有価証券報告書-第16期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/24 15:44
【資料】
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【項目】
109項目

事業等のリスク

当社グループの事業活動に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業もしくは本株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
① 当社グループの事業内容について
a)事業環境について
富士キメラ総研の調査によると、クラウドサービスの需要拡大、BCP(Business Continuity Plan)を意識したデータセンターへのシステム運用のアウトソース化や冗長化を意識した複数センター利用、また、自社データセンターの老朽化による商用データセンターへのシステム移設等の要因で、今後数年間4%~5%の成長が望める市場であります。
しかしながら、顧客とのアライアンスによる新規市場開拓、提供サービスや顧客セグメント拡充といったビジネスモデルの転換等、市場が劇的に変化する可能性があるため、引き続き大変厳しい競争環境下にあると認識しております。当社は、更なるノウハウの蓄積に取り組み、新規事業や新サービスを開発し、より付加価値の高いサービスを提供することで競合会社との差別化を図ってまいりますが、このような状況の中で当社が優位性を発揮し、一定の地位を確保できるか否かについては不確な面があります。
また、今後市場においてさらに競争が激化した場合、競合他社の動向によっては、当社もサービス価格引下げに応じざるを得なくなる事態も想定され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
スマート・エネルギー事業は、天候不順による発電量不足、自然災害等による設備損壊、故障、経年劣化等による性能不足・低下による発電量不足等に加えて、大規模な機器故障等が発生した場合の設備の維持困難、機器調達及び交換工事期間の発電量が低下した場合、また、電力会社配電網が自然災害や人為的な原因により損壊した場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b)システム障害について
当社のデータセンターは、大規模地震に耐えられる耐震構造または免震構造、ガス消火設備、停電時に備えてバックアップ電源として非常用自家発電装置の設置、ネットワークの冗長構成等、24時間365日安定した運用ができるように、最大限の業務継続対策を講じております。
しかしながら、サイバーアタック、システム・ハードの不具合、電力会社の電力不足や大規模停電、想定した規模をはるかに超える地震、台風、洪水等の自然災害、戦争、テロ、事故等予測不可能な事態によってシステム障害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c)データセンターの情報セキュリティ管理について
当社のデータセンターサービスは、顧客企業がインターネット上でコンテンツを配信するためのサーバを預かり、インターネットへの接続環境を提供する他、サーバ運用に伴う様々なサービスを提供しております。データセンター設備内部におきましては監視カメラによる監視を行っているほか、顧客ごとに付与する専用入館カードによって入退出の制限と記録管理を行う等、厳重なセキュリティ体制を構築し、万全を尽くしております。
しかしながら、何らかの原因で、万一、外部からの不正アクセス等により情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループに対する損害賠償の請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d)データセンターの賃貸借契約について
当社は、データセンターのファシリティを自社で保有することなく、他社のファシリティに自社の仕様にあわせた設備を設置、顧客にサービスを提供するノンアセット型データセンターを中心に展開しております。
当社は、ファシリティの所有者との間で賃貸借契約を締結しております。しかしながら、当社が契約を修了する場合、所有者が何らかの理由で契約の継続につき全部もしくは一部を拒絶した場合、または契約内容の変更等を求めてきた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
e)電力事情について
当社のデータセンターでは顧客のサーバを設置するとともに、インターネットへの接続回線や保守・運用サービス等を提供しているため、災害や停電等異常時にもサービス継続が可能な設備が必要となります。さらに、消費電力量が多い施設であるため、様々な施策のもと、データセンターの省電力化の対策を進めておりますが、今後予想を上回る原油価格の高騰等に起因する電気料金の大幅な引き上げが発生し、それにより顧客との取引に支障が出るような場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、電力消費に関して地球温暖化に係る環境規制等がデータセンター事業者に対してなされた場合も、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
f)新規事業について
・IoT事業
