有価証券報告書-第18期(平成28年7月1日-平成29年6月30日)

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2017/09/20 15:35
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業績等の概要

(1) 業績
当社グループが属する情報サービス産業においては、クラウド関連市場に加え、IoT/ビッグデータ/人工知能(AI)関連市場が拡大しております。また、これらのビジネスを支える情報通信インフラについては、第4世代移動通信(以下、4G)から第5世代移動通信(以下、5G)へと進んでおります。4Gの利用対象が、主にスマートフォンであるのに対し、5Gの利用対象は、あらゆる機器、センサー等が想定されております。
このような環境のもと、当社を中心とするコンピュータプラットフォーム事業においては、データセンターサービスやクラウドサービス等の既存事業では、顧客ニーズの多様化に即した営業活動を推進し、IoT、AI事業等の新規事業では、これまでの実証実験や基盤整備が結実し、一部でサービスを開始しました。他方、連結子会社であった株式会社ビービーエフ(以下、ビービーエフ)及びその子会社を中心とするファッションビジネスプラットフォーム事業の業績は順調に推移しました。なお、ビービーエフの事業については、ここ数年、安定的に成長しており、収穫期に入ったと判断したことから、本年(平成29年)6月30日に当社が保有していたビービーエフの発行済株式の一部を譲渡しました。これにより、ビービーエフグループは連結子会社から持分法適用関連会社となりましたが、当連結会計年度においては連結子会社であったことから、ファッションビジネスプラットフォーム事業としてセグメントへ記載しております。また、第1四半期連結会計期間より、ファッションビジネスプラットフォーム事業の「ECシステム構築支援・運用サービス」の名称を「EC業務支援サービス」に変更しております。
当連結会計年度におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
① コンピュータプラットフォーム事業
コンピュータプラットフォーム事業におきましては、データセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション、スマート・エネルギー及びその他・海外事業に分け、サービスを展開しております。
データセンターでは、売り上げを増加させるために、既存顧客との関係強化に努めるとともに、新規顧客の獲得に向け、当社データセンターの特長を訴求した営業活動、お客様のニーズに合ったサービスの提案等を行いました。また、専業インターネットデータセンターのパイオニアとして、5GなどIoTを利用対象とする情報通信インフラに対応した新インターネットデータセンターの開設を平成30年8月に予定しており、準備を進めております。
クラウド・ソリューションでは、市場規模の拡大を背景に当社独自のc9サービスに加え、SaaS(Software as a Service)サービス、MSP(Management Services Provider)サービス等が堅調に推移しました。また、DELL EMC社とは、DELL EMC社のストレージ技術を採用したクラウドサービスにおける技術開発、マーケティング、営業活動等で協業しております。
データ・ソリューションでは、増大するデータの保存ニーズの高まりを受け、当社の主力プロダクトであるDELL EMC社製の「Isilonシリーズ」の販売に注力したものの、多少伸び悩みました。また、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等のユーザーが生成するコンテンツやビッグデータ等、データ量が増大傾向にあるため、これまで以上に大容量のデータを収容できるScality社のSDS(ソフトウェア・デファインド・ストレージ)製品の販売に加え、広範なストレージ製品の販売を推進しました。なお、当社は、米国Dell Technologies Inc.が高い顧客満足度を得たサービスパートナーに授与する「Partner Services Quality (PSQ) Award」を受賞いたしました。
スマート・エネルギーでは、山口県防府市、群馬県利根郡みなかみ町、栃木県日光市における当社3箇所の太陽光発電事業の売り上げは計画どおり堅調に推移しました。
