有価証券報告書-第16期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/24 15:44
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【項目】
109項目

業績等の概要

(1) 業績
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、ビッグデータ活用の動きやクラウドサービス市場の拡大等、上向きの傾向にはあるものの、情報サービス産業間の競争は激しさを増しており、事業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。
このような環境下、当社グループは、基本方針である「既存の主力事業の構造改革」と「関連新規事業立ち上げ」に則し、既存事業において、データセンターサービスやデータ・ソリューションにおけるサービスの拡充・強化を図ってまいりました。当社における今後の事業戦略として、これまでの既存事業の基盤を活かしつつ、新たにIoT(Internet of Things、モノのインターネット、「以下、IoT」)関連事業を開始することといたしました。当社はこのIoT時代の到来に対応するため、また、インターネットを通じて、IoTサービスに必要なシステム構築等を実現していくために、新株予約権を発行し新規事業で必要となる戦略的な資金調達を行い、新たな成長戦略へ向けた財務体質の強化を進めることができました。
当連結会計年度におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
① コンピュータプラットフォーム事業
コンピュータプラットフォーム事業におきましては、データセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション、スマート・エネルギー及びその他・海外事業に分け、サービスを展開しております。
データセンターでは、市場規模は堅調に拡大しているものの、価格競争に加え、お客様のニーズが変化・多様化しております。当社は、データセンターの再編を検討した中、第2サイト(東京都品川区)のサービスを本年(平成27年)9月末をもって終了する一方で、データセンターに対する様々なニーズの変化を受け、お客様により柔軟で付加価値の高いサービスを提供するため、本年4月より、第5サイト(東京都江東区)の運用を開始いたしました。なお、今後は、IoT事業との連携によるIoTデータセンターの計画を推進してまいります。
クラウド・ソリューションでは、当社独自のc9サービスは、クラウド市場の拡大を背景に順調に推移いたしました。昨年(平成26年)12月に資本業務提携をしました株式会社セキュアと、同社の監視用ネットワークカメラシステムを当社のクラウドサービスと連携させることにより、セキュリティ分野を中心に活用できる画像解析型映像監視システムのサービスを開始いたしました。
データ・ソリューションでは、当社の主力プロダクトである米EMC社製の「Isilonシリーズ」の販売拡大に努めるとともに、ファイルサーバの効率的なログ管理の高まりを受け、サーバアクセスログ管理ツールの販売を開始いたしました。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等のユーザーが生成するコンテンツ、ビッグデータ、IoT等の普及・浸透によりデータ量は増大傾向にあります。これまで以上に大容量のデータ収容に対応できるSDS(ソフトウェア・ディファインド・ストレージ)製品の販売についても促進しております。また、決済関連事業を行う当社子会社の株式会社Lyudiaは、決済ビジネス向けのデバイスの販売、アプリケーションやシステムの開発を進めておりますが、開発等の遅れが業績に大きく影響いたしました。
スマート・エネルギーでは、山口県防府市の太陽光発電所に加え、当社2か所目となる群馬県利根郡みなかみ町の太陽光発電所においても、本年2月下旬より売電を開始いたしました。大きな天候の影響を受けずに堅調に推移し、売り上げに貢献いたしました。
その他・海外事業では、米国ハワイ州の共同事業先であるDRFortress社のホノルルのデータセンターにおいて、データ通信に関する契約は本年3月をもって終了しましたが、本年3月までは売り上げに寄与いたしました。一方で、新たなサービスとして、高精彩な3D地図画像をAPI(Application Programming Interface)経由で提供するWebサービス「GEO-SIM Web-APIサービス」を開始いたしました。
この結果、コンピュータプラットフォーム事業の売上高は7,504百万円(前年同期比3.6%減少)、営業利益は決済事業の開発等の遅れにより76百万円(同74.7%減少)となりました。
② ファッションビジネスプラットフォーム事業
一方、ファッションビジネスプラットフォーム事業におきましては、株式会社ビービーエフ(以下、ビービーエフ)が行うECシステム構築支援・運用サービス、TVショッピング支援サービス及び株式会社ブランチ・アウト(以下、ブランチ・アウト)が行うファッションホールセールサービスを主軸とした事業を展開しております。
ECシステム構築支援・運用サービスでは、ブランドオフィシャルECサイト制作から受発注システム構築・運用、倉庫業務、商品配送業務まで、インターネット、携帯、スマートフォンを活用した通信販売に必要となるプラットフォームを一括して提供しております。大手既存ブランドの売り上げ拡大に伴い、順調に業績が伸びております。なお、本年6月末時点におけるサイト数は84サイトとなりました。
TVショッピング支援サービスでは、株式会社QVCジャパンを中心とするTV通信販売会社とファッションメーカーとを繋ぎ、商品企画、在庫・生産管理から販売に至るまでを支援するとともに、新規ブランドの立ち上げ等も行いました。
ファッションホールセールサービスでは、ブランチ・アウトが大手小売店に対し、衣料品の販売・企画・デザイン・製造・生産管理を一貫して行っております。ブランチ・アウトは、昨年の夏物が天候不良の影響を受け、また、円安による原材料価格の上昇に伴い利益が圧迫されました。一方、中国で事業を行っているビービーエフの子会社である上海布藍綺国際貿易有限公司の業績は順調に推移いたしました。
この結果、ファッションビジネスプラットフォーム事業の売上高は24,193百万円(前年同期比27.5%増加)となり、営業利益は687百万円(同43.3%増加)となりました。
以上の活動により、当連結会計年度における当社グループの売上高は31,697百万円(前年同期比18.5%増加)、営業利益は769百万円(同2.0%減少)、経常利益は758百万円(同5.4%減少)となりました。当期純利益は、投資有価証券評価損の計上、少数株主利益の増加等により58百万円(同75.4%減少)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ2,755百万円増加し、6,956百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加、法人税等の支払額の減少等により前年同期比335百万円の収入増加となる1,441百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、事業譲受による支出の減少等により前年同期比683百万円の支出減少となる475百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使に伴う自己株式の処分による収入等により前年同期比1,359百万円の収入増加となる1,775百万円の収入となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
平成23年6月期平成24年6月期平成25年6月期平成26年6月期平成27年6月期
自己資本比率(%)61.561.645.643.145.1
時価ベースの
自己資本比率(%)
70.835.155.759.997.8
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(%)
62.772.5151.7225.8216.5
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
52.935.930.023.634.8

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3. キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。