高騰等の影響もあり、慎重に動向を見極めていく必要があります。
海外においては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の抑制施策が緩和され、着実に回復しつつあるものの、エネルギー価格や鋼材価格の高騰等、厳しい経営環境が続くものとみております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と中長期的な会社の経営戦略
当社グループの業績は、これまでの実績から外部環境に大きく左右され、特に経済活動が減退する状況下では、業績が著しく変動する傾向にあります。
このような課題の認識から、当社グループは、「次世代足場におけるトップシェアの維持・拡大」、「維持補修工事へと移行する市場への対応」、「仮設部門以外における収益事業の育成」、「海外事業基盤の収益成長」を中期的に対応すべき経営課題と認識し、2022年3月期を初年度とする中期経営計画において、それぞれの課題に対応するための基本戦略を策定いたしました。これら基本戦略に基づき、当社グループは、中期経営計画ビジョンの実現、企業価値向上に努めてまいります。
(2021 中期経営計画 基本戦略)
① 「Iqシステム」を中心としたハードとソフトを融合したサービスの開発
「Iqシステム」の次世代足場における製品面での優位性に代表されるハード面だけではなく、足場の管理・運用・コンサルティングなどのソフト面の強化を図ってまいります。足場をはじめとした仮設機材は、実質的な耐用年数が長く利用価値は変わりません。そのため、製品イノベーションが起こり難く、また、所定の減価償却期間を過ぎれば、売上原価となる賃貸資産償却費の負担が軽減され、価格競争に陥る傾向にあります。特に需要が停滞する環境下においては、価格競争が発生しやすく、製品力(ハード)の優位性は、価格の圧力に押され負けてしまいます。このことから、顧客から選ばれるためには製品力だけではなく、顧客事業における課題に対応した課題解決力(ソフト)の提供が欠かせないと判断しております。製品力と課題解決力、ハードとソフトを融合した新たなサービスの開発と提供によって、顧客から選ばれ続ける企業となることを目指してまいります。
(ハード:製品力)
工事現場における安全性、施工性、作業性を向上させる高付加価値仮設機材の提供
(ソフト:課題解決力)
「開発・製造」、「販売」、「レンタル」、「設計・施工」、「管理・物流」の当社グループの経営基盤を構築する機能の提供
(ハードとソフトを融合した新たなサービス)
「Iqシェアリング」
顧客が保有するIqシステムの管理(整備、入出庫、品質維持など)を当社で担う。「Iqシェアリング」に対応する当社の物流拠点で入出庫が可能。不足部材、周辺部材はレンタルで提供。
② 維持補修・再インフラ関連製品の強化
日本国内の建設工事の元請完工高における維持補修(リフォーム・リニューアル)工事の割合は、増加傾向にあります。日本の高度経済成長期に整備新幹線、高速道路、鉄道などの主要インフラの整備が進み、これらインフラが建設されてから、およそ50年が経過し、全国各地で維持補修工事が進行しております。これら工事に対応する製品として、主に高速道路の維持修繕工事において、優れた施工性と安全性を提供するパネル式吊り棚足場「スパイダーパネル」、システム吊り棚足場「V-MAX」、ダムや送電設備など特に山間部における維持修繕工事において、大型クレーン等の重機の構台を工具レスで組立可能な「YTロックシステム」などの拡販に努めてまいります。また、レンタル事業におきましては、主に高層マンション向けに出荷してきました移動昇降式足場「リフトクライマー」に関しまして、土木分野での活用が広がり、建築・土木の両分野での拡販に努めてまいります。
③ 仮設部門以外の事業育成
仮設部門以外での事業分野では、アグリ事業の成長を促進させてまいります。埼玉県羽生市におきまして、当社が製造販売する農業用グリーンハウス「G-Castle NEO48(ジー・キャッスル・ネオ・48)」、「G-Castle Pro1(ジー・キャッスル・プロ・1)」を用いて果菜類を栽培し、その性能を評価するための実証農場を建設いたしました。この実証農場では、当社製グリーンハウスの性能評価だけではなく、顧客の施設見学を受け入れ、また、ハウス内の環境制御装置や最適な栽培方法の検証を行い、その検証結果を販売促進に活用いたします。センシング技術を導入し、栽培に関する各種データを収集し、これらデータを顧客へ提供するなどの二次活用も進め、事業拡大に努めてまいります。
④ 海外事業基盤の再整備
海外事業基盤の再整備につきましては、特にフィリピンの子会社において、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。フィリピンは、依然として経済成長率は高く、有望な市場であり、建設投資はコロナ以前に回復すると見込んでおります。引き続き、管理体制や事業基盤の整備を進め、さらなる成長に向けて強化してまいります。
(4)目標とする経営指標
当社グループは、毎期の業績目標を着実に達成することが企業価値の増大に繋がると考えております。そのため、2023年3月期の業績目標の達成に注力してまいります。
当社グループは、2021年5月に2022年3月期を初年度とする3ヵ年計画「2021 中期経営計画」を発表いたしました。当社グループの中期的な経営指標として、本中期経営計画において、最終年度となる2024年3月期連結業績の営業利益50億円を目標に掲げております。
本中期経営計画の経営ビジョンの実現に向けた各基本戦略を推進し、トランスフォームを完成させるため、施策の推進、積極的な投資を実施し、目標達成へ向けて尽力してまいります。