その他・海外事業では、新規事業に取り組んでおります。当社子会社の株式会社エーアイスクエア(以下、エーアイスクエア)では、独自開発の自然言語解析技術を活用した人工知能と人とのハイブリッドコンタクトセンターである「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)センター」を昨年(平成28年)10月に開設し、コンタクトセンター業務の自動化・効率化・高度化等を望んでいるお客様にサービスを提供しております。また、エーアイスクエアは、株式会社トランスネットとの間で、同社が提供しているシステムヘルプデスク業務において、AIを活用して自動化・高度化する取り組みを開始し、さらに、株式会社メディアドゥとの間では、資本業務提携の締結を行ったことで、電子書籍、新聞記事、ニュース等のウェブコンテンツその他文字情報全般のAIテキスト要約事業を共同で実施してまいります。IoT事業では、昨年10月、当社の持分法適用関連会社である米国EverySense,Inc.の子会社であるエブリセンスジャパン株式会社が、データを売買する取引市場であるIoT情報交換市場を創設し、本市場の活性化に求められる利便性の向上等に取り組んでおります。また、動画配信サービスであるアンカーパーソン.TV事業では、ネットシネマを活用したプロモーションの展開や質の高いコンテンツの配信を行っています。
この結果、コンピュータプラットフォーム事業の売上高は7,437百万円(前年同期比2.8%増加)、営業損失は67百万円(前年同期は195百万円の営業損失)となりました。
② ファッションビジネスプラットフォーム事業
一方、ファッションビジネスプラットフォーム事業におきましては、ビービーエフが行うEC業務支援サービス、TVショッピング支援サービス及びブランチ・アウトが行うファッションホールセールサービスを主軸に事業を展開しております。
EC業務支援サービスでは、ブランドオフィシャルECサイトの企画、開発のみでなく、商品の受注から発送まで、ECに必要となる一連の業務運営全体をプラットフォーム化することで、各ブランドの商品を消費者の皆様に販売する事業を展開しております。ブランドのEC売り上げを継続して向上させるため、PC、携帯、スマートフォン、タブレット等、新たなデバイスに対応していくだけではなく、個々のブランド独自の世界観を表現できるよう要望に柔軟に応えることで個々のブランドとの密接な関係を構築しております。また、取引関係の見直しを行い幅広いブランド様からご支持を頂いており、売り上げは順調に推移しました。なお、本年(平成29年)6月末時点におけるサイト数は81サイトとなりました。
TVショッピング支援サービスでは、株式会社QVCジャパンをはじめとするTV通信販売会社とアパレルメーカーとの間に入り、ブランドの構築、商品企画、生産管理から販売の際のプレゼンテーションまで、TV通販に関する一連の業務を支援するサービスを提供しております。既存ブランドに加え、新規ブランドの売り上げも概ね堅調に推移しました。
ファッションホールセールサービスでは、ブランチ・アウトが国内大手小売店に対して、上海布藍綺国際貿易有限公司が中国大手小売店に対して、衣料品の企画、デザイン、製造、生産管理、販売を行っております。季節によっては気温や天候の影響を受けましたが、商品企画、販促企画が奏功し堅調な売り上げとなりました。
この結果、ファッションビジネスプラットフォーム事業の売上高は31,550百万円(前年同期比14.5%増加)、営業利益は911百万円(同7.7%増加)となりました。
以上の活動により、当連結会計年度における当社グループの売上高は38,987百万円(前年同期比12.1%増加)、営業利益は846百万円(同28.7%増加)、経常利益は767百万円(同38.8%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失や投資有価証券評価損の計上、繰延税金資産の取崩しもありましたが、株式会社ビービーエフ株式の一部譲渡等もあり427百万円(前年同期は9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ735百万円増加し、6,963百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、利益の増加、仕入債務の増加等により、前年同期比135百万円の収入増加となる877百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出等の減少、定期預金の払戻による収入等により、前年同期比760百万円の支出減少となる901百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加等により前年同期比413百万円の収入増加となる712百万円の収入となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
平成25年6月期平成26年6月期平成27年6月期平成28年6月期平成29年6月期
自己資本比率(%)45.643.145.146.959.6
時価ベースの
自己資本比率(%)
55.759.997.859.195.5
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(%)
151.7225.8216.5377.7339.1
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
30.023.634.819.630.6

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3. キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。