当社は、インターネット・テクノロジー・トレンドを主導するインターネット・データセンター事業者の草分けとして、大きな技術革新のフェーズを迎えたことを認識し、これまでの既存事業基盤を活かしつつ、次なる事業の柱として、新たにIoT(Internet of Things、モノのインターネット)関連事業を開始することといたしました。IoT市場は、市場規模の拡大が見込まれておりますが、当社のIoT事業は緒についたばかりですので不安定な要因の発生があり得ます。今後、国内のみならず海外においても事業展開を図りますが、投資を含め当該事業へ資金を投じることから、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・アンカーパーソン.TV事業
当社は、これまでデータセンターサービス、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション等のBtoBビジネスを展開してまいりました。新たに始動させたアンカーパーソン.TV事業はBtoCビジネスであるため、個人情報の取扱い等のBtoCビジネス固有のノウハウを蓄積しながらビジネスを推進する必要があります。一般財団法人日本情報経済社会推進協会が付与するプライバシーマークを取得する等、個人情報管理体制の強化を図っておりますが、個人情報が社外に流出した場合、業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。
g)法的規制について
当社は、電気通信事業者として総務省に届出を行っており、電気通信事業法及び関連する省令等を遵守しております。現在のところ、これらの法律による規制の強化等が行われるという認識はありませんが、今後これらの法律及び省令が変更された場合や当社グループの事業展開を阻害する規制がなされた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
h)主要顧客との取引について
当社グループの主要顧客は、依然として、株式会社しまむら(以下、しまむら)、株式会社QVCジャパン(以下、QVC)、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)の3社であり、平成27年6月期の売上高に占めるしまむらの割合は12.9%、QVCの割合は12.1%、ヤフーの割合は10.7%と特定の顧客に対しての依存度が高い傾向が続いております。3社との関係は良好に推移しており、今後とも取引の維持・拡大に努める所存ですが、3社の事業方針に大きな変更が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
i)連結子会社である株式会社ビービーエフ(以下、ビービーエフ)及び株式会社ブランチ・アウト(以下、ブランチ・アウト)について
ビービーエフは、ファッションブランドのECシステム構築支援・運用サービス及びTVショッピング支援事業を、ブランチ・アウトは、ファッションホールセールサービスを中心に展開しており、両社の売上高合計は当社連結売上高の3分の2以上を占めております。
これら連結子会社2社の規模が大きいため、今後、当社におけるビービーエフの持分比率低下、財政状態及び経営成績等によっては、当社グループの連結業績へ影響を及ぼす可能性があります。
また、両社は、中国を重要なマーケットと捉え、中国上海市にビービーエフの完全子会社を設立しておりますが、中国国内情勢の変化によるカントリーリスクや海外取引における為替変動リスクにより、当社グループの連結業績へ影響を及ぼす可能性があります。
② その他
a)人材の確保について
当社グループが今後も継続して成長していくためには、新人の育成や優秀な人材の確保が必要であると考えており、定期的な新卒採用を行い、あわせて中途採用を実施し、バランスのとれた採用及び人材の育成強化を図りながら、優秀な人材の確保に努めております。しかしながら、優秀な人材の流出や採用等が計画通りに進まない場合は、事業推進を行う上で、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
b)配当政策について
当社は、中長期的に企業価値を向上させるとともに、株主の皆様へ利益還元することを重要な経営課題として取り組んでおり、さらなる事業拡大を目指しております。当社は、将来の事業展開に必要な内部留保を確保しながらも、継続的かつ安定的な配当による株主還元を行う考えでありますが、通期業績、財政状態及びその他の状況の変化によっては、配当政策に影響を及ぼす可能性があります。
c)内部管理体制について
企業のコーポレートガバナンスの潮流は大きく変わろうとしています。当社では、企業価値の向上を図り、企業の社会的責任を果たし、社会やステークホルダーから高い信頼や誠実な企業として認識を得るためには、透明性が高く環境の変化に迅速に対応できる経営体制の確立とコンプライアンス遵守の経営を追求することが不可欠であると考えており、コーポレートガバナンス・コードに対応した体制整備を、経営の最重要課題と位置づけて積極的に取り組む必要があります。
今後の当社もしくは当社グループの事業の急速な拡大による会社規模の拡大、もしくは子会社の増加に伴い、整備が追い付かないことで、管理体制に支障がでる可能性があります。
d)筆頭株主との関係について
当社の筆頭株主である株式会社インターネット総合研究所とは今後も良好な協力関係を継続していく予定ですが、同社の経営方針の変更等が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。